2017-08

オリジナル・アイディア 「仮面」を活用した「二重構造」の仮面ライダー

【2002年02月23日(土) 19時01分に、某BBS(今はもう存在しない)に書き込んだもの】
 自分が行った『仮面ライダーの新フォーマットを望む』の問いかけに対する、自分自身が出した答えです。
 ちょっとだけ『電王』で実現している部分があることに気付いたので、引っ張り出してみました。
****************************************

オリジナル・アイディア
「仮面」を活用した「二重構造」の仮面ライダー


 夜。空は真っ暗。しかし、塾帰りの子供たちが歩く街の道は、夜でも明るい。
 しかし、その明るい夜道を、何かの“影”だけが、走って来たとしたら?
 長く伸びた自分の影が、自分とは違う形になって、違う動きをし始めたとしたら?
 それらの“影”たちが、微かに不気味な唸り声を発して、自分に迫って来たとしたら?

 少年(小学校5年生くらいで、仮面ライダーを観ている子供からすると「お兄さん」)は、塾帰りの明るい夜道で、本体(実体)のない影(大型犬ぐらいの大きさ)だけが、微かに不気味な唸り声を発して走り去っていくのを目撃する。
「また見ちゃった…これでもう3度目、かな?」
 この少年だけではない。ここ1ヶ月、少年が通う塾の中にも、この“影”を目撃した子供は多い。
 もちろん、塾の先生たちは目撃していないし、信じてもいない。“影”によって何か実害を被った子供は一人もいないのだから、本気で取り合わないのも無理はない。
 少年も、その場の恐怖で一時的にすくんだものの、心を落ち着けると家路へと急ぐ。今日は彼の誕生日で、家に帰ればパーティの準備が整っているはずなのだ。

 しかし、少年が帰ると、家には誰もいない。パーティの準備は、やりかけのまま放置されている。不安になって家の中を捜す少年。そこへ、電話の音が。少年が出ると、電話からは、苦しげな祖父の声が。
「地下室に、早く…」
「おじいちゃん! 何があったの?! みんなはどこに行っちゃったの?!」
 祖父は、物質と精神の繋がりを細胞工学とナノテクノロジーの両面から研究している天才科学者で、その世界では名の知れた存在である。画期的な発明である人工細胞の特許で莫大な収入を得るようになってからは大学教授の職を退き、息子夫婦(少年の両親)の家の地下室で研究を続けていた。
 その地下室にいる祖父からの内線電話だった。

 地下室へ向かう少年。階段に血の滴りが続いているのを見て驚く。
 地下室の中では、重傷を負った祖父が倒れていた。祖父は、家族が“シャドウ生物”によって連れ去られたのだと少年に伝える。
「 “シャドウ生物”を追い、家族を取り戻さなければ…奴らに魂を奪われる前に…」
 祖父に指示され、少年は装置のスイッチを入れる。装置が起動し、全てが自動的に動き始め、ディスプレイに映像が表示される。
「息子、嫁、そして二人の孫たちへ。このビデオは、私の研究の最新結果を映像で簡潔にまとめたものだ。毎月、月末に内容を更新している。画面右上にあるのが最新更新日付だ。
(※ ここで少年は、画面右上の日付が先月末のものであることを確認する)
 私に万一のことがあった場合、必ずこのテープを大学の○○教授の元へ届けて欲しい。この研究内容は、現時点では世間に公開する性質のものではなく、また未完成であるため、お前たち家族にも明かしていない。しかし、状況の変化によっては、人類全体の……」

 ビデオは、少年が見た“影”を撮影した映像を幾つも映し出す。
 ビデオの中で、祖父は説明する。この“影”は、我々の世界とは位相の異なる世界からやって来た、いわば“シャドウ生物”であると。
 祖父は、ナノテクノロジーを使って人工的に精神活動を再現する研究の過程で、精神活動を場の波動として捕える技術を開発した。この際に、偶然に“シャドウ生物”の存在に気付いた。下等な“シャドウ生物”が、祖父の開発した人工脳細胞のサンプルに「憑依」し、複数のサンプルの間を自由に出入りして見せたのである。

