2017-08

自分は「対象年齢から外れている」のに、何故ファンになるのか

自分は「対象年齢から外れている」のに、何故ファンになるのか

                   「おたく」と「ロリコン」

 「オタク」という言葉が、まだひらがな表記だった頃、「おたく」と「ロリコン」はセットという認識が主流だった。
 ロリコンとは、成人男性が幼女や少女を恋愛対象とすることである。本来その人が恋愛対象として選ぶべきではない年齢層に夢中になる、即ち「自分の対象年齢から外れた年齢層を好きになる」ことが、異常視されるわけだ。
 現時点でも「特撮オタク」という言葉に対しては、これと一脈通じる意味合いが含まれている。
 日本の特撮作品は、子供向けのものが主だ。本来子供向けの作品に大人が夢中になる、これは「自分の対象年齢から外れた作品を好きになる」ことであり、やはり異常視されるわけだ。

 もちろん、日本製の特撮作品にも大人向けのものは存在する。また、ハリウッド映画のアメコミ系ヒーロー作品は日本でいう特撮ヒーローと基本的には同ジャンルであるが、少なくとも日本公開時には子供向けとは認識されていない。
 しかし、現在毎週TVで見ることの出来る「ライダー、戦隊、ウルトラマン」といった特撮ヒーローは明らかに子供向け番組として提供されているし、一般にもそう認識されている。特撮ファンではない人が「特撮オタク(特撮ヲタ)」という言葉を使うとき、そこには「大人になっても子供向け番組(特撮)を見ている異常な人」というニュアンスが込められていると思ってほぼ間違いないだろう。

                    こども≠オタク ?

 ちなみに世間一般では、子供がいくら特撮に夢中になっても「特撮オタク」とは呼ばないのが、私には不自然で仕方がない。幼稚園児であっても天才は天才(児)と呼ばれるように、幼稚園児であっても特撮ファンは特撮ファンだし、その中で一定の基準を満たしている者がいれば、その幼稚園児は特撮オタクである。
 私の世代は怪獣ブーム直撃世代だ。子供の頃、怪獣の絵ばかり描いていて、家庭訪問のときに学校の先生から「お宅の○○くんは怪獣キチガイです」と言われた奴も結構いたと思う。
 今は「特撮オタク」という言葉がある。幼稚園の先生方は、「お宅の○○くんは、戦隊やライダーがもう大好きで大好きで…」等ではなく、遠慮なく「お宅の○○くんは特撮オタクです」と言ってあげて欲しいものだ。

                 世間一般の言う「特撮オタク」

 さて、自分自身の 「オタクまたはマニア」の定義 に拠ると、私は生まれてこのかた一度も特撮ヲタになったことがない(「ロボットアニメおたく」だったことはある)。だから、私は特撮ファンについては自信を持って語れるが、特撮ヲタに関してはそうではない。以後、言葉の綾で「特撮ヲタ」を語っているように読める部分があったとしても、飽くまでも世間一般が言っているそれについてであって、真の意味でのそれについて語っているのではないことをご了承いただきたい。

 大人は何故、子供向けの特撮を見るのだろうか。(本人は目的もなく、単に子供に付き合って見ている、あるいは単に玩具のチェックをしているケースは、ここでは「見る」うちに含まない)
 全体として圧倒的に多いのは、役者目当てで見ているケースだろう。戦隊シリーズでは古くから、子供向けのお色気キャラが「お父さん対策」を兼ねていたし、『BLACK』以降のいわゆるイケメン路線は、結果的に「お母さん対策」になっていると言える。
 ただし、イケメン路線は女親にはそれなりに効果がある(視聴目的に成り得る)と思うが、男親にとってお色気路線は「おっぱいポロリ」ぐらいやってくれないと目的として機能しない筈だ。父親がそれなりに子供向け特撮を楽しんでいるとしたら、それは主に昔自分が見ていた同系統の作品と比較してどう変わっているのか/変わっていないのかという、懐かしさに拠る部分が一番大きいのではないかと思う。

