2017-10

『ガメラ2 電磁波の魔獣』

『ガメラ2 電磁波の魔獣』

 ※これは、『ガメラ2 レギオン襲来』の内容が発表される以前に、自分なりに考えた『ガメラ1 大怪獣空中決戦』続編です。
 新作『ガメラ』がGW(ゴールデンウィーク、そしてガメラウィーク)に公開されるので、ささやかな反響として引っ張り出しました※



1.設定

(1)ガメラ

 前作とほとんど同じ。ただ1点、エルボー・クローは、付け根の部分で角度や向きが変えられるようになっていて、使い勝手が良くなっている。また、突き刺すだけでなく、ナイフのような使い方もできるようになった。

(2)インヴァルス

 本作の悪役怪獣。ガメラ、ギャオスと同じく、滅亡した超古代文明が遺伝子操作のすえ造り出した生命体。一匹だけ、ある程度成長した状態で超古代文明の遺跡の中に封印されていたが、発掘によって封印が解かれ、活動を再開する。
 外見は甲殻類あるいは昆虫(エビ+カミキリムシ+カマキリ?)に似ているが、相手の戦闘パターンを学習したり、弱点を分析して攻撃を加えるなど、知能は高い。強酸性の消化液を分泌した細長い舌(触角?)のようなもので、人間を捕食する。
 体の各部から電磁波、赤外線、レーザーを自由に発射・吸収することができる(ECM、ECCM能力)。このため、自衛隊の所有する誘導兵器はほとんど命中しないどころか逆にコントロールされてしまう。
 また、その体はステルス性に優れ、レーダーによる探知が困難。探知能力は受動系を主体に充実。
 武器は、遠距離用として生体ビーム。一撃の威力はガメラのプラズマ火球に劣るが、連射能力で勝る。(『強殖装甲ガイバー』に登場した超獣化兵ゼクトールのイメージ)ただし死角は大きい。また連射後は、一定のチャージ時間が必要となる。近距離用の武器としては、両腕の鎌と、口から吐く強酸性の消化液、さらには相手に取り付いて行う電撃がある。全体の攻撃能力では、明らかにガメラを上回る。
 動きは素早く、地上を移動する速度はガメラより遥かに速い。(四つ脚の巨大レイバーのイメージ)また、ガメラ同様、地中に潜る能力も有する。封印から解かれた直後は羽根がなく飛べなかったが、脱皮の後、ガメラ並みの飛行能力を持つようになる。
 体長は、脱皮前が40~80メートル、脱皮後が120メートル。

(3)遺跡

 小学校の裏山の中に眠っていたが、道路工事によって洞窟状の入り口が開き、人間に発見される。規模はそれ程大きくないが、それでも体長40メートルのインヴァルスを完全に収容・封印していた。
 ここから、前作、環礁で発見された金属版や曲玉と同種のものが発見される。

(4)主な登場人物

 竹内孝一(キャスト…?)
 小学六年生。本作の隠れ主人公。学校の裏山の遺跡の残留思念を受け、遺跡の第一発見者となった。そこで曲玉を手に入れ、ガメラと感応できるようになる。サッカーが大好きで、クラブに入っている。成績は中位で性格もごく普通、クラスでも特に目立った存在ではない。しかし、冒険心と正義感は強く、ここ一番では大人顔負けの行動力を見せる。

 佐橋里美(キャスト…?)
 美少女。小学六年生で、孝一とは同級生。さらに同じクラスで同じ班。成績は良く、しっかりした性格で班長を務める。バレーが大好きで、クラブに入っている。孝一と同じく、学校の裏山の遺跡の残留思念を受け、一緒に遺跡の第一発見者となった。そこで曲玉を手に入れ、ガメラと感応できるようになる。孝一に好意を抱いているらしい。

 加藤裕子(キャスト…中川安奈or森山祐子or千堂あきほ)
 前作の長嶺眞弓に相当する役どころ。
 小学校の教師で、孝一や里美のクラスを担任している。考古学の博士号を持っており、孝一や里美に連れられて遺跡の第二発見者となった。男勝りの行動派だが、政府の強引な遺跡調査には反対する。怒ると怖いが、明るくて竹を割ったような性格なので児童には人気がある。

 石川正弘(キャスト…赤井英和)
 前作の米森良成に相当する役どころ。
 小学校の教師で、里美の所属するバレーボールクラブの監督でもある。野生的かつズボラな性格で、酒の匂いをプンプンさせて学校にくることもある。ちょっと間の抜けたところのある熱血漢で、やはり児童には人気がある。

 細井千明(キャスト…佐野史郎)
 環境庁の役人だが、優柔不断な性格で何事に対しても弱腰。裕子や石川と行動を共にすることになるが、そのナヨナヨした態度を一喝されることもしばしば。

 広島兼人(キャスト…左とん平or佐藤B作)
 本作の悪役担当。
 政府の遺跡調査団の一員だが、実はプロの盗掘師。建設省の官僚と金銭的に癒着しており、金になりそうな遺跡調査に潜り込んでは荒稼ぎをしている。金儲けのためには買収、脅迫はおろか殺人すらいとわぬ根っからの悪人。

 寺田昭男(キャスト…芦屋雁之助or岸辺一徳)
 裕子の恩師。古代文明の世界的権威にしてサバイバルの達人。遺跡から発見された碑文その他の謎解きに貢献する。人格的にも優れ、広島の買収や脅迫にも屈しない。

 草薙浅黄(キャスト…藤谷文子)
 前作のヒロインだが、本作ではゲスト的に登場。しかし、各ポイントで、おいしいところを持っていく。(でも憎めないのよ~)父親役の小野寺昭も登場するが、こちらは更に出番が少ない。

 斎藤審議官(キャスト…本田博太郎)
 この人も前作からの継続キャラクター。しかし、本作では細井の上司としてのゲスト的な登場。


2.ストーリー

 深夜、木の生い茂る山の中。
 木が倒れたり、土がえぐり崩れる音がする。
 ライトの光。パワーショベルなどの、土木機械が動いているのだ。こんな時間に、工事中?
 闇の中、不気味に動き続ける土木機械たち。

 民家。
 ベッドで眠っている少年(竹内孝一)、夢を見ている。夢の中で、女性の声が聞こえている。
「封印が壊されようとしています…」
「封印が壊されれば、災いが解き放たれるでしょう…」
グロテスクな怪獣のシルエット。
 孝一、少々うなされる。
 幻想的な遺跡の内部の映像。
「封印が壊されようとしています…」エコー、リフレインする女性の声。

 孝一が夢の中で見た遺跡、現実の光景。暗い内部。微かな地震、パラパラと天井から砂や小石が落ちる。遺跡の奥、闇の中に、うっすらと光る不気味な光…。

 海底に沈んでいる巨大な環礁。画面に入りっていない、少しアオッた映像。画面奥からサメが泳いできて、画面手前を掠めていく。
 環礁の端を泳いでいる魚の一群。環礁が微かに揺れて石がこぼれ、魚の一群がパッと一斉に向きを変える。

 タイトル
 白黒で、前作のハイライトシーン(曲玉と浅黄を中心にしたもの)を流す。

 朝、朝食をとる孝一とその家族。
「なんか、変な夢見ちゃった」「変な夢?」
話もそこそこに、家を出る孝一。

 学校、教室、授業中。
 席に着いている孝一、その隣の席には、美少女(佐橋里美)。教壇に立っているのはクラスの担任の女教師(加藤裕子)。
 この時間は屋外で写生ということで、学校の裏山へ行く先生と児童たち。しかし、そこは大掛かりな土木工事の真っ際中であった。
「聞いてないわよ、工事なんて」
裕子は事情を聞こうとするが、政府の調査団(工事前のアセスメント)を名乗る男(広島兼人)は横柄な態度で、まともに取り合おうとはしない。なんとなく裏山が気になる孝一。そんな孝一を見詰める里美。
 学校、職員室。裕子が男の先生(石川正弘)と話していいる。
「もー、アッタマきちゃった私」
「でもホンマ、怪しいで、そいつら。校長に話したほうが、ええんとちゃうか」
 授業が終わり、校門から下校していく児童たち。その中に孝一もいる。
「封印が壊されようとしています…」
ハッとして振り向く孝一。しかし、周囲の児童は全く反応していない。何事もなく下校していく児童の中でただ一人足を止め、学校を、その先にある裏山を見詰める孝一。そして、少し離れたところから、その孝一の後ろ姿を見詰めるもう一人の後ろ姿。
 夕暮れ、裏山の工事現場に忍び込む孝一。幸いなことに、立ち入り禁止のロープは張ってあるものの、土木機械は一台も動いておらず、人の気配もない。
 ロープをくぐって中に入ろうとすると、後ろに人の気配。慌てて振り向くと、そこにいたのは里美。話をすると、二人とも昨夜同じ内容の夢を見ており、同じような幻聴を聞いていたのだった。
「危ないから佐橋は帰れよ」
「私は班長なんだから、私に任せて竹内くんこそ帰りなさいよ」
なんだかんだ言いながら一緒に裏山を探る二人。そして、大人一人やっと通れるくらいの洞窟の入り口を発見する。
 中に入った二人は、碑文の刻まれた金属性の扉と、その付近に落ちていた曲玉を一つずつ見付ける。二人が手にとると、曲玉はほんのりと光り出す。曲玉を拾ったことに満足した二人は、とりあえず引き上げることにする。

 同時刻、草薙家。夕食中の父娘。「あっ」
食事中に声を上げる浅黄。
「どうした」
「ううん、なんでもない」
自分の部屋に入って鍵をかける浅黄。シャツの胸のボタンを一つ二つ外し、ペンダントの紐を手繰り上げると、曲玉が出てくる。ほんのりと光っている曲玉を手にする浅黄。
「あったか~い」
微笑んだ後、真顔になる。
「ガメラが目を覚ました…、ううん、目を覚ましかけているとこ、かな」

