2017-10

特撮の未来に関して【現実編】

特撮の未来に関して【現実編】

                特撮(トクサツ)の人気

 いつだったか、「『響鬼』は子供にも大人にも人気がある番組」という表現を目にして、情けない気分になった。本当に「子供にも大人にも人気がある番組」が、視聴率8%前後で推移するわけがないではないか。
響鬼視聴率推移

視聴率8%前後では、その週のドラマ番組部門のトップ20にも入らないだろう。
 仮に視聴率8%前後の番組を「人気番組」と呼ぶとしたら、
 視聴率12%前後の番組は「超人気番組」、
 視聴率16%前後の番組は「ウルトラ超人気番組」、
 視聴率20%前後の番組は「スーパーウルトラ超人気番組」、
と呼ばなければならなくなってしまう。世間一般では、そういう呼び方はしない。
 TV番組ではないが、「子供にも大人にも人気がある」と言えば、『もののけ姫』以降のスタジオジブリ映画のような作品のことを指すのではないだろうか。

 それ以外にも、稀に
「ビデオやHDRに録画し、後で視聴している人も多いので、実際の視聴率はもっと高い」
といった意見を目にするが、そんなことは特撮番組に限った話ではないではないか。
 録画再生視聴を視聴率に反映させたら、もしかしたら『響鬼』の視聴率は少しは上乗せされていたかも知れない。しかし、他のドラマだって(例え朝早い放送でなくても)録画再生視聴している人はいるのである。録画再生視聴を視聴率に反映させても、番組全体の視聴率が底上げされるだけで、上位のランキングに大きな変動はないだろう。(深夜特撮にしても同じ。深夜番組全体の視聴率が底上げされるだけ。上げ幅は日中の番組より高いだろうが、そうなったところで深夜特撮がドラマ部門のトップ20に食い込んでくるとは到底思えない)
 ただ、さすがに
「平成仮面ライダーシリーズは日曜の朝早い時間帯にやっているので、視聴率が低くなっている。もっと良い時間帯に放映すれば視聴率は伸びる」
という意見は見た記憶がない。世間一般でいうところの人気番組と平成仮面ライダーシリーズが同じ時間帯に放送された場合、平成仮面ライダーシリーズの視聴率がどうなるのか、想像するのはちょっと辛いものがあるということだろう。

                特撮(トクサツ)とは

 前置きが長くなってしまったが、そんな特撮の未来について、ちょっと現実的に考えてみようと思う。(現実を無視した【野望編】は後日アップする予定)
 ここで言う特撮とは、TV放送される特撮番組(いわゆるTV特撮)を主とした、一つのジャンルのことを指す。TV特撮では、戦隊シリーズ、仮面ライダーシリーズ、ウルトラマンシリーズなどがその代表例だ。映画の場合はTV特撮の劇場版や、ゴジラやガメラといった怪獣映画が代表例となる。
 “特撮”という言葉はルーズな言葉なので本当は使いたくないのだが、「変身ヒーローもの(『アクマイザー3』のような、“変身はしないが、元から人間ではないヒーロー”も含む)」と言うとゴジラやガメラが抜けてしまうし、「怪獣もの」と言うと仮面ライダーが抜けてしまう。そのため、「変身ヒーローもの」と「怪獣もの」、それに最近は創られなくなったが『マイティジャック』や『マッハバロン』のような「巨大スーパーメカ主役もの」を含めて、ここでは特撮と呼ぶことにする。(狭義の特撮という意味でトクサツとカタカナで表記しようかとも思ったが、何か感じ悪いので止めた)
 よって、この場合の特撮には、戦争ものやパニックものやSFといった、確立されたジャンルの作品は含まれない。『日本沈没』は災害映画、『ローレライ』は戦争映画の一種であり、ここでいう特撮には含まれないというわけだ。

              特撮は9才以上には人気がない

 未来を語る前に、現実を語る必要がある。
 一般的に言って、特撮は大人には人気がない。
 もっと具体的に言うと、9才以上は特撮を見なくなる。
 更に本質を言えば、9才以上は特撮を自主的に見続けなくなる。
「子供に付き合って仮面ライダーを見ていたら、私もハマッてしまいました」
という話は散見するが、そういう人が、
「子供はもう仮面ライダーを見なくなりましたが、私は一人で見続けています」
となる確率は非常に低い。

