2017-08

『 異星(ほし)から来た桃太郎 』

『 異星(ほし)から来た桃太郎 』         

※これは、今から4年以上前の 2002/01/27(Sun) 05:16 に、某掲示板(既に存在しない)に書き込んだ、私流の桃太郎ストーリーです。元ネタに『桃太郎侍』も使っています。『響鬼』も、そうだったりして?※


 昔々の日本…のように見える、山のふもとの村。
 おじさん(中年の男性・夫)は山へ焚き木を採りに、おばさん(中年の女性・妻)は河で洗濯をしていた。
 突然、青空の彼方から真っ赤に燃え盛る火の玉が飛んで来て、おじさんのいる山の方へ落ちて行くではありませんか。それを河辺で見上げて驚き、おじさんのことを心配するおばさん。
 一方、山にいるおじさんは、火の玉が飛びながらパックリと割れて中から桃色の球体が現れ、パラシュートを開いて減速しながら河の上流に落ちていくのを目撃して目を丸くする。

 無事河に着水した桃色の球体は、どんぶらこっこと河を下っていき、河辺で洗濯をしていたおばさんのところへ流れ着く。桃色の球体は、モニター装置でおばさんを確認するすると、アンカーを出してそこに停止した。
 そこへ、慌てて山を降りて来たおじさんが到着。夫婦は警戒しつつも次第に好奇心が募り、桃色の球体を調べ始める。このとき、桃色の球体のモニター装置もまた、夫婦を調査していた。夫婦が桃色の球体の表面に触れたとき、球体から、赤ん坊を抱いた一組の若い男女の立体映像が投影され、メッセージを伝え始めた。
「どうか驚かずに、私たちの話を聴いてください。このカプセルの中には、この子が…私達の子供が入っています。悲しいことですが、この映像をあなた方が見ている頃、私達はもう生きてはいないでしょう。どうか、この子をあなた方の子供として育てて下さい」
 桃色の球体(カプセル)が割れるように開くと、その中には可愛い元気な赤ん坊が。夫婦が赤ん坊を抱き上げてカプセルの外に出すと、カプセルは自動的に閉まっていく。
「このカプセルの中には、私達の形見が収められています。この子が普通に暮らしていけるのなら、必要のないものです。でも、この子が大きくなったとき、もし必要となったのなら、あなた方の判断でそれを与えて下さい。どうか、この子をお願いします…」
 立体映像が消えた。顔を見合わせる夫婦。
「若くして死んでしもうた夫婦の幽霊が、子供のない私らに、子供を託してくれたんかのう?」
「不思議な格好をした夫婦じゃった…いや、もしかしたら天の神様かも知れん。この桃色の玉は、空から落ちて来た火の玉の中から飛び出してきたんじゃ。その中に入っておったこの子は、まさに天からの授かりもの者じゃて」

 夫婦は赤ん坊を、自分たちの子供として育てることにする。
 村人は、突然現れた赤ん坊を怪しむ。夫婦が「籠に載せられて河上から流れて来た」と説明しても納得せず、「村の外から来た余所者」、あるいは火の玉と関連付けて「不吉な赤ん坊」「祟りが有る」として排斥しようとする。しかし、夫婦は屈せず、赤ん坊と一緒に村に留まる。
 赤ん坊は桃太郎と名づけられ、夫婦の子供として、すくすくと成長する。しかし、常人にはない特殊な能力(並み外れた身体能力や、念力などの超能力)を自然に発揮してしまい、出生の件もあって村人には疎んじられ続ける。
 それでも桃太郎は夫婦の愛情により、優しく正義感のある男子として成長していった。同世代の子供の多くは桃太郎を異端視したが、ちょっとした事件がきっかけで少数の仲良しが出来た。桃太郎は、それで充分幸せだった。

 ただ、桃太郎は、ある夢を何度も繰り返し見ることに悩まされていた。
 その夢は2種類あり、一つは、自分の本当の親と思える若い男女が、恐ろしい顔・姿をした化け物とも人間ともつかぬモノに殺される場面。もう一つは、自分が星空の中を飛んで行き、青く美しい巨大な球体(地球)の中に吸い込まれていく(大気圏突入)映像。
 村人から、自分が夫婦の本当の子供でないことを聞かされていた桃太郎は、その夢のことや自分の出生について夫婦に尋ねるのだが、「お前は天から授かった、わしらの子供」としか答えてくれない。

