2017-10

WBAの採点基準を本当に理解しているファンはどれ位いるのか?

WBAの採点基準を本当に理解しているファンはどれ位いるのか?


     誰か、WBAルール(最新版)を全文和訳してくれ!

 『ボクシングマガジン』10月号には、ガッカリさせられた。
 表紙に大きく「徹底検証 8.2判定」という見出しが踊っていたので、WBAの採点基準(それも最新版)の和訳が掲載されていると期待したのに、そうではなかったからだ。
 それどころか、11ページには、金平会長の不可解な発言が掲載されている。その中の、WBAの採点基準に言及している部分を引用してみよう。

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 採点基準はあるんです。第一に有効な攻撃を伴った前進。第二にクリーンヒット。第三にリング・ジェネラルシップ。
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 私はこれを読んで、「それは違うでしょ?」と思わずツッコミを入れてしまった。
 世界戦において、アグレッシブをクリーンヒットよりも上位に評価するという採点の仕方は、韓国人ジャッジに見受けられる誤った(世界標準から外れた)採点傾向であると私は認識している。そして、それが日本のボクシングファンの共通した見解だろうと思っている。
 しかし、私はWBAルールの和訳文をちゃんと読んだことがない。
 果たして、『ボクシングマガジン』10月号で金平会長が述べているWBAの採点基準は、誤りなのか、それとも実は正しいのだろうか?

 WBAのホームページには日本語のページがない。あるレベルに達したボクシングファンなら誰でもそうするように、私も翻訳サイトにコピペを繰り返してチマチマと読解を試みたが、「ポイント差は最大でも10-7」という部分を見つけたところで、やる気を失ってしまった(2004年5月8日、ママルケス兄の持つWBA・IBF世界フェザー級タイトルにパッキャオが挑戦した試合において、10-6をつけたジャッジが2人いたが、WBAはそのスコアを訂正させなかった)。
 翻訳ソフトを使えばPDFファイルを丸ごと和訳することも可能なようだが、この為だけに1万円近いソフトを購入する気にはなれない。WBAのホームページに掲載されている情報が最新版だとは限らないと思うと、尚更である。

 WBCの採点基準に関しては、かなり明らかになっている。WBC審判委員長トム・カズマレック氏の著書『あなたもジャッジだ』が、ジョー小泉氏によって2003年(訳者あとがきの日付は2001年9月)に日本でも紹介されているからだ。
 しかし、これがWBAの採点基準となると、そうではない。少なくとも私は、WBAルールの訳文一式や、解説書を目にしたことがない。

   知っている範囲でWBAとWBCの採点基準を比較する

 ボクシングファンがボクシングの採点基準を説明するとき、用いているのは(本人にその気がなくても)多くの場合JBCの採点基準である。また、WOWOW『エキサイトマッチ』の採点基準の説明も、これとほぼ同様の内容になっている。
 西日本ボクシング協会のホームページ(http://j-boxwest.com/)より、その部分を引用しよう。

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第78条 試合の得点はつぎの4項目を基準として評価、採点される。
 1 クリーン・エフェクティブ・ヒット(正しいナックル・パートによる的確にして有効なる加撃。有効であるかないかは、主として相手に与えたダメージに基づいて判定される)
 2 アグレッシブ(攻撃的であること。ただし加撃をともわない単なる乱暴な突進は攻撃とは認められない)
 3 ディフェンス(巧みに相手の攻撃を無効ならしめるような防御。ただし攻撃と結びつかない単なる防御のための防御は採点されない)
 4 リング・ゼネラルシップ(試合態度が堂々としてかつスポーツマンライクであり、戦術、戦法的に相手に優れ、巧みな試合運びによって相手を自己のペースにもっていくこと)

第79条 採点は『10点法』による。その分類は、試合内容によって次の4段階とする。
  1 10=10(互角の場合)
  2 10=9(若干の勝ちの場合)
  3 10=8(ノック・ダウンまたはこれに近い状態をともなう明らかな勝ちの場合)
  4 10=7(相手が全くグロッギーでノック・アウト寸前の圧倒的な勝ちの場合)
  [備考] 10=6はつけず、この場合は当然TKOである。
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 このJBCルールを読んで気付くことは、まず「つぎの4項目を基準として評価、採点される」と書かれているだけで、4項目の優先順位や重み付けに関しては何も記述がないということである。
 もう一点は、「リング・ゼネラルシップ」の記述が、「ディフェンス」よりも後になっていることだ。しかし、前述したように、この記述の順番が判定における優先順位であるとは書かれていない。

 そしてこのJBCルールは、WBAルールとほぼ同じであるようだ。『世界のボクシング・トピックス』(ジョー小泉氏著)の258ページから、WBAの採点基準に関する記述を引用してみよう。(このページの記事の日付は2001年7月9日)