 それは、平成ライダーの視聴率を見れば分かる。
 もしも、「子供と一緒に見るようになって…」というきっかけで特撮ファン(もっと限定して、平成ライダーファンでも良い)となる大人が、総体として無視できない程存在いるとしたら、どうなるか?        
 『クウガ』以降、「子供が3才以上になって仮面ライダーを見始める」という世帯は毎年新たに出てくるわけだから、大人(親)の特撮ファンも新たに毎年生まれ、累積されて増え続けることになる。
 それならば、平成ライダーの視聴率は年々右肩上がりに上がっていく筈である。
 しかし、実際には『アギト』で一旦上がった後は下がっており、平均約8%で底をついた格好になっている。
 つまり、特撮ファンは、『クウガ』以降6年経っても増えていない。
 子供と一緒になって仮面ライダーに「ハマッていた」親は、子供が成長して仮面ライダーを見なくなると、自分も仮面ライダーを見なくなるのだ。子供が仮面ライダーから卒業すると同時に、親もまた仮面ライダーから卒業するのである。(バンダイの子供アンケートの結果から、大半の子供は9才までには戦隊やヒーローを卒業していると推察できる)

「子供に付き合って仮面ライダーを見ていたら、私もハマッてしまいました」
という人のほとんどは、『クウガ』なら『クウガ』という作品自体にハマッた「『クウガ』のファン」であり、平成の仮面ライダーというシリーズにハマッたわけではない。ましてや、特撮というジャンル自体を好む特撮ファンになったわけではないのだ。
 実際には、作品自体にハマッたというよりも、オダギリジョーなどのいわゆる“若手イケメン俳優”にハマッたというケースが大半だろう。もちろん、これは女性視聴者の場合だ。
 男性の場合だと、俳優にハマッたというより、「子供の頃に見ていた仮面ライダーの懐かしさから…」というケースの方が多いと思う。「懐かしさ」とは、要するに「過去との共通点の確認」である。『アギト』が平成ライダーの人気のピークであったのは、『アギト』に昭和ライダーのオマージュの色合いが濃く、『龍騎』以降のライダーは昭和ライダーとの共通性が希薄になっていったことが関係しているのかも知れない。
 いずれにせよ、母親も父親も「平成ライダーという、現時点での変身ヒーロー作品そのものが好き」というわけではない。だから、子供がライダーを見なくなると、自分も自然に見なくなってしまう。

 TV特撮の平成ライダーシリーズから導かれる結論は、映画特撮の平成ゴジラシリーズから導かれる結論とも良く一致する。
 私は平成ゴジラシリーズを全て劇場で鑑賞した(しかも1作につき、間隔を空けて2回以上)。そこで見た限り、シリーズが続いている間、子供の観客の年齢層は全くといって良いほど変化しなかった。シリーズは1989年(1作目の『vsビオランテ』)から始まり、1995年(6作目の『vsデストロイア』)まで続いたのだが、中学生や高校生の観客はほとんど増えていなかったと断言できる。(“子供連れでない大人の観客”に関しても同様)
 平成ゴジラシリーズのプロデューサーは
「ゴジラ映画の対象年齢は3歳から10歳。今の子供は10歳くらいで怪獣映画を卒業するし、その時期に洋画を見るようになるから」
と専門誌上で明言していたが(口頭で聞いたこともある)、実際にその通りだった。

 TV特撮の平成ライダーシリーズも、映画特撮の平成ゴジラシリーズも、固定ファン(即ち特撮ファン)はごく少数しか存在しないのだ。
 平成ライダーシリーズは、人間ドラマに関しては平成ゴジラシリーズよりも遥かに緻密に創られており、いわゆる大人の鑑賞に堪える部分が多い。だが、「新規の固定ファン獲得」という成果に関しては、両者ともに「ほぼゼロ」で、差は出ていないのである。
 もっとも、平成ゴジラシリーズはもとより、平成ライダーシリーズの造り込みも、戦隊シリーズ等との差別化を図ったらこうなったという単なる“結果”であって、作品が「新規の固定ファン獲得」を“目的”にしていないことは明らかなのだが。

