2017-08

ボクシング採点の集計方法の考察

ボクシング採点の集計方法の考察


 プロボクシングでは、各ラウンドは独立した採点の単位(ユニット)として扱われる。
 『あなたもジャッジだ』でトム・カズマレック氏はこう説明している。
「どの試合も4回戦なら4つの、6回戦なら6つの、8回戦なら8つの、10回戦なら10の、12回戦なら12の、独立した【1回戦】と考えよ」
 すなわち、
「4回戦は、独立した【1回戦】を4回行ったものと考える。12回戦は、独立した【1回戦】を12回行ったものと考える」
ということである。

 しかしこの説明は、現行の採点システムと照合すると、矛盾が隠されている。

 何故なら、各ラウンドが「独立した【1回戦】」ならば、そのラウンド毎に3人のジャッジによってその「独立した【1回戦】」の勝敗が決められるべきだからである。
 だが実際には、3人のジャッジの各ラウンドごとの採点は、個人別に単純に足し合わされ、一つの試合対して3人の集計結果が別々に出される。
「12回戦は、独立した【1回戦】を12回行ったものと考える」
と言いつつ、その12回分の【1回戦】は、他の2人のジャッジがどう勝敗をつけたかは無視され、1人ごとに単純合計されてしまうのだ。これでは結局「独立した【1回戦】」12回分のドンブリ勘定である。最終的に3人のスコアを比較するということは、ドンブリ勘定同士をを比較していることに他ならない。

 もちろん、3人のジャッジの各ラウンドの採点が全て一致していれば、各ラウンドごとに勝敗を決める方法でも、ドンブリ勘定で決める方法でも、結果的には同じことになる。しかし、現実には必ずしもそうではない。
 ここで一例として、川嶋vsナバーロの採点結果を挙げてみる。
 これを見て気付くのは、僅差で川嶋を支持した2人の採点が、個々のラウンドで見ると必ずしも一致していないということだ。
川嶋vsナバーロのスコア

 ここで、「3人のジャッジの採点によってラウンドごとの勝敗(ポイント)を決める」という「3者統合採点」の細かい説明をしておこう。
3者統合採点の考え方

 この「3者統合採点」によって、改めて採点・集計すると、こうなる。
川嶋vsナバーロのスコア

 このように、勝敗が覆ってしまうのだ。

 採点が割れるものならば、その割れたラウンドごとに、勝敗を決めるべきではないだろうか。
12回戦の採点を別々に集計して「114対114」となった結果が2人のジャッジから提出されたとしても、それはたまたまドンブリ勘定の結果、両者の数字が揃っただけで、個々のラウンドごとの採点に関しては一致していない部分が多々あるかもしれない。
「各ラウンドは、“独立した【1回戦】”と考える」
という近代ボクシングのコンセプトを、もう一度煮詰める必要があると思う。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。