2017-10

『 ゴジラ 日本全滅 』

『 ゴジラ 日本全滅 』


 『 ゴジラ ~ モンスターズ・レジェンド ~ 』と同様、「現代を舞台とした“最初のゴジラ”を描いた作品」として書いたものです。
 1954年の『ゴジラ』の直接のオマージュにはなっていませんが、科学者を含む家族が主人公であるという点は踏襲しています。ゴジラの造形も、初ゴジをイメージしています。作品の雰囲気は、1954年の『ゴジラ』に結構近いものになっていると思うのですが、どうでしょうか?

     【以下の文章は、2000年10月15日(日)頃に書いたものです】


 暗い部屋、ベッドで眠っている男性。
 その「彼」の見ている夢。
 九州の日向灘を航海中の核燃料輸送船が、海底火山の爆発に巻き込まれて沈没する。
 原子力工学の研究者である彼は、災害調査チームのメンバーとして召集を受ける。自衛隊の特殊潜行艇に乗り込み、現場である海底を目の当たりにする彼。そこには、船の残骸が僅かに残っているものの、予想されていた放射能による汚染は、ごく低いレベルでしか検出されない。
「火山活動によって、全て地下へ飲み込まれてしまったのでしょうか…?」
 彼の隣で、調査チームの一員である火山学者の女性が呟いた。その「彼女」の美しい横顔。

 暗い部屋、ベッドで眠っている女性の横顔。「彼」の夢に出ていた、女性火山学者だ。
 その「彼女」の見ている夢。
 北海道の核廃棄物処理工場が、謎の地殻変動による直下型の地震によって崩壊する。
 火山学者である彼女は、自衛隊の特殊装甲車に乗り込み、現場に向かう。放射能防護服を着て現場を調査した後、仮設の基地に戻った彼女の隣で、調査団の一員が呟く。
「この前と同じだ。放射能汚染は、ごく低いレベルにとどまっている。まるで、地球が核物質を飲み込んでしまったみたいだ」
 放射能防護服を脱いだその人物が、彼女に微笑みかける。
「また、お会いしましたね」
 海底火山噴火による核燃料船沈没の調査の時、一緒だった「彼」である。

 朝。ベットで目覚める「彼」と「彼女」。
 彼らは、互いに見た夢のことを話し、寝巻き姿のまま1階に下りてアルバムを開くと、2人が出会った頃の昔話に花を咲かせる。そこへやって来る、彼らの子供たち。
「お父さん、お母さん、何やってるの? 7時に出発するんでしょ、早く…」
 今日は、「彼=父」・「彼女=母」・2人の子供が、揃って北海道旅行に出かける日なのだ。この家族旅行は、北海道の地質研究所にいる仲人を訪問することを兼ねている。

 家族を乗せた旅客機が、名古屋空港から北海道を目指して飛び立っていく…。

 北海道の地質研究所に到着した家族は、仲人と再会して楽しい一時を過ごす。しかし、数日前から観測されていた地質学的異常が激しさを増し、ついには体で感じられる地震が発生。震源地は、あの核廃棄物処理工場があった地点の近くだ。
 そして、父の携帯電話が鳴る。
「九州の日向灘で海底地震が発生、その震源地付近で放射能汚染が観測された」
 非常召集だ。自衛隊のヘリコプターが彼を迎えに来る。父は、妻子を北海道に残したまま、一人で九州の現場へと飛び立つ。母は嫌な予感を感じつつも、16年前に現場を調査した火山学者の使命感から、子供と一緒に北海道の地質研究所にしばらくとどまる決意をする。

 九州の現場付近に到着した父を待っていたのは、自衛隊の一行と政府関係者、そして若い女性火山学者だった。父は、その若い女性火山学者に、初めて出会った時の妻の面影を重ね合わせる。若い女性火山学者も、火山学者を妻とする彼に好印象を抱くが、同時に妙なライバル心をも顕わすのだった。