 蛇足ながら、前作の仮面ライダー『響鬼』の視聴率の件についても触れておこう。
 『響鬼』は30話において製作体制変更による作風の変化があり、ブログを書いている大人のファンの一部から反発の声が上がった。
 反発の声を上げた大人のファンの中に、視聴率の測定対象世帯になっていた者がいとしたら、彼は製作側に抗議の意思を示すことが出来た。意図的に『響鬼』の視聴率を下げるという抗議である。視聴そのものを完全に止めても良いが、そこまでしなくても、視聴率を下げることは可能なのだ。
 31話以降、リアルタイム視聴を止め(放送中は視聴率測定機器の設置してあるTVの電源を切る)、放送より30分以上ずらして録画再生したものを視聴するようにすれば良いのである。私だったら、『響鬼』を録画中、TV側は裏番組にチャンネルを合わせておく(別に見る必要はない)というオマケ抗議もやっただろう。
 視聴率がカウントされる仕組みは、ビデオリサーチ社側から説明を受けて理解している筈だ。余程の阿呆でない限り、中学生以上だったらこの“抗議行動”を思いつくし、実行も容易だ。
 しかし、視聴率は下がるどころか、むしろ微増した。
 結果から導かれる答えは3つ。

(1)関東地区の視聴率測定対象世帯600世帯中、29話まで『響鬼』を視聴していた約8%(48世帯)のなかに、反発の声を上げた大人のファンはいなかった。
(2)いたけれども、その一方で、30話以降から『響鬼』を視聴する世帯が増加したため、相殺された。
(3)いたけれども、放送当初からリアルタイム視聴をしていなかった。(『響鬼』放送中はTVの電源を切っており、視聴率カウントに貢献していなかった)

 いずれにせよ、この件は『響鬼』における大人のファンの動向など視聴率に現れない誤差範囲程度のものでしかないことが明確に示された事例と言える。

 平成ゴジラシリーズのプロデューサーは専門誌上で
「平成の仮面ライダーを見ると、子供では理解できないようなストーリーやドラマを盛り込んでいるが、いかがなものか」
といった趣旨にとれることも語っていた。それを読んだ当時、私は
「子供はライダーと怪人さえ出ていれば喜ぶ。一緒に見ている親向けのサービスとして、大人の鑑賞に堪えるようにストーリーやドラマを造り込むことは大いに意義があるのではないか」
と思い、憤慨した。
 しかし、2000年の『クウガ』から6年が経過した今、平成ライダーシリーズの作り方に、本当に意義があったのかどうか、疑問を感じる部分が多くなってきた。
「大人向けのサービスをしたところで、しょせん大人の固定ファンが付くわけではない。しかも、大人にしか理解できない部分が確実に増える。それならば、100%子供が理解できるような造りにして、子供向けのサービスに徹するべきではないのか」
 私は最近、そう思うことが多くなってきている。

 おそらく、9才以上の日本人の99.7%(この数字は、統計でいうところの3σである)以上は、特撮ファンではない。
 特撮ファンは、99.7%の子供と、0.3%の大人から成っている。そう言っても過言ではないと思う。

          日本には、「大人向け特撮」のニーズがない

 私も一時期、ゴジラ映画の人気向上について考えたことがある。
 その当時、ゴジラ映画は子供に大人気だったので、この場合の人気向上というのは、大人に対するものである。しかし、そんなことをいくら考えたって、前提としてニーズが存在していなければ何の意味もない。
 「予算をかければ、クオリティの高いゴジラの映像を造り出すことが出来る」
…かも知れないが、日本の映画ファンの中で、「クオリティの高いゴジラの映像」を見たがっている人間が果たしてどれ位いるだろうか? 日本版とは全く異なるゴジラが登場するハリウッド版『GODZILLA』は確かにヒットしたが、それは「ゴジラ映画」としての人気ではなく、単に「ハリウッド映画」としての人気ではなかったのか?
 「人気俳優を出演させれば、大人の観客動員数が増加する」
…かも知れないが、大人の観客は「人気俳優」を求めているのであって、「人気俳優がゴジラ映画に出演すること」を求めているわけではない。人気俳優が出演していれば客が入るのであれば、映画会社としては製作費のかさむゴジラ映画よりも、普通の映画を造った方が儲けが多くなる。

