2017-10

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』を振り返って

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』を振り返って


 『ゲキレンジャー』は、最初は100%伊藤かずえさん(私とほぼ同世代)目当てで観ていた。メカが「哺乳類主体の動物モチーフ」である戦隊は、昔からどうも好きになれないのだ(『ガオレンジャー』も、テトムさん目当てでたまに観るという感じだった)。

 しかし、伊藤かずえさん目当てで観続けているうちに、次第に作品自体もキッチリ楽しめるようになっていた。拳法系のアクションが気に入ったし、ドラマやストーリーも普通に面白い。
 特に最終話付近の、理央とメレが倒されるために拳断に臨むというドラマ、ジャン・ラン・レツが宿敵であった臨獣拳の奥義でボスキャラを封印するというストーリーは良く出来ていた。

 ただ、『ゲキレンジャー』は商業的には振るわなかった。これはやはり、最初に登場した3体のゲキビーストがゲキタイガー・ゲキチーター・ゲキジャガーであったことが最大の敗因だと思う。3体とも猫のシルエットを持った単なる動物キャラで、造形的にこれといったインパクトがない。しかも3体とも似通ったデザインで個性がない。
 これが最初からゲキライオン・ゲキガゼル・ゲキエレファントとかだったら、玩具の売れ行きもかなり上乗せ(例年並に)出来たのではないか。ゲキリントージャのデザインが相当カッコ良かっただけに、悔やまれる。

 ゲキヌンチャクが商品化されたにも関わらず、劇中でのフォローがほとんどなかったことも問題だった。近所のデパートの玩具売り場ではゲキヌンチャクが大量に売れ残っていたが、劇中の扱いがアレでは当然だろう。
 その一方では、ゲキチェンジャーのような斬新でプレイバリューの大きな変身アイテムの商品化にも成功している。『ゲキレンジャー』のマーチャンダイジングは、本当に出来不出来の差が激しかったという印象が残る。

 ヒーロー的にも、修行を積んで強くなるというスタイルは良かったのだが、過激気を習得したことによる強化変身(スーパーゲキ○○)の強さの位置付けが不明瞭だった。
 強さには、合理性や説得力が必要である。
 スーパーになれる3人のゲキレンジャーが最初からスーパーで戦わないことは不自然だし、最初からスーパーで戦えば、その強さが相対的に下がってしまう。
 強化変身は『クウガ』のライジングフォーム同様、最終話付近までは時間制限のある、とどめ専用の変身形態にするべきだったと思う。

 スーパーになってから、心技体による強さの描き分け、すなわちレッド=野生と耐久力、イエロー=根性とスピード、ブルー=理論とテクニックという描写が見られなくなったのも失敗だった。いくら強化変身したとしても、その強さが漠然としたものであれば、むしろ弱くなったようなものだ。ヒーローものにつきまとう「強さのインフレ」に対する工夫が足りなかったのは明白である。
 また、3人のゲキレンジャーと、後から加わった2人のゲキレンジャーの強さの違いがハッキリしないことも、個人的には気になった。例えば、スーパーになっていないゲキレッドとゲキウルフでは、どちらが強いのか?

 善悪共に強さの追求をテーマにし、悪の中では理央が最強(最強になる)というパターンが確立されていた。理央は常に何かを打ち負かして強くなるので、その強まり方は分かり易い。
 一方、ゲキレンジャーの中ではスーパーゲキレッドが最強であることは分かるのだが、その強さが心の成長によって得られる(開花する)強さであり、比較的分かり辛い強さだった。
 しかし、真の強さとは、自分の外側にいる強者を打ち倒すことで得られるものではなく、自分の内面にある弱さを克服して得られるものなのだ。
 この辺りが、番組の主たる視聴者である子供達に、ちゃんと伝わったのだろうか?
 この点においても、もうひと工夫欲しかった気がする。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。