 海底に沈んでいる巨大な環礁…ガメラ。ゆっくりと顔を出す。眠そうに目を薄く開け、難度かしばたたいた後、ちゃんと目を開く。

 学校、教室、休み時間。何人か児童が教室に残っているが、男子児童は孝一だけ。こっそり曲玉を手にしている。廊下から孝一を見付け、こっそりと後ろから近付く裕子。背後まできて、ワッと驚かす。
「先生ぇ?!」
「どーしたの竹内くん、休み時間に教室にいるなんて珍しいじゃない…あら、何、それ?」
「な、なんでもありません」
「そお、何でもないけど、先生には見せてくれないワケね…」
拳を握り、ボキボキと鳴らす裕子。それを見て観念した様子の孝一。
 体育館、バレーボールをやっている里美と指導している正弘。そこへ孝一を連れた裕子が来る。
 体育館の倉庫で四人が話し合っている。
「不思議なもんやなぁ、大人の俺たちが握っても何ともならんのに、孝一と里美が握ると、光りよる」
「あの工事、国道を建設するためのアセスメントだなんて言ってたけど、狙いはこれよ」
「すると何か、政府が秘密裏に宝探しでもやっとるいうんか? そら考え過ぎやで」
「そうじゃなくて、古墳の秘密発掘とか、もしかしたら盗掘かも…こうなったらやるっきゃないわ」
「やるっきゃないって、加藤先生?」
「孝一くん、里美ちゃん、その入り口の場所、大体でいいから、地図に書いてくれない?」
しかし孝一と里美は「その場に行かないとわからない」と言い張る。腕を組んで、顔を見合わせる裕子と正弘。

 海中を高速で泳ぐガメラ。イルカの群れを追い抜いていく。

 夕暮れ、工事が続けられている学校の裏山。ヘルメット、軍手、笛、トランシーバー、懐中電灯、ナップザックなどで完全装備の四人が注意深く忍び寄る。うまく工事現場の人の目を避けつつ進む四人。
 工事現場の作業員とトランシーバーで連絡を取る広島。
「ハッパの仕掛けのほうは、まだ終らんのか?」
「まだ、もう少しかかる」
「急げ、グズグズするな!」
「そんなに急かすと、とんでもないところでドカンといきますぜ」
作業員は、ダイナマイトを仕掛けている。
 遺跡の入り口に到着する四人。体がつかえて入れない正弘を見張りとして外に残し、三人は洞窟の中へ入る。声をひそめつつ、トランシーバーで連絡する正弘。
「どや、中は」
「すごいわ! 碑文があるのよ!!」 「ヒブン?」
「後で見せてあげるわ、今、写真を撮るから」
碑文の写真を撮りまくる裕子。フラッシュの閃光が遺跡の扉を不気味に浮かび上がらせる。
 工事現場、連絡を取っている広島。
「避難完了、いつでもやってくれ」 「よおし!」
スイッチを押す広島。山の至る所で起こる爆発。
 振動と音が伝わり、驚く裕子たち。「何、今の?」
「工事現場の方ででダイナマイトを爆発させよったらしい。そっちは大丈夫か?」
「ちょっと揺れたけど、今のところは大丈…」
トランシーバーに、急に雑音が入り始め、通話ができなくなる。そして、地鳴りとともに、大きな地震が起こる。
 「おい、何だ、何が起こった?!」
広島も慌ててトランシーバーで連絡を取ろうとするが、ひどい雑音に顔をしかめる。
 洞窟の中の三人、お互いの無事を確認し合う。入ってきた入り口が塞がれてしまったことを知り、愕然とする。しかし、遺跡の扉はわずかに開いている。かろうじて通り抜ける三人。足元が崩れて滑り落ちるも、ほんの1メートル程度。内部は暗いが、音の反響でかなりの広さであることが分かった。「先生…」 「離れちゃだめよ」
暗がりの中に、何かが動いている気配を感じる三人。懐中電灯は、三人とも滑った拍子か何かで失っている。カメラのシャッターを押す裕子。フラッシュの光は、真正面ほんの数メートル先にある、巨大な昆虫の顔を照らし出した。(グロテスクな昆虫顔のドアップ!)
 悲鳴を上げ、後ずさる三人。ぼんやりとした巨大な赤い光の列が、闇に浮かぶ。
 巨大昆虫、インヴァルスの認識映像、サーモグラフ。三人の熱映像が映し出される。
 逃げ回る三人を、インヴァルスの顔は(大きすぎて顔しか見えない)追う。しかし、その動きのためか壁の一部が壊れ、外から夕焼けが差す。その明りの差すほうへ逃げる三人。インヴァルスは口から細長い舌のようなものを延ばし、出し入れを行い始める。
 三人に向けて、突然ビュッと舌を延ばすインヴァルス。しかし、舌はたまたま三人が通りかかった所にあった柱に巻き付いた。三人は壁の割れ目から脱出する。舌が蛇のようにウネウネとそばまで寄ってきたが、長さが限界、ギリギリのところで助かる三人、脱出成功。
 インヴァルスの認識映像、サーモグラフ。三人の熱映像が壁の向こうへ消えていく。
 外に出た三人、30メートルほど離れた場所で、正弘が必死になって、塞がった入り口から土砂をかきだしている。
「先生、石川先生!」
脱出した三人に気付き、駆け寄る正弘。
「怪我は?!」 「先生、早く!」
正弘を急かして走り出す三人。
「どうしたんや?!」 「いいから早くッ」
走る三人の背後で山が揺れ、稲妻のように放電が発生する。

 海中のガメラ、泳ぎつつ足からジェット噴射を始める。水面を目指して角度を付けつつ上昇していくガメラ。沈む夕陽をかすめるようにして“スカイワン発進”する!

 自衛隊基地、レーダーのディスプレイ。ディスプレイにブリップとして現れるガメラ。オペレータが報告。ざわめく室内。

 転がるように斜面を降りてくる四人。工事現場の中央をかまわず横切りながら「逃げて」「みんな逃げろ」と叫ぶ。何事かと見詰める周囲の作業員。足がもつれて転ぶ里美。
 広島が怒りを露にして駆け付ける。
「なんだオマエ達は、ここは立ち入り禁止だぞッ」
「逃げなあかん、今すぐに」
「あの山の中に、怪物がいるのよ」
「何だって~?」
「あの山だけ揺れてるでしょ、中で動いてるのよ!」
「何をバカなことを! 断層の調査のために、我々がダイナマイトを使ったんだ」
「そうじゃなくて! ほら今でも揺れているでしょッ…」
裕子が山を指差すが、揺れは完全に止んでいる。一瞬戸惑う四人。
「大体オマエ達は!…」
広島が目を吊り上げて怒鳴ったとき、彼等の足元を強烈な地震が襲う。工事現場のど真ん中から、土砂を巻き上げてインヴァルスが姿を現す。パワーショベルが倒れ、自動車が転がる。
 突然の状況に、逃げることすらできない土木作業員。インヴァルスは、手当たり次第に付近の人間を捕食し始める。
 パニック的に逃げ出す作業員たち。孝一たち四人も、反射的に作業員たちと一緒になって逃げる。しかし、逃げた先は、工場現場の端にあるプレハブ製の飯場。インヴァルスはこちらに向かって逃げてくる作業員を追って一人また一人捕食しながら、どんどん近付いてくる。
「こんな所に隠れてたって駄目よ!」
自分達のミスに気付く裕子。少し離れたところに自動車を見付ける。
「あれよ!」
その自動車に乗り込む四人、しかしキーがない。
 飯場のプレハブに取り付いて、破壊しているインヴァルス。中にいる作業員の絶叫、つい見てしまう四人。孝一と里美は、インヴァルスを見て、夢の中に出てきた怪物であることを認識する。
 プレハブが倒壊、四人の乗り込んだ自動車の方に倒れてくる。間一髪脱出するが、車は下敷きになって炎上。インヴァルスを見上げる四人、絶体絶命? その時、空からヒュンヒュンという音が聞こえてくる。見上げた空を高速で横切る回転ジェットのガメラ。インヴァルスが敏感に反応する。
 回転ジェットのガメラ、旋回してこちらにやってくる!
 スピードが落ち、回転が緩やかになるとともにジェットが四本とも下向きになり、真っ直ぐ降下してくるガメラ。工事現場の中央に着地。
 インヴァルス、ガメラの着地した方へ向き直る。
 もうもうと上がる噴煙の中から、立ち上がったガメラが姿を現した。
 対峙するガメラとインヴァルス。ガメラの方が二回り大きい。
 ガメラ、雄叫びを上げつつも、インヴァルス後方の人影、孝一たちを視認する。(孝一、里美とガメラの目線が合い、首から吊した曲玉が光る)
 ガメラはプラズマ火球を使わず、インヴァルスを掴まえて力技で仕留めようとするが、相手が小さい上に、スピードが早すぎて全然駄目。しかも、ガメラの動きを早々に見切ったインヴァルスは、姿勢を低くすると、背中の装甲を一部展開して生体ビーム発射。これが想像以上に強力!
 ダメージを受けるガメラ、そして孝一、里美も痛みに声を上げる。(孝一がガメラの右半身、里美は左半身とシンクロ)
 しかし、体勢を立て直したガメラは、インヴァルスとの軸線上から孝一たちが外れたのを確認。プラズマ火球を吐こうとする。
 インヴァルスの認識映像、サーモグラフ。ガメラの口の周囲が高温になっていることが分かる。
 ガメラ、プラズマ火球を発射!
 インヴァルスは、何とそれを横っ飛びでギリギリかわす! それでも、地面に命中したプラズマ火球の爆発で、インヴァルスはフッ飛ばされてしまう。ひっくり返ったインヴァルス、闇雲にビームを連射。そのうち一発が孝一たちの背後の崖に命中、崩れ始める。後ずさりしつつ悲鳴を上げる孝一たち四人。
 ガメラはまるでその声が聞こえたかのように孝一たちの方へと向かう。孝一たちは自分たちのほうに向かってくるガメラに気付いて驚くが、ガメラは四つ脚の体勢で彼等を腹の下に庇う。土砂や落石がガメラの背中で遮られ、四人は助かる。
 しかし、インヴァルスはこの隙に地中へと潜って逃げてしまう。
 ガメラは孝一たちが無事脱出したのを確かめると、周囲を見渡すが、インヴァルスが地中に潜った形跡に気付くと、悔しそうに咆哮し、脚のジェット噴射で空へ飛び去っていった。
 呆然とガメラを見送る四人。一呼吸置いて、自衛隊の戦闘機がガメラの後を追うように、飛んでいくのが見える。
 そのころ、広島とその部下(体付きがゴツく、ヤクザっぽい)を乗せた自動車は、すでに市街地を見下ろせる山道を逃走中であった…。

 ニュースの画面。昨日、学校の裏山でガメラが暴れたとの報道。インヴァルスに関しては一切触れず、まるでガメラが悪者のような印象を与える内容。自衛隊もガメラを撃退すべく作戦を検討中とのこと。
 TVを見て、顔をしかめる裕子。「えー、なにコレ」
 TVを見て、困惑顔の正弘。「おいおい、ちゃうでェ」
 TVを見て、憤慨する孝一。「違う! ガメラは悪くない!!」
電話が鳴り、母が出る。
「はい、はい…、じゃあ今日は学校はお休み…、公民館? 親もですか?主人は会社があると思うんですけど?はい、主人と代わります」
夫を呼ぶ妻。孝一はTVを食い入るように見詰めている。