 これはそのまま、今日の特撮にも当てはまる。
 平成ライダーを見ている大人の視聴者の圧倒的多数にも、当てはまる。
 大人達は、仮面ライダーという「変身ヒーロー」を求めて、『アギト』や『響鬼』を見ていたわけではない。『アギト』や『響鬼』で見たようなドラマが、ごく普通の刑事ドラマか何かで見られるのなら、それでも全く構わないのだ。
 大人達は、『アギト』や『響鬼』という「変身ヒーロー番組」を欲していたわけではない。賀集利樹や松田賢二といったお目当ての俳優が出演する番組を欲していただけなのだ。
 もちろん、例外は存在する。しかし前述したように、その数は視聴率となって顕れないほど少ない。

 一般論として、「ヒーロー」のニーズはあっても、「変身ヒーロー」のニーズは存在しないのだ。
 『スパイダーマン』や『バットマン』といった映画化のヒーローは、日本式の「変身ヒーロー」ではない。彼らは単に「正体を隠しているヒーロー」なのだ。『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』におけるヒーローは、覆面や仮面すら着けていない。
 私がゴジラ映画の人気向上について考えて辿り着いた結果は、以下の通り。

(1)日本には、「大人向けゴジラ映画」のニーズがない。
(2)子供向けの娯楽が多様化し、子供の嗜好が分散し、ゴジラ映画の人気が相対的に下がるのは必然である。
(3)ゴジラ映画は、製作面において、他の実写映画よりもコストの面において不利である。
(4)よって今後、ゴジラ映画という商品は淘汰されていく方向に進む。ただし、コストの問題が解決されれば、他の子供向け映像商品と同様の価値を持ち得る。

 基本的には、今日の特撮にも通じると思う。
 TV特撮は現在のところ、子供向け番組として、TVアニメと競争しつつも存続している。日本には、「大人向け特撮」のニーズはないが、「子供向け特撮」のニーズは昔から連綿と存在し続けているのだ。

                特撮は5パターンしかない

 さて、本題に入ろう。特撮は、将来どうなっていくのだろうか?
 日本の特撮は、現状で収斂が既に終了している。あらゆるパターンが試された結果、生き残ったものだけが続いているのが今日の状態なのだ。即ち、

(1)「等身大変身ヒーロー」である戦隊もの
(2)戦隊もの以外の等身大変身ヒーロー(平成以降の仮面ライダーシリーズはここに含まれる)
(3)「巨大変身ヒーロー」であるウルトラマンシリーズ
(4)「怪獣もの」である、ゴジラとガメラ
(5)大人向けの変身ヒーローや怪獣もの(いわゆる深夜特撮)

の5パターンである。
 平成に入ってから、仮面ライダーはブランド名こそ保持しているが、それを以外に関してはメタルヒーローとの差がなくなっており、独自のヒーローパターンを持っているとは言い難い。『ガイファード』などの単発ヒーローものと合わせて、「戦隊以外のヒーロー」として一括して扱うべきである。
 超星神シリーズは、基本的には「戦隊」のフォーマットを踏襲しており、これは別の局が独自のブランドで製作した戦隊ものと見なすべきだ。
 (1)から(4)までは子供を対象にした作品であり、(5)のみが大人を対象としている。(5)は既に終了した『牙狼』を含めてごく少数であり、将来的に大きく発展する見込みは今のところない。既に述べたように、日本には「大人向け特撮」のニーズがないからだ。
 つまり、特撮の将来とは、(1)から(4)までの子供を対象にした作品の将来のことに他ならない。

 東映の戦隊シリーズは、日本の特撮を代表する存在である。アニメと比べると人気は低いものの、毎年共通したパターンで長期に渡って番組が造り続けられている。ある意味、長寿番組と言えるだろう。
 何しろ、日本人の40才ぐらいから下の世代は、程度の差こそあれ戦隊シリーズとの接点を持っているのだ。この世代が、「○○戦隊」とか「○○レンジャー」というTV番組(変身ヒーロー)の存在を知らないということは、まず有り得ない。CMにそのパロディがたびたび登場することもからも、その認知率の高さが窺える。
 強みは、表面的な認知率だけにとどまらない。仮面ライダー、ウルトラマン、ゴジラには、どれもシリーズが休止していた期間があるため、「子供の頃に接する機会がなかった」という「空白世代」が存在する。戦隊シリーズには、これがない。この点が戦隊シリーズ特有の強みである。
 親は、自分が子供の頃に見たものなら、自分の子供にも見ることを許可する傾向がある。場合によっては、子供と一緒になって見る。「空白世代」の存在しない戦隊シリーズは、この「親が見ていたものを、子供が見るようになる」という世代サイクルを、止めることなくずっと回し続けているのだ。
 視聴者は3年か4年で完全に入れ替わってしまうため(戦隊は、3才で見始めて6才には卒業するパターンが多いようだ)、3つか4つのパターンを繰り返していればマンネリには映らないというのも強みだ。(「自動車(特殊車両)」・「飛行機」・「ヘリコプター」・「機関車」などの乗り物、「恐竜」・「昆虫」・「動物(ライオン、ゴリラなどの動物園で見られるもの)」などの生物、「警察」、「忍者」、「家族」、「学校」、「会社」などの組織、といった構成要素を組み合わせてパターンを作り出す)