 月日が経ち、桃太郎は青年に成長していた。
 ある日、桃太郎と夫婦は、火の玉が天空を遥か遠く(街)の方へ飛んでいくのを目撃する。
 それからしばらくすると、「街に“鬼”という化け物が出て、人をさらっている」という噂が村に伝わる。
 そして、遂に桃太郎の村にも鬼が現れ、若い娘が一人さらわれた。その娘は、桃太郎と子供の頃から仲良しで、お互いに心を寄せ合っていた、“お祐美”だった。桃太郎は、お祐美を取り戻すため、街へ行くことを決意し、夫婦にそれを伝える。
 夫婦は始めは引き止めるが、桃太郎の決意が固いことを知ると、彼を連れて「開かずの納屋」へ入る。そこは、今まで桃太郎が入ることが許されていなかった禁断の場所。彼が入っていたカプセルが、ずっとここで保管されていたのだ。
 カプセルを前にして、夫婦は桃太郎に自分たちの知る全てを話して聞かせる。そして夫婦がカプセルに触れると、再びカプセルが開き、若い男女の立体映像が投影された。それは、桃太郎の夢に登場する男女であった。
「私達の形見が必要となったのですね。出来ることなら、ずっと使わずにいて欲しかったのですが…」
 カプセルの内壁が開き、4つの腕輪が現れる。
「一つは、私達の子供が使うもの。他の三つは、助けてくれる仲間に使ってもらうものです。欲する形と力を念ずれば、それが得られます。ただし、決してむやみに使ってはなりません。この道具の力は、使い方を誤れば使う者自身をも滅し、大きな災いを招くことになるでしょう…」
 桃太郎は腕輪を装着し、「鬼と戦うための、鎧と刀が欲しい」と呟いた。すると、腕輪から光が流れ出して桃太郎の全身を包み込み、一旦、宇宙服のような装備として実体化したのち、2、3秒で武士の鎧に似た形へと変形した。
「鎧が、語りかけてくる…!」 
 桃太郎の頭部を覆った軽装の兜から、桃太郎の脳へと直接、装備の仕様が伝えられているのだ。(刀は、自由に威力を調節できるレーザーブレード、etc)
 旅支度を済ませた桃太郎は、夫婦に一時の別れを告げる。
「お母ぁ、お父ぅ、行って来ます。お祐美を取り戻して、必ず帰ってくるよ」
 全てを知ってもなお、桃太郎が自分たちのことを「お母ぁ、お父ぅ」と呼んでくれることに涙ぐむ夫婦。
 
 街へ行く道中で桃太郎は、青鬼(男性)が率いる“鼠鬼”と呼ばれる下っ端の鬼集団の襲撃を受ける。
鼠鬼は、量産型の強化服ユニットを使って人間(山賊)が変身した姿だった。
 桃太郎は、次郎と名乗る勇敢な青年の協力を得て(桃太郎は次郎に腕輪を与える)、これを撃退。山賊は、街からやってきた青鬼に雇われて鼠鬼になっていたのだと言う。
 青鬼は桃太郎に準じるレベルの強化服ユニットを装着した強敵で、今回は退却させたものの、再び戦うことになることを桃太郎に予感させた。

 腕輪を装着した次郎は、人間サイズのロボット犬のような姿(フレンダーを日本犬にしたような感じ)に変身することが出来るようになる。腕輪は単なる強化服ではなく、装着者の骨格などの生体組織を装備の仕様に合わせて調整する機能も有しているのだ。(犬状の頭部は装着者自身の頭部ではなく、頭部の延長上にある純メカニック。イメージ的にはメカゴジラの着ぐるみを着ているのと似た感じで、人面犬のイメージではない)
 ただし、地球人である次郎にとっては、強化服による変身は体力の消耗が激しく、桃太郎の強化服に装備されている“きび団子”(一口サイズの強化食)を必要とするのだった。

 街の入り口で、桃太郎たちは、赤鬼(女性)が率いる“猫鬼”の襲撃を受ける。
 猫鬼は、さらわれた街の女性が赤鬼に操られて変身させられた姿であった。そのことを知ってしまったこともあって、応戦に苦慮する桃太郎たち。
 しかし、知略に長けた佐助と名乗る青年の協力を得て(桃太郎は佐助に腕輪を与える)、赤鬼を撤退させることに成功、猫鬼にさせられていた女性たちを解放する。
 腕輪を装着した佐助は、人間サイズのロボット猿のような姿(メカニコング風ではなく、日本猿的なプロポーション)に変身することが出来るようになる。
 また、解放された女性のうち、猫鬼になっていたときリーダー格だった女性も、桃太郎の仲間に加わる。彼女は“お奈津”。妹が“鬼が島”に囚われているので、助け出したいのだという。
 桃太郎は、お奈津に腕輪を与える。腕輪を装着したお奈津は、人間サイズのロボット雉のような姿(形は雌だが、配色は雄のように派手)に変身することが出来るようになる。