 そして、TV画面をキッと睨んでいる浅黄。
「嘘だよ! このニュース、嘘言ってる!」
「そうだなぁ、ガメラが理由もなく暴れるわけがない…まさか、またギャオスが?」
不安そうな父、直哉。
「浅黄、あの曲玉は?」
既に取り出してある曲玉を父に見せる浅黄。全く反応していない。ホッと安心した様子の直哉。
「とりあえず、学校行くね」
普段と変わらない様子の浅黄。
「ああ、お父さんも会社行くから、途中まで乗せてってやる」 「うん」

 父の運転する車から降り、手を振り別れる浅黄。すぐそばに電話ボックスを見付けると、中に入る。メモを見つつダイアルプッシュ。
「ごめんね、お父さん……あ、もしもし、草薙です。あのぅ、体の具合が悪いので、今日、学校休みたいんですけど…」

 アナウンスが行われている町内。
「本日、午後、一時より、公民館にて、臨時の集会が、行われます……町民の皆さんは、公民館に集合してください…」
公園で友達数人ととサッカーの練習をしている孝一。親たちが呼びに来る。
 公民館に集合している町民。避難の可能性があると知らされる。しかし、切迫感のない町民。インヴァルスを見た者は孝一と里美のみ、飛んでいるガメラを目撃したものもほんの数人にすぎないのだ(爆発音を聞いたものは比較的多数)。
 避難経路、一時避難場所の説明が半ば事務的に続く中、退屈してキョロキョロしている孝一。すると、館内をウロウロしている裕子を発見。孝一を見付けた裕子は、適当なことを言って母親を納得させ、この後で孝一を連れ出す約束を取り付ける。
「里美ちゃんと、石川先生も来てるから」

 アナウンスが響いている町内を歩いている浅黄。私服で、大きな鞄を持っている。
「…います。自宅に残っている人は、至急、公民館に、集合してください…」
 集会が終り、急いで席を立つ孝一と裕子。廊下でつながっている隣の体育館で、里美と正弘はヒマつぶしのバレーボール練習をやっていた。里美の返し損なったボールが、孝一の方へ。孝一、思わず胸でトラップし、軽快にリフティング。
「こらぁ!」怒る里美。
孝一、素直にリフティングをやめ、ボールを投げて返す。
「おうおう、やっと来たか。ほな、行こか」
 ぞろぞろと公民館から出ていく町民の中に混じって歩く四人。孝一と里美が、急に立ち止まって胸に手を当てる。裕子と正弘も立ち止まり、人の流れの中で、四人は微かに反応している曲玉に見入る。
 人の流れに逆らって、孝一たちに近付く誰かの視点。
「あの…」
孝一たちの前に立つ、浅黄。
「はい?」
「草薙浅黄といいます。はじめまして」
浅黄、ペコリとお辞儀。
「あ、こちらこそ、どうも…あの、何でしょうか?」
「これ」
自分の曲玉を見せる浅黄。やはり微かに反応している。
「あなた、それどこで見付けたの?」驚く裕子。微笑む浅黄。
 ハンバーガーショップ内。テーブルについている五人。洞窟で写したインヴァルスのアップ写真を見詰める浅黄。
「ギャオスとは全然違う…」
「おねえちゃん、ギャオスを見たことあるの?」
「うん、あるよ」
「すっげー」
微笑みながら、自分の唇に人差し指を当て「しーっ」という合図をする浅黄。うなづきつつも興奮気味の孝一。対称的に、面白くなさそうな里美。
「ガメラが人間の見方だということに関しては、俺たちも同じ意見や。しかし、この曲玉で、ガメラの心が見えるっちゅうのは、ようわからんな」
「この曲玉が今よりもっと光っているときは、あたしとガメラの心が通じて、ガメラの痛みは私に伝わるんです」
「どうなの、孝一くん、里美ちゃん」
「よくわかんないけど、ガメラにアイツの光線が当たっとき、こっちの手が痛いっていうか、熱かった」
「あたしも! あたしはこっちの手」
「なんやて? ちょっと見せてみ」
その後、孝一と里美の見た夢や碑文の話も出るが、
「あんなの(インヴァルス)が住宅地にでも現れたら大変」
ということで、資料をまとめてその対策を各関係方面へ要請することで話がまとまる。
 浅黄と裕子は、古代史やファンタジーが好きだということで意気投合。碑文の調査の件もあって、浅黄は裕子のアパートに泊まることになる。

 裏山、荒れ果てた工事現場。ひっくり返ったパワーショベルや倒壊したプレハブの片付けをしている自衛隊の部隊。ジープに乗ったまま、指揮をしている広島。ガメラ関係の報道のため、マスコミ関係者の姿も多く、ヘリコプターも飛んでいる。
 立ち入り禁止のロープの前に高級車が荒っぽく停車し、中から部下を引き連れた斎藤審議官が降りてくる。怒りの形相を露にし、広島に詰め寄る。
「どういうことだ、これは! 環境庁に一切報告をせず、こんな勝手な真似をしてッ」
「私は建設省の指示で動いている、単なる現場監督者です。詳しいことは…」
「建設省が関与してることは知っている! まったく、自衛隊まで駆り出して…とにかく詳しい説明を聞かせてもらおう」
「詳しい説明って言ったってねぇ…御覧の通り、断層の調査をしていたらガメラがやって来てこの有様ですよ。ニュースでやってたでしょう」
斎藤審議官、怒りの表情を緩め、あの独特のニヤリ笑いをする。
「そうやってとぼけていられるのも今のうちだ。明日になったら、私の指揮する調査隊がこちらに到着する。むろん、全ての許可は取り付けてある…」
部下を促して、踵を返す斎藤審議官。走り去る高級車を、斎藤は憎しみに満ちた目で見送る。

 裕子は碑文のルーン文字の件で、学生時代の恩師である寺田と連絡をとる。偶然にも、寺田は斎藤審議官の組織した調査隊のメンバーのリーダー格で、明日こちらに来ると言う。裕子は自分も調査隊に加えてくれるよう願い入れ、寺田は斎藤審議官に申し入れることを約束する。
 電話をしている裕子の隣で「裕子さん、あたしも、あたしも」と懸命にアピールする浅黄。

 翌日、工事現場に乗り込む、斎藤審議官指揮下の調査隊。寺田はもちろん、裕子と浅黄もメンバーに入っている。
 調査隊は、裕子の案内で遺跡を発見する。広島の挑発に乗って、調査隊と行動を共にしていた斎藤審議官(背広姿に軍手、ヘルメットと長靴!)も得意満面。しかし、広島の罠が待っていた。仕組まれた“事故”が、調査隊を襲う。寺田、裕子は軽傷で済んだものの、斎藤審議官と浅黄を含む半数以上が重傷を負って救急車で運ばれる。

 同じ頃、巨大生物が、市の中央、駅の近くの地下から出現したとの情報が現場に入る。潜伏していたインヴァルスだ。マスコミ関係者は一斉に現場へ移動。
 市の中央は、インヴァルスによってパニックになっていた。インヴァルスは巨大化しており、ビル(デパート)に取り付いて、中の人間を捕食する(アリ塚に取り付いてアリを捕食するアリクイのイメージ)。
 道路が寸断され始めているにもかかわらず車で避難しようとする人が多いため、渋滞が発生する。その中には、正弘の運転するパジェロもあった。孝一と里美が乗っている。
 現場に駆け付けたマスコミが、インヴァルスの映像を放送しようとするが、電波障害が発生しており、うまくいかない。
 渋滞している道路に、インヴァルスが向かってくる。車を捨てて逃げる正弘、孝一、里美。迫り来るインヴァルス。孝一、里美の曲玉が光る。その時、地面が揺れ、インヴァルスに正面から“とうせんぼ”をするように、地中からガメラが現れた。
 再び対峙するガメラとインヴァルス。インヴァルスの方が細身ではあるが、両者の体長はほぼ同じ。
 周囲にまだ逃げ遅れた人間が多数いることを知ってか、前回同様、格闘戦狙いで向かっていくガメラ。しかし、体が大きくなってもインヴァルスの素早さは変わらずで、威力を増した生体ビームでヒットアンドアウェイ攻撃を仕掛ける。ガメラも四つ脚姿勢を取って姿勢を低くし、ビーム攻撃を甲羅で受けて防御。
 ガメラとインヴァルスから遠ざかろうと、自転車や自分の足で走って逃げる市民。孝一は、正弘と里美を説き伏せて、現場にとどまる。
 インヴァルスのビーム攻撃が、ガメラの頭や手足を狙うようになってきた。頭や手足を引っ込めてガードを固めざるを得なくなるガメラ。
 しかし、さらに数連謝した後、インヴァルスのビームの出力が急に弱まり、スッと蝋燭の火が消えるように、ビームが止む。
 ガメラ、甲羅から頭を出して様子を伺い、手足を出すと低い姿勢のままズイッと前に出る。ジリッと後退するインヴァルス。
 ガメラ、雄叫びとともに体を起こし、インヴァルスに向かって突進する。インヴァルスも体を起こして、ガメラの側面に回り込むように移動する。
 ビルが邪魔で回り込めなくなると、ビルの側面にへばりついて這って移動!(昆虫形ならではの動き)
 交差点のスペースも利用して、インヴァルスはガメラの側面に回り込むことに成功。そして、ガメラの側面から、両腕の鎌で斬りつける。
 ガメラ、インヴァルスの斬撃の一振りめは体を退いてかわし、二振りめは踏み込んで肩の甲羅の部分で斬撃を受ける。弾かれるインヴァルスの鎌。
 ガメラ、フック気味の掌打ちを突き出すが、いかんせんリーチが短い。スウェーでかわすインヴァルス。そして体を戻しつつ今度は両方の鎌を同時に振り下ろす。ガメラ、再び間合いを詰め、肩口の甲羅で受ける。ちょっと火花が散るが、甲羅にダメージはない。
 ガメラ、そのままインヴァルスの懐に潜り込みつつ、下から跳ね上げ、甲羅越しにインヴァルスを後方に投げ落とす。(プロレスでいうショルダー・スルー)
 ビルの谷間に、背中から落ちるインヴァルス。必死にもがく。
 ガメラ、ずもも…と振り返る。
 インヴァルス、その間にビルから脱出。振り返ったガメラに、ビームを二連射。
 それでも、ビームの間隙を突いて、ガメラは一気に飛び上がる。上空からプラズマ火球で攻撃するガメラ。しかし、いとも簡単にそれを避けると、空中のガメラにビームを命中させるインヴァルス。墜落するガメラ。

