2017-08

亀田興毅 第7・8・9戦

亀田興毅 第7・8・9戦

 CSのTBSチャンネルで、亀田興毅の第7・8・9戦を観た。
 WOWOWにおける亀田興毅のインタビュー映像を見たことはあったが、リング上の姿をちゃんと観たのはこれが初めてである。
 第一印象は、「何て上半身の薄いボクサーなんだろう」である。特に、ボディの薄さが目を引く。減量苦が伝えられる同階級のブライム・アスロウムよりも、更に細く見えた。亀田興毅はフライ級にしては背が高いが、それでもアスロウムと比較すると2cmほど高いだけである。
 以前、辰吉丈一郎がシリモンコンを下した際に「ボディが薄いボクサーは、ボディが打たれ弱い」と語っていたような記憶がある。今、亀田興毅に関して一番気になっているのは、この点である。
 印象に関してはこのくらいにして、亀田興毅の試合を初めてTV観戦した感想を、簡単に書き進めて行こう。

第7戦 亀田興毅 VS サマン・ソーチャトロン

 サマンは元WBC世界Lフライ級王者とのアナウンスがなされるが、身体を見ると丸みを帯びていて、フライ級に仕上げてきたようには見えない。
 ゴングが鳴ると、亀田はアップライトながらも背中を丸めた姿勢を取る。懐を深くしている感じだ。脇を閉めず、ハの字に開いた構えなので、そこだけ見るとキックボクサーのようにも見える。懐は深いが、ボディのガード自体はガラ空きである。
 パーラ戦の時のアスロウムもガードが高かったが、脇を閉めていたので、ボディのガードが開いているという印象は受けなかった。これは、両者のリーチの差も関係しているのだろう。
 亀田のストレート系パンチが、脇をハの字に開いた構えのまま繰り出されるのが面白い。もちろん、いちいち脇を閉めてからジャブを出していてはテレフォンパンチになってしまうから当然と言えば当然なのだが、ボクサーでこういう打ち方をするのは珍しい。
 ボクサーが、レバーやストマックでなく、ボディの左側を打たれてダウンするのも初めて見た気がする。サマンは、ボクサーとして既に壊れていたのではないか。

第8戦 ワンミーチョック・シンワンチャー VS 亀田興毅 【東洋太平洋フライ級タイトルマッチ】

 最初のダウンを奪った亀田のパンチは、カウンターの左ショート(打ち下ろし)。「拳を使った頭突き」と表現したくなるような、体ごと突っ込んでいくパンチだった。パンチの軌道自体はコンパクトだが、パンチ力を生み出している体の前進は大きい。
 亀田のパンチは、基本的には体が前に進む力を拳に乗せた、一種の体当たりである。ただし、その踏み込みには、マニー・パッキャオほどの鋭さはない。あるいは、マニー・パッキャオほどの距離を必要としないということなのかも知れない。
 いずれにせよ、ファイターではあるが中間距離で戦うタイプである。接近してガチャガチャの乱打戦になると、その真価を発揮することは出来ないだろう。
 前回気になったハの字の構えが、今回は一種のフェイントになっているように感じられた。ガードの真ん中を狙ったパンチが来ると、亀田は開いていたガードを閉じてブロックするので、相手からするとガードを閉じている状態からは打ってこないように見えるのではないか。最初のダウンを奪った左のカウンターも、脇を締めてガードを閉じた状態から放っている。
 インターバルでコーナーに戻っているとき、セコンドが顔のワセリンをタオルでほとんど拭き取ってしまっているように見えたので、ちょっと驚いた。あれほど頭から突っ込むタイプなのに、顔のワセリンは少ししか塗られていない。皮膚が切れにくいのなら、ボクサーとして有利である。