 お奈津(かつて鬼が島に囚われていた)の案内で、桃太郎一行は鬼が島に進入する。
 鬼が島では、二人の本物の鬼(青鬼、赤鬼)が、さらってきた街の人々を奴隷として使い、地下資源を採掘していた。
 桃太郎一行は囚われている街の人々を解放する手筈を整え、青鬼、赤鬼を“鬼城”へと追い詰める。しかし、鬼城の中には、もう一人の本物の鬼・黒鬼がいた。
「お、お前は…俺の本当のお母ぁとお父ぅを殺した鬼!」
 黒鬼は、桃太郎が悪夢の中で見た鬼だった。
「なるほど…お前は、あのときカプセルで脱出した子供か。生きていたとはな」
「おのれ、お母ぁとお父ぅの仇!」
 怒りと憎しみに身を任せ、黒鬼に斬りかかる桃太郎。しかし、黒鬼は強い。そして戦っているうちに、桃太郎の鎧が変形し、黒鬼の姿に似た形になっていく。
「これは、一体…?」
 自分の姿の変化に気付いて驚く桃太郎。
「お前の両親は、我々の仲間、鬼だったのだ。つまりお前も鬼の子、人ではない。我々と同じ鬼なのだ」
「お母とお父を殺しておいて、何を言う!」
「お前の両親は、計画を実行する直前になって裏切った。だから殺したのだ」
「嘘だ! 嘘だ!」
 黒鬼を殺せば、その言葉も打ち消せるとばかりに戦い続ける桃太郎だが、その姿は見る見るうちに黒鬼に近づいていく。
 桃太郎の脳裏には、宇宙から見た地球、鬼たちが乗っていた火の玉、納屋で見た自分の乗って来たカプセルの映像がフラッシュバックする。
(この鬼たちは、あの火の玉に乗ってやって来た。俺も、火の玉に乗ってやって来た。確かに俺は、人ではない…)
「そうだ、そのまま鬼になれ。鬼に戻れ。お前は鬼の子だ。子供の頃から鬼だったのだ」
 鬼と化しつつある強化服に取り込まれ、意識が混乱してくる桃太郎。子供の頃、村人の前で超能力を使ってしまい、化け物を見るような眼で見られたり、石をぶつけられた記憶が幾つも蘇る。
「憎い…殺す…」
 ついに、桃太郎の兜から角が生え始めたその時! 若い娘の叫びが響いた。
「桃太郎ぉー! 鬼にならないで!」
 お祐美だ。お奈津が、お祐美を連れてきてくれたのだ。
(憎い…誰を憎むんだ? 殺す…誰を殺すんだ? 俺は、なぜここにいるんだ? お母ぁとお父ぅの仇を取るためか? 違う…大切な人を取り戻すためだ!)
「お祐美ぃー!」
 桃太郎は大きく後方へ飛んで宙返り、黒鬼との間合いを開ける。着地した桃太郎は、元の武士風の姿に戻っていた。
「鬼から生まれた桃太郎!」
 刀を構え、見栄を切って見せる桃太郎。
「お奈津、お祐美や他の人達の脱出の準備を頼む。次郎、佐助、俺と一緒に戦ってくれるか?!」
「おう!」 「もちろん!」

 桃太郎・犬(次郎)・猿(佐助)と、黒鬼・青鬼・赤鬼の、三対三の最終バトルが始まった。その間に、お奈津、お祐美が囚われている人を解放し、鬼が島脱出の準備を進める。
 桃太郎は、戦いの中で鬼が鬼城からエネルギーを得ていることを見抜き、鬼城が墜落した宇宙船をカモフラージュしたものであることに気付く。桃太郎は村を出る前、カプセルから宇宙船についての知識やデータを得ていたのだ。
 これを逆に利用する機転が功を奏し、桃太郎チームは鬼チームに勝利。しかし、桃太郎は鬼たちの強化服ユニットを完全に破壊したものの、鬼を殺そうとはしない。それどころか、鬼城=墜落した宇宙船を爆発させる準備を手早く済ませると、傷ついた鬼たちに肩を貸して一緒に城から脱出する。
「なぜ助ける? 俺はお前の両親をこの手で殺したんだぞ」
「お前が死んでも、お母とお父は生き返らない…」

 鬼城=墜落した宇宙船が爆発したのを見届けると、桃太郎は鬼たちに言った。
「これでお前たちは、鬼としての力の大部分を失った。残っている超能力を使って、これからも鬼として生きるのか、それとも人として生きるのか、それは自分で選べ」
「バカなヤツだ。我々とお前、そしてあの宇宙船の力を合わせれば、この世界をたやすく支配できたものを」
「言ったはずだ… 俺は、鬼から生まれた桃太郎」

 桃太郎一行は、囚われていた人達と一緒に船で鬼が島を後にする。船には、囚われていた人達が島から採掘した貴金属類が積みこまれている。それをチョイト失敬しようとする佐助を、お奈津がピシャリと一撃。
「ちょっとぐらい、いいじゃねぇかよう」
「ダメに決まってるじゃないの! この金はね、この人(囚われていた人)たちが鬼にこき使われて、汗水流して掘り出したもんなんだよ。あんたも街に戻ったら、少しはマジメに働きな」
 一件落着の雰囲気の中、桃太郎は一人、疎外感を感じていた。そんな桃太郎に、お祐美は優しく寄り添うのだった…。

                   《 終 》
スポンサーサイト

トラックバック

http://sinden.blog6.fc2.com/tb.php/225-b55e8314

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。