2017-08

『宇宙戦争』

『宇宙戦争』
  2005年の映画館で観た映画:13本目
  映画を観た日:2005年7月1日(金)


 この日は、映画1000円の日。平日の初回であるにも関わらず、日劇のチケット売り場には長蛇の列が。その中に私もいた。いつもは聞き流している「前売り券をお持ちのお客様は、直接劇場の方へ…」というアナウンスが、ちょっと耳障りに感じてしまう。ええ、私は前売り券との差額300円を浮かすために並んでいますとも! 周りの皆さんもそうなんでしょ! そうでなきゃ、金曜の朝9時台から来るもんですか!

 さて、肝心の映画だが、本当にシンプルな作りで、オチは原作と全く同じ。良く言えば、100年前でも通用する普遍的なストーリー。裏返して言えば、現代の大衆娯楽作としてストーリーの面白さを比べると、あのバカ映画『インデペンデンス・デイ』の方が上である。
 ただし、この『宇宙戦争』は「侵略SFもの」と言うよりは、古典的な「災害パニックもの」に属する映画である。私は過去『ボルケーノ』や『ツイスター』、最近では『デイ・アフター・トゥモロー』を観ているが、この系統の洋画は非常に良く出来ている。一種の伝統芸みたいなものすら感じる。

 『宇宙戦争』は「災害パニックもの」に属すると書いたが、『ボルケーノ』や『ツイスター』が「溶岩」や「竜巻」といった「特定のキャラクター以前の物体や現象」を描いているのとは異なり、『宇宙戦争』では「トライポッド」という固有名称を与えられた「特定のキャラクター」が登場する。トライポッドは、この映画にとって、もう一人の主人公とも言えるキャラクターである。映画『ゴジラ』におけるゴジラのようなものだ。
 このトライポッドは異星人の兵器であるので相当現実離れしたデザインなのであるが、地下から初めて出現するシーンが実に丁寧に描かれているため、その非現実感が逆に効果を挙げている。日常に「日常に有らざるモノ」、「未知なるモノ」が徐々にその姿を現していき、その圧倒的な存在感でジワジワと日常を侵食していく過程がキッチリ描かれているのだ。観客は、映画の中の人物と同じ目線になって、日常が非日常に乗っ取られる瞬間を目の当たりにする感覚を味わう。これぞ正しく映画の醍醐味である。

 余談だが、日本のゴジラ映画がダメなのは、この点である。
 いくら子供向け映画だとは言え、20億円もかけて(『ゴジラ FINAL WARS』は、信じられないが本当に20億円もの製作費がかかっているらしい)、あんなチャチな映像しか撮れないのだから、悲しさを通り越して哂うしかない。
 違いは、「何をどう撮ったら観客に如何に伝わるかといった映像設計」が出来るか出来ないかという点にある。予算の大小は、重要ではあるが根本的問題ではない。『宇宙戦争』と『ゴジラ FINAL WARS』では、絵コンテの段階でクオリティに雲泥の差がついていることが明白である。観る側が「理屈抜きで凄い」映像と感じる映像は、造る側が理屈を尽くさねば生まれ得ないのだ。

 圧倒的な映像を観ているだけで満足してしまう『宇宙戦争』だったが、その一方で不満もあった。
 主人公の家族三人のうち、ダコタ・ファニングの演じるレイチェルだけが金髪なのだ。これが、あまり絵になっていない。『ハイド アンド シーク』に出演していた、黒っぽい髪のダコタ・ファニングと比較すると、明らかに見劣りする。
 母親が金髪という設定なので、二人の子供のうち片方が金髪であることが自然なのだろうが、それならば兄の方を金髪にするべきだった。途中から行動を別にするというキャラクターの「色合い」からも、そうした方が適切だったと思う。ダコタ・ファニング目当てで観に行った部分もあるので、この点はかなり残念だった。
 あと、これはこの映画に限ったことではないが、なぜ破片手榴弾を強力な爆弾のように描写するのだろうか。破片手榴弾は、爆発によって飛び散った容器の破片で人間を殺傷することを目的にしており、爆発そのもの威力で物体を破壊する武器ではない(破片手榴弾以外にも焼夷手榴弾などの種類もあるが、主人公が使っていたのは破片手榴弾のように見えた)。徴兵制度のあるアメリカなら、半ば常識だと思えるのだが…。あるいは、「ハリウッド映画のお約束」ということで認知されているのだろうか。
 また、あれ程の科学力と用意周到な計画性を持っている異星人が、猿みたいな行動を取るのは不自然だった。大昔にトライポッドを造ったり侵略計画を立てたときよりも、種族として退化してしまっているという設定なのかもしれないが、少なくとも映像からはそれが伝わってこない。

 それにしても、トライポッドという非現実的なキャラクターを用いながら、『パール・ハーバー』並みの迫力ある映像を演出してしまうのは凄かった。やはり、DVDは“買い”だろう。
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コメント

TBありがとうございました。

家族愛を云々…とも何かに書かれていましたが、
この映画の中では ちょっと中途半端な描き方だった気がします。
駄目オヤジのトムが、何とか子供たちの信頼を取り戻した…ってだけでしたしね。

TBありがとうございました。
やっぱり災害ものって感じですよね。
戦争って感じじゃない、一方的すぎるし。

コメントありがとうございます

 コメントありがとうございます!

>AISYAさん

 国家よりも家族を優先するというところが、アメリカン的には大胆だったのかも知れません。気のふれたオッサンとのやりとりを含めて。
 離婚した駄目オヤジが…というのも、やはりアメリカン的にはツボなのかも?

>トネンさん

 原作を知らなくて、タイトルに惹かれて観た人にとっては、意外な内容だったことでしょう。日本の映画館で流れていた予告フィルムにも、何か「知的なエイリアンが登場する」ようなイメージがあって、ちょっと違ってたんじゃないかという気がしています。

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