2017-10

『ゲド戦記』

『ゲド戦記』
  2006年の映画館で観た映画:20本目
  映画を観た日:2006年7月29日(土)


 この映画を劇場で観るかDVDが出るまで待つか迷っている人は、DVDが出るまで待った方が良いと思う。
 駄作とまでは言わないが、劇場で観る価値のある映画ではなかったというのが私の正直な印象だ。それは何故か?

 最大の理由は、絵のクオリティの低さだ。
 前作の『ハウルの動く城』もそうだったが、過去のスタジオジブリ作品には「この絵だけでも、大枚(注※1000円札のこと)払った価値はある」と思わせる部分が必ずあった。『ハウルの動く城』の場合は、ハウルの城がギッチョンギッチョン動くところなどがそうである。
 今回の『ゲド戦記』には、それがない。まるで、「ちょっと金の掛かったTVアニメ」を劇場スクリーンに映しているだけという感じだ。この程度の映像しか見せてくれないのなら、350円でDVDレンタルして、家の36インチワイドに映せば充分である。

                 (以下、ネタばれ有り)
 一番不満な点は、クライマックスシーンだ。テルーとクモが対峙するシーンは、『ナウシカ』系統のジブリ作品としては、有り得ないほど安っぽい。いや、「っぽい」ではなく、本当に「安く上げた」に違いない。低予算丸出しの酷い絵作りだった。

 そもそも、展開そのものが駄目である。
 物語冒頭で竜同士の共食いを見せておいて、クライマックスにアレはないだろう。竜頭蛇尾とは正にこのことである。原作がどうなっているかは知らないが、この作品はアニメなんだから、見栄えのする絵を持ってこなければ盛り上がらないに決まっている。
 普通に考えられる展開、すなわち竜&アレンとクモの変身した化け物が、大空を舞台に立体的で派手な戦闘シーンを繰り広げるという展開が、何故出来なかったのか理解に苦しむ。

 お約束映像とも言える「石造りの建築物が崩落する絵」も、クオリティが低かった。アレンの立つ石造りの床が崩れ落ちる絵のクオリティの低さを観た瞬間、私の中で、スタジオジブリのブランドも崩れ落ちてしまった。

 そして、声優陣の酷さが作品のレベルを更に引き下げている。
 ハッキリ言って、下手クソ。
 風吹ジュン、田中裕子、菅原文太、この3人は出番も多く、特に耳障りだった。
 アニメを普通に見て育っている世代かつ中学生以上であれば、
「あ、このキャラの声をアテているのはプロの声優じゃない」
「あ、このキャラも」
ということが、もう一発で判ってしまったのではないか。私はそうだった。
 国王とか王妃のみたいなチョイ役なら、まぁ下手でも話題作りのネタとして、ご愛嬌で済まされる。しかし、ハイタカのような主役クラスの場合はそうはいかない。
 私がプロの声優でないことを見破れ(聴き破れ)なかったのは、ウサギを演じた香川照之だけである。彼に関しては、普通の声優が演じていると勘違いさせられた(WOWOWで何度も彼の変顔ならぬ「変声」を聞いた経験があるのに…)。

 これだけの俳優を集めれば、ギャラも馬鹿にはならないだろう。
 この似非声優陣(香川照之を除く)のギャラのため、絵に充分な予算を回すことが出来なかったのではないか?
 そして、そう仕向けたのは、電通とスポンサーなのではないか?
 そんな邪推もしたくなるような、作品の仕上がりであった。

 『ナウシカ』の頃からイメージソングを音痴の安田成美に歌わせることを許したり、『トトロ』で糸井重里を声優に起用したりしていたが、今回は本当に酷すぎた。
 「この作品で、スタジオジブリは事実上終わってしまった」とならないことを、切に願う。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。