2017-10

『仮面ライダーカブト』考

『仮面ライダーカブト』考


 『仮面ライダーカブト』が3クール目に突入した。
 去年の『響鬼』はこの時期、なかなか次の展開に入れない「足踏み状態」が続き、物語は中だるみに陥っていた。(参考記事は こちら
 今年の『カブト』は、適度なペースで次の展開へと話が進んでおり、作品連続体に一定のテンションが保たれている。この調子で、最後まで視聴者の関心を引っ張っていって欲しい。

 『アギト』の場合は、謎が解けた途端に作品の勢いがなくなり、最終話付近の展開はもう惰性で進んでいるだけのヘロヘロな感じだったが、『カブト』では謎をどう持たせるのだろうか。もっとも、これまでの『カブト』の山場の作り方を見ると、最後まで「大きな一つの謎」で引っ張るつもりはないような気もするが。

 さて、『カブト』で嬉しいのは、『響鬼』で失われていた「仮面ライダーらしさ」を取り戻したという点だ。
 『クウガ』から『剣』までの平成ライダーシリーズは、ある種の「仮面ライダーらしさ」を一貫して持ち続けていた。それは、ライダーが“敵と同じ属性を持った存在”であること。あるいは、“変身することにより、敵と同じ属性を持つ”ということである。

『クウガ』…
 変身とは、体内に埋め込まれた(吸収された)ベルトによって、グロンギの能力を人間の肉体内に再現するということ。肉体内部が未確認生命体と酷似した状態に変貌し、戦いとともにそれが進行していく。

『アギト』…
 アンノウンに対抗するための存在。それ故、アンノウンと同系統の能力を持つ。

『龍騎』…
 変身とは、モンスターと契約し、その属性を自分の能力として召還できるようにすること。モンスターとの契約を破棄することは、自分がモンスターの餌食になることを意味する。つまり、「モンスターに魂を売り渡した存在」なのだ。

『555』…
 オルフェノク(あるいはその刻印を持つ者)でなければライダーに変身できない(“改造人間でなければライダーに変身できない”と、ほぼ同義)

『剣』…
 変身とは、アンデッドであるジョーカーの能力を限定的に再現するということ。「融合係数」というパラメータが存在し、通常の変身でもアンデットと一種の融合状態にある。またその戦い方も、他のアンデッドの能力を一時的に自分の身体に宿らせて使用するというもの。
 最終的な“変身”は、「アンデッドそのものに変貌し、人間ではなくなる」というものだった。

 この『クウガ』から『剣』までの流れが、『響鬼』では途切れてしまった。
 『響鬼』におけるライダーは、外見は“異形の人”ではあるが、属性としては体を鍛えた一般人と何ら変わらない。敵の属性とは直接関係がなく、その為ライダーになることによってマイナス面が生じるということもない。正直言って、この設定にはがっかりした。

 しかし、その次に登場した『カブト』が、シリーズの特徴だった「仮面ライダーらしさ」を復活させてくれた。
 第2話の段階で、マスクドライダーシステムは、敵であるワームに対抗するため、その属性を模倣したシステムであるらしいことが描かれている。
 ワームは、「人間」に擬態した状態から「サナギ」に変身し、脱皮して「成虫」になることでクロックアップが可能となる。これと同様に、ライダーは「人間」から「マスクドフォーム」に変身し、キャストオフして「ライダーフォーム」になることでクロックアップが可能となるのだ。

 「マスクドフォーム」はずんぐりとしたスタイルで、「ライダーフォーム」はスマートなスタイルであるという点でも、「サナギ」と「成虫」の関係の相似形となっている。
 そして、ライダーに変身するための核(コア)となるのが、カブトムシを始めとする“虫(節足動物)”である。ワーム同様、脱皮によって成虫となる虫(節足動物)が、変身のための核(コア)となるという設定(描写)は、ライダーがワームと同じ属性を持つというイメージと適合する。
 「怪人の能力を、変身アイテムの力で人間の肉体に再現する」という平成ライダーの新パターンとして、高く評価したい。

 今まで『カブト』に登場したライダーは全員、デフォルトの状態で、マスクドフォーム→キャストオフ→ライダーフォームというフォームチェンジを行なう能力を有している。この初期能力は、いうなればライダー全員の共通仕様だ。このパターンは平成ライダー初であり、日本の変身ヒーロー全体でも初めてなのではないだろうか。
 一人のヒーローがデフォルトで数種類のフォームに変身できたり、複数のヒーローのうち一人ないし一部ないし全員のヒーローが強化形態へ変身できるようになるというパターンは以前にもあった。しかし、全員が最初から2種類のフォームを標準装備しているというパターンは記憶にない。(ボウケンジャーのように、決め技を使うときだけ強化プロテクターを追加装着するというケースは除く。あれは、フォームチェンジとは言えない)