 ビデオはまだまだ続く。その途中、装置の奥から、青年(裸)の入ったカプセルと、それと繋がった空のカプセルが出て来た。突然現れた裸の青年を見て、驚く少年。
「驚かなくていい、あれは人間じゃない。おじいちゃんが造った、人工人体だ。ナノマシンで構成された人工細胞で造り上げた、人間の魂の入れ物…なんだよ。人間の魂とシャドウの力の両方を宿すことが出来るのは、この世でただ一つ、あの人工人体だけだ」
「シャドウの力?」
「そう、シャドウを倒せるのは、シャドウの力だけだ。この世界の力とは、位相が違うんだよ」
 少年は、祖父の出血が止まっていないことに気付く。
「おじいちゃん、病院へ行かなくちゃ。いっぱい血が出てるよ」
「大丈夫だ。おじいちゃんの魂を、あの人工人体に移す。そうすれば“シャドウ生物”を追いかけて、家族を取り戻すことが出来る。そう、それしか方法がない… パパもママもケイちゃんも、おじいちゃんが必ず取り返すからな… 絶対に…」
 どんどん弱々しくなっていく祖父の声。
「アキラ(少年のこと)、あの表示灯が青になったら準備完了だ。そうしたら、おじいちゃんをあのカプセルの中へ…」
 蝋燭の火が消えるように、事切れる祖父。
「おじいちゃん?! おじいちゃん、息してないよ?! おじいちゃん?! 息してよ! 返事してよ!」
 少年の腕の中で、急速に冷たくなっていく祖父の顔。どうしてよいのか分からず、しばし呆然として涙さえ流せない時間が続く。

 表示灯が青に変わった。静寂を破って、装置から電子音声が流れる。
「準備が完了しましたので、カプセルの中に入ってください。カウントダウンから30秒以内に次のステップに移れない場合、設備が不正使用されたと見なしてプログラムは自動的に消去され、この装置は2度と使用できなくなります。
 キャンセルをするか、カプセルの中に入って次のステップに移れる状況を作ってください。
 それではカウントダウンを始めます。29、28、…」

 少年の脳裏に祖父の声がリフレインし、カウントダウンの電子音と重なる。
 家族の顔が浮かぶ。おじいちゃんは死んでしまった。家族のみんなは、あの“影”が連れ去ってしまったのか?
(一人ぼっちは嫌だ!)
 少年は、半ば衝動的にカプセルの中に入ってしまう。

 少年が意識を取り戻したとき、少年は自分が「人工人体」の青年になっていることに気付く。カプセルの中の青ざめた顔をした自分本来の体が、自動的に装置の奥へ格納されていくのを見て大慌て。しかし、装置は自動的に動き続けており、どうすることも出来ない…


 …と、物語調に説明すると長くなるので、要点のみの説明に切り替えます。
 青年の姿をした人工人体に魂を移し変えたこの時点で、少年(子供)は青年(大人)に変身したわけです。そして、当面は元に戻る術を失う。つまり、仮面ライダーに変身していなくても、大人に変身した状態が常に続くということ。もちろん、精神は少年(子供)のままです。
 「青年の仮面を被った少年が、仮面ライダーに変身する」という意味で、まず一つ目の「二重変身」です。

 『龍騎』の次の仮面ライダーとして、
「『クウガ』から『龍騎』まで、“現代的な癒し系”主人公が3年続いて若いお母さんが飽きて来た頃だろうから、同じ癒し系でも、“野性的な癒し系”に変える必要がある」
 という理由で、ケイン・コスギさんが主演の『仮面ライダー亜真尊』を、ゴジラBBSの方で既に提案しました。
 ここでは、「癒し系」ではなく、「逆にこちらから癒す系」ということを提案します。若いお母さんの、「自分の息子がカッコイイ青年に成長してくれたら良いな」という願望を受け止めるキャラクターです。

 もう一つの「二重変身」は、仮面ライダーへの変身としての「二重変身」。
 青年(青年の仮面を被った少年)は、家族を取り戻すため、祖父の残したアイテムで“シャドウ生物”を探します。そのアイテムとは、

(1) “シャドウ生物”用の、高性能の追跡・探知機を内蔵したオートバイ。もちろん、普通の移動の際も使用。
(2) ハンディタイプの追跡・探知機を内蔵したケータイ。もちろん、普通の携帯電話としても使用。
(3) “シャドウ生物”を可視化する眼鏡。一見、普通のリムレスの眼鏡(度無し)。
(4) 莫大な預金残高のある、祖父の口座のキャッシュカード。

 (2)のケータイと(3)の眼鏡が、仮面ライダーへの変身アイテムを兼ねています。
 ケータイに一定の操作を加え、眼鏡のフレームにケータイを接触させると、ケータイと眼鏡が融合して顔の半分を覆う仮面になり、体も装甲服風に変身します。(ナノマシンの集合体だから自由に形態と機能を変えることが可能という設定)

 この変身は、人類の技術力のみで行う変身で、第一段階の変身です。
 この「第1段階変身形態」のコンセプトは、「メカニック&軽量」です。モトクロスライダーのスーツはゴツそうに見える割には軽くて動きやすいそうですが、ああいったイメージです。
 仮面で顔が半分隠れるので、役者は吹き替えが可能となります。これで、キカイダーのような、軽やかなアクションをやってもらうというわけです。

