2017-10

『デスノート the Last name』

『デスノート the Last name』
  2006年の映画館で観た映画:30本目
  映画を観た日:2006年11月10日(金)


 原作を一切読まずに映画を観終え、その2日後に原作を全巻一気読みした。
 映画も原作も制覇した今の私の心境は、「映画は、物語的には非常に良く出来ている」。即ち、
『デスノート』の映画化は、成功している!
というのが偽らざる感想である。12巻ある原作漫画を、上手く2本(前編・後編)の映画に“変換”しているのだ。

 予告か何かでリュークのCG映像を目にしたことで落胆し、この映画を敬遠している原作ファンもいると思うが、それは非常にもったいない話である。CGの出来の悪さなんか、気になるのは最初の10分間ぐらいだ。意外にすぐ慣れてしまうものなので、原作ファンにも是非この映画版『デスノート』を観てもらいたい。

 『デスノート』という作品の素晴らしい点は、『デスノートパソコン』にしなかったところにある。
 実際、デスノートによる殺人は、所詮遠隔犯罪のバリエーションの一つであり、オンライン犯罪と基本的には同質のものである。『デスノート』という作品は、ハッカーによるオンライン犯罪を、異色な道具立てと演出で描いた作品と言っても良いと思う。

 我々が最近になって活用するようになったオンラインショッピングによる「買い物」を例にすると分かり易いだろう。
 デスノートによる「殺人」は、相手の「顔」と「名前」が分かっていれば、ノートにその相手の名前を記入することで実行できてしまう。
 これは、商品の「顔」と「名前」が分かっていれば、ノートパソコンのモニター上でマウス(ペン先に相当)をクリックすれば「購入」が実行できてしまうオンラインショッピングと、質的には同じである。

 だから、「デスノート」の本質は、闇の世界のインターネットに接続された「デスノートパソコン」なのだ。
 殺人をオンラインで「発注」するという事件は、既に実際に起こっている。あるいは現時点でも核兵器をオンラインショッピングで購入することができるかも知れないし、テロをオンラインで実行できるかも知れない。

 ただし、『デスノート』という作品の肝は、戦争やテロといった従来の恐怖、大規模・広域・無差別といった恐怖とは真逆の恐怖にある。デスノートの犠牲になった人数がいかに多数に上ろうとも、狙われたのは飽くまでも個人個人である。デスノートの恐怖は、「戦争に対する恐怖」ではなく、「暗殺に対する恐怖」なのだ。
 だから、表向きは「個人を特定した遠隔暗殺に対する恐怖」と言うべきなのだろうが、「デスノートの本質はデスノートパソコン」と書いた通り、恐怖の肝となるのは情報化社会がもたらした現状と重なる部分にある。それはつまり、

 「顔」と「名前」を知られたら、いつ・どこに・いるのかも分からない誰かに、デスノートを使って殺されてしまう。
 「名前」と「パスワード」を知られたら、いつ・どこに・いるのかも分からない誰かに、インターネットを使って預金を引き出されてしまう。

 といった恐怖である。
 あるいは、個人情報が他人の手に渡り、そこで自分が思いもよらなかった使われ方をすることに対する恐怖、である。

 噂とか口コミというのは、大昔から存在した。インターネットに流れるその類の情報も、音や映像が加わったことを除けば、内容的には変わっていない。情報自体のレベルは、TVマスコミと同じだ。
 インターネットに流れる情報が、それ以外と何が決定的に違っているのかといえば、帯域とスピードである。検索が容易であること、24時間閲覧が可能であること、いったん発生したら完全に消去することが困難であることから、インターネットに流れる情報はそれ以外の情報とは全く別物と言っても良い拡散挙動をとる。
 インターネットで誤った情報が広まったとしても、それを訂正するにはやはりインターネットを使うしかなく、第三者がその二つの情報を正しく見極めることは難しい。そして、必ずと言ってよいほど、第四者とも言うべき人間が、さらなる偽情報を流して混乱に拍車をかける。

 デスノートで実際に人が殺されることはなくても、インターネットによって実際に人が「殺されたことになってしまう」ということはあるかも知れない。
 実際、℃-uteというアイドルグループに所属していた“めーぐる”という愛称の偶像は、インターネットというデスノートによって殺されてしまったと言えるのかも知れない。
これから先、私達はそういった広い意味での「情報殺人(情報による遠隔殺人)」の時代を迎えることになってしまうのだろうか。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。