 全員がキャストオフできるというアイディアは、ポリゴンゲームの『ファイティング・バイパーズ』(バーチャ好きの私もけっこうプレイした)が元ネタになっていると思われるが、主役格のライダーはキャストオフ直後に自動変形ギミックのアクションがあったりと、単なるパクリに終わっていない。
 パクリと言えば、ガタックが両肩の射撃ウェポンを使用するときの映像は、ZECTとZACの綴りが似ていることもあって(オマージュか?)、『サイバーコップ』のマーズを思わせた。ただし、給弾機構(あるいは冷却系)が作動しているギミックも含めたそのカッコ良さは本家?を遥かに凌いでいる。『サイバーコップ』で戦隊シリーズを真似されたお返しといったところか。

 この自動ギミックもまた、『カブト』のライダーの特徴である。キャストオフ自体も広義の自動変形ギミックと言えるが、中でもカブトとガタックのホーンの変形ギミックは特筆に価する。
 『アマゾン』や『アギト』にも、変身後のライダーの身体に変形ギミックが存在していたが、フォームチェンジと連動してライダーの身体の変形ギミックが作動するというのは『カブト』が初めてである。
 従来の仮面ライダーのフォームチェンジは、玩具化の際、そのまま再現することが可能な要素を持っていなかった。フォームチェンジを玩具で再現する場合は、単なる「着せ替え」の域に留まっており、変形ロボットのように玩具でも本物どおり再現できる変形機構を備えていなかったのだ。カブトとガタックは、この「玩具でも本物どおり再現できる変形機構」を備えている。
 ライダーのフォームチェンジが変形ロボット化することを全面的に是とするわけではないが、『カブト』が行ったこの新しい試みが、フォームチェンジという魅力の可能性を広げたことは間違いない。

 更に、『龍騎』を観てから、ずっと期待していた
「ブランク状態のベルトにセットするアイテムを数的に増加(複数化・追加合体化)させたり、質的に増加(差し替え変更・バージョンアップ化)する」(参考記事は こちら
というアイディアが実現化したのは嬉しい。
 また、『カブト』を観始めた当初から思っていた
「ゼクターを単なる変身時に登場するアイテムとしてではなく、ライダーをサポートするDA(ディスクアニマル)のように、可愛らしく愛着の持てるキャラクターとして描く」
ということも、少しずつではあるが実現している。
 ちなみに私が持っている玩具はガタックゼクターだけであるが、恐持てキャラとして登場した後、けっこう健気な一面も見せており、観ていて嬉しくなってしまう。

 平成ライダーシリーズは、伝統的に『強殖装甲ガイバー』を元ネタにしてきている(参考記事は こちら )が、『カブト』にはまだそれが見られない。
 私は、『カブト』では変身アイテムが「ベルト型」・「ブレスレット型」・「グリップ型」と複数タイプ登場していることから、『ガイバー』のアプトムのネタが使われるのではないかと思っている。
 『ガイバー』におけるアプトムは、複数のタイプのゾアノイドの姿と能力を併せ持った形態に獣化する能力を持っている。『カブト』における変身アイテムは、複数を同時に装着することが物理的に可能である。そして、ワームであっても「選ばれし者」としてライダーに変身できることが描かれている。
 このことから、“ワームライダー”が複数の変身アイテムを同時に装着して変身することにより、複数のタイプのライダーの姿と能力を併せ持った形態に変身するのではないか想像しているのだ。
 右手にザビーゼクターを装着し、左手にドレイクゼクターを握り、二つ同時に変身起動させ、ザビーとドレイクが融合したライダーが登場する…なんてことを考えたりしている今日この頃である。

 ライダーの「色」についても語りたいのだが、それはまた別の機会にしておこう。
スポンサーサイト

コメント

 謎さん(Name欄とSubject欄の記入間違いでしょうか?)、初めまして。
 この件は、カブト考2で書こうと思っていたのですが…
 サソードは今のところ、唯一昆虫ではない&飛ばない節足動物をモチーフにしており、サソリの他に蜘蛛のイメージも入っているのでは?と思っています。
ちなみに私は、サソードゼクターは昆虫モチーフではないという以前に、「飛ばない」ゼクターであることに凄い違和感を覚えました。
 「何事にも例外がある」のではなく、むしろ「何事にも例外が必要」なのではないかという気もしています。

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://sinden.blog6.fc2.com/tb.php/283-6c27d985

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。