2017-08

日刊スポーツの荻島弘一氏の記事は大間違い!…と目くじらを立てるのは野暮かな

日刊スポーツの荻島弘一氏の記事は大間違い!…と目くじらを立てるのは野暮かな


 私は幾つかの“スポーツ新聞”に対しては、「演劇の一形態であるプロレスと一般のスポーツを同列に扱っている」ように見えることから、一種の芸能新聞という印象を抱いている。
 『日刊スポーツ』がプロレスをどう扱っているのかは知らない。しかし、そういった側面以外に結構ひどい記事を見つけてしまい、呆れていいのやら笑えばいいのやら、戸惑っている。

  基準あいまい「地の利」ある/ボクシング 【荻島弘一】

 この記事を書いた日刊スポーツの荻島弘一氏は、ボクシングに関してはド素人であろう。そのド素人が、「私はボクシングのことなら多少知ってます」というスタンスで記事を書くとどういうことになるか。そんな悪い見本といえる(あるいは意図的に狙ったボケのようにも思える)記事である。
 真面目に書かれたように見える記事の途中に、

 10対10を許さず、1回ごとに必ず優劣をつける採点方法だ。 ※【引用1】

と書かれているが、これは明らかな間違い。いかにも、最近ボクシングを見始めた中学生が得意気にやっちゃいそうな間違いである。正しくは、
「最近は、出来るだけ10対10をつけず、僅差であっても10対9をつける傾向がある」
なのだ。
 実際、10対10をつけることは少ないが、かと言ってゼロではない。例えば、川嶋VSナバーロのジャッジでも10対10を付けているジャッジがいたし、徳山VSナバーロの試合でもそうだった。第一、今回の採点でも10対10を付けているジャッジがいるではないか。

 この試合のスコアシートも、3人の意見が合ったのは4回だけ。いかに、あいまいかが分かる。※【引用2】

と記事にあるのが笑いを誘う。記者の目はそれ以上にあいまいか、節穴と言ったところか? ろくに試合のスコアシートも確認せずに、その試合の記事を書いていることがバレバレである。(それとも、本気で笑いを取りに来ているのか?)
 多分この記者は、PRIDE(総合格闘技イベント)の採点における「マストシステム」と、最近のボクシングの採点“傾向”を混同しているのだろう。

 また優劣をつける基準も明確でなく、ジャッジの主観に任されている。 ※【引用3】

という部分も誤りである。ボクシングの採点基準は明確に明文化されており、ジャッジによって採点にバラツキが出ないような取り組みがWBAでも行われてきている。採点がジャッジの「判断」によって行われるのは当然であるが、個人の「主観」に任されているわけではない。こういう話は、ジョー小泉氏の著書を読めば分かることだ。

 有効打よりも単なる手数を重視するジャッジが存在することは以前からボクシング界で問題視されているが、それは採点基準の問題ではなく、基準の運用傾向の問題である(もちろん採点基準自体にも問題は存在するが、ここでの話とは内容が異なる)。荻島氏は、ここでも「基準」と「傾向」を混同しているのだ。終いには、

 フィギュアスケートや体操などと変わらない。しかも判断を下すのは、わずかに3人。※【引用4】

と、表演競技を引き合いに出す始末。よくもまぁ、こんなトンチンカンなことが書けるものだと呆れてしまう。常識的に考えて、引き合いに出すのはアマチュアボクシングか、ボクシング同様に採点が存在する格闘競技であるレスリングや柔道だろう。
 しかも、「わずかに3人」ときた。この記者は、レスリングも柔道も技のポイントの判定(柔道の場合は勝敗の旗判定も)を3人で行なっていることを知らないのだろうか?
 
 私もボクシングの採点方法に関しては考えるところがある。
 一つ自信を持って言えることは、フィギュアスケートや体操のような表演競技を引き合いに出す前に、考えるべきことは幾らでもあるということだ。つまり、この記者がフィギュアスケートや体操を引き合いに出したのは、この記者がボクシングの採点基準に関して何も考えていない証拠なのである。典型的な「思考停止」というやつだ。
 よくテレビ特番の最後に出て来るセリフ、「それは、我々一人一人が、よく考えてみるべきことなのではないでしょうか」と同じである。いきなり呆けたことを言って、問題を具体的に考えることを放棄する。情けないったらありゃしない。

 結論。『日刊スポーツ新聞』も『東京スポーツ』と同じ、所謂“スポーツ新聞”。記事の内容に目くじらを立てるのは野暮である。全面、芸能記事と同じ感覚で読むべし。
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コメント

ブログの訪問履歴から来させてもらいました。
今の判定基準でも10-10って付けられるんですね。これは知らなかったです。
フィギアスケートとかに例えてるのはちょっとわらっちゃいました
野球だって4人 サッカーだって3人+1ですしね

書き込みついでにちょっと質問してもいいでしょうか?
主催者側が第3国の判定員選んでギャラ払ってるっていうのラジオで言ってたんですが、WBA側が選んでるんじゃないんですか?
それが許されてるプロスポーツだと、なんかなぁと思っちゃいます。この記者みたいに適当なこと言ってる可能性もあると思うんで全部鵜呑みに出来ない感じするんですよね。