 ズン!と衝撃を受ける孝一と里美(シンクロしているため)。

 ビルの瓦礫によって態勢不十分のガメラ。ここぞとばかりにインヴァルスのビーム集中放火。ガメラ、ダメージ大きく右肩から出血、そして孝一も! うずくまる孝一、慌てて応急処置する正弘。しかし孝一は歯を食いしばって痛みに耐え、ガメラに熱い視線を送る。
 ガメラは強引に飛び立って上空から火球三連射。しかし、これも全てかわされてしまう。
「アカン、コースもタイミングも完全に読まれとる」
正弘の声にハッとなった里美、光る曲玉を握り締める。
 着地したガメラ、よろめきながらも、渾身の力を振り絞ってプラズマ火球の態勢。インヴァルスの認識映像、サーモグラフ、その他いろいろ。やはり読まれている?
 ガメラの口からプラズマの閃光、素早く移動するインヴァルス。しかし、ガメラの口からは、まだ火球は放たれていない! 移動したインヴァルスに向けて角度を修正して、今度こそプラズマ火球発射! インヴァルスもこれには反応が遅れ、避け切れずに被弾! 左側の後ろ脚二本を吹き飛ばされる。
「ナイス、一人時間差!」
里美の強張った表情に、少しだけ安堵の色が浮かぶ。
 インヴァルスは、あたふたと付近の大きなビルにとりつくと外壁に穴を開け、中に潜り込んでいく。
 そのインヴァルスに、とどめの火球を放とうとするガメラ。しかし、ガメラの口の中では弱々しく光が脈づくだけ。エネルギーが消耗しているのか? 右肩からは出血が続いている。
「ダメなの?」
嘆願するような里美の声。
「…今、今やっつけなきゃ…」
孝一の声に応えるように、ガメラはインヴァルスの潜り込んだビルに突進し、崩し始める。
 その時、上空に自衛隊の戦闘機が飛来。ビルを崩しているガメラに、レーザー照準によるピンポイント爆撃を開始する。
「何やっとるんや! やめんか、このドアホ!」
正弘の怒鳴り声が届くはずもなく、継続部隊が再度ガメラに爆撃。苦しむガメラ。里美も苦しそうにしゃがみ込む。
「逃げて、ガメラ。逃げて…」
ガメラは里美の訴えを聞き入れたかのように、一吠えするとジェットで飛び立ち、雲の向こうに消えていった。正弘はぐったりした二人を励ますと両肩に抱え上げ、歩き出した…。

 病院。今だ担ぎ込まれて来る負傷者多く、かなり慌ただしい。
 病室。ベッドで眠っている浅黄。頭に包帯をしている。
傍らに立つ孝一(右肩に包帯)、里美(左手に絆創膏)、裕子、正弘、寺田。
「私の責任だ。私が同行を許可したばっかりに…ご両親に何とお詫びをすれば良いのか…」
「いいえ、私が悪いんです。私が無理なお願いをしたから、こんな事になってしまって…」
うなだれる寺田と裕子。心配顔の孝一。複雑な感じの里美。
 そこへ、細井と名乗る男がやってくる。重傷を負った斎藤審議官の代わりに来たというが、あまりにもオドオドした弱々しいその印象に、一同は顔を見合わせる。

 自宅に戻った孝一だが、水・電気・ガスのライフラインが断たれてしまい、家族と共に本格的な避難をせざるを得なくなる。里美も同じく、避難施設に向かうのだった。すでに辺りは暗くなり始めている。闇に包まれていく自分の町を見て、不安そうな孝一。
 
 翌日。
 孝一、里美、裕子、正弘、寺田、細井が集合している。今後の対策を検討するためである。インヴァルスはまだ生きているのだ。
「気になるんは、あのバケモン…インヴァルス(寺田が解読した碑文の一部から、この時以降、“インヴァルス”という名前が使われるようになる)か、アイツが、明らかにガメラの攻撃パターンを読んどるゆうことや。今回は、何とか時間差攻撃で退けたけど、次にやるときは、時間差攻撃すら読まれてしまうかもしれん」
「一度見た手には、二度と引っ掛からないってワケ?」
「俺はそう思う」
「先生は、ガメラが負けると思ってるの?!」
食ってかかる孝一。
「負けてほしくない。せやけど、冷静に考えたら、よほどうまい作戦でも立てん限り、インヴァルスに勝つのは難しいやろ。キツイこと言うようやけどな、孝一、おまえが一番よう分かっとるんやないか?」
「孝一くんの肩の怪我、どうされたんですか?」と、細井。
「ガメラが敵の攻撃を受けて傷つくとな、孝一と里美のどっちかが、同じ所に痛みを感じたり、実際に傷を負ってしまうんや。俺、見とって、たまらんかったわ」
暗い雰囲気がその場を包む…。
「相手の攻撃パターンを読めるのは、インヴァルスだけじゃないわよ」
里美の明るい声に、“えッ?”となる一同。
「完全に避けなくっても、背中の鎧の所で受ければ、痛くないもん」
「里美、お前…」
可愛くも不敵な表情で、Vサインをする里美。その場の雰囲気がパッと明るくなり(「こいつ、ウチのバレーチームのエースアタッカーなんですよ」などと、関係ないことまで言い出す正弘)、前向きな話が始まっていく。
 遺跡の碑文から、インヴァルスを封印ないし撃退する方法が遺跡に隠されている可能性が高いと考えた裕子と寺田は、引き続き遺跡の調査を主張。孝一、里美、正弘は、自衛隊のガメラに対する攻撃を中止することが第一だと強調。
 それに対し、細井は「明確な証拠を提出しないと…」「とにかく善処します」など、弱腰の発言に終始する。
「証拠を掴むためには、遺跡の調査を続行するしかないでしょッ」
「とにかく、いっぺん自衛隊の幹部に合わせろッ」
イラついて声を荒げる二人に、細井はビビリまくる。
「ハッ、ハイッ、て、手配します、手配しますので、よろしくお願いします」

 そして、細井は本当に手配した。
 自衛隊の幹部に囲まれた(本当は、丸テーブルの切れ目の部分に座っているだけ)、正弘、細井、孝一、里美。皆、神妙な顔付き。
「君達は、ガメラと、もう一体の別の巨大生物を、マスコミ陣を含めた他の誰よりも近い場所で見た…ということだが?」
「あの、私は別に、その場に居合わせた訳ではございませんので…」
細井の最初から腰の引けた態度に、ムッとする正弘、孝一。
「ああ、じゃあ君以外の三人」
 正弘たちは、ガメラは人間の味方であり、撃退しなければならない敵はインヴァルスであると説明。自衛隊の幹部たちも、市民やマスコミ、または内部からの情報(自衛隊機は、不鮮明ながらインヴァルスの写真撮影に成功していた)によって、インヴァルスの存在自体は確認していることを認める。
「しかし、我々に課せられた任務は、市民の生命と財産を守ることにある。例え相手がガメラであろうと、そのインヴァルスという巨大生物であろうと、日本の領土で破壊活動を行う存在に対しては、武力行使を含むあらゆる手段を用いて、撃退する。もちろん、それには内閣の承認が必要となるが」
始めはおとなしくしていた正弘だが、堪え切れなくなる。
「幹部の皆さん、さっきからエラそうなことを言ってるけどな、実際にインヴァルスから市民を守ったんはガメラや。ガメラが来てくれんかったら、俺もこの子たちも、回りにいた人達も、みんなインヴァルスに食われて死んどった」
「何が言いたいのかね、君は」
「これだけは言わせてもらうで。俺たちはガメラに助けてもろた。遅れてやって来た自衛隊に助けてもろたわけやない」
「オイ、君ィッ」
いきり立つ年寄り幹部を制したのは、佐竹一等陸佐。
「本件の特種災害に関する作戦の指揮を取ることになった、佐竹です。前回、我々の初動が遅れたことについては、お詫びします。地中から出現する相手に対しては、後手に回らざるを得ないというのが、現時点の実情なんです…」 佐竹の態度に本当の誠実さを感じた正弘たちは、知っている限りのインヴァルスの情報を提供し、佐竹もそれに応える。
「ガメラの火球攻撃を避けるということは、やはり熱には弱いと考えるべきですね」などなど。
 そして、少なくとも次回の作戦では、仮にガメラを発見しても、攻撃は見合わせることを約束する。会議が終わった直後、それまで積極的な発言をしなかった孝一が、口を開く。
「ガメラは人間の味方です。絶対そうです」
「うん、私も個人的にはそう思っている。以前、ギャオス撃退作戦を指揮したときから、ずっとそう思っているんだ」と佐竹。
「おじさん、ギャオスと戦ったの?」
「私は後ろで指揮をしていただけだよ。あのときは結局ガメラに退治してもらったけれど、今度は自衛隊の力で、あの怪獣…インヴァルスをやっつけたいんだ」
佐竹は、しゃがんで孝一と目線の高さを合わせて言う。
「君達の意見は、とても参考なったよ。どうもありがとう」
正弘、里美にもキチンと挨拶をして去っていく佐竹一等陸佐。孝一は眩しそうにその後ろ姿を見送る。
「あのう、それじゃ私は遺跡の現場の方へ行ってきますので…」と、細井。
「なんや、お前、いたんか」
「いたじゃないですか隣りにずっと」細井は何やらブツブツ呟きながら一人で立ち去る。
 正弘たちは、孝一たちの家族を心配させないようにと、遺跡現場には寄らず、真っすぐ避難施設に帰ることにする。

 遺跡現場。前回の事故で無事だった調査隊メンバーたちが、次々に引き上げていく。
「また事故が起こると怖いから…」結局、残ったのは寺田と裕子の二人だけ。それでも二人は調査を行う。
 そこへ広島がやって来て、思わせぶりに喋り出す。
「ここは地盤が緩んでいて危険ですよ、お仲間も帰られたことだし、もう、止めといた方がいいんじゃないですかぁ…」
不意に広島の声色が変わる。
「一つ、取り引きをしませんか。あなた達は何も発見しなかった、私も何も見なかった」
「何ですって?!」
「だからここには計画通り、国道を造りましょう、と。悪いことなんかじゃないですよ、国道ができれば、便利になります。市民の皆さんは喜びます」洞窟内に響く、演説調子の広島の声。
「人助けだと思って、一つお願いできませんか。もちろん、僅かながらお礼もさせて頂きます」
「あなたっていう人は!…」
広島に向かっていこうとする裕子を、寺田が制止する。
「私は以前、学術調査のため、中東に滞在したことがある。その時、幾つもの油田を所有する富豪の家で、国宝級の古代美術品を見せてもらったことがある」
「なぁにを言い出すんですか」
「それは複製ではなく、本物だった。その富豪によれば、盗掘品を闇ルートで流通させるブローカーがいるそうだ」
「あのですねぇ~、私はただ、ここに国道を造りたいだけなんですけどねぇ」
「この遺跡は世界的に見ても非常に珍しく貴重なものだ。あそこに埋もれている金属性の扉一つ取っても、古代美術品ブローカーから見れば、一億円は下らないだろう」
広島の目の色が変わる。
「先生?!」
「しかし、この遺跡には、多くの人の命が懸かっている。またいつ現れるか分からない、あの悪魔の獣、インヴァルスを封印する秘密が隠されているのだから」
毅然とした寺田の態度を、鼻で笑う広島。
「あんたが勝手にそう思い込んでるだけでショ」
「あなただって、インヴァルスを真近くで見た一人でしょう!? インヴァルスは、この遺跡の中から出てきたのよ!」
「おおコワイコワイ、あの怪獣より怖いくらいだ…まぁ、今日のところはこれで失礼しますけど、取り引きの件、よーく考えておいて下さいね」

