2017-08

ハロプロキッズ、久住小春に初めて勝つ! ~ プロレス眼的アイドル論 ~

ハロプロキッズ、久住小春に初めて勝つ!
                    ~ プロレス眼的アイドル論 ~


 「ベリキュー、小春に勝つ!」
 『ガンダム、大地に立つ!』のような力強さで、そうゆいたいです(そう言いたいです)。

 小春(久住小春)に負け続けていたベリキュー(Berryz工房と℃-ute)が、今回初めて勝ったのだ。
 もちろんこれは、ベリーズ(Berryz工房)と℃-uteが紅白同時初出場を果たしたことを指す。

 タイトルにあえてハロプロキッズと書いたのは、同期の桜であるベリーズと℃-uteのメンバーが一緒に紅白に出るというニュアンスを、より強く表したかったからだ。ハロプロエッグから℃-ute入りした栞菜(有原栞菜)に対して他意はない。

 ここでとりあえず、Dohhh UP!(ドアップ)で、「紅白同時初出場を知らされたベリキューのメンバーが喜んでいる映像」を見てみよう。

 ベリキューと小春は、ほぼ同世代だ。
 ハロプロにおいては先輩であるベリキューが、後から入ってきた同世代の小春を意識しないはずがない。特に、学年が同じ雅(夏焼雅)から上のメンバーは、ライバル意識を抱くのが自然だろう。

 キッズのメンバーは、ハロプロ入りする前から東京またはその近郊に在住しており、小学生の頃からレッスンと実績を積み重ねてきた、若きプロフェッショナルである。彼女達は最終的にはベリーズと℃-uteという2つのグループに分かれる形となり、プロとして活動を続けてきた。言わば、ハロプロ出身の叩き上げである。

 モー娘。加入時の小春は、新潟の片田舎から出てきた、正真正銘のポッと出のド素人だった。
 つい昨日まではダサいジャージを着て中学校に通っていた田舎娘が、何の実績も出していないどころかまだろくにレッスンすら受けていない段階で、モー娘。の「エース候補」だの「エースを超えたミラクル」だの、近年の新メンバーとしては異例の特別扱いを享受したのだ。

 一方、ベリーズと℃-uteは共にゼロからのスタートであったため、一般的には注目されず、ほとんど無名の存在であった。知名度抜群のメジャーアイドルであるモー娘。と比較すれば、明らかにマイナーアイドルと言える。
 小春は、そんなベリキューを通り越して、いきなりハロプロの“本体”であるモー娘。に加入した。言うなれば、小春は(何の実績も無しに)マイナーを飛び越えて、いきなり破格の待遇でメジャー入りしたのだ。

 小春とほぼ同世代のベリキューのメンバーが、それを見て面白かろうはずがない。
 何しろ、自分と同世代(しかも田舎モン)が、自分より後から入って来て、まだ何の実績も出していない時点でチヤホヤされているのだ。
 ℃-uteのメンバーは、メジャーCDデビューに関して後輩の小春に先を越されてしまった(℃-uteはプロデビュー後もずっとインディーズ扱いが続いた。正に下積みである)ので、尚更だろう。

 小春は、デビューした2005年にモー娘。のメンバーとして、弱冠13才での紅白出場を果たした。当然ながら、小春は翌年もモー娘。として紅白に連続出場している。
 その際、小春の先輩であるベリキューのメンバーは、その他大勢のバックダンサーとして、小春を含むモー娘。の後方で踊っていた。もちろん、紅白出場者の欄にベリキューの名前はなかった。ベリキューは、紅白に「映っていた」だけで、「出場した」わけではないのだ。
 舞台の後方でバックダンサーとして踊りながら、モー娘。の一員として紅白に「出場している」後輩の小春の後姿を見たとき、先輩であるベリキューのメンバーは心中に去来する悔しさとどう向かい合っていたのか。

「小春、自分の力で紅白に出場できたのではないぞ! モーニング娘。という、器のお陰だということを忘れるな!」

 ランバ・ラルではなくとも、アムロならぬ小春に言ってやりたい台詞である。

 そのベリキューが、今年、揃って紅白初出場を決めた。
 もちろん、正式な出場者として、Berryz工房と℃-uteの名前が紅白の歴史に刻まれる。
 かつて、ハロプロキッズあるいはハロプロエッグだったメンバーが、モー娘。という既存の器に納まることなく(経由すらしていない)、それとは別個の独立した2チームとして紅白に出場するのだ。
 
 モー娘。とは別個の、独立した2チーム。
 そう、ベリーズは最初からベリーズとして結成された独立したチームであるし、℃-uteも最初から℃-uteとして結成された独立したチームなのだ。

 ℃-uteのメンバーは、メジャーデビュー前(℃-ute自身がまだ単独コンサートを打てない頃)にベリーズの単独コンサートを見学し、見終わった後、悔しさの余りボロ泣きしたという。
 ℃-uteより先行していたベリーズも、実際にはデビュー以来ずっと一般的には無名の状態が続いており、SSAで単独コンサートを開いたこととは裏腹に、マイナーアイドルとしての存在を余儀なくされていた。
 今までベリキューは、本来の意味で「表舞台に立ったこと」がほとんど無いと言っても良いのではないか。