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 WBAの基準は、①有効なクリーンヒット、②攻勢(手数)、③防御、④リングジェネラルシップ(試合運びの巧さ)である。
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 ここでも基準として4項目が挙げられているが、その優先順位や重み付けに関しては記述がない。これを見ると、JBCルールがWBAルールを元にしたものであることは、ほぼ間違いないだろう。
 同書では、これに続いてWBCの採点基準についても触れているので、これも引用しておこう。

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 参考までに、WBCの基準は、①有効な攻勢(パンチのパワー、手数、正確さの順で判断)が7割、②リングジェネラルシップ2割、③純然たる攻勢(勝ちにいく姿勢)1割と、各項目に重み付けをしている。
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 WBCの採点基準は、各項目に優先順位と重み付けが設定されていることが明記されている。『世界のボクシング・トピックス』の258ページを読む限り、「WBCの採点基準は、WBAとは異なり、各項目に優先順位と重み付けが設定されている」という印象を受ける。
 また、最後の1割に「勝ちにいく姿勢」を割り振っているのも、WBAには見られない表現だ。WOWOW『エキサイトマッチ』で最近放送された、バレラVSフアレスの第2戦(WBC世界Sフェザー級タイトルマッチ)において、ジョーさんがこの「勝ちにいく姿勢」を根拠にして微妙なラウンドをフアレスに振り分けたのは、記憶に新しいところである。

 『あなたもジャッジだ』からも、WBCの採点基準を引用しておこう。

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 ジャッジが各ラウンド、ひいては試合を採点するにあたり、3つの基本的項目がある。
1.クリーンヒット、有効な攻勢
2.リング・ジェネラルシップ
3.防御
(以上は、7ページから)

 動く方向が前であろうが後であろうが、主導権を握り、数(手数)と質(パワー)両面においてクリーンヒットをきめた選手がそのラウンドを取る。
(以上は、8ページから)

よい選手はクリーンヒット、効果的攻勢、リング・ジェネラルシップを兼備している。もしこの3つの基準でラウンドの勝者を決められぬ場合、どちらが防御がよかったかで差をつける。
(以上は、12ページから)
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 『あなたもジャッジだ』を読んで、WBCの採点基準に関してまとめると、以下のようになる。
(1)採点基準に3または4項目を挙げているのはWBAと同じ。
(2)防御の評価よりも、残りの3項目の方を優先的に評価する。
(3)クリーンヒットと有効な攻勢は、一まとめにして語られる傾向がある。

              自分なりに整理してまとめると…

 『世界のボクシング・トピックス』の記述と併せると、WBCの採点は、4項目を以下の優先順位で評価することになるというのが、私の結論だ。

1.クリーンヒット(有効打)と攻勢(手数)
2.リング・ジェネラルシップ
3.防御
4.勝つ姿勢

 「クリーンヒット(有効打)と攻勢(手数)」で優勢だと判断された選手が、それ以外の項目で劣勢であるとは考えにくい。
 また、仮に「クリーンヒット(有効打)と攻勢(手数)」で優勢だと判断された選手が、それ以外の項目で劣勢であったとしても、例えば「70点のうち60%を取ったので42点(やや優勢だった)」&「残り30点のうち30%を取ったので9点(明らかに劣勢だった)」の場合、総合的には「51対49」で優勢となる。
 私の「4項目の優先順位に従って採点し、より優先順位の高い項目で差がついたら、その下の項目に関しては原則として考慮しなくても良い」という考えは、分かりやすくて整合性があると思うが、どうだろうか。

 最後に、WBAの採点基準に立ち戻ってみよう。
 ボクシングが格闘競技である以上、防御が攻撃よりも高く評価されることは有り得ないというのが、私の考えである。この個人的な見解を含め、とりあえず現時点では、私はWBAの採点基準を以下のように解釈することにした。

1.クリーンヒット(有効打)
2.攻勢(手数)
3.リング・ジェネラルシップ
4.防御

 WBC同様、4項目は上から並んでいる順に優先的に評価されるものとする。
 クリーンヒットと手数を明確に分けている点と、最後の最後に「勝つ姿勢」という項目を持ち出さない点が、WBCとの違いとなる。
 

 ボクシングの採点基準に関しては、まだまだ言いたいことがあるのだが、今回はこの辺で。

※おまけ

 サンスポのニュース記事 によると、WBA総会で、ルイス・パボン審判委員長が「8月の亀田戦をビデオで見たが、私の採点では亀田が3ポイント負けていた」と発言したとのこと。
 ちなみに我らがジョーさんは、「ジョー小泉のひとりごと」の中の8月17日付けの記事「私の中の亀田騒動整理」で、114-113で亀田勝利の採点をしている。うーむ。
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 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。