2017-10

『 ゴ ジ ラ 地 獄 』

             『 ゴ ジ ラ 地 獄 』

                (1999年12月28日頃に書いたもの)

 一応、『ゴジラ対ヘドラ』のオマージュとして発想したものが核となったオリジナル版ゴジラ映画です。
 タイトルは、最近観た『地獄』からイタダキました。『ゴジラ対ヘドラ』以上に、既成概念から外れたゴジラ映画のつもりです。なお、『地獄』同様、R15であり、映画館に足を運ぶ観客としての子供存在は無視しています。

 それでは、あらすじを説明します。椎名林檎さんのCD『本能』をお持ちの方は、エンドレスモードで聴きながらお読み下さい。ちょっとエグイけど、我慢して最後まで読んで頂けたら、感動?されること請け合いです。
 なお、主人公のキャスティングは、椎名林檎さん・菅野美穂さん・吉野公佳さん・小沢真珠さん・葉月里緒菜さんの中からお好きな女優さんを選んでイメージして下さい。


 夜の工場地帯。鉄製の階段に、退廃的な雰囲気の女性が腰掛けている。彼女の足元には、男性の肉体がが横たわっている。男は、自分の手首を中心にして出来た血だまりに、顔を突っ伏して死んでいる。
 女性は、靴のヒールで男性の死体を意味もなく突つきながら、自分の手首から流れ続ける血を、つまらなそうに見つめている。
「サクラ、サクラ、私はサクラ。私はサクラ、散無(ちれない)サクラ…」
 そのとき突然、、夜の工場地帯を、青白い炎の、信じられないくらい太い束が横切っていく。ワンテンポ遅れて、青白く太い炎が舐めた後の工場地帯に、爆発が走っていく。
 そして今度は炎がやって来た方向とは反対側から、赤い稲妻のような光が工場地帯を横切っていく。半テンポ遅れて、爆発がその後を追いかけていく。
 退廃的な女性、散無サクラは階段を駆け昇り、燃え上がる工場地帯の上を行き交う青白い炎の束と赤い稲妻を見つめる。そして、その炎の中に、浮かび上がる巨大な二つの影を見いだす。
 (私の待ち望んでいたものが来た)燃え上がる工場地帯を映す彼女の瞳は、恍惚とした喜びに潤んでいた。

 タイトルが被さる――    『  ゴ  ジ  ラ  地  獄  』

 画面変わって、ニュース番組の画像。
「昨日深夜、工場地帯に、怪獣ゴジラと、怪獣ジゴクが出現しました。当番組では今後、この怪獣の動きを生中継にてずっと追い続けて参ります。チャンネルは、そのまま」

 場面変わって、日の出、朝焼けに染まり始めた街。
 こんな時間から満員の、パチンコ店内。どの台も、かかりそうでかからない。散無サクラも、けだるそうに台に向かっている。やはり、かかりそうでかからない。
 朝焼けを背に、ゴジラが、その反対方向からジゴクがやって来る。朝焼けの街を破壊しながら、ゴジラとジゴクはパチンコ店でぶつかるコースを直進し続ける。
 怪獣が近付くにつれ、振動がパチンコ店内を揺らし、足音がどんどん大きくなって伝わってくる。それでも客は振動を、足音を、外の様子を気にしながらも、必死にパチンコ台にすがりつき、離れようとしない。ゴジラとジゴクはどんどん近付いてくる。
 店内が大地震のように揺れ始め、建物が大きく軋みだしたとき、パチンコ台が一斉にかかり出す。客達は振動で座っていることすら出来ない状態であるにもかかわらず、恐怖と歓喜の入り交じった表情で、銀玉を吐き出すパチンコ台にしがみついている。ただ一人、散無サクラの台だけが、まだかからないまま。
 ついにパチンコ店は崩壊を始め、天井が裂けて銀玉が滝のように流れ落ち、客は崩れ落ちる壁や台の下敷きになって死んでいく。
 パチンコ店をあっけなく押し潰すゴジラとジゴク、今度はもみ合うようにして別の方向へと向かって行く。
 パチンコ店の残骸の中から、散無サクラが姿を現す。全身埃まみれ、銀玉まみれだが、いたって元気そう。
「ちょっと待ちなさいよ~、あたしも押し潰してよ~」
離れていく怪獣達に呼びかける散無サクラ。怪獣達には、届くはずもない。