 孝一を含む市民の避難施設での生活。並んで給水車から水を貰ったり、食料の配給を受けるため長い列を作ったり。そんな中、ちょっとしたいさかいが起こって、そばにいた孝一は顔を曇らせる。

 遺跡現場。大きな金属版を裏返そうとしているが、重くてダメ。
「道具がないと無理だな。明日、私が道具を持ってこよう」
「そうですね、もうこんな時間だし」
「帰って碑文の解読もやらないといけないしな」
 今日の調査をひとまず終え、自動車に乗り込む裕子。寺田に挨拶して発車。寺田も少し離れたところにある自分の車に向かう。
 枯れ枝の折れる音に気付き、振り返る寺田。広島がニヤニヤしながら立っている。
「帰ったんじゃなかったのか」
「今日中に、これを見てもらっておきたくてね」
差し出された書類に視線を走らせる寺田。
「地盤軟弱につき危険、関係者以外立ち入り禁止…?」
「建設省発行、県警察署長の承認印入り、ですよ。警察は私の味方ってゆうことです」
「あの遺跡品が欲しいなら、持っていくがいい。ただし、我々の調査が終わってからだ」
「ジョーダンじゃありませんよ。あの遺跡に隠された情報自体も、私にとっては大切な商品なんですから」
「やはり盗掘ブローカーだったのか」
広島は、薄笑いを浮かべながらタバコを地面に捨て、踏み消す。
「ええ、ブローカーもやってますよ。でも、私を単なるブローカーだと思わないほうがいいですよ。バックには、建設省の官僚が付いていることをお忘れなく」
寺田は毅然とした態度を崩さない。「あの事故も、キサマが仕組んだのか?」
「強引な調査を進めれば、またああいう不幸な事故が起こるかも知れませんねェ」
「そうやって、調査隊のメンバーを脅迫したんだな」
「脅迫なんて人聞きの悪い…忠告ですよ、親切な忠告。先生も、可愛い教え子に怪我をさせたくはないでしょう?」
一瞬の間。そこへ、車の音とライト。ライトが広島の薄笑いを照らし出す。黒塗りのキャデラックが寺田を無視して突っ込んでくる。慌てて避ける寺田。走り去るキャデラックの後部座席には、勝ち誇ったかのように薄ら笑いを浮かべて寺田を見詰める広島が座っていた。悔しそうに拳を握り締める寺田。

 夜も更けた避難施設。自家発電機の故障で、ろうそくと懐中電灯の明りのみ。
 布団に入り、曲玉を手にする孝一。本当に弱々しくしか光っていない。
 違う場所で、布団に入り、曲玉を手にする里美。やはり弱々しい光。

 病院、ベッドで眠っている浅黄。

 眠りに落ちる孝一と里美。

 (イメージシーン)ベッドで眠っている浅黄、ベッドが消えて浅黄は海の中へプクプクと泡に包まれてゆっくりと沈んでいく。浅黄に少し遅れて、浅黄の右側に孝一、左側に里美が並んで沈んでいく。
 海底に沈んで眠っているガメラ、そのガメラの甲羅に向かって沈んでいく三人。ふわりと、背中から甲羅に着地。ガメラの甲羅の上で、並んで眠る三人。

 現実の映像。穏やかな三人の寝顔。

 朝、避難市民でごった返す洗面所で、持参のペットボトルから水を出して、顔を洗っている孝一。少し離れたところに人だかりができている。顔を拭きながらそこへ行く孝一。
 TVだ。ニュース番組を映している。自衛隊のインヴァルス撃退作戦に関するニュースだ。
 なんとか最前列に潜り込むと、すぐ隣に里美がいた。二人とも、ちょっとびっくり。
「あ、あの時のおじさん」
TV画面には、佐竹一等陸佐が大きく映っている。
「すっごーい、TVに出てる~」
ミーハーな反応の里美。孝一は真顔で曲玉を確認し、里美にも確認を促す。相変わらず、弱々しくしか光ってない。
「まだ寝てるみたいね」
「やっぱりそうか…」

 裕子、正弘、寺田、細井、集合している。
「そんなわけで、今のままでは我々はあの地域に立ち入ることすらできません。何とか、我々が遺跡を調査できるように、取り計らっていただけないでしょうか」
「そう言われましても、相手が正規の手続きを経て立ち入り禁止を打ち出してきたとなると、すぐには、ちょっと…」
寺田の申し出に対し、相変わらず弱腰な細井。
「今まで調べた分から、何か解ったことはないんか」
「これといった情報が出てこないのよ。まだ未解読の部分も残っているんだけど」悔しそうな裕子。
 その時、つけっぱなしにしていたTVが、臨時ニュースを報道し始めた。
「番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。4時20分ごろ、インヴァルスと見られる巨大生物が、○○に出現したとの情報が入りました…」

 スクランブル状態の自衛隊基地。 発進する戦闘機、ヘリコプター、輸送機、81式短SAM部隊、移動指揮車。
 移動指揮車には、佐竹一等陸佐が乗っている。

 孝一たちのいる避難施設でも、TVの前に黒山の人だかり。

 「孝一と里美のとこ行ってくるわ」部屋を出て行く正弘。
「あ、あの、それじゃ私も、例の件、前向きに善処しますので」
細井も部屋を出る。

 避難が完了し、無人となった市街を徘徊するインヴァルス。ガメラに吹き飛ばされた脚は、やや細くて色が薄いものの、再生している。体全体も、一回り大きくなっている。
 自衛隊は、インヴァルスに対し、総力戦で一気に勝負をかける。上空と地上から、アウトレンジのミサイルの波状攻撃だ。初めの何発かは避け、何発かはビームで打ち落すインヴァルス。しかし、とにかく量が凄まじい。至近弾、直撃弾を何発も受け、吹っ飛ばされ、すぐにインヴァルスの動きが鈍くなっていく。
 そこへ、レーザー誘導によるナパーム弾のピンポイント爆撃。炎に包まれるインヴァルスの巨体。
 矢継ぎ早にピンポイント・ナパーム爆撃の第二波も決まる。しかし、この時二機の戦闘機がインヴァルスのビームの直撃を受け、撃破あるいは打ち落とされてしまう。

 TVのニュース、遠くから現場を実況中継している。
「あッ、今空で大きな光がッ 爆発?爆発ですか? 今のはミサイルではないようです…ああッ、また光った!戦闘機です、戦闘機が煙を引きながら、たった今、墜落していきました。自衛隊始まって以来、初めて自衛隊機が敵の攻撃を受けて撃墜されましたッ パイロットは脱出できたのでしょうか、パイロットの安否が気遣われます…」
TVの前でどよめく人だかり。

 戦闘機を二機撃ち落としたインヴァルスだったが、抵抗もここまで。ピンポイント・ナパーム爆撃の第三波を決められると、紅蓮の焔に包まれたままただ逃げるのみ。そして、○○タワーの近くまで来ると、つい力尽きたようにひっくり返って動かなくなった。佐竹一等陸佐は、攻撃の中止を命令する。 仰向けの状態で脚を縮め、黒焦げになったインヴァルス。ピクリとも動かない。偵察機の映像で勝利を確信する佐竹一等陸佐。
「あとは、あの巨大な死骸をどうやって片付けるか、だな…。1時間様子を見た後、作戦第二段階に入る。インヴァルスの監視と同時に、不発弾の確認を急がせろ。消火部隊も最終チェックに入れ」
 勝利に沸く自衛隊指令部、その他隊員たち。

 TVニュースも自衛隊の勝利を伝える。ちょうどその時、孝一と里美のところに正弘が到着。
「なんや、どうなったんや?」
「もう終わっちゃったよ」
「ええ?」
「自衛隊が勝ったみたい」
「ほんとうにか?」
仰向けの状態で脚を縮め、黒焦げになったインヴァルスの映像が出る。大喚声で沸き返る避難施設。
「やった、本当にやったんやな! 佐竹さん、ようやってくれた!」
「これで家に帰れるね!」
正弘と里美は大喜び。孝一もホッとするのだが、何か心に引っ掛かるものを感じていた。

 夜、帰り支度を始めている避難施設の人々。

 深夜4時すぎ。部屋で寝転がってウーロン茶を飲みながらTVを見ている正弘。番組は『朝まで生TV』。
“果たして今回の自衛隊の行動は正しかったか?”みたいなテーマで討論している。年配の学者が、強力な麻酔を使えばインヴァルスを捕獲できたかもしれないとして、自衛隊の火力一辺倒のやり方を批判している。
「何をほざいとるんや、このジジイは。あのバケモンにそんなモンが効くかっつーの」
正弘、TVに向かって文句を言う。しかし、突然何かに気付いたように、表情が固まる。
「ちょっと…おかしいぞ…」
跳ね起きて電話に飛び付く正弘。裕子に電話をするが、留守伝になっている。一瞬迷った後、部屋を飛び出す。パジェロに駆け乗り、急発進す正弘。

 裕子の部屋。ソファで眠っている裕子。机の上や周囲は遺跡調査の資料で一杯。台所にはレトルト食品の容器。床には遺跡調査の七つ道具や泥で汚れた服、コンビニの袋、丸めたメモなど。部屋は、かなり散らかっている。ドアのチャイムが鳴る。しつこく連続して鳴る。
 とうとうドアを蹴り始める正弘。ようやく目を覚ます裕子。
 ドアを開けると、正弘がイライラした様子で立っている。
「ちょっとぉ、今何時だと思ってるの?」
「大変や、大変なことに気付いたんや」
血相を変えている正弘を、とにかく部屋に入れる裕子。
「おまえ、インヴァルスが映っているニュース、生中継で見たか?」
「最初から終りまでずっと見てたわよ、インヴァルスが黒焦げになって死ぬところまで」
「その時、TVの画像が乱れたりせんかったか? ノイズがひどくて、音声が聞こえんようなとき、あったか?」

