2017-08

WBC世界Sフライ級タイトルマッチ 徳山昌守 VS ホセ・ナバーロ

WBC世界Sフライ級タイトルマッチ
徳山昌守 VS ホセ・ナバーロ


 徳山がナバーロの追い上げを辛くも振り切った。
 ユナニマス・デシジョンではあったが、117-113が1名、116-113が2名という、比較的接近したスコア。試合を見終わった印象では、スコアの数字以上に接戦だったと感じた。
 ちなみに私の採点では、115-114。試合全体の印象通りの、正に薄氷を踏む防衛だった。終わってみて気付いたのだが、私の採点だと「最終ラウンドを取った方が勝ち」であった。
徳山vsナバーロのスコア

 ジャッジのスコアと自分のスコアを比較すると、7ラウンドの私の採点が誤りであることが分かる。それ以外は、まあまあ当たっていると思う。ヨーロッパのジャッジなので、割と10-10が付けられているのが特徴か。私も、9ラウンドのみ、10-10を付けた。

 大方の予想通り、徳山が7ラウンド以降、明らかに失速。6ラウンドから既に動きに精彩を欠いていたのだが、その段階では流しているようにも見えた。しかし、7ラウンド以降は誤魔化しきれなくなった。こうなると、見ている方はもうハラハラしっ放しである。
 確かに徳山は試合の前半、右ストレートを何度もクリーンヒットさせるなどして、試合の流れをほぼ支配していた。けれども、ダウンはもちろん、ナバーロを大きくグラつかせるなど、明確なダメージを与えたシーンは一度も無かった。

 スタミナに難のある徳山が勝つには、「先行逃げ切り」が最も堅実な策であることは明白だった。もちろん中盤までに倒してしまうのが一番良いのだが、もし倒し切れなかったら、立場は完全に逆転してしまう。無理をしてでも倒しに行くというのは、リスクが大きい。試合後に明かされたように、徳山が交通事故に遭ってコンディションを崩していたのなら、尚更である。
 だから、徳山の勝利のポイントは「中盤までに、相手にどれでけダメージを与えることが出来るか」だった筈だ。しかし実際には、相手に充分なダメージを与える前に、徳山のスタミナ切れが起きてしまった。最悪のパターンではないにしろ、かなり危険な状態だったことは確かだ。

 ナバーロの左ストレートは何度も徳山のボディを捉え、ジワジワとダメージを与え続けた。徳山の苦戦の原因は、これに尽きる。
 対照的に、徳山は全くと言って良いほど、左フックでナバーロのレバーを打たなかった。
 この試合を見る限り、徳山はヘッドハンターの傾向が強い。パーラが、サウスポーに構えたアスロウムに決めて見せたようなレバーブローを使えていれば、ナバーロの左ボディストレートここまで苦戦することはなかっただろう。

 挑戦者・ナバーロの敗北の原因は、本来の武器である「右アッパーから左ストレートを顔面に入れる」というコンビネーションをほぼ完封されたことだろう。これは、試合前半に徳山から右ストレートを再三顔面に貰ってしまったことが効いていたに違いない。ああも「いきなりの右」を当てられたら、どうしてもそのイメージが身体に残る。そうなると、右アッパーは出しづらくなるし、出しても思い切りの良いものではなくなる。

 それにしても、8ラウンド以降は、本当に見ていてハラハラした。ウィービング中に上体を支えきれなくなり、前のめりになって相手にしがみつくなど、もういっぱいいっぱいなのが見え見え。
 打ってはくっつくという得意のクリンチワークにも、全然余裕が感じられない。11ラウンド後半には手数がほとんどなくなってしまい、ボディを効かされているのが表情からも伝わってきた。

 次のラウンド、果たして徳山は最後まで立っていることが出来るのか?! そんな不安を抱いて迎えた最終ラウンドで、徳山は底力を見せてくれた。
 体を入れ替えた直後に放った徳山の右フックは、ナックルが正確に当たってはいなかった。それでも、カウンターでナバーロのテンプルを捉えたその一撃は、最後のアタックを仕掛けていた挑戦者をグラつかせた。川嶋の強打が頭部に直撃してもグラつかなかったナバーロが、明らかに体勢を崩したのである。
 最終ラウンド残り30秒間、相手よりもより生きたパンチと、よりキレのあるステップワークを見せたのは、腹を叩かれスタミナを消耗しきっている筈のチャンピオンの方だった。