 画面変わって、ニュース番組の画像。
「今朝早く、街に怪獣ゴジラと怪獣ジゴクが出現し、パチンコ店その他が完全に崩壊するという被害が出ました。当番組では、今後もこの怪獣の動きを生中継にてずっと追い続けて参ります。チャンネルは、そのまま」

 場面変わって、ドーム型球場。中では、野球の試合が行われている。チケットを持っていないため球場に入れて貰えず、周りをウロウロしている散無サクラ。そうしているうちに、ドーム型球場を挟むようにして、ゴジラとジゴクが近付いてきていることに気付く。
「ねぇねぇ、ゴジラとジゴクがこっちへ向かってくるよ」
球場へ続く通路に立つ警備員に、散無サクラが話しかける。警備員は彼女に促されてそれを確認する。
「ああ、ああ、本当だ。それじゃ、アナタも中に入りなさい」
「うん、そうさせてもらうわ…」近付いてくるゴジラとジゴクを交互に見ながら、のんびりと球場へと続く通路を歩いていく散無サクラ。
 散無サクラが球場に入った頃には、もう怪獣の接近による振動がドームの中に伝わってきている。それでも今や試合は0対0のまま9回の裏を迎えており、観客も選手も、盛り上がりは最高潮に達しようとしている。
 先頭打者が倒れ、1アウトとなったところで、ドームの天井が1/3崩れて落下、その下にいる観客と選手の一部が潰されて死亡。それでも興奮は収まらず、選手を交代させて試合は続行。ドームの天井にポッカリと空いた穴から、ゴジラやジゴクの姿が見え隠れする。ゴジラとジゴクは、ドームのすぐ横で闘っているのだ。散無サクラは、何故か攻撃しているチームのベンチに入っており、ちゃんとユニフォームも着ている。
 次の打者が倒れ、2アウトとなったところで、ドームの天井が更に1/3崩れて落下、その下にいる観客と攻撃しているチームのベンチが潰され、選手が全員死亡。それでもベンチから瀕死の状態の監督が這い出してきて審判に何かを伝え、すぐにアナウンスが行われる。
「代打、散無サクラ。代打、散無サクラ…」
興奮の坩堝となる球場内。いたって元気な散無サクラがノロノロとバッターボックスに向かう間にも、ゴジラとジゴクは球場にその巨体をぶつけながら闘い続け、球場はどんどん壊されていく。
 バッターボックスに立った散無サクラは、初球をフルスウィングし、打球はぐんぐん伸びて場外へと飛んでいく。劇的なサヨナラホームランに、生き残っている観客は総立ちで大歓声。散無サクラの打った場外ホームランの打球は、ダイレクトでゴジラの目元を直撃する。
 ゴジラはゆっくりと振り返ると、球場内を狙って放射火炎を一閃。球場内はワンテンポ遅れて炎に包まれる。燃え盛る球場内、たいまつのように燃える人間。散無サクラは、炎に包まれたダイヤモンドを、ゴジラに羨望の眼差しを向けながら駆けていく。しかし、ゴジラは球場に背を向ける。散無サクラは、ホームベースの上で、途方に暮れて立ちつくす。
「ちょっと待ちなさいよ~、あたしも焼き尽くしてよ~」

 画面変わって、ニュース番組の画像。
「今日昼前、街に怪獣ゴジラと怪獣ジゴクが出現し、試合中だったドーム球場が焼き尽くされるという被害が出ました。当番組では、今後もこの怪獣の動きを生中継にてずっと追い続けて参ります。チャンネルは、そのまま」

