2017-10

『機動戦士ガンダム』第16話の感想 ~ ついでに『ガンダムOO』も ~

『機動戦士ガンダム』第16話の感想
 ~ ついでに『ガンダム00』も ~


 今回もまた、番組冒頭のナレーションが変更されている。

「宇宙世紀0079、地球の周りには、幾つもの宇宙都市が建設され、人々はそこを第二の故郷として暮らしていた。宇宙都市サイド3はジオン公国を名乗り、人類を自らの独裁に治めんものと、地球連邦に戦争を仕掛けてきた。ジオンの攻撃を避けて宇宙都市サイド7を脱出したホワイトベースは、地球に降り立ち、そして、今…」

 それにしても、今観てもこの番組冒頭のナレーションと映像は凄いと思う。2009年現在の中学生がこれをパッと見せられても、そのほとんどは何のことだかサッパリ分からないだろう。それを30年前にやっていたんだから…。

 第13話から15話まで、3回連続で1話完結タイプの話が続いたが、今回からは連続したストーリーに戻る。
 今になって思えば、第15話は濃密なヒューマンストーリーを描いていたと同時に、ガンダムやザクが巨大ロボットであることを視覚的に分かりやすく描写していた(14話にもその傾向がある)。つまり、モビルスーツを人物や建物と対比させることで、その巨大さが直感的に伝わるような絵造りがなされているのだ。
 そういう意味でも、第15話の『時間よ、とまれ』は、完成度が高いと再認識させられる。

                第16話 セイラ出撃

 番外編が終了し、ホワイトベースの物語は戦争全体の流れに引き戻される。
 舞台が砂漠ということもあり、乾いて殺伐とした戦場の雰囲気が伝わってくる。
 今回も、あらゆる面で点描が素晴らしい。

 ブライトとコック長のタムラとの会話の雰囲気が、ブリッジ内と外で違っている。ブリッジ内では、飽く迄もブライトが上官という人間関係が反映されているが、外ではそうではない。
「どうして今まで気付かなかったんです?」
とブライトが基本的に敬語を使っているのに対し、タムラは
「この間の戦いで倉庫に直撃を喰らったろ、あのとき塩がやられたんだ」
と敬語を使わない。
「塩がないと戦力に影響するぞ」
と忠告するタムラに対し、ブライトは
「どうしましょう…」
と答えにならない返事を返しながらブリッジに入って行くのだ。
 もともとブライトは単なる士官候補生であり、ことの成り行きでホワイトベースの責任者を務めているに過ぎない。だから、タムラとの人間関係一つをとっても、こんな微妙なものとなる。それが今のホワイトベースの現実。
 逆に言えば、こうしたブライトとタムラのちょっとした描写によって、ホワイトベース内の実態を感じさせる空気がリアルに伝わってくるのだ。

 これが“リアリティ”というものなのである。
 そうそう、ホワイトベースでは食事に関する描写が多い。これは、実は非常に重要なのだ。
 いわゆる宮崎アニメでも言えることだが、キャラクターが食事を摂っている姿を見ると、そのキャラクターのリアリティがグッと増す。そのキャラの食事に対するアプローチの仕方を表現することで、そのキャラの性格や生い立ちを伝えることも出来るのだ。

 人物が食事を摂ったり眠ったり、時にはアクビをするのは当然である。その当然のことを全く描かないと、リアリティが欠如する。基本中の基本だと思うのだが、今日その基本が出来ていないアニメ作品も多いのではないか。

 今回初登場となるマ・クベの描き方も上手い。
 戦場のランバ・ラルからの連絡に対していきなり居留守を使うわ、それで何をやっているかと思えば裏で壷を愛でているわ、ここまでだと単なるアホなオッサンにしか見えない。しかし、マ・クベの
「ウラガン、ランバ・ラルに教えてやれ。奴が木馬を早く始末してくれれば、この辺りにウロウロされることもなくなる……私の発掘した鉱山の実態をドズル中将に知られるのはまずい」
という台詞から、彼がホワイトベースよりもむしろランバ・ラルを排除するべき邪魔者だと見做していることが分かる。マ・クベにとっては、ホワイトベースの撃破など、ランバ・ラルがいなくなることのついでにしか過ぎないのだ。

 以前から、ドズル配下とキシリア配下の部隊に軋轢があることは描写されていたが、ここまで深刻な対立になっていることが明確に示されたのは、今回が初めてである。マ・クベという、いわば軍人としては歪んだキャラクターが、ジオン内の派閥や権力争いという歪みの存在を明かすというのは象徴的である。
 その一方で、ランバ・ラルは
「私はゲリラ屋だ。ガルマ様の敵を討てば、すぐに宇宙へ帰る」
と言い放つ生粋の軍人であり、マ・クベの思惑にはまるで気付いていない。そんなランバ・ラルを「あなた」と呼ぶ女性、ハモンはマ・クベのことを最初から疑ってかかっている。
 この3人のキャラクターの対比と配置も絶妙だ。互いに互いを引き立たせる関係にある。

 今回、セイラの乗ったガンダムは、グフの奇襲によって手負いとなったとは言え、たった1機のザク相手に全く成す術がなかった。
 アムロが操縦するガンキャノンは、ランバ・ラルのグフを相手にしても格闘線に持ち込ませないという戦いを展開したし、コズンのザクに至っては逆に不意を突いた格闘戦で大ダメージを与え、機能を停止させている(アコースのザクはキャノン砲で撃破)。アムロはガンダムに乗っているときだけ強いのではなく、ガンキャノンに乗っていても強いのだ。
 ただしアムロの戦果も、リュウとハヤトのガンタンクが、長距離砲と腕のランチャーの併用によって、どうにかグフの接近を押し止めていたからこそ得られた部分が大きい。

 このように、モビルスーツ戦においても、各モビルスーツの特徴を活かした戦法が描かれており、説得力があった。ガンダムのピンチと同時に、ガンキャノンの活躍とガンタンクの善戦が描かれたわけである。その意味においても、見応えがあったと言える。

****************************************

 おまけ 『ガンダム00』 #22 未来のために & #23 命の華

 今までも、『00』のキャラや設定は、ちょこっと『強殖装甲ガイバー』に似ているなと思っていたのだが、ここへ来て絵的に似たものまで出てきたのでビックリ。ちなみに、似ている点は以下の通り。

 イノベイター→ゾアロード(上位種)
 リボンズ→アルカンフェル(上位種親玉は特別な存在)
 リジェネ→ギュオー(裏切り者)
 オリジナルGNドライブ→ガイバーユニット(数個しか存在しない)
 ガンダム→ガイバー(ユニットを装着したシステム)
 ダブルオーガンダム→ギガンティック(ユニットを2つ装備して飛躍的にパワーアップ)
 外宇宙航行母艦→降臨者宇宙船

 #22の戦闘シーンは良かったけれど、#23のそれはガッカリ。トランザム出来る機体があんなにあるなら、特攻などさせずとも最初からアロウズに与えていれば楽勝で勝てるではないか。トランザム状態なら、ライザーソードもかわせるだろうし。

 決戦を前に、艦船用ドックの入り口をそのままにしてあるのもアホだし、
「内部に進入して白兵戦を仕掛けてでもヴェーダを取り戻すつもりか」
…ってアンタ、普通に考えたらそれが一番可能性が高いでしょうが!

 前々回で「いらなくなったキャラの一斉処分」とかやっていたし、ラストに向けての練り込みが足りないまま作っちゃったようですなぁ…
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://sinden.blog6.fc2.com/tb.php/897-71311509

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。