 自衛隊の移動指揮車。
インヴァルスの死骸を監視中の暗視カメラの映像が乱れ始める。監視員、まだ気付かない。

 裕子の部屋。
「な、おかしいやろ」
「確かにそうだけど、ガメラとの戦いで、最初から弱っていたのかもしれないし。現に、黒焦げになって死んだんだから」

 自衛隊の移動指揮車。
インヴァルスの死骸を監視中の暗視カメラの映像がひどく乱れている。監視員、気がつく。画面の調整をするが、だめ。慌てて連絡をとろうとするが、ノイズがひどくて通信できない。

 仰向けになって畳まれていたインヴァルスの脚が展開する。二、三回体をローイングさせ、スムーズに起き上がるインヴァルス。

 自衛隊の移動指揮車。
インヴァルスの死骸を監視中の暗視カメラの映像は完全にノイズアウトしている。監視員、通信装置を切り替えて必死に連絡を取ろうとするが、うまくいかない。

 ○○タワーに向かって歩き出すインヴァルス。

 裕子の部屋。
「確かに俺の思い過ごしかもしれんけど、どうにも気になってな…」
その時、電話が鳴る。留守伝が作動し始めたので、慌てて解除し、受話器を取る裕子。
「はい、もしもし。あ、先生」
「寺田先生か?」
頷く裕子。
「俺にも聞こえるようにせぇ」
裕子、スピーカー機能をオン。
「裕子くん、写真Dの13の解読結果は出ているかね?」
「ちょっと待って下さい…いえ、まだです」
「私も今、解読したところだが、気になる内容なんだ。いいかね、“インヴァルスの色が変わるとき、短い静寂の後、さらなる災いが解き放たれる”」
「インヴァルスの色が変わるとき…」
正弘、TVをつける。『朝まで生TV』のチャンネル、映っていることは映っているが、ノイズがひどい。
「先生、今どこから電話をかけてらっしゃるんですか?」
「ホテルの公衆電話からだ。携帯電話を使おうとしたら、ノイズがひどくて通じなくて」
愕然として顔を見合わせる裕子と正弘。

 海底のガメラ、目を開く。
 病院のベッドで、目を覚ます浅黄。
 海底のガメラ、体を起こす。
 布団の中で横向きに寝ている里美、目を開け、ムクッと体を起こす。
 海底で、雄叫びを上げるガメラ。
 バッと布団を跳ね除けて起きる孝一。曲玉が、薄闇の中で力強く光を放っている。

 ガメラ、ゆっくりと泳ぎ始める。

 混乱している自衛隊仮設本部。無線通信が全くできなくなり、ワイヤレスの探知機器も軒並みダウン。
 ビルの階段を駆け登り、屋上に出る自衛隊員のグループ。
 ○○タワーに登っていくインヴァルスを、薄闇の中で、感覚的にはほとんど目の前で直視する隊員たち。インヴァルスは見る見るうちに屋上より高い位置に登っていく。皆呆然としていたが、リーダー各の隊員が我に返る。
「至急、本部に連絡!」
「了解!」

 「すいません、先生。インヴァルスが退治されたから、もう急がなくてもいいと思って」
「いや、いいんだ。それより、手元の資料を持って、すぐに私のところへ来てくれ。細井さんに来てもらって、二人の資料を見てもらうんだ。何としても、この情報を自衛隊に伝えなければ…。じゃあ、私は細井さんに連絡をするから」
「先生、あの、私…」
寺田からの電話、切れる。

 ホテル、寺田の部屋。メモを見つつ、ダイヤルプッシュしている寺田。その背後で、ドアノブのロック錠が音もなく回り、ノブ自体も回ってドアが開く。
 何者かが寺田の背後に忍び寄っていく。ハッと気が付いて振り向こうとする寺田。鈍い音、寺田の大きく見開かれた目、呻き…。

「ああ、どうしよう。あの部分の解読は、私がやることになっていたのよ。でも、ニュースを見た後、気が抜けて眠りこんじゃって」
「ここんとこ、遺跡の調査と解読作業で、ほとんど寝てなかったんやろ。しゃあないわ。とにかく資料をまとめて、寺田さんのいるホテルへ行こ。地図の書いてあるメモ、あるやろ」
裕子はメモを探しかけるが、すぐに止める。
「資料なら、先生のだけで十分よね。私、遺跡現場に行くわ」
「おいおい」
「一緒に来て、お願い。裏返しになっていて、碑文を映せなかった金属版があるの。重たくて、先生と私じゃひっくり返せなかったけど…ね、お願い!」一瞬考える正弘、すぐに心を決める。
「そうか、分かった。行こう!」
かっとんでいく二人を乗せたパジェロ。しかし、物陰からそれを見ている男がいた…。
 混乱している自衛隊仮設本部に、佐竹一等陸佐が遅れ馳せながら登場。
「インヴァルス発見としか聞いていないが、どういうことだ?」
「現在確認中です」
「現在位置は? いま攻撃を受けたら、こっちは全滅だぞ」
「強力な電波障害が発生しており、探知システムが全く機能していません」
「□□基地に連絡、アラート機を全てこちらに寄こすようにと」
「了解」
乱れていた襟元を正し、呟く佐竹一等陸佐。
「アレがまだ生きていたのか? それとも、また別のインヴァルスが現れたのか?」

 ビルの屋上で、○○タワーに登ったインヴァルスの監視を続行している隊員たち。インヴァルスは動きを止めている。
 インヴァルスの黒焦げボロボロの背中に、パシッと縦に一本亀裂が走る。双眼鏡を覗いたまま、ちょっとのけ反る隊員たち。
 インヴァルスの背中の亀裂は見る見る広がり、中からツルピカの、成虫?となったインヴァルスが姿を現す。
思わず後じさる隊員たち。
「至急ゥ、本部に連絡ゥウ!」
「了解ィー!」
隊員たちが恐怖の表情で見詰める、凶々しくも美しいインヴァルスの新しい姿。インヴァルス、触覚を伸ばし、頭部をくねらせる。

 混乱の続く自衛隊仮設本部。
「住民の避難施設との連絡は?」
「電話回線は繋がりました。非常事態を通告してあります」
「いつでも移動できるように準備をするよう伝えろ。ただし、まだ建物から外に出ないように」
「了解、伝えます」

 非常事態の連絡を受け、バタバタし始める避難施設。
 施設の中につめていたマスコミ陣が放送機器をセッティングしているが、電波障害で局と通信することができない。
 避難民で、TVやラジオをつける人もいるが、ノイズでほとんど役に立たない。
「どーなってんだよ、いったい」
「非常事態っていわれても、なにすりゃいいんだかサッパリわからん」
ざわつく避難民の中を、係員がスピーカーで説明して歩いている。
「いつでも移動できるように、準備をしてください…まだ、建物の外には出ないでください…」

 病院。
 すでに着替えや身支度を終えている浅黄。ドアを開け、看護婦たちのスキを縫って、病院から抜け出す。

 自衛隊仮設本部内。
 有線電話を受けとる佐竹一等陸佐。表情が強張る。
「なにぃ、○○タワーでインヴァルスが脱皮しているだと?!」

 殻の中から、スムーズに全身を抜いていくインヴァルス。羽根が生えているのが分かる。
 朝陽が差し込み、インヴァルスの透明な羽根が綺麗に伸びていく。
朝陽に照らされ、白っぽい体も美しく色付いていく。

「ビルの屋上からの映像、入ります」
脱皮を終え、朝陽を羽根と全身に受けているインヴァルスの映像が、モニター画面に映し出される。どよめく隊員たち。
「81式短SAM部隊、緊急展開! 奴が飛び立つ前に仕留めるんだ!」顔面蒼白の佐竹一等陸佐。
「□□基地から連絡が入りました。数分前にに○○海海上に正体不明の物体を発見したため、アラート機3機は、すべてそちらに向かったとのことです」
「なんだと? すぐ呼び戻してこちらに向かわせろ。ここからアラート機と直接通信はできないのか」
「だめです。電波障害がひどくて、全く通じません」

 緊急展開する81式短SAM部隊。

 避難施設。情報的に孤立していることから、時間と共に避難民の不安が大きくなっている。移動というより、脱出という感じで慌ただしく身支度をしている。
 マスコミ陣はビデオカメラを回したり、アンテナ類を屋上に運んでいる。ノイズしか映らないTVの前には、もう誰もいない。
 孝一、家族と行動しつつも、必死に里美や先生たちを探している。里美も同様。
「いったん、体育館の方へ移動してください…まだ、建物の外には出ないでください…」

 緊急展開中の81式短SAM部隊。レーダー車内、レーダースクリーンが白濁している。
「だめです。レーダーが全く使い物になりません」
「やむをえん…視線誘導システムのみで目標を攻撃する」
「攻撃ヨオォォイッ」
「発射!」
○○タワーのインヴァルスに向かって飛んでいくミサイル。しかし、インヴァルスの体の突起から稲妻のような放電が起こり、ミサイルは全て空中で爆発してしまう。
 唖然とする隊員たち。
 インヴァルス、羽根をはばたかせ(振動)、○○タワーから飛び立つ。そして、自衛隊仮設本部の上空をぐるりと一周すると、試し撃ちのような感じで、堅い方の翼の先端から、地上へ向けて何発かビームを発射する。吹き飛ぶ建物。インヴァルスを監視していた隊員たちが犠牲になる。何かを運搬するため走っていたトラックが直撃に近い一撃を受け、爆発、炎上する。

 マスコミ陣、避難施設の屋上に出て、アンテナ類をセッティング中。
「こっちが東だから、この向きだな」「出力、最大まで上げてみるわ」

 81式短SAM部隊、上空のインヴァルスにミサイルを発射するが、やはり放電によって迎撃され、全く効果がない。
 インヴァルス、地上の短SAM部隊に襲いかかろうとするが、途中で気が変わったかのように身を翻してコースを変え、離れていく。

 自衛隊仮設本部からどんどん離れていくインヴァルス。インヴァルスの向かう先は…
 インヴァルスの認識映像。遠くのビルの屋上から放射される波。
 避難施設の屋上の、マスコミ陣のセッティングしたアンテナ類。
 インヴァルスは避難施設の屋上から放射される電波目指して飛んでいるのだ!