 教会のような建物の前を、ウロウロしている散無サクラ。よじ登って、窓から中の様子を見ると、ミサのような厳かな集会が催されている。建物に忍び込む散無サクラ。
 いつの間にか散無サクラは集会に混じっていおり、服装も他の参加者と同じものを来ている。
 賛美歌のような歌が響き、祈りの儀式が行われる教会のような建物の中に、怪獣の鳴き声と足音の響きが伝わってくる。鳴き声と響きはどんどん大きくなり、響きというより地震と雷が同時に起こっているようになる。集っている人たちは外の様子を気にしているが、誰一人として逃げ出さない。
 ガラスが割れ、立っているのも困難になり、四つん這いになる人も出始めたとき、突然、天井をぶち抜いてゴジラの足が建物の中の人々を踏みつぶす。その一踏みから外れて生き残った人々が一呼吸したとき、もう片方のゴジラの足が踏み降ろされ、その人達を踏みつぶす。
 足音が遠のいた後、床に開いた穴から、散無サクラが姿を現す。泥まみれだが、いたって元気。
「ちょっと待ちなさいよ~、あたしも踏みつぶしてよ~」

 画面変わって、ニュース番組の画像。
「今日昼頃、街外れにに怪獣ゴジラと怪獣ジゴクが出現し、集会が催されていた講堂が潰されるという被害が出ました。当番組では、今後もこの怪獣の動きを生中継にてずっと追い続けて参ります。チャンネルは、そのまま」

 日も傾きかけた頃、ぶらぶらと、歩行者天国のストリートを歩いている散無サクラ。もの凄い人だかりに足止めをされる。ストリートの中心のビルの屋上でロックバンドのコンサートが行われており、周囲のビルの屋上や、その周りの道路に観客が押し寄せているのだ。
 ステージは既に熱狂している。群衆もハイになり、皆、狂ったように踊っている。そんな中、一人だけつまらなさそうな散無サクラ。踊り狂う群衆にモミクチャにされながら、何かを探して視線を高く泳がせる。
 ビルの陰から、ゴジラが突然、ヌッと顔を出す。見上げる散無サクラの表情が、パッと明るくなる。
 ゴジラはビルの影から姿を現しつつ、その巨体をくねらせながら、青白い炎の束を吐き出す。
 ゴジラの吐いた炎の束は、飲食店街を直撃し、ワンテンポ遅れて大爆発が起こる。爆発により、周囲にいた人たちが吹き飛ばされる。
 ゴジラが現れたのとは反対方向のビルの陰からジゴクが現れ、ジゴクが吐いた赤い稲妻のような光が、ストリートをなぞるように奔っていく。半テンポ遅れてストリートが地下から爆発し、周囲の人々がマンホールの蓋や配管、めくれ上がったアスファルトとともに吹き飛んでいく。
 歩行者天国のストリートを破壊し人々を吹き飛ばしながら、ゴジラとジゴクは、屋上でロックバンドのコンサートが行われているビルで衝突するコースを直進し続ける。
 群衆は、吹き飛ばされてその数を減らしながらも、屋上でロックバンドのコンサートが行われているビル目指して走り続ける。その後ろから、彼らを追いかけるかのようにゴジラ、ジゴクが迫ってくる。
 ついに、屋上でロックバンドのコンサートが行われているビルを挟んで対峙するゴジラとジゴク。ほぼ同時に互いに飛び道具を放つ。青白い炎の束と、赤い稲妻のような光が、ビルをはさんで交錯し、ビルとその周囲はいくつもの爆発に包まれる。
 爆発が止み、炎と煙が消えたとき、ゴジラとジゴクの姿も消えていた。
 ビルの瓦礫の中に出来た死体の山の中から、死体をかき分けて、もぞもぞと散無サクラが姿を現す。衣服はボロボロだが、いたって元気そう。
「ちょっと待ちなさいよ~、あたしも吹き飛ばしてよ~」

 画面変わって、ニュース番組の画像。
「今日昼過ぎ、歩行者天国のストリート街に怪獣ゴジラと怪獣ジゴクが出現し、ストリートコンサートに詰めかけていた群衆が吹き飛ばされるという被害が出ました。当番組では、今後もこの怪獣の動きを生中継にてずっと追い続けて参ります。チャンネルは、そのまま」