 製作者側にモチベーションその他の問題が発生しない限り、「戦隊もの」は現状の延長系でずっと続いていくと思う。
 ただし、東映の「本家・戦隊」と、東宝版戦隊ものである『超星神』シリーズの力関係がどうなっていくかどうかは未知数である。また、何からの理由でそれ以外の第三勢力による「新しい戦隊もの」が、既存の戦隊ものに取って代わる可能性も、ゼロとは言えない。

 では次に、「戦隊シリーズ以外の等身大ヒーロー」の将来を考えてみよう。
 平成ライダーシリーズは、現在の方針のまま造り続けても人気が上向く可能性は低い。何故なら、子供の頃「ライダー空白期間」を経験した世代が、現在親になっているからである。
 『ストロンガー』が1975年12月に終了して『スカイライダー』が1979年10月に開始されるまでの約4年間と、『スーパー1』が1981年10月に終了して『BLACK』が1987年10月に開始されるまでの約6年間は、「ライダー空白期間」である。
 1975年に3才だった世代は、『ストロンガー』の記憶が薄いうえ、『スカイライダー』が始まったときには特撮そのものを卒業している可能性が高い。彼らは、現在34才。
 1981年に3才だった世代は、『スーパー1』の記憶が薄いうえ、『BLACK』が始まったときには特撮そのものを卒業している可能性が高い。彼らは、現在28才。
 また、『スカイライダー』も『スーパー1』も放送当時に人気が高かったとは言えない。
 現在28才から34才の世代は、仮面ライダーというブランドに対して、関心が薄い世代と言えるだろう。これは現在放送中の仮面ライダーにとって、非常に悪い条件だと言わざるを得ない。

 『BLACK』と『BLACK RX』の直撃を受けた世代は、現在まだ22~24才である。彼らが3才の子供を持ちようになるには、あと10年ほど待たなければならない。そしてその後は、12年にも及ぶ長期の空白期間が続く。
 2000年から続く連続放送期間をどこまで伸ばすことが出来るのか、あるいは、そのつもりがあるのかは知らない。おそらく、玩具の売り上げが一定以上確保できている間は仮面ライダーのブランドを使い続けるのだろうが、その期間はそれ程長くは続かないように思える。
 戦隊シリーズとの差別化という課題もあるため、選択肢が制限されてくるのも平成ライダーの弱みとなっている。例えば、戦隊シリーズが去年今年と連続して携帯電話を変身アイテムに採用した(携帯電話は「子供が欲しがるもの」のナンバーワンである)ことから、仮面ライダーは2年連続で携帯電話を変身アイテムにすることが出来ずにいる。
 『龍騎』では、「ベルトにアイテムを装着することで変身する」という変身ベルトの革命が行なわれた。これは、初代ライダーから連綿と続いてきた「光る・回る」変身ベルトに匹敵する、エポックメイキングなアイディアである。これをどう発展させていくことができるかが、あるいは3番目のエポックメイキングを作り出すことができるかが、平成ライダーシリーズ存続の鍵になるだろう。

 『超星神シリーズ』は、前述したように「戦隊もの」の一つだが、宇宙刑事シリーズの要素も取り入れているところが面白い。東映が平成ライダーシリーズを終わらせて平成宇宙刑事シリーズを開始させたいと考えているとしたら、目障りな存在であるに違いない。
 『リュウケンドー』は、「戦隊以外のヒーロー」の一つであるが、仮面ライダーの亜流と言うよりも、ヒーローとサポートメカの組み合わせから『ザボーガー』に近い印象を受ける。出来れば収斂後の特撮のパターンには収まらない、「変身しないヒーローもの」というバリエーションを担って欲しかったところだ。

    特撮番組は、「対戦ゲーム番組」か「学習番組」になる?