 その夜、北海道のガラム岳(地震の震源地から比較的近い)から、四つ足の巨大な恐竜のような生物が出現する。その巨大生物は、一夜のうちに北海道をほぼ縦断し、交通網をズタズタに引き裂いた後、地中へと姿を消す。

 同じ夜、九州の日向灘に面した後白(ごじら)岬から二足歩行の巨大な恐竜のような生物が上陸し、一夜のうちに九州をほぼ縦断し、交通網をズタズタに引き裂いた後、海中へと姿を消す。

 翌朝、現地の被災地域に自衛隊やマスコミが集まり、救助活動や調査が行われるが、巨大生物が出現したらしいという状況証拠(足跡や、それらしいものが映っているビデオなど)が見つかっただけで、今後どうなるかは誰にも分からない。
 ただ、マスコミによって、北海道のガラム岳から出現した四つ足の巨大生物は「ガラム」、後白(ごじら)岬から九州に上陸した二足歩行の巨大生物は「ゴジラ」という通称で呼ばれるようになった。

 夕方になって、人々の活動が一段落ついた頃、ゴジラとガラムが出現した場所から、別の生物の大群が地上へと進出する。体長約4mの、巨大なサソリのような節足動物である。ノコギリクワガタのような顎まで生えており、恐ろしく戦闘的な姿だ。
 北海道では地中から、九州では海から地上へと出現したこの巨大節足動物の大群は、ゴジラとガラムの通ったコースをそのままなぞるようにして移動、人々を襲い、補食する。現場に居合わせた自衛隊が迎撃し、そのうち少数は撃ち殺されるが、何しろ数が多くて動きも速い。自衛隊員も住民もマスコミも、次々と巨大節足動物の餌食になっていく。

 北海道の地質研究所にいた研究員や母と子供達、九州にいた父や調査隊のメンバーも、この巨大節足動物の襲撃を受ける。混乱の中、一行は何とか脱出できたものの、それなりに厳しい状況になっていた。

(ここで、その時の主人公一家を取り巻く人物状況と、彼らの簡単な説明をしておきます)
 北海道では、以下のメンバーが行動を共にする。
 
 母 … 41歳。母親であると同時に現役バリバリの火山学者。2人の子供の母としての義務と、学者としての使命感の板挟みになって葛藤する。
 姉 … 14歳。中学2年生。忙しい母を助けて家事をこなし、学校でも生徒会役員を務めるなど、しっかりした性格。
 弟 … 12歳。小学6年生。成績は今ひとつだが、コンピュータ関係には強い。
 若手研究所員 … 25歳、男性。2枚目的キャラクター。
 中年研究所員 … 36歳、男性。3枚目的キャラクター。
 研究所副所長 … 57歳、女性。16年前に夫婦の仲人を務めた。先進的な性格で、まだまだ現役バリバリの研究者。

 九州では、以下のメンバーが行動を共にする。
 
 父 … 43歳。父親であると同時に現役バリバリの原子力工学の研究者。国立総合研究所の原子力部門のトップクラスであるため、他の部門のトップクラスの研究者とも繋がりが深い。
 女性火山学者 … 28歳。有名な大学教授の助手で、教授が体調不良のため、急遽代理で来た。学者としてのキャリアは駆け出しにすぎないが、意欲とプライドは一級品。
 調査団隊長 … 内閣直属の特務機関の役人。女性、34歳。特権意識が強く、官尊民卑な態度を取る。
 若手自衛官A … 22歳、男性。
 若手自衛官B … 25歳、男性。
 中年自衛官 … 40歳、男性。

 一難去った後の被災地を、再び恐怖のどん底に陥れた巨大人喰い節足動物の群。
 その一部は、ゴジラとガラムの後を追うようにして、それぞれ海中、地中へと姿を消す。残った大半は、日の出と共に数匹の小さな群に分かれ、日光を避けるようにして各所へと潜り込んでいった。

