2017-08

『ハッピーフィート』

『ハッピーフィート』
  2007年の映画館で観た映画:7本目
  映画を観た日:2007年3月31日(土)

 『ハッピーフィート』は、漁業反対映画である。
 だから、魚を食べる日本人にとっては、後味が悪い映画になっている。
 まさか、こんなストーリーだとは思ってもみなかった。
 劇場で予告フィルムを観て、前売券の「キミの“心の歌”は何?」というキャッチコピーを読んで期待していたストーリーとは、かけ離れたものだった。

 それにしてもアメリカ人ってのは、ペンギンにも宗教(一神教)をやらせないと気が済まないのか?…と思ってパンフレットを読んだら、脚本と監督はスコットランド人とオーストラリア人によるものだった。製作も含めると、この作品は現在オーストラリアに在住している人間が中心になって作られたオーストラリア映画と言えるようだ。

 オーストラリアと日本と漁業と言えば、これはもう国際捕鯨委員会(IWC)における対立を連想しないわけにはいかない。
 言うまでも無いが、日本が捕鯨再開賛成国で、オーストラリアは捕鯨反対国である。

 オーストラリアを始め、現在捕鯨に反対している欧米諸国は元捕鯨国であり、19世紀にはさかんに捕鯨を行っていた。アメリカの要求によって日本が日米和親条約を締結し、200年以上続けた鎖国を解くことになったのも、当時のアメリカが北海道近海で操業していた捕鯨船の休憩基地を欲したということが大きな理由である。
 その罪滅ぼしのつもりなのか、日本が捕鯨を本格的に再開したら牛肉を輸入してくれなくなると怖れているのか、ホエールウォッチングを観光産業にしているからなのかは分からないが、捕鯨反対国は日本の沿岸小型捕鯨者によるミンククジラ(日本の調査で資源量としては問題ないことが明らかになっている)の捕鯨すら認めようとしない。

 『ハッピーフィート』は漁業反対映画だと書いたが、私は今、この映画で語られている漁業問題は、形を変えた捕鯨問題のように感じている(ペンギンとゾウアザラシの会話にも、捕鯨の話が登場している)。

 あるいは、一種の宗教映画である。
 既に書いたが、この映画ではペンギンが宗教をやっている。コウテイペンギンの信仰する伝統的な宗教と、アデリーペンギンが信仰する新興宗教の2つである。物語としては結果的にこれらの宗教は否定されているので、表面的にはむしろ「反宗教」のように見えるのだが、主人公がやっていることは宗教の開祖者(イエスキリスト?)の行動そのものなのだ。

 つまり、仲間から追放され、悟りを求めて難行苦行の旅をした後、神と遭遇し、救世主となって仲間の元に帰ってくる。
 ここで神というのは、漁業に反対する人間のことである。
 要するに、オーストラリア人はペンギンにとって神様なのだ。
 めでたしメデタシ。

 魚を日常的に食し、かつては学校給食で鯨の肉(竜田揚げ)を食べて育った世代の日本人からすると、「ヤレヤレ、これだから四足の肉ばっかり食ってる連中は…」と思える映画だった。
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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。