2017-08

特撮バトル考1 「超“人”技 と 超“獣”技」

特撮バトル考1 「超“人”技 と 超“獣”技」

 【2003年3月16(日)頃に書いたもの】

 以前、ある方が『仮面ライダークウガ』のバイクアクションに関して、「人間業の域を出ていない」とコメントされたのを憶えています。当時、『筋肉番付』か何かで、マウンテンバイクの小学生チャンピオンの妙技が披露されたりしていたので、私もナルホドそうだと思いました。

 クウガのスーツアクターが、視界の悪い面を付けてチャンピオンクラスの技を披露した場合、それは人間の競技者という観点からすれば超人技ということになるかもしれません。しかし、劇中のクウガは、人間を遥かに超える身体能力を持つ超人です。人間のチャンピオンクラスの技を駆使しても、それが既知の技であった場合、「凄い!」とはなりません。
 これは、仮面ライダーが、人間の空手家のように拳で瓦や木板を破壊しても驚嘆の対象にはならないのと同じ。仮面ライダーの拳は、分厚いコンクリートや鉄板を破壊しなければ「凄い!」とはならないわけです。
  
 洋画では、既存の生物が巨大化したモンスターを扱った作品が伝統的に作られ続けているようですが、これらのモンスターの属性は、基本的には元になった生物と同じである場合が多いようです。
 キングコングも、骨格の違いetcを無視して大雑把に言えば、巨大化したゴリラ。オリジナルのキングコングには、ゴジラの放射火焔能力のような特殊能力はありません。日本の怪獣ファンの中には、こういった“巨大化したモンスター”を、“怪獣”とは別物だと見なす向きもあるようです。

 怪獣にも、超“人”技 ならぬ、超“獣”技 が求められるのが、日本の風潮なのでしょうか?

 しかし、初代ラドンは劇中で「巨大化したプテラノドン」である可能性が示唆されていますし、アンギラスは、実在したアンキロサウスルそのものとされています。キングコング同様、「巨大化したモンスター」以上の特殊能力は持っていません(ラドンはガスを吐くカットがありましたが、ほとんど無意味)。
 クモンガ、カマキラスといった怪獣に至っては、洋画の「巨大化したモンスター」と同類のキャラクターと言っていいでしょう。エビラ、モスラも一見すると「巨大なエビ」、「巨大な蛾(の幼虫)」であり、その能力もモチーフとなった生物の属性のもの。日本の怪獣のコンセプトが「巨大化したモンスター」を忌み嫌っているわけではなさそうです。

 トラゴジことトライスター版ゴジラを批判する意見の主なものに、「デザイン(動き)が違う」、「放射火焔を吐かない」、「通常兵器に対する耐久性が低い」があります。この三つは、一見「ゴジラは恐竜のような単なる巨大生物ではない」という考えに基づいているように見えます。
 しかし、「超“獣”技」という観点からすると、戦闘ヘリ部隊を全滅させたり、ビルや道路をブチ抜いたり、パワーブレスで戦闘車両を吹き飛ばしたり、背びれで攻撃型潜水艦を切り裂いたりするなど、それなりのパフォーマンスを見せています。こんなことが、「恐竜のような単なる巨大生物」に出来るわけがありません。『ジュラシックパーク』の恐竜と比較すれば、その差は歴然。
また、ちゃんとした放射火焔をたった一度しか吐かなかった『三大怪獣』のゴジラと比較しても、トラゴジが「超“獣”技」に乏しかったとは思えません。

 怪獣の、「超“獣”技」の評価が、攻めよりも守り、プロレスで言う「技を受ける」ことを重視していると考えると、トラゴジの評価に対する疑問が理解できます。「怪獣は、芸のない攻撃で倒されてはならない」のです。
 「最新式戦闘機による空からの攻撃=強い米国の誇る切り札=世界最強の象徴」も、日本人にとっては「ただミサイルを撃っただけの、実にありがちな攻撃」。
 ラドンやバランが軍隊の通常兵器によって事実上倒されたのは、昔の話。今日の怪獣は、「受けの強さ」という「超“獣”技」で、通常兵器の攻撃には耐え抜かねばならないのです。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。