 翌朝、自衛隊の増援部隊が被災地へ派遣され、巨大節足動物の隠れていると思われる各所の周囲に、バリケードが張り巡らされる。マスコミの増援部隊も被災地へと急行し、昨日と同様、ただし悲惨さと混乱が増した現地の状況を報道する。

 ゴジラやガラムは交通網・電力・水道等のいわゆるライフラインや建物を破壊して被災者を出したが、直接人間を襲うというわけではなかった。巨大節足動物は、ライフラインや建物を破壊することはなかったが、群を成して人間に襲いかかり、移動しながら補食し続けたのだ。
 マスコミが伝える被害者の数が刻々と増え続けるのを見て、日本中に不安が広がる。

 一方、射殺された巨大節足動物の死体は、直ちに専門家チームによって分析が行われた。
「この生物は、メガヌロンと同じ時代に生息していた、古代昆虫ギガンヌリウムの幼虫である可能性が高い。ただし、化石として残っているサンプルより遙かに巨大であり、放射能を帯びていることからも、突然変異を起こしている可能性も考えられる。
 現時点で確実に言えることは、これ程までに巨大化したギガンヌリウムは、人間を餌とする以外には生きていくことが出来ないということだ」
 分析チームの出した結論から、政府は「北海道および九州から、全住民を避難させる」ことを決定。その後、「自衛隊機甲部隊による、ギガンヌリウムの徹底的駆逐」を行うというのだ。

 前代未聞の超大規模避難が始まる。
 単身九州に来ていた父は、北海道にいる妻子と、どうにか連絡をつけることに成功。
「とにかく、名古屋へ戻ろう。状況が変化したら、その時また連絡を取り合うとして、今は家に、我が家へ帰ることを考えよう」
 この「家に帰ろう」という言葉を支えにして、二つに分かれた家族は、それぞれ行動を共にすることになったメンバーと一緒に避難を始める。(父の調査グループは、調査団隊長の要請によって、3人の自衛官の護衛を受ける形でそのまま避難行動を取ることになる)

 母達のグループが青森まで避難してきたとき、震度3の地震が発生。震源地は岩木山付近。その後、ガラムが出現。今度は震源地付近の地中からではなく、震源地から離れた海岸から上陸してきた。ガラムは、ゴジラと同じように海を泳いで渡ってきたのか?
 現地の住民はガラムに追われ、北海道から避難してきた避難民たちに合流するような形になって、盲目的に逃げる。
 母と研究所副所長は、火山学者の勘から「ガラムは震源地へ向かう」と判断し、震源地からなるべく離れるコースを取って避難(南下)する。母と研究所副所長の勘は当たり、ガラムは震源地へと向かったため、一行は被害に巻き込まれることなく青森を脱出、岩手へ辿り着く。

 同時刻、山口県豊ヶ岳付近でも地震が発生し、それに導かれるようにゴジラが下関から上陸。ガラム同様、ゴジラは震源地へと向かう。退路を断たれ、後ろから追い立てられる形になった避難民は、地元住民と渾然一体となって東へと逃げる。その中には、父の一行もいた。

 一方、危険指定地域からの住民避難が完了した北海道と九州では、自衛隊機甲部隊による「ギガンヌリウム駆逐作戦」が開始されていた。
 数匹のギガンヌリウムが潜んでいると思われる場所へ、次々と突入していく重武装の部隊。しかし、とあるビル内へと突入を果たした彼らの前にあったモノ、それは、今まさに羽化せんとするギガンヌリウムの蛹たちであった。
 巨大でスマートなノコギリクワガタのような姿に変態を遂げた、ギガンヌリウム成虫。
 その強靱な外骨格は、自衛隊の重火器さえ受け付ず、黒金に輝く顎は戦車の装甲さえ抉り裂く。その顎の奥から噴射される消化液を浴びせられた自衛隊員は、単なる肉塊へと変貌を余儀なくされるのだった。