 日も傾きかけた頃。山の入り口の丘の上、川沿いに立てられた、豪華な造りの別荘。
 その別荘の入り口に、多種多様な老若男女が列をなして並んでいる。一人ずつ、招待券を守衛に確認してもらい、中へ入っていく。丘の下から、散無サクラがフラフラしながらも懸命に登ってくる。招待客の列も終わりに近付いた頃、散無サクラは別荘の入り口に辿り着くが、招待券を持っていないので、門前払いとなり、扉は閉ざされる。
 散無サクラは、扉を蹴飛ばしたり、鍵穴にヘアピンを差し込んだりして、なんとか中に入ろうとする。
 別荘の中では、多種多様な老若男女が主催者の乾杯を合図に、それぞれ自分のパートナーを探し始める。気に入った相手が見つかり、カップルとなると、その男女はその場で人目をはばからず、服を脱ぐのもそこそこに、チークダンスを踊るようにして男女の絡み合いを始める。
 夕焼けを浴びながら扉の前でアレコレ頑張っていた散無サクラが、ついに鍵を開けるのに成功する。彼女が疲れ切った表情で扉を開けて中へ入っていったとき、別荘の先の山の陰から、ゴジラとジゴクが姿を現す。もちろん、散無サクラはそれには気付かない。
 散無サクラが別荘の中に入ると、そこは既に多種多様な老若男女によるチークダンススタイルのSEXパーティと化していた。どこかにまだ余っている人はないか、絡み合う男女の群をかき分けるようにして別荘の中を探し回る散無サクラ。しかし、一心不乱に絡み合うカップルばかりで、誰も散無サクラのことなど気にもとめない。そのとき、開いたままのドアから出ていく人影が。散無サクラは、慌ててその人影を追う。
 ゴジラとジゴクもまた、絡み合うような格闘戦を繰り広げながら、別荘へと近付いていく。
 ゴジラとジゴクの咆吼と格闘による振動が別荘内にも伝わり、それがどんどん大きくなっていく。別荘の中のカップル達は、揺れが激しくなってきたためチークダンス状態ではいられなくなり、次々と床に倒れ込んでしまうが、それでもそのまま絡み合いを続ける。
 別荘から駆け出した人影は、川の中へと入っていく。川の深さは浅く、ちょうど踝ほど。散無サクラも、後を追って川の中へ入っていく。
 ゴジラとジゴクは絡み合うように格闘しながら、別荘を踏みつぶさんばかりまで接近している。
 ジゴクの長くて鋭い爪が、ゴジラの右胸を深々と突き刺した! その爪が引き抜かれると、傷口から滝のような血が流れ落ちる。
 滝のように流れ落ちるゴジラの血が、別荘を直撃し、屋根をぶち抜いて中へと流れ込む。奔流となったゴジラの血潮は、床で絡み合っている多数の男女を一気に飲み込み、壁をぶち抜いて別荘の外へと流れ出す。
 ゴジラの血の奔流とそれに飲み込まれた多数の男女は、そのまま川へと押し流される。
 それに気付かないまま、川を駆け下りる人物を追いかける散無サクラ、ついに人影に追いつき、その人物に後ろから抱きつく。しかし、次の瞬間、その人物は十字架のようなオブジェに変わっていた。
 散無サクラは、川の中央で、夕焼けに染まりながら、十字架のようなオブジェに自分から抱きつくような格好で張り付けにされている。
 そこへ、ゴジラの血の奔流とそれに飲み込まれた多数の男女が続々と流れてくる。ゴジラの血により、川の嵩は一気に腰の高さにまで達する。血の川の中を流れていく男女の死体、その中で張り付けになっている散無サクラ。辺り一面は、血のような夕焼けに染まっている。あるいは、本当にゴジラの血に染まっているのか。
 ゴジラとジゴクは、血塗れで絡み合ったまま、山の方へと戻っていく。
「ちょっと待ちなさいよ~、あたしも溺れさせてよ~」
 張り付けのまま、首を振って怪獣達に呼びかける散無サクラだが、その声は怪獣達には届かない。