 戦う相手は、「初期形態」と「完成形態」の“シャドウ生物”。
“シャドウ生物”は、実世界に実体化した直後の30秒間は、3体(3人)に分かれた「初期形態」をとります。この状態では、3人合わせても「ライダーの第1変身形態」よりも弱い。ただし、生命力は強いので倒されることはない。
 実体化して30秒が経過すると、「初期形態」の“シャドウ生物”は、合体して「完成形態」になります。こうなると、「ライダーの第1変身形態」よりも、かなり強くなる。“シャドウ生物”が「完成形態」になった途端、攻守が入れ替わって、「ライダーの第1変身形態」は、ほぼ一方的にやられまくる状態になります。

 「ライダーの第1変身形態」は、変身して100秒が経過すると、「第2段階変身形態」への変身準備が完了します。(「ライダーの第1変身形態」は、メカニックなライダーなので、ライダーの視界の端に第2段階変身までのカウントダウンが表示されて、あと何秒で変身準備が完了するか、視聴者にも分かるといった演出をする)

 「第2段階変身形態」への変身準備が完了したライダーは、自分の影の中から「自分用に制御された“シャドウ生物”」を出現させ、それを自分のメカニックなボディに融合させ、筋肉系の生物的なライダーへと外観を一変させます。
 本体はメカニックなライダーが、筋肉・生物的な装甲を身に纏う。『エヴァンゲリオン』の全く逆です。

 ほぼ一方的にやられまくり状態だった「ライダーの第1変身形態」が「第2変身形態」に変身。もちろん格段にパワーアップして、それまでの鬱憤を晴らすように、怒涛の反撃を行います。
 軽業主体だった「第1変身形態」に力技や特殊技、そして極め技が加わり、途中で一時苦戦しながらも最後は豪快に勝つ。

 「顔が半分見えた状態の“半変身状態”から、顔が完全に仮面で覆われた“完全状態” へ変身する」
 「メカニックなライダーから、筋肉・生物的なライダーへと変身する」
 「弱いライダーから、強いライダーへと変身する」

 これが、仮面ライダーへの変身としての「二重変身」です。
 前述した「青年の仮面を被った少年が、仮面ライダーに変身する」という意味での「二重変身」と合わせて、新しいライダーのフォーマットとして考えたのですが、どうでしょうか。
 また、ライダーの目的が「敵の手から家族(自分の居場所)を取り戻す」というのも、子供や親にとって共感できるのではないかと思います。
 人間ドラマ(キャラクター)を列挙して、終わりにします。

(1) 少年と同様、家族を連れ去られた少女が、行動を共にする。
 少女は、青年がライダーであることはもちろん、青年が本当は少年(少女と同級生)であることは知らない。青年(少年)は、彼女に恋心を抱く。

(2) 青年(少年)&少女を追う、フリーのルポライターの女性。
 「仮面ライダー」のネーミングの発案者。青年(少年)に、女性としての恋心を抱くようになる。このため、主人公の恋愛も「二重構造」となる。

(3) 青年(少年)&少女を追う、特命刑事。
 始めは青年を謎の殺人事件の容疑者として見ていたが、事実が明らかになるにつれて協力者となっていく。


【以下は、コメントに対する私のレス ※コメント本文は、記入者から転載の確認を取っていないため、割愛】

>塩田さん、blackkinngさん

 設定が複雑に感じられるのは、文章化されていることによる錯覚ですよ。『アギト』や『龍騎』の設定を文章で説明したら、私の案よりもっと複雑に感じられると思います。私の案は、構造的には『クウガ』と同程度なのでは。 

 少年は、物語の始めに青年の身体になった後、最終話?まで、ずっとそのままのです。
 肉声で喋るときは青年の声ですが、心の声(独白)は少年のままです。
 この演出によって、毎回「一見普通の人間だが、実は少年の魂が憑依した人工人体=アンバランスな異形なる者」ということが自然に伝わると思います。
 また、「おじいちゃんが死んでしまった以上、もう元の身体には戻れないだろうという覚悟」と「もしかしたら戻れるかもしれないという微かな期待」を時々描くことにより、「異形なるヒーローの悲哀」を表現できます。

「例え家族を取り戻すことが出来ても、本来の姿を失ってしまってる自分は、家族との絆を取り戻すことが出来ないのではないか」ということに、少年は早い段階から気付きます。それでも、家族を救い出すために一人で戦い続ける。
 「後戻りできない異形さを抱えて戦うヒーロー」、これが私にとっての「仮面ライダー」です。