 「ギガンヌリウム駆逐作戦」は、失敗に終わった。自衛隊機甲部隊を全滅させたギガンヌリウム成虫は、羽化したときの群の単位で、それぞれ飛び去っていった。
 ギガンヌリウム成虫は、戦車やヘリコプターと戦ったことによって「敵」を「学習」したのか、飛行機や大型車両、そして船舶を狙って襲い始めた。
 旅客機や客船で避難していた人々が、ギガンヌリウム成虫に襲われ、悲惨な最期を遂げていく…。もはや、陸海空いずれにも安全な場所はなくなってしまった。

 北海道で発生した地震は列島を徐々に南下していき、ガラムもそれに導かれるように南下していく。
 人々はガラムに追い立てられるようにして、南へと逃げ続ける。
 ガラムが過ぎ去った後、被災地に留まろうとした人々は、何日か遅れでやってくるギガンヌリウムの群の襲撃を受け、そのほとんどが餌食となった。
 来た道を引き返そうにも、交通網は寸断され、電気・水道などのライフラインも絶たれているのだった…。

 自衛隊は航空戦力も投入してギガンヌリウム群に攻撃を仕掛けるものの、幼虫の群を護衛するように上空を飛ぶ成虫の体当たり攻撃によって、消耗していく。繁殖活動が確認されていないにも関わらず、ギガンヌリウムの群の大きさは、むしろ日毎に大きくなっていくように見えるのだった。

 九州から始まった避難民の流れも、状況としては全く同様。
 母たちのグループも父たちのグループも、一人また一人と犠牲者を出しながら、怪獣からの逃走生活を続けていた。お互いの無事を祈りながら、ひたすら逃げ続けた。すでに一時的な「避難」ではなく、ほぼ毎日続く「逃走」になっていた。

 そして、避難民の数は、日毎にどんどん膨れ上がっていく。いつしか、道という道に、避難民が行き交うようになっていた。一定の犠牲者が出ているとはいえ、生き残った人々は背後から怪獣に追い立てられ、列島の中心部を目指すようにして移動を続けているのだから当然だ。
「このままでは、“1億総ホームレス”と化す恐れもあります」
 そんなマスコミの報道は、避難民にとってはもはや何の意味もなかった。彼らにとって、それは既に現実でしかなかいのだ。

 政府は、東京の手前でガラムを、大阪の手前でゴジラを迎撃することを決定し、全自衛隊を二分させて配置、それぞれ総力を挙げた防衛の布陣が展開される。
 ついに東京・大阪にも全面避難の命令が下され、日本の全人口が、富士山より西、琵琶湖より東にかけての地域に集結する。父と妻子は予定通り名古屋で合流を果たし、家族は再会する。(グループの被害状況は以下の通り)

 北海道から逃げてきたグループ
  母 … 軽傷
  姉 … 軽傷
  弟 … 軽傷
  若手研究所員 … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  中年研究所員 … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  研究所副所長 … 建物から避難する際、将棋倒しになって圧死。

 九州から逃げてきたグループ
  父 … 軽傷
  若手自衛官A … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  若手自衛官B … ゴジラと遭遇した際、建物の下敷きになって死亡。
  中年自衛官 … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  女性火山学者 … ゴジラと遭遇した際、火災に巻き込まれて死亡。
  調査団隊長 … 途中ではぐれて行方不明になる。大阪で暴徒に襲われそうになっているところを偶然父に助けられ、以後再び行動を共にする。

 ゴジラとガラムは予想通り大阪と東京に出現し、自衛隊と正面からぶつかり合う。
 大阪と東京から避難してきた新たな避難民を含む「日本全国民」は、固唾を呑んで戦況を実況中継するTV画面を見つめる。
 自衛隊の兵器は怪獣に命中し、足止めをしたかに見えた。しかし、火線が弱まるにつれ、怪獣は進行を再開、防衛線は突破される。弾薬が尽きかけ、戦力も消耗した自衛隊は戦線の維持を諦め、大阪と東京から撤退する。