ジャッジの選定

 ポポロ さん、こんにちは。
 ジャッジを選ぶ件ですが、私も知りません。
 ただ、今回はWBA側が選んだら、それはそれで「なんだかなぁ」と思われてしまうでしょう。WBAの本部はベネズエラで、ランダエタはベネズエラ人ですから。
 4大統括団体のランキングを見てもらえれば分かりますが、統括団体の本部がある国の選手は優遇される傾向があります。そもそも、WBAが分裂したのも、そういった問題からですから。
(プロボクシングの4大統括団体は飽くまでもタイトルの認定管理運営を行っている団体で、FIFA(サッカー)みたいに競技そのものを統括しているわけではありません)

 IJF(柔道)では、コンピュータで第3国からランダムに主審を選んだ結果、「日本に負けて欲しいと密かに願っている韓国人」が日本人の試合に選ばれてしまい、当人も「何で私が?」と戸惑ったという話もあります。
 結局、誰が選んだとか賃金がどこから支給されているかよりも、選ばれた人に依ると思います。それでもボクシングの場合は、ジャッジの賃金は対戦するジム同士で折半するのがベストだとは思いますが。

なるほど~、色々勉強になりました
私としては、WBAの本部と同じ国の選手と闘うからWBAの選んだジャッジだと不公平というなら、WBA以外にもWBCがあるわけですし、そっちを狙えばいい話だと思うんですよね。
管理運営だとしても日本人のボクシングの見る目が代わってしまったことに対して、少なからず動かないとまずいとは思います。亀田選手を王者に認定してるというわけですし。

>ジャッジの賃金は対戦するジム同士で折半するのがベストだとは思いますが。
そういうのを明確にしていってほしいですね、本当に

亀田選手のようにTV・スポンサー・協会が作り上げたスターより
素人目でもはっきりわかるようなスターがでてくればいいですね。今日本人のチャンピオン多いですし、他のTV局が公平なスポーツであることを証明させるべく放送すべきかもしれませんね。

少しまとまりがない長いコメント書いてすいません。

ps.もしよろしければブログの記事にこちらのリンク貼りたいのですが、よろしいでしょうか?私のブログのタイトルにあるように偏見なこと書くブログなんですが。。

 素人目にもハッキリ分かるようなスター選手と言えば、メイウェザーのような天才スピードスターか、ガッティのような並外れて頑丈な肉体を持つファイターといった、いずれにせよ天性の素質に恵まれた者(神に選ばれし者)だけでしょう。

 リンクの件は、OKです。

とりあえず

今回の試合はマストシステムです。
あなたが間違っているのです

だから、今回も10-10つけているジャッジいるでしょ

 間違っているのはTOXICさんと荻島弘一氏です。
 「ラウンドマストシステム」が正式名称かどうかは知りませんが、10-10と採点することは許されています。「出来るだけ(極力)」であって、「必ず」ではありません。
 参考記事→http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200608060003a.nwc

システムの問題?

こんにちは。初めまして。
今回の問題は、別にラウンドマストシステム云々ではないと思うのですが(明白にランダエタ勝利でしょう)。本当に、ジャッジの採点方針で勝敗が大幅に変わってくるのであれば、、それは仕組みがおかしいのではないかと思います。すくなくとも、お客にみせるプロスポーツではないでしょう。

毎回ポイントをちゃんと公開すれば、ほとんど解決すると思うんですけどね。見ててわかりやすいですし、その方がよりスリリングだと思うんですけど。途中経過がわからないスポーツって、ボクシングくらいではないでしょうか。

どうでしょうか?いい案だと思うんですが。

「中間採点公表制度」

 スパルタンZさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
 1999年4月に、WBA、WBC、IBFのタイトルマッチ各1試合で 「中間採点公表制度」が施行(試行)されましたが、同年5月のWBA、WBCのタイトルマッチにおける「中間採点公表制度」の採用申請は、ネバダ州コミッションによって却下されました。
 私がボクシングをちゃんと見始めたのは2000年からなので詳しくは語れませんが、おそらくこれ以降、「中間採点公表制度」はメジャー団体では行われていないと思います。
 いずれにせよ、ネバダ州コミッションが認定しない制度が世界のボクシングに根付く可能性は低いと言えるでしょう。

 ネバダ州コミッションが「中間採点公表制度」を却下した理由は、「試合後半で大差が付いている場合、負けているボクサーがモチベーションを保てない、あるいは勝っているボクサーが流すボクシングで逃げ切りに入る恐れがある」といったところのようです。詳しくは、検索エンジンで調べるか、ジョー小泉氏の著書『世界のボクシング・トピックス』を参照して下さい。

 私個人も「中間採点公表制度」には否定的です。ボクシングのルールやスタイル自体が変わってしまう(クリンチの減点など)と思うからです。
 ジャッジの採点の割れ方が小さくなるようにジャッジの育成に力を入れれば良いと考えます。
 ちなみに、最近の国内のアマチュアボクシングでもスコアは試合現場では中間公表されませんでした(TV放送画面ではリアルタイムで表示される)。

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。