 ビルの屋上のマスコミ・スタッフ。朝焼けの空遠くに、点のようなものを見付ける。それが見る見る大きくなる。どんどん近付いてくる。インヴァルスだ。
 突風で吹き飛ばされる、マスコミ・スタッフや器材。屋上から転落するものもいる。
 インヴァルス、着地してビルに取り付く。捕食されるマスコミ・スタッフ。
 市民が避難している体育館にも、インヴァルスが着地した衝撃や、本館が崩れていく振動が伝わる。
女性の悲鳴、どよめき、男性の怒鳴り声。
「おい、どうなってるんだ?!」
「何が起こってるんだ?!」
「係員、誰か見てこい!」
係員の一人が、意を決して走っていく。外に出た彼が見たものは、見上げたものは、本館に取り付いて屋上付近を探っている巨大な魔物、インヴァルス! 悲鳴を上げて、全速力で戻ってくる係員。
「逃げろーッ、逃げろーッ、怪獣がすぐそこまで来てるぞーッ」
同時に地震のような揺れが起こり、凶々しいインヴァルスの鳴き声が響き渡る。皆、雪崩をうったように反対側の出入口へ殺到する。その中に、里美の姿もある。
 孝一が避難している第2体育館も、同じ状況。何も考えずに逃げているので、インヴァルスに近いほうの出口から外に出てしまう人も多数いる。インヴァルスを見て、パニックが更にひどくなる人々。
 逃げ出す人間に気が付くインヴァルス。道路を必至に走って逃げる人達に、視界に収まらないほど巨大なインヴァルスが、さらに覆い被さっていく。

 自衛隊の戦闘機(二人乗り)、三機編隊で飛んでいる。
 パイロット同志、コクピット内での会話。
「6時の方向から接近!」
「高度プラス150、直視で確認できるか?!」
バックシーターがキャノピー越しに見上げる。戦闘機全体を影が覆っていく。 戦闘機の上空を、ガメラが追い抜いて飛んでいく。
 コクピットから見た、ガメラ。やや高い高度を保ちつつ、どんどん遠ざかっていく。

 インヴァルスを背景(すでに500m程度離れている)に、道路を走って逃げる人々。その中に孝一がいる。一人立ち止まり、周囲を見回し、空を見回す孝一。
「来た!」
かなり離れたところで(ガメラが点にしか見えない)、高空から急降下してくるガメラ。孝一がいる方に向かいつつ急激に水平飛行に移り、孝一から二、三百メートルの距離をフライ・バイする。さらにそのまま、インヴァルスの頭上を接触せんばかりに掠め飛ぶ。
 インヴァルス、人間を襲うのを止め、ガメラの方を向く。

 インヴァルスを背景(すでに500m程度離れている)に、横断歩道橋の下を走って逃げていく人々。その中に里美がいる。意を決した表情になると、横断歩道橋の階段を駆け登る。その上空を、ガメラが通過。突風が吹き、空を見上げる里美。

 浅黄を乗せた個人タクシー、交差点を曲がる。
 タクシーの席から見た映像。直線道路の先に、避難施設。その本館ビル付近にインヴァルス。
 ギョッとし、慌ててブレーキを踏む運転手。後部座席で踏ん張る浅黄。「なんだありゃあッ」
インヴァルスを見て驚く運転手、キッと引き締まった表情の浅黄。
「ここで降ります。お釣はいりません」
「あ、あ? ちょっと! オオイ、あんた!」
タクシーから降り、走り出す浅黄。
 ガメラの下半身(脚)のアップ、膝関節のスリットからジェット吹きつつ、着地、屈伸。
 みたび対峙するガメラとインヴァルス。

 ガメラとインヴァルスを中心に、正三角形の頂点の位置にいる孝一、里美、浅黄。それぞれの視点から見た、対峙するガメラとインヴァルスの姿。(ただし、孝一、里美、浅黄の後姿は映っている=ガメラとインヴァルスと同じフレームに入っている)

 インヴァルスはいきなり姿勢を低くしてビーム発射。ガメラも姿勢を低くして甲羅の部分で受け流す。
 インヴァルスのビームの第二派もかわすガメラ。そのまま四つん這いになり、両脚からジェット噴射してジェットダッシュ! 超低空飛行で、低い姿勢のインヴァルスに体当たりする。インヴァルスは横にかわそうとするが、それが逆効果となって、下からカチ上げられた格好になり、のけ反りながらガメラもろともビルに突っ込む。
 ビルは二大怪獣の体当たりに絶えきれず、崩壊する。
 インヴァルスの上になったガメラ、体重を乗せた前脚で、押し潰すような掌打を三連打。仰向けのインヴァルス、これではビームは撃てない。もがくインヴァルス、全身から放電を行う。ショックでのけ反るガメラ。
 同時に“ウッ”となる孝一、里美、浅黄。
 そのすきに脱出するインヴァルス。

 遺跡現場、金属版に駆け寄る裕子と正弘。
「これよ、この金属版」
「裏返せばええんやな」
正弘が渾身の力を込めて金属版の端を持ち上げる。裕子も手伝い、裏返すことに成功。碑文が刻まれている。大急ぎで土を払い、ポラロイドカメラで撮影する裕子。
「勝手なことをしてもらっちゃあ困りますねぇ」
広島が、四人の体格のいい部下を引き連れて歩いてくる。さらにもう一人の部下が、手を後ろ手に縛られ、猿轡をされた寺田を強制連行してくる。
「先生!」
「まぁ、こうして連れてくる手間は省けたワケですけどね」
「なんのつもりや、キサマ!」
「私のジャマをするからこういう事になるんですよ」
寺田、広島の部下の一人に捨て身の体当たり。正弘、それを見て広島の部下たちに突っ込んでいく。何発か殴られながらも、二人の部下を倒す正弘。
「そこまでだァッ」
二人の部下が裕子を捕らえ、顔にナイフを突き付けている。
「手を挙げて頭の後ろで組め」
悔しそうに従う正弘。部下の一人がみぞおちにケリを入れ、さらに広島がケリを入れる。倒れる正弘。

 対峙するガメラとインヴァルス。時間差プラズマ火球攻撃をするガメラ、しかしインヴァルスは完全にかわす。そして間髪入れずにビーム攻撃。これを屈んで辛うじて甲羅の部分で受け流すガメラ、そのまま超低空ジェット(両脚のみ)飛行で突っ込む。
 しかし、インヴァルスは引き付けておいてジャンプしてかわす。(やはり、一度使った攻撃は見切られてしまう!)体当たりをスカされ、そのままビルに突っ込むガメラ。
 着地したインヴァルス、振り向けばガメラの背後を取っている。ビーム連射、爆発と共に崩れるビル、爆発の勢いで瓦礫の中、ガメラは仰向けに倒れてしまう。

 遺跡現場。ロープで縛られ、猿轡をされた裕子、正弘、寺田。三人とも無理やり座らされている。勝ち誇って三人を見下ろす広島。
「我々の仕事が終わるまで、そこで見学でもしていてください」
遺跡金属版その他を運び出そうとしている広島の部下たち。
「作業が終わり次第、あの爆弾で、この洞窟は跡形もなく崩壊します。もちろん、あなたたちと一緒にね」
洞窟の各所に設置されている爆弾。
 洞窟の入り口から、広島たちを見詰める誰かの一人称映像。グワッと凄い勢いで突進する!
 部下の一人が一瞬のうちに倒される。そしてもう一人も! 疾風のように走り抜ける人影、裕子たち三人を守るように、彼等を背にして立ち止まる。細井だ。今まで一度もみせたことのない、精悍な表情をしている。
「広島兼人他五名、殺人未遂の現行犯で逮捕する!」
パッと手帳を見せ、すぐに戻す細井。
「違いますよ、そいつらはね、遺跡を荒らしていた悪い奴等なんですよ。だから私が掴まえてやったんですよ、ねぇ…」
喋りながらも、三人の部下に目で合図する広島。細井に襲いかかる三人の部下。細井、地に伏せたかと思うと宙を舞い、まるで忍者のような身のこなし。電光石火の早技で三人を倒す。
 広島、懐からピストルを出して乱射。そのうち一発が部下の体に当たり、一発が洞窟の奥に設置してあった爆弾に当たる。そして爆発! 爆風が吹き抜ける。
 細井、地面を転がりながらピストルを抜き、発射。広島の手に命中、広島はピストルを落とす。
「総員、突入!」
細井の一声で、ドカドカと機動隊のような男達が十人ほど駆け込んでくる。広島やその部下たちを次々に捕らえ、裕子たちを解放する。
「細井さん、あなたは?!」
「話は後です!… 総員、脱出!」
「待ってくれ、出土品を」
「急いで脱出しないと、洞窟全体が崩壊しますッ」
「揺れとる、マジでヤバイで!」
天井から細かい落石が始まる。慌てて走り出す裕子たち。
 脱出する裕子たち。しんがりをつとめる細井。危ないところで全員脱出成功。崩れ、埋まっていく洞窟。
 洞窟を出て少し行った広場に、自衛隊のヘリコプターと車両。それを見て驚く正弘たち。広島たちは手錠を掛けられ、抵抗空しく車の中へ押し込まれていく。
「細井さん、あんた一体何者なんや?!」
「詳しいことは話せませんが、災害Gメンと思ってもらえば結構です。今回の広島逮捕の件は、まぁ、瓢箪から独楽といったところです」
裕子、ポケットの中から碑文を写したポラロイド写真を出し、喜ぶ。
「よかった、ちゃんと全体が写ってるッ」
「ああッ、そや、インヴァルスは?!」
「インヴァルスは自衛隊の攻撃を物ともせず市内に侵攻、現在ガメラがインヴァルスと闘っています」
「ガメラが?! それやったら、里美や孝一が危ないやんか!」
「私を現場へ連れていって! 私の生徒がガメラの近くにいる筈なんです」
「分かりました。ただし救出は我々が」
「この碑文が、あの子たちを助ける鍵になるかもしれないんです! お願いします!!」
「分かりました…離陸用意ッ」