 自衛隊の敗北と怪獣の進行をリアルタイムで目の当たりにした東西端の避難民は、より日本の中心部へと向かって移動を始める。「もはや政府をあてには出来ない」という絶望感と「自分たちだけは生き残りたい」という気運が国民全体に広がり、日本は無政府状態の様相を呈していく。
 再会を果たした家族は、調査団隊長を連れて、懐かしい「我が家」に辿り着く。しかし、そこは既に大勢の他人によって占拠されていた。隣家では、玄関にその家の主の死体が転がっている…。

 家族と調査団隊長は、父の勤務先である国立総合研究所へ向かう。
 セキュリティの堅固な国立総合研究所は、地元警察の協力もあって「城」のような雰囲気になっていた。
 父や家族達は、身分が証明されたため、中に入ることが出来た。とりあえず身の安全が確保され、ホッと一安心する一行。

 しかし、航空宇宙担当の研究者から、恐るべき情報が伝えられる。
 政府が、在日米軍基地から複数の核弾頭を持ち出し、これを使用して怪獣を撃退する作戦を決定したという情報である。数日前から、自衛隊の指揮の元、人工衛星用の宇宙ロケットを核ミサイルとして使用する作業が進行しており、もうほぼ発射可能な状態にきている…そんな情報が、種子島の発射基地から断片的に届いているというのだ。
 父を含む職員は、国立総合研究所備え付けの緊急回線その他を使って政府側とコンタクトを取ろうとするが、全く繋がらない。

 場面変わって、無人の国会議事堂。
 その上空を飛ぶ数機の輸送ヘリコプター。周囲を戦闘ヘリ部隊が、上空を戦闘機部隊が護衛している。
 輸送ヘリコプターの中にいるのは、政府、自衛隊、各産業の要人とその家族らしき人々。
 そこへ数匹のギガンヌリウム成虫が襲いかかり、激しい空中戦が展開される。
 激しく揺れる輸送ヘリの中で、胸に国会議員のバッチを付けた老人の一人が叫ぶ。
「本当に、核シェルターまで送り届けてくれるんだろうな! こんなところで死にたくはないぞ!」

 場面戻って、国立総合研究所。
 調査団隊長が職員達に「国家機能存続に関する第一種緊急避難措置」が取られている可能性について説明している。
「危機的事態に際し、国家としての必要最低限の機能を存続させるため、各方面の要人を地下の核シェルターに移送している最中かも知れません」

 人工衛星ロケットを核ミサイルとして使用する措置も、国家防衛の最終手段として、ずっと以前からマニュアル化されていたことだと調査団隊長は説明する。
「私が聞いているところでは、核弾頭の数は2発。米軍の協力の元で、日本の人工衛星ロケット専用の弾頭として改造されています。特殊な位置把握装置を搭載していて、日本の国土内でしか起爆しないようになっている筈です」
「本土決戦専用の核弾頭か…」
「今の状況で怪獣達に向けて核ミサイルを撃ち込んだら、逃げ場のなくなっている避難民を巻き込んで、広島、長崎を越える大被害が出る。何とかして止めないと」
「しかし、自衛隊の兵器で怪獣を撃退できなかった以上、もはや核兵器を使用する以外に、我々に残された方法はないのでは?!」

 一方、ゴジラは東へ、ガラムは西へと進行し、日本の中央で「一億総避難民」となった日本国民を挟み撃ちにする形になっていた。
 ゴジラやガラムの襲撃を直に受けて逃げまどう人々。
 ゴジラやガラムの通過した跡地で、ギガンヌリウムの襲撃を受ける人々。
 そこから逃れて、東西南北へ逃げる人々。逃げた先で展開される、暴徒と化した人と人との争い。
 そして、遂にゴジラとガラムが、追いつめられた避難民であふれる街を舞台に、お互いに惹かれ合うようにして激突する…。