 画面変わって、ニュース番組の画像。
「今日の夕方、山のふもとに怪獣ゴジラと怪獣ジゴクが出現し、川沿いの別荘がゴジラの血で押し流されるという被害が出ました。当番組では、今後もこの怪獣の動きを生中継にてずっと追い続けて参ります。チャンネルは、そのまま」
 そのまま、ニュース番組のスタジオ内部の風景。
「さて、今から時間の許す限り、ゴジラに関して各界の著名人によるディスカッションを行っていただこうと思います。テーマはもちろん、ゴジラとジゴク、です」
司会者の後方に、『死ぬまで生テレビ』というタイトルパネルと、視聴率を現す大きなディジタル表示器が設置されている。
 司会者の言う「各界の著名人」が、『朝まで生テレビ』よろしく、ゴジラとジゴクに関して口角泡飛ばして激論を始める。
 そのうちに、スタジオが揺れ出す。揺れが酷くなり、机の上のコップが倒れたかと思うと天井から照明が落ちてきて、「各界の著名人」のうち一人が下敷きになって死亡。その瞬間、視聴率を現す大きなディジタル表示器の数字がパッと上昇する。司会者はチラッと振り返ってそれを確認し、議論を煽る。
 揺れはますます激しくなり、照明や天井が崩れ落ち、「各界の著名人」が一人また一人と潰され、その度に視聴率を現す大きなディジタル表示器の数字がパッと上昇する。それでも激論は続き、司会者の煽りもヒートアップしていく。しかし、ゴジラとジゴクの叫び声が大きくなり、彼らの絶叫もかき消されがちになる。
 そして遂に、ゴジラの雄叫びとともにゴジラの尻尾が上から降ってきて、最後まで生き残っていた司会者ごと、スタジオをペシャンコに押し潰す。その直後、画面は一面ノイズになるが、それもすぐに切り替わってテロップの画面になる。
「しばらくお待ち下さい…チャンネルはそのまま」

 殺風景な部屋で、小さめのTVを覗き込むように見ている散無サクラ、憮然とした表情。
「もう待ってられない~、あたしの方から行ってやる~」

 夜。軍の志願兵受付所。散無サクラはユラユラしながらも列に並び、書類を受け取って記入し、正式に入隊を認められ、装備一式を受け取る。どうでも良さそうながらも、ちょっと嬉しそうな散無サクラ。
 戦闘服に着替え、装備一式を身に付けて兵士となった散無サクラは、早速戦車部隊に配属され、戦車に乗り込む(外見は実在の戦車だが、中身は一人乗りになっている)と、即、命令を受けて出撃する。
 夜の駅前のビル街で闘っているゴジラとジゴクを、戦車大隊が包囲していく。散無サクラの乗る戦車は、一台だけ遅れてやって来て、怪獣達から一番遠い所で一旦停車。ゴジラに近寄りたい散無サクラは、少しでも前に出ようとウロウロと移動を続ける。
 攻撃命令が下り、散無サクラを含む戦車大隊は一斉に砲撃を開始。
 いずこからか、ヘリコプターや戦闘機部隊も加わり、夜のビル街で、空と地上から怪獣二頭に対する波状攻撃が行われる。
 しかし、ゴジラとジゴクには砲撃もミサイルも効果が無く、戦車部隊や航空部隊は次々と怪獣によって破壊されていく。
 そしてゴジラの足元に散無サクラの乗る戦車が近付いていき、今まさに、一歩踏み出したゴジラの足の下に入って踏みつぶされようとした、そのとき!
 天から一発の核ミサイルが真っ逆様に降ってきて、ゴジラとジゴクの真上の空で、爆発した。
 夜のビル街がまばゆい光に包まれ、真昼よりも激しく照らし出される。
 その直後、雷鳴のような轟きとともに衝撃波がビル街を薙ぎ倒し、巨大なキノコ雲が全てを飲み込んでいった…。