 防衛を果たした徳山は、そのリングの上で同王座の返上を宣言した。
 でも、私は観たい。
 階級を上げて、「失速しなくなった」ボクサー、徳山昌守の姿を。
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コメント

徳山VSナバーロ

 TBありがとうございます。なるほど、詳細な分析と採点ですね。僕はテレビの前で採点、10-10の互角を抜きにしてナバーロのRは2、7,8、10…でしたか。で、その他のRを徳山に振り分けると、116-112…となります。僕にはあまり「接戦感」は正直ありませんでした。後半失速した徳山も「いつもの徳山」って感じでした。逆転負けはナバーロのパンチ力から言って可能性は低そうだし、あの老獪なクリンチが減点を受けた場合は厳しい状況になるかと思いましたが、最終12Rは文句なしだったのでまぁ妥当かなといった印象でした。ナバーロに振りたくともイカンセンクリーンヒット少なすぎでした。また、会場で観るとその印象も変わる採点は本当に興味深く、奥が深いですね。

3月4日は後楽園で

 コメントありがとうございます。
 116-113でも、ラウンド数で言えば8対5ですから、仰るとおり接戦ではありません。中差判定といったところでしょうか。
 私が「徳山危うし」と感じたのは、(失速前からですが)ジャブが出なかったことも影響していたと思います。徳山の試合は、川嶋との第2第3戦、敵地防衛戦、相手の目を腫らさせての勝利くらいしか記憶に残っていません。これらの試合では当たらないまでもジャブを突いていたし、失速しても最終ラウンドを待たずして盛り返していた(川嶋第3戦)ような気がします。
 今回は、9ラウンドで立て直しきれていなかったので、採点しながらすごく心配になりました。ナバーロの右アッパーは出所が見えづらいという話だったので、徳山は例え軽いパンチでも効かされてしまうのでは、とか…。
 TV観戦では、クリーンヒットのインパクトを見極めるのが難しいと、カズマレック氏も記されています。3月4日は、後楽園に観戦に行きますので、出来れば生観戦しながらスコアを付けたいと思っています。でも、チケットを取ったのが遅かったので、後の方の席です…。

はじめまして、尾張といいます。
今回の徳山選手まさか交通事故にあっていたとは・・・。
終盤失速は徳山選手のいつものパターンだったんですが、中盤から失速してしまったのは初めて見ました。
私の判定は116ー112です。
徳山の減点が2・8・10・11でナバーロが1・3~7・9・12です。
最終12ラウンドは本当に手を合わせて見ていました。判定を聞いてホッと一息・・・。
今回は巧さで防衛したなと言う印象です。

 尾張さん、はじめまして。
 今回の徳山選手の失速は単なるスタミナ切れではなく、ボディへのダメージ蓄積を伴った消耗度の高いものに映りました。我慢に我慢を重ねていただけに「あと一発貰ったら、あっけなく崩れ落ちるんじゃないだろうか」という不安がつきまといました。
 交通事故の件は「世界戦の2週間前にバイクに乗ったらイカンだろう」と思います。事故さえなかったら、長谷川穂積を圧倒したと言う「切れまくる右」が見られてかも知れないのに…。
 尾張さんの判定は、ジャッジのカバレリ氏とほぼ同じですね。徳山が9ラウンドで立て直しに行ったのと、12ラウンドに攻めに行ったのが文字通りポイントでした。

震電さん、はじめまして。尾張といいます。これからも、御邪魔すると思いますので宜しくお願いします。

本当に今回は冷や冷やものでした。
明らかにナバーロのしつこいボディが効いてました。クリンチで凌いでいましたけど。11ラウンドあたりはいいのが入ったら、幾らパンチ力の無いナバーロでもダウンしていたでしょうね。
徳山選手の巧さでボディブロー以外は殆どクリーンヒットを許さなかったのが幸いしましたね。

交通事故は確かに本人の意識不足でしょうね。反省して欲しいです。

確かに、6R以外はカバレリ氏と一緒ですね。ジャッジと一緒の判定だと自信が持てます。
震電さんは割りと辛めですね。

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 写真撮影時40歳。
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