 国立総合研究所では、調査団隊長が、父を始めとする職員の説得に応じ、本土決戦用核弾頭の起爆阻止に向けた活動が始められていた。
 本土決戦用核ミサイルは人工衛星用の宇宙ロケットを使っているため、通常の核ミサイルとは異なり、地球の周回軌道を回っている間に最終的な誘導プログラムを受信し、その後大気圏に再突入。ピンポイント的な精度で日本国内の目標へ落下するようになっている。この誘導プログラムに割り込みをかけ、日本国外へ落下するようにすれば、核弾頭は起爆しない。

 国立総合研究所の航空宇宙担当の研究者たちは、調査団隊長のパスワードを使って種子島の発射管制センターの誘導システムへのハッキングに成功。際どいタイミングで、1発目の本土決戦用核ミサイルが発射される。そして続いて2発目も!
 必死に誘導プログラムを書き換える航空宇宙担当の研究者たち。修正プログラムの送信は、果たして受け付けられるのか?
 ギリギリのところで軌道を変更し、日本を大きく逸れて太平洋へと向かって落ちていく2発の本土決戦用核ミサイル。起爆阻止成功に沸く、国立総合研究所の面々。
 しかし、その直後に3発目の本土決戦用核ミサイルが発射される。3発目は、1、2発目とは違い、衛星周回軌道に入らず、弾道ミサイルそのままの軌道で、ゴジラとガラムのいる日本中央地域へと飛んでいく。

「そんなバカな! 核弾頭は2発だと聞いていたのに!」
 調査団隊長の叫びも空しく、修正プログラムの送信も受け付けられず、弾頭はそのまま落下…!
 日本の中心部で巨大な爆発が起こり、二匹の怪獣を、街や人々を飲み込んでいく。そして空へ立ち上る巨大なキノコ雲…。

 天に閃いた光と大地を揺るがす振動は、国立総合研究所にも届いた。職員も、家族も、起こってしまった事態の前に言葉を失う。
「日本で、3度目の核爆弾が爆発してしまった…しかも、3度目は、日本人自身の手によって…」
調査団隊長が力無く呟く。
「被爆地へ飛ぶぞ」と、父。
「全てが終わったわけじゃない。ここにある被爆者を救う薬品や医療セットをヘリコプターに積んで、被爆地へ飛ぶ。例え1人でも2人でも、助け出すんだ」

 ヘリコプターで現地へ飛んだ父、調査団隊長、他数名の研究所職員は、予想外の光景を目にする。
 ギガンヌリウムの大群が、成虫、幼虫を問わず、キノコ雲を目指して移動しているのだ。まるで、電灯に集まる昆虫のように。限界を超えて被爆したギガンヌリウムは、次々に死んでいく。
 それでも群の流れは止まらない。どんどん数を増していくギガンヌリウムの群は、狂ったようにキノコ雲の中へと突っ込んでいく。

 更に驚いたことに、放射能汚染のレベルが予想されるよりも遥かに低く、しかも徐々に低下していくのだ。
「ギガンヌリウムの群が、放射能を吸収しているのか? それとも…」
 核弾頭は、空中ではなく地面に突入してから爆発したらしく、爆心地を中心に広い範囲で陥没や地割れが発生している。
 そして、ゴジラとガラムの姿は、どこにも見えない。
「いずれにしろ、これなら、日本は助かる。日本人は、生き残ることが出来る…」
 被爆地に着陸するヘリコプター。放射能防護服に身を包んだ父達が、被爆者の救助に向かう。
 彼らの背後で、キノコ雲が、夕陽に紅く染まり始めていた…。

                      《 終 》



 一般の映画ファンが楽しめるモンスター系パニック・ストーリーを主体にしつつ、日本特撮伝統の破壊・破滅のスペクタクルを描くことで、マニアの満足度も上げることを狙いました。
 ゴジラの属性には敢えて触れず、怪獣を荒ぶる破壊神として描いた「日本破壊」映画にしたつもりですが、どーですかお客さん!
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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。