 仰向けに倒れているガメラに、上空斜め上(ガメラの尻尾の方、プラズマ火球の死角)からビーム攻撃するインヴァルス。ビームを受けて、もがくガメラ。両脚からジェットを噴射し、仰向けに倒れたまま前進して逃げるが、勢い余ってビルに頭から突っ込み、そのまま全身がビルの中に埋もれてしまう。
 インヴァルス、飛び立ち、ガメラに向かう。そこへ、カウンターのタイミングで、ビルの中から爆発とともにプラズマ火球が飛び出してくる。この完全な不意打ちの火球を、インヴァルスはギリギリながらもかわす。
 インヴァルス慌てて背を向け、大きなビルの影を目指して飛んでいく。そこを狙ってガメラもう一発プラズマ火球を発射するが、これまたギリギリのタイミングでインヴァルスはビルの影に回り込むことに成功、火球はビルを爆破してしまう。
 それでもビルの破片を受け、ビルの近くに不時着するインヴァルス。ビルの破片にがたくさん落ちてくる。伏せていてたインヴァルス、埋まりそうになる。
 ガメラ、仰向けのまま回転ジェットで飛び上がる。
 体を起して破片の中から出ようとするインヴァルス。
 その時、ガメラがビルの影から咆哮を上げて(ちょっとビルを壊しつつ)突進してくる。瓦礫の中で体を起こしてもがいていたインヴァルス、飛び上がろうとする。
 しかし、そこへ一瞬早くガメラがウェスタン・ラリアット(タックルするような感じで突っ込み、自分の片腕全体を相手の首付近に叩き付ける技)を決める。重心が高くなっていたインヴァルス、もんどりうって吹き飛ぶ。
 インヴァルス、そのまま背中からビルに突っ込む。ビルの中に完全に頭部全体を突っ込んだ格好になって、もがくインヴァルス。
「チャンス!」
「今よ!」
「今度こそ!」
ガメラ、態勢を立て直して、プラズマ火球の態勢。仕留めるつもりで、大きくチャージする。
 しかし、インヴァルスは足を全部逆関節にしてビルを蹴り、同時にコメツキバッタのように体全体を使ってビョーンと跳ね飛んで脱出(気持ち悪い動き!)。そのまま、プラズマ火球を放つ寸前のガメラに抱き着くように密着し、放電攻撃!
 ガメラ、プラズマ火球を放てず、後ろへよろめく。そこへインヴァルスが、両腕の鎌で斬り付ける。ガメラ、両腕(どちらも手首と肘の間)にそれぞれ一撃を受け、出血。
 右腕から出血する孝一。
 左腕から出血する里美。
 
 飛行するヘリコプターの内部。
 裕子と寺田、文献を片手に辞書を必死に碑文を解読している。
「現在、ガメラと少年たちの元へ急行中です。発見次第、少年たちを救出します…、了解」
 正弘は何もすることができず、拳を握り締め、心配顔。

 ビーム攻撃するインヴァルス。低い姿勢でかわそうとするガメラ、それでもビームが手足頭に命中しそうなので、手足頭を引っ込めて完全防御。インヴァルス飛び上がり、完全防御のガメラの背中を抱えるようにして取り付いて、放電攻撃。
 歯を食いしばって耐える孝一、苦しそうな里美、浅黄。
 ガメラが回転ジェットで飛び上がろうとするとインヴァルスはサッと離れる。回転ジェットのガメラ、低空飛行でフラつき、ビルを壊しつつ墜落。
 
 ヘリコプターの中、寺田が声を上げる。
「解けたぞ! “小さな棘は、すべてを破壊する悪魔の雷”」
「それはインヴァルスの放電攻撃のことでしょう。体から稲妻のようなものを放射して、飛んでくるミサイルをすべて撃ち落としたとの情報が入っています」
「解けたわ…“大きな棘は、すべてを見通す悪魔の眼”」
「大きな棘が悪魔の眼? どういう意味や?」
「わからないわ、解読そのものは、これで正しいはずなんだけど」
「センサーのことではないでしょうか」
「センサー?!」
「いろいろな感覚器官が大きな棘の部分に備わっていて、それで何でも感知できる、という意味ではないでしょうか」
「ガメラとインヴァルスを発見!」
「子供達は?! ガメラからそう遠くないところに子供達がいるはずなんや!」
「分かりました…できるだけ低空で飛行しろッ」
「了解ッ」
ヘリコプターの窓から身を乗り出して探す正弘、細井。裕子、寺田も窓から外を見回す。
 低空飛行するヘリ、その向こうにインヴァルスとガメラ。

 ガメラ、ビルの瓦礫の中から垂直に飛び立つ。インヴァルス、追って飛び立つ。ガメラ、30度位に角度を変え、そのまま飛んでいく。
 ガメラを見上げる三人。
「ガメラ!」
飛び去るガメラを追って走り出す三人。道なりに走って、結果的に一つの交差点に向かうことになり、お互いを発見する。

「あっ、いた! あそこや!」
上空から、交差点付近にいる三人を発見。
「交差点に着陸ッ」
「了解ッ」

 飛行するガメラ、ビーム撃ちつつ追跡するインヴァルス。ガメラ、宙返り、ロールなどの空中機動でインヴァルスのビームをかわす。

 着地するヘリコプター、乗り込む里美、孝一、浅黄。
「ガメラを追って下さい、早く!」飛び立つヘリコプター。
「インヴァルスの体に、大きな棘、生えとらんか?」
里美が答える。「大きな棘? うん、生えてるよ、左右に一つずつ」
「そこを狙え! そこがインヴァルスの本当の眼なんや」
「そんなこと言ったって…! 何をやってもかわされちゃうんだもん」
孝一が力強く答える。「まだ一つだけ、試してないやり方があるよ!」
「孝一?」
「ガメラとインヴァルスを発見!」
「浅黄おねえちゃん、佐橋、少しの間だけ我慢して! 僕とガメラを信じて、力を貸して!!」
「うん、わかった」と浅黄。
無言で頷く里美。
 着地するガメラ、インヴァルス。ガメラ、インヴァルスに向かって突進する。インヴァルス、ビームで狙い撃つ。ガメラ、かする感じで何発か受けるが、直撃はくわず、インヴァルスに正面から突っ込む。インヴァルス、寸前のところで飛び上がって、ガメラをかわす。
 飛び上がって空中で素早く向きを変えるインヴァルス、ガメラの後ろ斜め上のポジションを確保。もそもそと振り向こうとするガメラに合わせて向きを変えてポジションを維持しつつ、堅い翼の両端のビームをチャージ。
 インヴァルスの認識映像、無防備なガメラの後頭部を狙っている。ガメラ、絶体絶命?!
 ガメラ突然、両腕両脚からジェット噴射。上ではなく、後方に倒れ込むように素早く縦に回転を始める。ほとんど同時にインヴァルスが強力なビームを発射! しかし、ガメラが縦に90度回転したため、ギリギリのところでビームは外れる。
 そのまま縦に回転するガメラ、ちょうど逆立ちをしたような格好になり、インヴァルスを見上げる。その瞬間、ガメラは空中のインヴァルスに対してプラズマ火球を発射! インヴァルス、反応して空中で横へ逃げるが、避け切れず左の前腕(鎌)ごと、左の大きな棘を吹き飛ばされる。

「オ、オーバーヘッドか!」思わず叫ぶ正弘。

 インヴァルス、フラつきながらも、近くのビルの後ろへ回り込みながら降りていく。ゴロンと縦に回転して腹這いになったガメラ、両腕両脚からジェットをボォーッと噴射して体を起こす。(もともと両腕両脚とも引っ込めておらず、肘、膝の隙間からジェット噴射している)
 前傾姿勢になったガメラ、両腕のジェット噴射をやめて両脚のみのジェット噴射に切り替え、両脚を引っ込める。そして前傾姿勢を維持しつつ両脚からジェット噴射して前方へダッシュ! ガウォークのように地上をジェットで滑走するガメラ!
 そのまま背の低いビルを壊しつつ乗り越え(飛び越え)、インヴァルスに迫る。
 インヴァルス、右腕の鎌を振り上げて迎え撃つ。ガメラの右腕からエルボークローが伸びる。
 擦れ違いざまに一閃するガメラとインヴァルス。
 ガメラ、右頬から出血!
 そして孝一も!
 しかし、次の瞬間、インヴァルスの右側の大きな棘が根元からボロリと切り落とされる。落下し、道路に駐車してあったバスを押し潰すインヴァルスの大きな棘。

「やったッ、これで大きな棘、両方ともなくなったで!」
窓ガラスに張り付いて、意気上がる正弘。

 インヴァルス、パニックを起こして右腕の鎌を振り回しつつ、ビームを乱射。放電も出す。
 ガメラ、低い姿勢でそれを見詰める。ビームは高めに飛んでいて全く当たる様子がないし、放電も全然届かない。
 インヴァルスのビームと放電、急速に弱まり、出なくなる。エネルギーが消耗したのだ。体を起こすガメラ。

 ヘリコプターの中、浅黄を中心に手を握り合う里美と孝一。(握り合う浅黄の左手と里美の左手、浅黄の右手と孝一の左手)

 プズマ火球をチャージを始めるガメラ。インヴァルスは翼を広げて飛び立とうとする。しかし、その動きをしっかり追う、里美、浅黄、孝一の眼。

 インヴァルスが飛び立つ!
 三人の瞳が、ガメラの瞳に重なる! ガメラ、プラズマ火球を発射!
 ビルの高さを越えるまで舞い上がった空中のインヴァルスに命中!
 大爆発、木っ端みじんになって四散するインヴァルス!!

 「やったーッ」
ガメラの勝利に沸き返るヘリコプターの面々。浅黄を中心に顔を見合わせて喜ぶ里美と孝一。浅黄、自分の両手を自分の体の前で合唱させるようにして、里美と孝一の手を引き寄せる。そして、浅黄は握り締めた里美と孝一の手を緩め、握手を促す。
 ちょっと照れた様子で、握手する二人。もう一方の手で、里美がVサイン、孝一はガッツポーズ。浅黄も嬉しそうに微笑む。

 勝利の雄叫び上げるガメラ。両脚ジェットで飛び立つ。
 孝一たちを乗せたヘリコプターの周囲を旋回しつつ、三回挨拶代わりの咆哮を上げる。ガメラを見詰める三人。裕子もガメラを見詰めていたが、同じくガメラを見詰めている細井に気付き、話しかける。
「あなた、本当に細井さんなの?」
「そうですよ」
「じゃあなぜ、あんな弱気な人の振りをしていたの?」
「敵を騙すときは、まず味方から、と言うでしょう…あっ」
細井が指差す。裕子もそちらを向く。ヘリコプターの窓から、ガメラがこちらに近付いてくるのが見える。
 ガメラ、ヘリコプターと並んで飛ぶ。ガメラと目が合う浅黄、里美、孝一。三人の曲玉が、スーッと光を失っていく。ガメラ、ヘリコプターを追い抜いて飛び去っていく。
「ガメラが…」
光の消えた曲玉を握り締め、飛び去るガメラをちょっと泣き顔になって見詰める孝一。
「ちょっと悲しいけど、ね…」
「うん」
表情を引き締め、笑顔を作って頷く孝一。里美も黙って頷く。
「よし、帰投するぞ」
「了解」
旋回するヘリコプター。窓からガメラを見送る孝一。
 飛び去っていくガメラの後ろ姿。別れを告げるような咆哮が長く響く。

 エンドマーク“終”

 エンディングテーマ、爆風スランプの歌う“少年の夢”

 ♪少年の日 僕らが見た
         夢を失わずに大人になれたら
                   ステキだよね♪
 ♪忘れちゃいないさ
       今でも時々思い出すのさ♪
  …

                   《 終 》
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震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。