 朝。青空と朝焼けが入り混じった綺麗な空。
 一面焼け野原となり、鉄骨を剥き出しにしたビルの墓場と化した、かつてビル街だった場所。
 瓦礫の中に半ば埋もれた戦車のハッチが開き、中から散無サクラが現れる。服は焼けこげたりしてボロボロだが、いたって元気そう。しかし、周囲には何一つ動くものはない。不安そうに周囲を見回す。
 少しすると、どーん、どーんとゴジラの足音が響いてくる。散無サクラ、ホッとした表情になり、満面に笑みを浮かべる。ふと気付くと、捻れてオブジェのようになった背の高い鉄塔が近くに立っている。
 鉄塔の下までいくと、ゴジラが真っ直ぐこっちに向かって歩いているのが見えた。
 散無サクラは、鉄塔をよじ登り始める。
 鉄塔の頂上に立つ散無サクラ。ゴジラがそこまで近付いてきている。散無サクラは鉄塔の頂上に立ったまま歌を歌い、ゴジラの手が届く距離まで近付くのを待つ。
 ゴジラはその手を伸ばせば散無サクラに届く位置まで来ると、そこで止まった。散無サクラも、歌を歌うのを止める。
「ねぇ~、早く握り潰して~、その大きな両手で~」
 ゴジラは散無サクラを凝視し、合掌するような格好で散無サクラを両手の間に挟んで押し潰していく。
 散無サクラの立つ鉄塔の鉄骨に、鮮血が伝って流れ落ちていく。
 朝焼けを背景に、オブジェのようにねじ曲がった鉄塔に向かって合掌しているようなゴジラの姿。
 ゴジラの押し合わされた手のひらの間から、朝陽よりも柔らかい光が滲み始める。
 ゴジラがゆっくりと両手を広げると、柔らかい光に包まれた、全裸の散無サクラの姿がそこにあった。
 背中には先端部が3つに別れた天使のような翼があり、その足は宙に浮いている。
 ゴジラに微笑みかける散無サクラ。ゴジラの瞳に映る、天使のような散無サクラ。
 ゴジラの背鰭に変化が生じる。
一つ一つの背鰭がどんどん長く伸び、それがやがて一つに重なり合い、大きな一対の天使の羽根のようになった。先端部は、散無サクラと同じように3つに別れている。
 散無サクラは羽根を羽ばたかせ、ゴジラの顔のすぐ横にその裸身を浮かべる。
 ゴジラが散無サクラを一瞥すると、散無サクラは、ちょっと淋しそうに頷いた。
 ゴジラと散無サクラは、ゆっくりと天へと昇っていく。
 一面焼け野原となり、瓦礫と骸骨のような鉄骨が晒された墓場のような大地を下にして、ゴジラと散無サクラは、ゆっくりと天へと昇っていく。
 大地に動くものはない。空にも動くものはない。ただ、ゴジラと散無サクラだけが、ゆっくりと天へと昇っていく…。
 ゴジラと散無サクラの姿がどんどん小さくなり、遂に天へ溶け込んで見えなくなった。
 すると、骸骨のような鉄骨に肉が盛りつけられるようにしてビルが蘇り、瓦礫が水銀のように溶けて再び新しいビルとなり、ねじ曲がった鉄塔は元通りの姿を取り戻した。道が出来、駅が出来、鉄道が出来て電車が走り始める。電車からはサラリーマンや学生が吐き出され、駅の売店にはいつものように朝刊が並んでいる。
 信号機に明かりがともり、道にも車が走り始める。
 いつもの風景。いつもの街。いつもの人々、いつもの生活…

 タイトルが被さる――    『  ゴ  ジ  ラ  地  獄  』

スタッフロールロールが下からせり上がってくる。
どーん、どーんというゴジラの足音が響き始め、、ほんの少しずつ大きくなる。どーん、どーん、
 どーん、どーん…
 

 というわけで、今までにないゴジラ映画で、映像的にはそれなりに“怪獣映画”している『ゴジラ地獄』。
プロモーションビデオに限りなく近いシュールな映画ではあっても、リアリティは平成ガメラ3レベル。デートムービーというわけには行かないとは思いますが、どーですか、お客さぁん…。
スポンサーサイト

トラックバック

http://sinden.blog6.fc2.com/tb.php/224-f136acfa

«  | HOME |  »

MONTHLY

CATEGORIES

RECENT ENTRIES

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

APPENDIX

震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。