2017-10

『セイザーX』、完結!の補足

『セイザーX』、完結!の補足

※この記事は、『セイザーX』、完結! の補足である。

 『セイザーX』の最終話をHDRから削除する(DVDを買うので問題ない)前に、ちょろっと再生してみた。そうしたら、ちょこっと気付いたことがあったので、書いてみることにする。

 拓人の手首からストレージリングが消滅したとき、喪失感がほとんど感じられなかった。セイザーXの制服を着用していない拓人にとって、それがセイザーXとしての唯一の記号であるにも関わらず、だ。
 確かに、ストレージリングが消滅した時点で既に戦いが終結しており、拓人はもうライオセイザーに変身する必要はなくなっていた。その意味では、不要となったアイテムが消滅しても、喪失感が薄いのは当然かも知れない。
 しかし、ストレージリングが消失しても、拓人は拓人のままであって何も変わらなかった。この「アイテムを喪失しても何も変わらない」という点が、とても重要であるように感じられた。

 物語は、拓人がライオセイザーとなって戦うことから始まった。物語が進むにつれ、拓人は変わっていった。拓人は、戦いを通じて成長し、一人の人間として逞しくなったのだ。
 しかし、拓人はストレージリングの力で成長したわけではない。ストレージリングの力が拓人に宿っていたわけではない。だから、ストレージリングが消失しても、成長した拓人には何の揺るぎも無かったのである。

 こう感じられるのは、劇中において、ライオセイザーがデフォルトのままで最後まで戦い抜いたということも大きく作用していると思う。
 ライオセイザーは、アイテムの力で強化形態へと2段変身するといったパワーアップ描写がなく、ライオブレーカーとのセットという最初の姿を最後まで貫き徹した。変身後に「アイテムに依存して強くなる」というイベントがなかったことが、変身前の拓人に関する「アイテムに頼らず本人自身の力で成長を遂げた」というイメージをより鮮明にしているのだ。

 なお、コスモカプセルは等身大の戦闘でも重要な役割を果たしていたが、それは“強力な弾丸を装填する”といった即物的なイメージでしかなかった。
 コスモカプセルが、武器である以前に「12個全部集めれば、どんな願いでも叶う」という“お願いアイテム”であり、個々の戦闘(戦士)とは別次元に位置する「上位アイテム」であるという点も大きい。本来は武器ではないものを必要に応じて武器として使っていると取れる描写は、ヒーローの存在や強さ自体はアイテムには依存しておらず、むしろ切り離されているという印象を与えていた。

 若い主人公が戦いに身を投じ、戦いを通じて成長し、最終的には勝利という形で戦いを終わらせる。
 始めは衝突していた仲間とも次第に理解を深め、最後には固い友情で結ばれる。
 そして迎える、新たなる旅立ちという別れ。
 拓人のストレージリングが消滅したのに、アド達の制服が消滅しなかった理由が、ここで分かる。
 拓人にとって、ストレージリングは拓人を表す記号ではなかったが、アド達にとって、セイザーXの制服は、異星人(異邦人)であることを表す記号なのだ。異邦人として別の世界に帰って行くためには、そのための記号が必要なのである。(逆に、異邦人であるアド達が地球に残り続けるのであれば、拓人のストレージリングが消滅すると同時にアド達の制服も消滅するべきだった。ちなみに、レミーは地球人であることが既に判明しているので対象外)

 アド達が、コスモカプセルに導かれて旅立っていくという演出も良かった。コスモカプセルという重要なアイテムが付加されたことで、存在そのものが無くなってしまったシャーク隊長消滅のシーンとの差別化が図られていた(映像的には大差ないが、受ける印象が違う)からだ。
 また、最初は個々のキャラクター(サンダーラを除く)とは別次元に位置する「上位アイテム」であったコスモカプセルが、最後には南総里見八犬伝の玉の如く個人に帰属するようになるという図式も、物語の締め括りとして収まりが良い。

 最初は「ドラゴンボール方式の宇宙刑事戦隊か」とか「主役の俳優がロンドンブーツの1号だか2号だかに似過ぎ」とか、否定的な印象を抱いて観ていた。しかし、王道を行く正統派ヒーローであり、それでいて決まったパターンに嵌らない展開の多様性を有する『セイザーX』を、毎週楽しみに観るようになるには余り期間を要しなかった。
 私は多分、これからはずっと、ロンドンブーツの1号だか2号だかを見るたびに、「拓人を演じた高橋良輔(たかはしりょうすけ)に似ている」と思うことだろう。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。