2017-08

『タイムライン』

『タイムライン』

 映画を観た日 … 2004年1月17日(土)
 このコラムを書いた日 … 2004年1月21日(水)※とりあえず、以前書いたものを引っ張り出した


                先頭から約60番目の幸運

 映画館で予告編とチラシを見て、鑑賞することを決めた作品。前売り券は、ファミリーマートで購入したような覚えがあるが確かではない。
SF作品ということで、私にしては珍しく公開初日に映画館に足を運んだ。箱は『日劇1』。
 11時からの初回上映を観るため、その50分ほど前に入り口に到着したら、既に約60人が並んでいた。SFで、しかも有名な俳優が出演していないのに何故?
 後で知ったが、原作者が結構有名な人(『ジュラシック・パーク』を書いた人)なので、そのせいかもしれない。10時30分頃に入場が始まり、前に60人ぐらい並んでいたにもかかわらず、私は自分にとってのドンピシャリのベストポジション席に座ることができた。

                  いちおうSF?

 さて、この作品に関してはSF映画ということを期待して観た。その結果は、「いちおうSF」といったところである。なるほど、『ジュラシック・パーク』と原作者が同じだと変に納得してしまう。要するに、舞台を設定するための装置としてSFを使っているだけで、舞台そのものはSFではないのだ。過去へ行くことができることに対する“説明”として一種のタイムマシンを一応の理屈をつけて登場させているものの、いったん過去という舞台へ行ってしまうと、そこはSFの要素がない「単なる過去」なのである。
 この点は『戦国自衛隊』と比較すると、対照的である。“戦国時代に、近代兵器で武装した自衛隊の一部隊が登場する”という舞台設定は、それ自体がSFだと言っても過言ではない。「武士の隣に戦車」という映像自体が、既に「映像としてのSF」であるからだ。
 ただし『タイムライン』でも、戦車といったハードウェアの代わりに“考古学者(の知識)”というソフトウェアを過去に持ち込んでいるため、これを上手く使えば「タイムトラベルSF」として構築することが可能だ。しかし、『タイムライン』の原作者も含めた製作者側は、最初からこの作品をSFとして構築しようとしていない。この作品は、あくまでも救出劇(アクション)であり、救出劇の形を取った恋愛物語(ラブストーリー)なのだ。“過去の世界に持ち込まれた考古学者の知識”というソフトウェアも、「自分にとって親しいというだけの、単なる一個人を助け出す」という救出劇にのみ使われ、その救出劇も、恋愛物語を生み出すための「状況設定」なのだ。

                映画は「絵」と「テンポ」

 端的に言えば、『タイムライン』はSFの形を借りた陳腐なラブストーリーである。しかし、それが駄作にならないのは、この映画に圧倒的な映像の力があり、展開のテンポの良いからだ。映像の力と展開のテンポ。『タイムライン』は、この2点に尽きると思う。この2点において、『タイムライン』は良質な娯楽映画と評することができる。実際、映画を見終わった印象は決して悪くなかったし、他人にコメントを求められたら薦めるとはいかないまでも「そこそこ面白かった」と答えるだろう。
 また、過去へ行くことに関してはワームホールがどうのこうのとそれなりに説明しておいて、現代に戻る際の説明は上手く誤魔化した(行きは“箱”に入って行くのに、帰りは“箱”なしで帰れるのは不自然)のは上手かったと思う。マーカーを使用した男がちゃんと戻ってきて、しかも手りゅう弾を持っていたためタイムマシンが大破するという展開の衝撃が強いため、過去から戻ってくる件に関してそれ以降は気にならなくなってしまうのである。「映像による説得力」の効果的な使い方の好例といえる。
 誤魔化したというと聞こえが悪いが、例えばマーカーによって現代に戻る原理を細細と説明されても、観客の大半はクドい感じるだけだろう。台詞で半分説明したら、残りの半分はインパクトのある映像や展開の勢いでもって納得させてしまえば良い。愚痴になるが、こういったところが日本の映画は下手だ。

                  愛着と感情移入

 昨年末に観た『ラストサムライ』は日本が舞台、『タイムライン』はフランスとイギリスを中心にしたヨーロッパが舞台。両作品を比べると、日本人である私は当然『ラストサムライ』に想い入れが残る。フランス人やイギリス人は、当然『タイムライン』の方に感情移入するに違いない。「陳腐なラブストーリー」ではなく、「骨太の歴史ドラマ」と感じるかもしれない。
 ここで、ふと疑問が浮かぶ。『ラストサムライ』と『タイムライン』を観たUSA人は、どんな気持ちを抱くのだろうか。3代目以降の生粋のUSA人に聞いてみたいものである。

                   SFを観たい

 SF映画ということを期待して観た『タイムライン』は、映像・テーマ・舞台・ストーリー・ドラマ・アイディアの6大要素において、いずれもSFが希薄だった(それでも定義上は『タイムライン』はSF映画に含まれるのだが)。今年、少なくとも1本は「SFを観た」と思える映画に、映画館で巡り会いたいものである。
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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。