2017-10

ミゲール・コット vs シェーン・モズリー の予想

ミゲール・コット vs シェーン・モズリー の予想


 プロデビュー以来30戦30勝の全勝街道を突き進み、しかも約80%のKO率を誇る、現WBA世界ウェルター王者、ミゲール・コット。
 体重苦が伝えられたスーパーライト級時代にWBO世界ジュニアウェルター(スーパーライト)級王座を6度防衛した後、満を持してウェルター級に上がり、二階級制覇を果たした。現在保持しているWBA世界ウェルター級王座は、2度防衛している。

 私は、2001年の後半からWOWOWの『エキサイトマッチ』を見始めた“遅れて来たボクシングファン”である。そんな私も、コットに関しては彼が世界チャンピオンになる前から試合を見続け、ずっと応援してきた。
 だから、日本で一度も試合をしたことの無い外国人選手であるにもかかわらず、コットに感情移入することが出来る。また、彼が所謂天才タイプではないということも、親近感を抱ける理由の一つになっているのかも知れない。

 私は、ミゲール・コットのファンである。
 それでも、今回ばかりはコットの負けを予想している。
 できれば、モズリー戦は1年後に延期して欲しい。
 今のコットでは、モズリーと相性が悪すぎると思えて仕方ない。

 以前から「コットが負けるとしたら、マルケス兄(ファン・マヌエル・マルケス)のような攻防兼備の高速連打型のボクサーパンチャー(ボクサーファイター)」だと思っていた。そして、モズリーもそういった選手である。
 モズリーに関しては、個人的にはバルガスとの2連戦の印象が残っているので「スーパーウェルターの選手」という印象が強く、コットとの対戦は想定していなかった。だが実際には、モズリーはWBCウェルター級暫定王者になっていたのだった。

 コットは、王座を狙える位置(ランキング)についてからは強敵とばかり戦っていたものの、スピードスター(特にスピードに長けたボクサー)との対戦は意外に少ない。過去、

 ビクトリアノ・ソーサ
 デマーカス・コーリー
 ザブ・ジュダー

の3人のスピードスターと対戦しているが、馬力の差で押し切って危なげなく勝てたのはソーサだけで、デマーカス・コーリーとジュダーの両選手には苦戦している。
 コットが最も危ない場面に立たされた試合は、倒し倒されの展開になったリカルド・トーレス戦だとは思うが、あの試合は強打者相手にムキになって打ち合ったからああいう結果を招いただけだと思う。普通に堅実に戦う場合、コットにとってリカルド・トーレスのようなタイプのボクサーは強敵ではあっても決して相性の悪い相手ではあるまい。コットが本質的な意味において苦戦したと言えるのは、やはりスピードスターを相手にしたときである。

 特に、ジュダー戦に関しては、コットファンの私の眼にも「ローブロー無しでは負けていた」と映った試合展開だった。
 もちろん、コットは以前からベルトライン(イリーガルブロー・ライン)ギリギリを狙ってボディを厳しく攻めるボクサーであり、このジュダー戦に限って低目を打っていた訳ではない。また、自分自身が逆にローブロー気味のパンチを受けた場合でも、全くと言って良いほど抗議をしないことから、コットが己のボディブローに誇りと自信を持っていることが窺える。
 「ローブロー無しでは負けていた」というのは飽く迄も印象であり、コットファンとして苦言(不安)を呈するものであることを強調しておきたい。

 さて、コットはジュダーを結果的にはTKOで下したわけだが、勝てた理由を総合的に振り返ってみよう。ジュダーはスピードスターという面ではコットの苦手なタイプであったが、それ以外の部分ではコットにとって相性の良い部分もあったのだ。

 (1)ジュダーのスピードやそれに基づく攻撃力は、中間距離から遠距離において存分に発揮される反面、接近戦では不発となる。
あのメイウェザーもロングレンジでのスピード勝負を避け、接近戦でジュダーを消耗させた。接近戦を苦手とするジュダーにとって、レバーブローというショートレンジでのKOパンチを得意とするコットとの相性は決して良くなかったと言える。

 (2)ジュダーはスピードスターではあっても単発傾向が強く、ヘッドハンター型でもあった。ジュダーがアッパーでコットをダウン寸前に追い込みながらも倒すことができなかったのは、ジュダーに連打や上下の打ち分けが少なかったからでもある。

 (3)ジュダーのスピードは、正面からの直線攻撃においてメイウェザーにすら打ち勝ったほどだが、曲線的な攻撃バリエーションには乏しい。コットがサウスポーにスイッチした途端、ジュダーがアッパーを当てられなくなったのは、ジュダーの攻撃に角度を大きく使った揺さぶりがなかったからである。

 (4)ジュダーは、試合の後半は集中力を失って失速するタイプ。コットはKO率は高くとも基本的には最後まで粘り強く戦うタイプなので、ジュダーのように後半失速する相手は「失速するまで待って捕らえる」というパターンに嵌めやすかった。