 TV特撮存続の最大の力となるのは、番組関連商品(主に子供向けの玩具)の売れ行きである(『ガイファード』のような例外もあるが)。ここが、普通のドラマと大きく異なる点だ。番組の存続を左右する要因に、「玩具の売れ行き」という、視聴率以外のパラメータが存在するのである。
 私の世代だと、『ガンダム』は視聴率が低迷して玩具も売れなかったので番組打ち切り、『ダグラム』は視聴率が低迷していたにもかかわらず玩具が売れていたので放送延長となった…というのが定説だ。
 少子化が今後どういった形になっていくのかは分からない(人間も生物である以上、子供を産まないか、3人以上生むかの二極化が進むような気がする)のだが、一人っ子が増えるとしたら、TV特撮の未来はそれ程暗くはないと言えるだろう。
 何故なら、親はその一人の子供にお金を注ぎ込むであろうからだ。TV特撮の玩具は、比較的高価である。しかも新しい玩具が、番組の進行と共に次々と発売されていく。それを一人っ子に次々と買い与えてもらえれば、TV特撮は安泰なのだ。

 しかし、番組関連商品を売り出しているのは、特撮だけではない。アニメも当然ながら番組関連商品を売り出している(と言うよりも、最近のアニメは玩具を番組化しているような気がする)。また、ややジャンルは異なるが、ゲーム機・ゲームソフトも特撮玩具の競合相手である(これも、アニメ化されているものがある)。
 単なる視聴率争いだけではなく、こういった競合相手と玩具販売争いを行なわなければならないのは、先に挙げた長所の裏返しとなる構造的弱点でもある。

 更に、現在の特撮玩具には、特有の欠点がある。
 “なりきりグッズ”という言葉が示すように、変身玩具はヒーロー番組があって初めて成り立つ玩具である。武器系の玩具も、その傾向が強い。ヒーローが使う武器は、剣や銃を模した玩具であっても、単独では一見して剣や銃に見えないものが少なくない。剣や銃の玩具を本物そっくりにしようとすると、PL法の側面から制約が出てくることもあるが、それ以上に毎年デザインを大きく変えることが困難になるという理由が大きい。
 一見して武器に見えないものがちゃんと武器に見えるのは、番組中でそれが武器として使われているおかげである。つまり特撮玩具は、その商品価値が番組に強く依存しているのだ。
 これに対して、ゲーム機・ゲームソフトは、そもそも単独で売られているものである。アニメの玩具も対戦して遊ぶものや通信機能を有するものが多い。番組を観ていれば遊ぶ楽しさが増すだろうが、番組を観ていなくても充分に遊べる。商品価値の、番組に対する依存度は弱い。
 特撮もアニメも見ていない第三者層に向けて販売するとき、どちらが売れるかは言うまでもないだろう。

 もちろん、特撮も玩具に対戦や通信といった性格を持たせるようになって来てはいる。今後は、これが更に推し進められるだろう。
しかし一方でこれは、玩具のコストを押し上げることにもなる。また、なりきりグッズにゲーム機能を加えた結果、なりきりグッズ本来の魅力が低下してしまうようでは本末転倒である。
 コストと機能のバランスに加え、なりきりグッズとゲーム機能のバランスまで実現することが、かなり困難であろうことは素人でも想像がつく。

 だから私は、「単独でも遊べる玩具」が最初にあって、それを作品化したようなTV特撮が登場することを期待している。アニメに見られる手法を、特撮でも採用するのだ。
 例えば、玩具のロボットを対戦させるゲームがあるとする。玩具のロボットは当然小さいが、特撮番組の中では巨大ロボットとして描くというわけだ。この場合、ロボットのコントローラを所持していること自体が、“なりきる”ことになる。つまり、玩具としてのコントローラには、なりきりグッズとしての機能を別途造り込む必要はない。
 劇中でパワーアップアイテムが登場すると、玩具でもそれが新商品として販売される。ただの玩具ではなく、対戦ゲームの新アイテムだ。これで自分のロボットをカスタマイズして、対戦ゲームをより楽しんでもらおうという寸法である。

