2017-10

『日本沈没』

『日本沈没』
  2006年の映画館で観た映画:23本目
  映画を観た日:2006年7月29日(土)


 “日本列島”が主人公の映画。
以前、オリジナル版(映画)を観たときにはそうでもなかったのだが、今回は「この映画の主人公は“日本列島”だ」と強く感じた。

 日本の沈没が始まり、見慣れた“ニッポン列島のカタチ”が、徐々にその輪郭(海岸線)から変わっていくことに、一番心を動かされた。正直言って、劇中の人間ドラマよりも

「今映画を観ている、この映画館のあるところの被害はどうなっているのか?」
「自分の実家のあるところは、まだ沈んでいないのか?」
「自分の住んでいるところは、まだ沈んでいないのか?」
「自分の卒業した学校があるところは、まだ沈んでいないのか?」

ということの方が気掛かりであった。

                 (以下、ネタばれ有り)
 渋谷の109周辺と思われる場所が崩壊するシーンは、映画を観ている場所から近かっただけに、インパクトが大きかった。
 同じ109が崩壊するシーンでも、「怪獣が壊す」のと「地震で壊れる」のとは、受ける印象が全く違う。怪獣が壊す場合は、明らかに虚構であり、一種の“祭り”ですらある。「やれ~、ぶっ壊せ~」みたいなノリで見ることができる。しかし、地震で倒壊する映像に対しては、とてもそんな気分にはなれない。
 凄いとか怖いとかではなく、心が痛かった。日本列島が傷を負うごとに、自分の心も傷付いていくような感じがした。

 今回の『日本沈没』は、日本の沈没が途中で阻止される。それが、逆に“日本沈没”というテーマを強く印象付ける効果を生んでいた。
 何故なら、日本が完全に沈んで地図からキレイさっぱりと消えてしまうことよりも、日本列島が海岸線をボロボロに侵食され、各列島をズタズタに引き裂かれた姿で残っていることの方が、日本人にとっては遥かに悲惨な心象風景であるからだ。
 この原作から大きく異なる結末を選択したことは、大成功だったと思う。
 また、その「日本沈没阻止方法」を新聞紙を使って説明するシーンが、オリジナル版(映画)へのオマージュになっているところも心憎い。
 悲惨な風景の中に、侘び・寂を感じさせるカットも有り、日本映画ならではの映像美を観ることも出来た。

 不満な点は、「わだつみ6500」の代わりに「わだつみ2000」を使うことになる件が、あっさりと流されたこと。まるで、小野寺がたった一人で「わだつみ2000」を使える状態に持っていったように見えた。
この映画では、プロフェッショナルが己の仕事を成し遂げることの尊さが描かれている。主人公は深海探査船のパイロットとして、ヒロインはレスキュー隊員として。
 プロのエンジニアの仕事振りも、ちょっとで良いから効果的に描写して欲しかった。エンジニアである私は、そう思う。
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コメント

はじめまして!

先日は一方的なファーストコンタクトにお答えいただきまして、ありがとうございました。また、コメントandトラックバックありがとうございました。
http://takaccc.seesaa.net/article/22037752.html
音の感想、とても参考になりました。やはり思う事は映画館のせいかと...高品質の音に慣れている人とかいうレベルではありませんでした。映画のはじめ、爆発シーンなどはボォーという音しか聴こえてきませんでしたから...セリフはまったく聴こえません。モゴモゴといった感じです。想像できると思いますが、まったく迫力がありませんでした。(涙)
ただ、一緒にいた友人の証言もありますし、あれ?自分が悪いのかな?と思ってしまうところもあります。予告編(他の映画)とは明らかに高周域の出方が違ったもので、 気になってしまったのかも知れません。
今後とも情報交換よろしくお願いします。

「変だ!」体験

 takaさん、こんにちは。
 実は私も映画館で「あら? 何これ」みたいな体験があり、「俺だけか? 俺の錯覚なのか?」という思いをしたことがあるので、共感してコメントさせてもらいました。
 この映画館における「変だ!」体験を記事にしたら、またトラックバックさせてもらうかも知れません。

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。