第9戦 亀田興毅 VS ノエル・アランブレット

 亀田は、連打の回転が遅い。第8戦でもそうだったが、世界前哨戦のように扱われたこの一戦で、改めて思ってしまった。特に、5ラウンド終盤にあった真っ向からの打ち合いで、アランブレッドに打ち勝てなかった(打ち負けてもいなかったが)のは、世界に向けての大きな不安材料と言えるだろう。
 やはり、ファイターではあるが、余力を残した相手と足を止めての打ち合うという展開には向かないタイプのようだ。常に前進し、パンチで相手を前に弾き飛ばしながら一定の距離を保つ展開なら、強さを発揮する。アランブレッドをロープ際に追い込み、後に退がって距離を調節した上で左ボディストレートをストマックにクリーンヒットさせたシーンは、正に亀田の勝ちパターンを見た思いがした。
 始めに連打の回転が遅いと書いたが、元々ハンドスピードが平凡であるので、それほど気にすることでもないのかも知れない。亀田はジャブの差し合いで勝負するようなタイプでもないし、接近して連打の回転の速さで勝負するタイプでもない。ガードを固めて常に前に出て相手にプレッシャーを与えつつ自分の距離をキープし、その流れの中で有利なポジションを取れたときに手数をまとめるタイプだ。強いて言えば、ミゲール・コットのスタイルに似ているのではないか。


 さて、亀田興毅は年内に世界タイトルを獲ることが出来るだろうか?
 亀田はハードパンチャーと呼べるほどのナチュラルな強打力は持ち合わせていないが、踏み込んで体重を乗せた拳には一撃で相手をダウンさせる力が宿っている。また、キラー・インティクト(打倒本能)に関しても申し分ない。試合運びも冷静で、逃げ続けるアランブレッドに対しても雑に攻め込む場面がなかったのは高く評価すべきだ。
 ただ、亀田がパーラに勝てるかと訊かれたら、今の段階では難しいと思う。アスロウムもアランブレッドからダウンを奪っての判定勝ちを収めている。それが、パーラにはほとんど完封されてしまった。亀田は強力なボディブローを持っているが、相手を追い詰めるフットワークは決して鋭くない。リングを自在にサークリングするパーラは、そう簡単には腹を打たせてくれないだろう。
 また、最初に書いたように、亀田のボディの打たれ強さに不安を感じる。ボディ打ちを得意とするボクサーは、逆にボディを打たれると脆いという場合もある。ガッティのライバルだったミッキー・ウォードも、決してボディが打たれ強いボクサーではなかった。ボディを効かされたら前に出られなくなるので、亀田の場合、攻撃力は限りなくゼロに近づくだろう。
 それに、亀田のガードは高いが、真ん中とボディは空いている。ジャブの得意な選手にガードの真ん中を打ち抜かれ、ポイントを持っていかれるのではないかという不安もある。パーラに関しては、フック主体の選手なので、この点に関しては大丈夫だとは思うが。

 亀田興毅の第7・8・9戦を観る限り、彼はすこぶる正統派のボクサーであり、試合終了後のリングでの受け答えは、むしろ優等生的ですらある。いや、優等生と言うより、一人の素直な青年と言うべきだろう。彼には、大いに期待している。
 サマンやアランブレッドといった、下の階級のオールドネームとの対戦だけでは、亀田興毅の実力は見えてこない。10戦目も、当初はランカーとは言え下の階級の選手だったので落胆していたのだが、ここへ来てWBC世界フライ級13位カルロス・ボウチャンに変更となった。ファンが亀田の対戦相手として望んでいるのは、こういう選手である。
 ボウチャンはメキシカンで、元国内フライ級王者。メキシカンのボディブローをあのハの字ガードで守りきれるのか、ボディを打たれたときの耐久力はどの程度なのか。亀田興毅の真価が問われる一戦になる。
 相手がフライ級のランカーに変更されると分かっていれば、チケットを買っていたんだけどな~。TBSが生中継するらしいので、TVの前でリアルタイム観戦するつもりだ。
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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。