 特撮の将来として、もう一つ期待しているのは、TV特撮の“学習番組”化だ。“教育番組”ではなく“学習番組”、あるいは“教材番組”。
 親は、単なる玩具よりも、「遊びながら学べる教材」により多くの出費を許す傾向がある。この性質を利用し、特撮番組に登場する合体ロボットなどに、「遊びながら学べる教材」としての機能を持たせるのだ。例えば、ロボットの頭を触ると「head」、手を触ると「hand」と音声や文字が出力されるという具合だ。
 番組自体も、毎回2つの単語(apple とorange とか)をキーワードにして話を作り、「1年間で100語を覚える」といった構成にする。出撃の際には「Open the door」と発声することで秘密の扉を開くとか、お決まりの文も幾つか用意する。
 同様の方法で、1年間で全国の都道府県および県庁所在地を全て覚えられるとか、百人一首を全部覚えられるといった番組にするのも良い。その上で、ヒーロー番組が本来持っている正義感とか勇気とか仲間の大切さを学べるような造りになっていれば、子供番組として最高なのではないか。

                   双方向化が開く道

 地上波のディジタル化に伴い、TV番組には双方向性という性質が加わっていくだろう。
 前述した“学習番組”あるいは“教材番組”としての特撮には、クイズ番組としての要素を取り入れ易い。ヒーローが番組中に出したクイズ(もちろん教材的価値のあるもの)に対しコントローラを使って返答し、その正誤の結果がリアルタイムで各世帯に配信されるようになれば、視聴率の向上が期待できる。リアルタイム視聴していれば、クイズに正解するとヒーローがTVで褒めてくれるのだ。これはチビッコには嬉しいイベントだろう。もちろん録画視聴の場合は、こうした双方向イベントが発生しない。(技術的にはディジタルデータを録画していれば録画再生時にも可能だろうが、あえてそうしない)

 また、玩具と組み合わせた双方向性イベントの実現の可能性もある。
例えば、『龍騎2』ではファイナルベントが3種類あるとする。視聴者は、召還機の玩具を、あらかじめ番組側のオンラインと繋いでおく。TVのライダーが召還機にファイナルベントのカードをセットする直前のタイミングで視聴者が玩具の召還機に「A」のファイナルベントカードをセットすると、そのTVにはライダーが「A」のファイナルベントカードをセットした映像が配信されるというわけだ。
 このイベントも、当然ながらリアルタイム視聴していなければ機能しない。

                    子供番組が好き

 大体以上が、特撮の未来に関して現実的に思うことである。
 私は子供番組自体が好きなので、以前は『ポンキッキ』(安室奈美恵が被り物を演じていた頃)を、最近は『おはスタ』をけっこう観ていたりする。
 現在『おはスタ』にはアニメ番組が組み込まれているが、今後は特撮にもこういうパターンが出てくるのではないだろうか。(私は子供の頃、『グリーンマン』とかいう5分間ぐらいの特撮が子供番組中にパッケージされていのを観たような記憶がある)
 『おはスタ』のような番組の中に特撮がパッケージされるのではなく、特撮自体が「毎週の作品本編」と「情報部門その他」という構成で、子供番組という大枠を構成するようになる可能性もある。現在の“スーパーヒーロータイム”の最後のおまけ映像に、その萌芽を見る今日この頃である。
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コメント

待ってました

ご無沙汰しています。
先日、記事を書きながら、我ながらあまりにもグダグダなので「もう!こういう記事は震電さんが書くべきテーマなのに、肝心の震電さんは何をやってるんだ!!」(言いがかり!)と思ってました(笑)。
平たくいえば大人のニーズがない、全くその通りだと思います…。それが現実ですね。
野望編でどんな展望が語られるのか。大いに期待しています!
グダグダ記事に、ぜひTB、くださ~い(笑)。

 77maru77さん、お久し振りです。
 特撮は、子供から見放されると消滅してしまうというのが現状です。戦隊ものだけでも、ずっと続いて欲しいところです。
 野望編は、ものすごく突飛な内容なので、余り期待しないで下さい(笑)。

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特撮ヒーローは誰のもの2

8日読売新聞夕刊に、「中年 へんし~ん!」と題して、特撮ヒーロー人気についての特集が組まれた。大人サイズ変身ベルト発売とそれに付随する藤岡さんのイベントの事、マジレントークショーと主婦層のイケメンヒーロー人気の事。ウルトラマン40周年、ライダー35周年、戦隊3

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震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。