2017-08

『仮面ライダー電王』 滑り出し快調!

『仮面ライダー電王』 滑り出し快調!


 『仮面ライダー電王』が面白い。まさしく「滑り出し快調!」といったところだ。
 最初は、主題歌の余りの明るさに「なんじゃこりゃ?!」と抵抗を感じたりもしたが、今ではCDの発売が待ち遠しくて仕方ない。
「♪いいじゃん ♪いいじゃんスゲーじゃん♪」
というフレーズからは、“明るくて楽しい特撮”という作品コンセプトがビンビン伝わってくるようだ。このノリについていけない特撮ファンには、憐憫の情を禁じえない。

 物語は、『仮面ライダー電王』というよりは『銀河鉄道999』もとい『時間鉄道デンライナー』とした方がしっくり来る感じだが、戦隊シリーズに2年連続して鉄道メカが登場しないのだから、スポンサーであるバンダイの玩具戦略上、「ライダーに電車(新幹線)」という組み合わせが来たことには合点が行く。
 また、「ライダーに電車(新幹線)」という組み合わせは、単純にそれ自体で興味をそそる。何故なら、それは今までにないパターンだからである。そして、ライダーも新幹線もカッコイイからである。
 カッコイイものとカッコイイものの組み合わせは、少なくともパッと見ではカッコイイ。ヒーローに先ず必要なのは、パッと見のカッコ良さなのだ。

 カッコ良さという観点において、今回のライダー(ソードフォーム)の造形とキャラクターのバランスは絶妙である。
 ソードフォームの造形(スーツ)を単体で見ると、仮面ライダーというよりは仮面ライダーのパチもんではないかと思える程、「安っぽい派手さ」を放っている。色使いといいデザインといい、実に玩具っぽい。これで、キャラクターが『カブト』の天道総司みたいだったら、もう見るに耐えないミスマッチになってしまうところである。
 しかし、モモタロスというキャラクターは、もう最高にソードフォームの造形(スーツ)にピッタリなのだ。チンピラキャラが「正統派」の格好をしても笑えない冗談にしかならない(「天道総司がソードフォーム」と表裏一体)けれども、チンピラキャラが「安っぽい派手さ」に身を包んだとき、それは「エロかっこいい」ならぬ「ダサかっこいい」存在になるのだ。

 「俺、参上」と言いつつ決めるケレン味たっぷりの決めポーズの、あのハマリ具合は一体何なのだろう。あれこそ“ヒーローとしての歌舞伎”、即ち、正常な在り方から「傾く(かぶく)」ことで異端者としてのカッコ良さを生み出しているのだ。
 そもそも、仮面ライダーというヒーロー自体、ヒーローの中では「傾いた」存在として生み出された。ヒーローとして「傾いていること」は、仮面ライダーの原点なのである。
 ヒーローとして「どう傾くのか」は、その時代によって変わってくる。時代が変わり、世の中の「傾き方」が変われば、それに呼応してヒーローの「傾き方」もまた変わらざるを得ないからである。『電王』は、平成19年の日本という世界に相応しい「傾き(かぶき)」を持ったヒーローであり、即ち『仮面ライダー』なのだ。

 鬼の姿をしたイマジンが、桃太郎をモチーフ(頭部に桃、剣を使う)にしたソードフォームに変身するという設定も面白い。前回(3月4日放送)、亀の姿をしたイマジンが浦島太郎をモチーフ(亀に乗り、竿を使う)にしたロッドフォームに変身した以上、次は熊の姿をしたイマジンが登場し、金太郎をモチーフ(斧を使う)にしたフォームに変身するであろうことは想像に難くない。(オープニング映像や、デンガッシャーのディティールからも推測可能)
 ネタばれ嫌いな私でも、玩具の電王ベルトを買って、ベルトの3番目以降のスイッチを押してみたい気持ちになっている。

 玩具と言えば、ロッドフォームでもデンガッシャーを使ったことは意外だった。てっきり、クウガやアギトのように、フォームごとに異なる武器(パンタグラフ、遮断機、レールなどをイメージしたもの)を使うのだと思っていた。改めて見ると、デンガッシャーには斧の刃が収納されているようなので、熊の姿をしたイマジン(キンタロス?)が変身するフォーム(アックスフォーム?)も、デンガッシャーを使うのではないかと思える。