 母親が「子供と一緒に見てます。結構かっこいい俳優が出演していて…」
 父親が「子供と一緒に見てます。私が子供の頃やっていたものと比べると随分変わったなぁと…」
といった程度のことを世間話の流れの中で出したとしても、それだけで直ちにその大人が「特撮ヲタ」だと見なされることはないだろう。
 「大人のクセに、子供と一緒になって子供番組を楽しんでいる変人」と思われるには、単に俳優に夢中になったり「昔の方が良かった」と懐かしがっているだけでは不十分である。
 これに対して、作品自体の感想をまともに語ったり、ブログにでも書こうものなら、世間一般的の目には明らかに「特撮ヲタ」と映る。かく言う私もたまに感想記事をupしているが、なぜ子供向け番組に関して、そんなことをするのだろうか?

                    ある「特撮ファン」の現状

 私の場合、最大の理由は「他に選択肢がないから」である。
 日本のTV特撮は、子供向けに特化したジャンルとして発展してきた歴史がある。大人向けのTV特撮は皆無ではないが、極めて少ないのが実情だ。TVで新作の特撮番組を毎週見ようと思ったら、子供向け番組を選択するしかないというのが、日本の特撮ファンの置かれた基本的状況である。

 お腹を減らしてレストランに入ったとき、入り口で「お子様ランチしかありませんが、どうなさいますか」と言われたら、どうするか。「いくら腹が減っていても、大人がお子様ランチを食べるなんて出来ない」とレストランを去るか、「空腹を満たしてくれるのなら、お子様ランチでも構いません」と席に着くか。私は、基本的には後者である。

 ではもしも、『スーパーヒーロータイム』の裏番組として、『大人向けスーパーヒーロータイム』が放映されていたとしたら? より多くの予算を掛けて特撮のクオリティを上げ、子供向け番組の制約を取っ払った自由度の大きい特撮ヒーロー番組を観ることで、特撮ファンとしての欲求を充足させることが出来るのなら、私自身は子供向け特撮番組をほとんど観なくなると思う。
 子供向け特撮番組を見ていると「あ~、この辺が子供番組ならではの処理だな、大人向けならこのクオリティは許されないな」と思う部分があるし、そう思いつつ見続けている自分に違和感を覚えてしまう。大の大人がお子様ランチを食べながら「このプリンは甘すぎる」と文句を言っているような、情けない気分になるのだ。
 そんな気分を味わうより、『大人向けスーパーヒーロータイム』にチャンネルを合わせ、何の気兼ねもなくガンガン突っ込みを入れつつ楽しむことを私は選ぶ。

 ただ、それでも全く子供向け特撮番組を観なくなるかと言えば、そうではない。
 私にとって「ライダー、戦隊、ウルトラマン」といった特撮ヒーローは、子供の頃に強烈に刷り込まれたヒーローである。マスコミが未だに長嶋茂雄というかつてスター選手であった人物をチェックしなければ気が済まないのと同じように、私もこれらのヒーローの新作が作られるとチェックしなければ気が済まないのだ。
 『大人向けスーパーヒーロータイム』を視聴することで特撮ファンとしての欲求を満たすことが出来たとしても、『子供向けスーパーヒーロータイム』の第1話だけは、まず間違いなくチェックすると思う。

 それに、「他に選択肢がないから」という事情だけでなく、「子供向け番組であっても、大人にも楽しめる部分があるから」という積極的な理由も存在する。
 「空腹を満たしてくれるのなら、お子様ランチでも構わない」というのが私の基本スタンスではあるが、それは「空腹を満たしてくれるのなら、泥でも食べる」という意味ではない。
 「お子様ランチ」であっても、ある程度おいしいことが条件となる。一口二口食べて、「うん、結構うまい」と思ったらそのまま食べ続けるし、「これは駄目だ」と思ったらそこで止めるということだ。