>アントンさん

 『ガイファード』が大ヒットしてシリーズ化されていれば(何でもかんでもシリーズ化すれば良いというものでもないとは思いますが)、今でも仮面ライダーは改造人間だったかもしれませんね。
 でも、昭和のTV番組としてのライダーの「改造人間」という設定は単なる変身するための枕詞であって、第1話と再改造の話以外は、ほとんど意味はなかったと思います。『スーパー1』は、定期的にメンテしていたような気もしますが。
 定期的にレントゲン写真を撮って「完全に人間でなくなる怖さ」を描いた『クウガ』の方が、遥かに「後戻りできない異形さを抱えて戦うヒーロー」であり、仮面ライダーらしいと私は思います。

 ちなみに、V3はカードも使わずに26ものイベントを使えて、『龍騎』より便利なライダーだと思います。「マッスルベント」とか。「逆タイフーンベント」における弱点は、良いアイディアだと思います。
 『龍騎』にも、何か明確な弱点があったほうが良いですね。


電源さん、初めまして。

>「仮面ライダー・・それは、悲しみを乗り越え悪の秘密結社と戦う、改造人間の事である」

 これは昭和の仮面ライダーを指した場合は当てはまりますが、平成の仮面ライダーを指した場合には当てはまりません。と言うか、平成の仮面ライダーを指していないのでは?

「映画とは、光と影の芸術である。トーキーなど映画ではない」
 あのチャップリンも、トーキーには慎重だったとか…?
 でも、藤岡さんはライダーオールナイトの舞台でのトークを見る限り、アギトの映画にご満悦のようでした。

 五代雄介が「昭和ライダーのいるパラレルワールド」へ迷い込む話は、私のお気に入りの空想です。
「じゃあ君は、変身することができるのに、改造人間ではないのか?」
「あ、はい、ベルトがお腹の中に入っちゃってるんですけど、サイボーグとかじゃぁないと思います」
スポンサーサイト

コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

 稲葉さん、弊ブログを読んでいただき、また今回はコメントもいただき、ありがとうございます。
 お返事が遅くなってすみません。このブログは「管理人のみ閲覧できます」のコメントが見つけにくい仕様になっているので、つい今しがた気付いたところです(ブログを改善したいのですが、スキルがないので出来ません…)。

 頂いたコメントに対する私の意見は、以下の通りです。

>1、祖父の死
 これは、「瀕死の祖父が、喋っている途中で力尽きた」という描写で特に問題ないと思えます。こういう場面は、むしろ役者の演技力で、観る者に「こうするしかなかった」と思わせてくれるのが私好みです。少年が、動かなくなった祖父の体を触って「冷たい!」と驚いて思わず引いてしまうとか。
 人工人体に祖父の知識が断片的に入っているというアイディアは特撮っぽくて良いと思いますが、私はこの作品を一種の「初めてのお使い」として描きたいと思っています。(少年に、莫大な預金残高のある祖父のキャッシュカードを持たせているのはそのため)
 つまり、何か分からないことがあったら周りの人に聞いたり、自分で調べて何とかする、というパターンです。

>2、青年体への転送
 元ネタは、『ザ・フライ』です。最初は、祖父が捕獲・改造したシャドウ生命体(怪人体)に少年の魂が転送されてしまい、その怪人体が青年の姿に変身するという「3重変身」がデフォルトという設定でした。

>3、メガネが変身アイテム
 これは「メガネが変身アイテム」というより、ケータイを顔面に固定するためのヘッドセットのフレームとしてメガネというアイテムを選びました。その割には「一見、普通のリムレスの眼鏡」と書いてあるので、自分でも強度的に駄目だと思います。
 これを書いたのは5年前のことなので、自分でもこの辺の記憶は曖昧なのですが、多分『シャンゼリオン』の変身ではなく『X』のセタップへのオマージュを込めています。子供の頃、自作のパーフェクターで「セタップごっこ」とかやっていましたので。つまり、「平成版セタップ=仮面変身」を描きたいということだったと思います。(今でもその気持ちはあります)


 私はこのアイディアを小説にする予定は、少なくとも今のところはありません。
 このアイディアを稲葉さんバージョンで小説化していただいても結構です。もしそうされたら、是非コメント等でお知らせください。(本当は絵になったものを見たいので、漫画の方がいいなぁとか勝手なことを思ったりしています)

 最近はアイドル寄りの日記ブログと化している弊ブログですが、少しでも楽しんでいただけたら幸いです。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://sinden.blog6.fc2.com/tb.php/391-f36e46ef

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。