 昨年、紅白でバックダンサーとして踊った後、ベリキューのメンバーは
「いつかはベリーズとして出場したいね」
「いつかは℃-uteとして出場したいね」
ということを話していたに違いない。
 自分達は、ベリーズまたは℃-uteとしてプロデビューしているのだ。にも関わらず、その他大勢の脇役として舞台後方で踊った。そして、主役であるモー娘。の中には、ハロプロの後輩で自分と同世代の小春がいた。
 “ベリーズのコンサートを見学し、悔しくてボロ泣きした当時の℃-uteのメンバー”ほどではないにしろ、胸に期するものがあったに違いない。

 そして、その夢が実現する。
 今年の大晦日の夜、彼女達は表舞台に立つのだ。

 一方、小春もまた、「モー娘。とは別個の、独立した存在」として紅白の舞台に立つチャンスを有していた。2006年7月に「月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)」としてソロデビューを果たしており、以降ソロ活動を継続しているからだ。
 その活躍は特筆に価する。現在、自らも所属する“本体”のモー娘。と並び、ハロプロの2枚看板と言える存在となっているのだ。ハロプロ内のソロ歌手としては、ダントツのトップである。

 小春はソロとしてのデビューシングルの売上で、いきなりベリーズの過去最高成績を上回った。
 小春がソロ2ndシングルとして売り上げたCDの枚数は、それと比較対照となる時期にベリーズと℃-uteが売り上げたCD枚数を合計した数字すら凌駕した。ベリキューは、14人がかりでも小春1人に及ばなかったのだ。
 「ベリキューが、小春に負け続けていた」というのは、そういうことである。

 それだけではない。
小春のCDの売上は、初動と累計との間に大きな差(2万~4万枚程度)がある。これは、ベリキュー、特にベリーズには見られない長所である。
 CDにどんな特典がついているにせよ、所詮ヲタと呼ばれるコアなファンは、発売当初(予約含む)に購入する。この数字は、全て初動となって表われる。
 しかし、浮動層とも言えるライトなファンは、CDが発売後しばらく経ってから購入したりするものだ。また、「この曲を聴いてファンになった」という新規のファンは、初動には計上されない場合も多いだろう。ファンにならずとも、「この歌(曲)、いいなぁ」と楽曲選びでCDを買う場合も同様である。

 過去の記事『久住小春は正統派アイドル ~ヲタの力では大ヒットは生まれない~』にも書いたので詳しくは書かないが、小春はヲタ依存率が低い、正統派アイドルである。
 ベリキューはその逆だ。
 ベリキューはCDの売上の“結果”で小春に負けているだけではなく、“内容”でも負けているのだ。

 その小春が、なぜ紅白出場に関して、ベリキューに負けたのか。
 小春は、モー娘。という器に入って紅白に出場している時点で、ベリキューに「勝ってはいないが負けてもいない」状態にある。そして、ベリキューが紅白に出場を果たした時点で、小春はベリキューに負ける。
 小春が紅白出場に関してベリキューと肩を並べるには、小春自身が単独の存在として、即ちソロ歌手の久住小春として紅白に出場する必要があるのだ。

 しかし、現状ではこれは難しい。何故なら、現在の小春のソロ活動は「月島きらり starring 久住小春 (モーニング娘。)」としてであり、純然たる小春本人のものではないからだ。
 民放TV番組『きらりん☆レボリューション』のマーチャンダイジングの権化であるような「月島きらり starring 久住小春」というキャラクター歌手が、紅白出場を許される可能性は低い。

 また、「月島きらり starring 久住小春」としての実績が、そのまま小春個人の実力であるとは言い切れない。「月島きらり」という器があるからこそ、ソロ歌手としての久住小春が機能しているという見方すら出来る。
 この観点に立てば、小春が仮に「月島きらり starring 久住小春」という形で紅白にソロ出場を果たしたとしても、ベリキューと肩を並べたことにはならない。
「小春、自分の力で紅白に出場できたのではないぞ! そのアニメキャラの人気のお陰だということを忘れるな!」
と言うわけだ。

 来春、小春は高校生になる。
 向こう3年間が、アイドルとしてのピークとなるだろう。
 これは、小春と同世代のベリキューのメンバーに関しても同じだ。

 ベリーズ、℃-ute、小春。
 果たして、この世代でトップアイドルの座を勝ち取るのは誰なのか。
 既にベリキューからは、キッズ内最強“歌手”トリオと呼ぶべき Buono! というユニットが編成され、メジャーデビューしている。
 小春と℃-uteのハギティ(萩原舞)のコンビである きら☆ぴか は、一時的な呉越同舟コンビなのか? それとも「きらり→ひかり」へと役割の受け渡しが行なわれる連続現象の初期段階なのか?

 恐らくこの先も永遠に続くであろう“アイドル冬の時代”。
 これは、“プロレス冬の時代”がこの先も永遠に続くであろう事と、どこか似ている。
 松田聖子が歌手デビュー時に中学生だった私は、1970年代から80年代にかけての“アイドル黄金期”をリアルタイムで経験している。そして、“最後のプロレスブーム”であるUWFプロレスも。

 「プロレスとは想像力である」とは、I編集長の言葉だったか?
 だとしたら、私は「アイドルとは想像力である」と言いたい。
 “実力と虚構が織り成すファンタジー”を、まだあと3年間は楽しむことが出来そうだ。
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://sinden.blog6.fc2.com/tb.php/594-b70b915d

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。