 「子供の鑑賞に耐える」ということは、「大人の観賞に耐えない」とイコールではない。
 『スターウォーズ』や『ハリー・ポッター』、宮崎アニメといった作品は、「子供から大人まで楽しめる作品」として世間一般にも認知されている。子供がこれらの作品を見て眼を輝かせることが異常だとは見なされないし、子供を持たない成人の男女がこれらの作品のファンであったとしても、それだけで「オタク」のレッテルを貼られることはない。
 ここで議論の対象にしている特撮作品は映画ではなくTV番組であり、かつ子供向け前提で製作されているため、そもそも「子供から大人まで楽しめる作品」というレベルに達する必要がないし、実際に達していない。それでも決して「全面的に大人の観賞に耐えない」というわけではない。「変身して戦う」という特殊な形式であることに対する先入観を捨てて見れば、大人が楽しめる要素もそれなりに含んでいると思う。

                    「大きなお友達」

 私が社会人になってから、ほぼ全話視聴した(または視聴する予定の)子供向け特撮番組は、以下の通り。

・戦隊シリーズ…『タイムレンジャー』、『ボウケンジャー』
・ウルトラマンシリーズ…『ティガ』、『ガイア』、『マックス』
・超星神シリーズ…『セイザーX』
・ライダーシリーズ…『555』を除く全ての作品。

 作品ごとに、面白さや楽しめたポイントには違いはあるが、私にとってはどれも好きな作品である。
 残念ながら、日本には「変身して戦うヒーロー」に対する大人のニーズは存在しない(参考記事は こちら )。「変身して戦うヒーロー」を毎週TVで見たいと思う人間は、大人の社会ではマイノリティなのだ。
 子供の社会では、それが逆転している。
 だから、大人の特撮ファンの一部は、子供の社会に「お邪魔」する。
 自分は「対象年齢から外れている」のに、仲間に入れてもらうのである。
 「大きなお友達」・「お髭の生えたお友達」というのは、言い得て妙だと思う。

 「変身しないで戦うヒーロー」は、大人向けのTVドラマを探せばいるだろうし、プロスポーツ全般に関してもそう言えるかも知れない。
 私の場合、格闘技は特撮番組以上に夢中になって見ているが、「変身しないで戦うヒーロー」が登場する大人向けのTVドラマには、ほとんどの場合興味が持てない。
 結局、自分でも何故だか良く分からないのだけれども、「変身して戦うヒーローのドラマ」が見たいのだ。そしてそれは、子供番組の中にしか存在しない。

 なぜ自分は「対象年齢から外れている」のに、子供向けTV特撮番組を見るのだろうか?
 答え。
「そこに、変身して戦うヒーローと、そのドラマがあるからだ」
 本質は、そこにある。
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コメント

見たいなら見よう!

子供がまず読まないであろうマニアックなゲーム雑誌で『侍戦隊シンケンジャー』(以下、『シンケン』)の特集記事が大々的に組まれていました。

その記事の最後のページ、『シンケン』のチーフプロデューサーと脚本家のインタビューがのっていて読者へのメッセージにこうありました。

脚本家「とりあえず見てもらって好きになれればいいしダメならしょうがないです(笑)」

チーフプロデューサー「是非見て下さい。リアルタイムで見る事に意義があると思いますので」



・・・まあ作り手としては当然っちゃあ当然の発言でしょうが(嫌なら見るな、というテレビ屋はいないでしょうから)
子供ではない(であろう)人に向けて言っているのですから我々が大手を振ってヒーローモノを見るのも自由、応援するも自由、玩具を買う買わないも自由、

だけど『響鬼』の時のように騒ぎ立てるのはナンセンスな(笑)



我々が子供番組を普通に見れる、いい時代じゃないですか。

子供番組は子供のもの

>子供がまず読まないであろうマニアックなゲーム雑誌で…

 この件は、「女性がまず読まないであろう、女装マニア向けの雑誌」に、女性向け化粧品の特集がなされて、化粧品メーカーの人間が

製造部長「とりあえず使ってもらって気に入ってもらえたらいいしダメならしょうがないです(笑)」
営業部長「是非使って下さい」

とコメントしているのと同じだと思います。

 子供番組が誰のために作られているかと言えば、当然ながら子供たちのためです。

 女装マニアに自覚とマナーが求められるのと同様、大人の特撮ファンにも自覚とマナーが求められると私は思います。

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。