 電王が倒したイマジンが姿を変えて巨大化するというパターンは、「デンライナーの玩具に飛び道具のギミックを付ける必要性」から導き出されたような気がする。「電車に、戦車みたいな砲塔を装備して武装化する(列車砲)」というアイディア自体は昔から現実の軍隊の中に存在しているが、特撮メカとして登場することは珍しい。新幹線が武装化された姿を劇中で描いたのは、『電王』が初めてなのではないか。
 劇中では、バイクに乗った電王がデンライナーに収納され、そのままデンライナーの火器管制を行なっているような描写がなされている。これが映像的にはシンクロ感が薄く、今ひとつであるのが残念だ。火器というものは、「引き金を引くとビーム発射!」・「ボタンを押すとミサイル発射!」といった、「操作即発射」という「操作感覚と発射感覚の一体化」がなければ魅力が半減する。デンライナーの火器操作が玩具でどう再現されるのか、バンダイのお手並み拝見と言ったところである。

 別記事≪『仮面ライダーカブト』考 完結編の補足≫でも少し触れたが、『電王』の第1話は素晴らしかった。
 『響鬼』も『カブト』も「第1話で必殺技(またはそれに相当する見せ場)を披露していない」という失敗を犯していたが、『電王』ではこれが改善されていた。ソードフォームへのフォームチェンジ、そして「俺の必殺技」が、第1話でキッチリ披露されていたのだ。
 それだけではない。スーパーヒーロータイムのヒーロー番組として、第1話に盛り込むべき要素は

怪人側
(1)出現
(2)襲撃(人を襲う)
(3)ライダーの必殺技に相当する特殊能力
(4)怪人側の組織

ライダー側
(1)登場
(2)変身
(3)活躍(悪者と戦って人々を救う)
(4)必殺技
(5)ライダー側の組織
(6)オートバイに代表される、ライダーのサポートメカ

であるが、『電王』では

怪人側
(1)出現
(2)襲撃(人を襲う)
(3)ライダーの必殺技に相当する特殊能力
(4)怪人側の行動目的や背景の説明(台詞のみ)

ライダー側
(1)登場
(2)変身
(3)活躍(弱い部分と強い部分の両面の描写)
(4)フォームチェンジ
(5)必殺技
(6)ライダー側の組織らしきものの描写
(7)デンライナー

が盛り込まれており、物語のかなりの部分が説明されていた上に、見せ場も多かった。
 私は既に大人になってしまっているので、子供にとってこれが詰め込み過ぎになっていたのかどうかは分からないが、

【1】普段は弱っちい主人公が、イマジンと一体化すると強くなる(日常での変身)
【2】不思議でカッコイイ新幹線
【3】ライダーに変身しても弱っちい主人公が、イマジンと一体化することでフォームチェンジして強くなる(ライダーの二段変身)
【4】ソードフォームの決めポーズと、その派手な暴れっぷり

といった、作品の“売り”の部分は明確に伝わったのではないかと思える。

 また、別記事≪キャストオフ不能! さぁ、どうする?! どうなる!?…が観たかった≫ でも触れたように、変身ヒーローものの一大イベントである「変身不能」や、個人的にやって欲しいイベント「フォームチェンジ不能」が描かれる伏線が、早い段階で張られているように感じられる点にも注目している。
 「パスを失うとデンライナーに搭乗できなくなる」という説明が、既に繰り返し行なわれていることも評価したい。小学生の視聴者なら、「主人公がパスを無くして、イマジン共々デンライナーから締め出される(当然、ライダーへの変身も出来ない)」というシチュエーションが発生するのではないかと想像しているのではないだろうか。

 「時間旅行」をテーマにしたことも、『電王』の大きな特徴であり、“売り”である。
 誰にでも、変えたい過去の一つや二つはある。
 例え5歳の子供でも、失敗した経験や悲しい思いをしたことは、いろいろとあるだろう。
 もともと、『スーパーヒーロータイム』の主たる視聴者である子供が、特撮ヒーロー番組の人間ドラマの部分を理解するのは非常に難しい。私も子供の頃は、“特訓”などの「戦いのためのドラマ」にしか関心を抱かなかった。
 それでも、『スーパーヒーロータイム』では、毎年「戦いのみに帰結しないドラマ」が描き続けられており、それは今年も例外ではないようだ。
 「時間旅行」をテーマにした『電王』が、子供たちにどんなドラマを伝えることが出来るのか、私も童心に帰って1年間観続けることにしよう。
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震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。