2017-10

『小さき勇者たち GAMERA』

『小さき勇者たち GAMERA』
  2006年の映画館で観た映画:11本目
  映画を観た日:2006年5月6日(土)


 なかなか良い映画だったが、居心地ならぬ見心地の悪いアンバランスな映画でもあった。
 子供メインの家族向け映画としては、『子ぎつねヘレン』の方が明らかに完成度が高かった。

 しかし、主人公が少年だったことは高く評価したい。何しろ平成ガメラ3部作は全て女性が主人公だったし、平成ゴジラシリーズでもゴジラと精神感応できるのは女性だったのだ。漸く、「怪獣を男子の手に取り戻した!」という感じである。
 おまけに、主人公役の富岡涼くんは「亀顔」で、ガメラの友達としての映像的説得力が大きかった。『子ぎつねヘレン』の少年役の深澤嵐くんも立派な犬顔だったが、富岡涼くんの亀顔は、それ以上のインパクトである。また、演技もしっかりしており、大人の役者たちと比べても全然見劣りしない。堂々たる主人公であった。

 ところが、もう一人の主人公である、“トト”ことガメラがピリッとしない。
 ハッキリ言って、描写が非常に雑。
 小さい頃から飛んでしまうのは良いとしても、そこにリアリティがほとんど感じられない。一般的なリアリティはもちろん、ガメラの子供としてのリアリティも感じられない。
 ガメラの子供なら、手足を引っ込め(顔は出したままで良い)、そこからガスを噴射しなければダメだろう。実際の映像では、トトのお腹の甲羅部分から熱気流が発生していたように見えたが、透少年がその部分を触っても全然熱そうにしなかったので、まるで説得力が感じられなかった。
 何も食べていないのに、トトが突然大きくなる点も、また然り。
 この作品が、全編ファンタジー調のお話ならそれでも良いのだが、親子の日常などは生活感バリバリで現実味たっぷりに描かれている。この落差が、観ていて違和感を感じさせるのだ。

 ガメラのプロップの出来が今イチであるのも辛いところだ。
 怪獣サイズになってからも、敵怪獣ジーダスと着ぐるみのノリが違うし、ミニチュアの造り込みとの統一感もない。ガメラの着ぐるみが、特撮映像の中で浮いてしまっているのだ。
 可愛らしさを狙うこと自体は良いが、明らかにやり過ぎ。アングルによっては「中に人間が入っている」ことが丸出しになる着ぐるみのデザインも問題だ。ガメラは亀であるはずなのに、全然カメっぽくないのである。

 これは日本特撮の伝統的欠点でもあるのだが、人間ドラマのクオリティと、特撮のクオリティがバランスしていない。
 人間ドラマをシリアスに描くなら、特撮のクオリティもシリアスにしなければならないのに、それが実現できていない。
 人間ドラマがコミカルに描かれていれば、今回の作品の特撮のクオリティでもバランスが取れ、作品全体の統一感・完成度が向上しただろう。とにかく、この作品の人間ドラマの部分が、作品全体と比べて不釣合いに重いのである。政府や軍隊の描写の中途半端さは、この作品の歪みを象徴していたと言えるだろう。

 最初に、具体的な年代を出した時点で、この映画は失敗していたのかも知れない。
 「お父さんが、まだ子供だった頃…」とか、少しでも生々しさを消す語り口で描くべきだったと思う。
 そうやってファンタジー映画というコンセプトを貫いた造りにすれば、クライマックスの子供たちや大人たちの行動にも、素直に感情移入できたように思う。

 大人向けのVシネマみたいな演出は、ファンタジーの空気には溶け込めない。
 そんなアンバランスな、もったいない作品であった。
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 写真撮影時40歳。
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