 (5)ジュダーはラフファイトに弱い。ローブローやバッティングは確かにルール違反であるが、それを極端に嫌がるボクサーは、その点を弱点と見なされても仕方がない。ジュダーにとって、反則スレスレのボディブローを巧みに打ち込むコットは「嫌な相手」だったに違いない。

 (6)ジュダーはスピードに長けた反面パワーに劣る部分があり、パワーにおいてはコットの方が有利だった。


 …こんなところだろうか。
 しかし、モズリーにはこういった「コットにとって有利な要素」が見当たらない。
 モズリーはスピードでコットを明らかに上回る。そして、そのハンドスピードを活かした攻撃は、単発ではなく連打型。
 1階級上で戦っていたこともあり、パワーでもおそらくコットと互角。
 “シュガー”を冠された天才タイプだがラフファイトに弱いという訳でもなく、後半失速するタイプでもない。

 コットのディフェンスは“鉄壁の防御”と形容されてきたが、その防御も最近の試合では破られつつある。ジュダー戦でも証明されたように、コットの“ハの字形ガード”はアッパーに対して脆い一面を有する。
 モズリーのアッパーにはこれといった印象がないが、もし一発良いのが入れば、ハンドスピードを活かした連打が一気に襲いかかるだろう。そうなれば、KOまたはTKOも十分に有り得る。デラホーヤもそうだが、ハンドスピードに長けたボクサーは、ロープに詰めてパンチをまとめ、レフェリーによるストップを呼び込むのが上手い。
 
 1発のパンチ力、特にボディーブローの一撃に関してはコットの方が上だろう。
 しかし、そのボディーブローを打ち込むためには、中間距離を突破してモズリーに接近しなければならない。モズリーの高速コンビネーションは、質・量共にジュダーやデマーカス・コーリーのそれを上回っているから厄介だ。
 ブロッキング主体の防御を行なうコットが、手数でモズリーを上回ることは難しいだろう。
 果たして、コットはモズリーの連打の壁を突破し、ポイントを奪い取るほどの有効打を叩き込むことが出来るのだろうか。
 私の脳裏には、先日放送された、マルケス兄 vs フアレスの試合が浮かぶ。
 的確な手数に圧倒され、単発で強打を入れながらも大差の判定負けとなったフアレスの姿が、コットの姿と重なってしまう。

 モズリーが、バーノン・フォレストとロナルド・ライトに連敗している事実から、彼がリーチの長いジャバーを苦手としていることは明らかである。しかし、コットはそういったタイプではなく、モズリーと戦うに当たってそういったタイプにチェンジするとも思えない。
 ただ、チェンジと言えば、実はコットはコンバーテッド・オーソドックス(左利きのオーソドックススタイル)らしい。確かにジュダー戦で見せたサウスポースタイルへのスイッチはスムーズであり、決して苦しみ紛れには見えなかった。言われてみれば、それ以前の試合でも、コットがサウスポースタイルなっていた場面があったような気もする。
 コットが本当に左利きだとすれば、彼のレバーブローは利き腕で相手の肝臓を打っていることになる。道理で強力な筈だ。

 モズリー戦では、コットがこのスイッチを使うか否かも焦点となるだろう。
 コットには、ジュニア・ウィッターばりの変則ファイトをしてでも良いから、とにかく勝って欲しい。しかし、今の私には、コットがモズリーに勝つイメージがどうしても湧かない。
 浮かんでくるイメージは、
「アッパーでコットの顎を撥ね上げたモズリーが、そのままサイドにクルッと回り込みながらフックを引っ掛けるように打ち込んでダウンを奪う」
といったものばかり。
 ホント、モズリー戦は1年後に延期した方がいいと思う…
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コメント

初めまして。共感できる部分が多かったので思わずコメント残してしまいました。
特にローブローに対してのコットの態度は僕も天晴れだと思います。
自分がローブローを受けても彼が抗議したところを観たことがありません。

僕はランドール・ベイリー戦でファンになった結構にわかなファンですが、
彼の試合は観てて熱くなれる試合ばかりですよね。

モズリー戦、観たかったんですが、諸事情により11月から
WOWOWが観れなくなってしまいました(TT)
パッキャオ、トーレス、ウィッター・・・
まだまだ観たい試合あるのに。とほほ・・・

僕の分までコットを応援してください!
突然の書き込み失礼しましたm(_ _)m

 あずまさん、コメントありがとうございます。
 試合は、コットファンもモズリーファンもハラハラドキドキする、文字通り一進一退の展開となりました。最終ラウンドのコットの戦い振りを見て、私はホプキンスvsテーラーの一戦目を連想してしまいました。(ちなみに、この試合でもコットはローブローを受けましたが、抗議はしませんでした)

 あずまさんの分までコットを応援しました! 「ちょっとサイドに回ってボディ叩け!」とか。
 早くWOWOWが観られる環境に戻れると良いですね。

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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。