2017-10

理想の『響鬼』のプロット(と言うより、メモ書き)

理想の『響鬼』のプロット(と言うより、メモ書き)


 何を以って理想とするのかを決めるのは、意外に難しい。
 今回は、「9歳の頃の自分」にとっての、理想の『響鬼』のプロットのようなもの(と言うより、メモ書きの類)を書いてみることにした。ライダーなら『アマゾン』を、ゴジラなら『メカゴジラ』を観ていた当時の自分が楽しめるような『響鬼』。そういうコンセプトで…

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 高校受験を控えた少年・安達明日夢。彼は、旅行先の屋久島山中にて、奇怪な男女と遭遇する。その男女は明日夢の目の前で融合すると、1体の蜘蛛人間に変貌した。絶体絶命の明日夢を救ったのは、2本の角を生やした鬼のような戦士。その戦士は、バチとベルトのバックルを用いた特殊な技「音撃」で蜘蛛人間を倒した。戦いを終えた戦士の頭部が、人間のそれに変化する。
「…ヒビキ、さん?」
その人物は、明日夢がフェリーの中で出会った男性・ヒビキだった。
「少年には、さっきのバケモノ、見えてたんだ?」
「はい、もちろん見えてましたけど…?」
ヒビキは、困ったなという表情で頬を掻くのだった。

 東京に戻った明日夢は、偶然に導かれてヒビキと再会する。ヒビキは、大型のバイクに跨っていた。
「俺は4輪は苦手だけど、バイクは得意なの」
 ヒビキは明日夢に、「屋久島で遭遇した怪物は、魔化魍と呼ばれるもの」「魔化魍は人を襲って食べるので、自分のような戦士が退治している」のだと説明する。そして、魔化魍には等身大のものと巨大なものの2種類が存在し、そのどちらも普通の人には見えないのだとも。
「その魔化魍って、屋久島以外にもいるんですか?」
「ああ、日本中のあちこちにいるよ。ただ、普通の人には見えないから、知られていないだけだ」
「それをヒビキさんが一人で退治しているんですか?」
「まさか! 俺みたいな鬼は、日本中にいるんだ。首都圏だけでも、俺を含めて11人の鬼がいる」
ヒビキの携帯が鳴った。どこかに魔化魍が出現したらしい。
「少年、このメールの開き方、分かる?」
明日夢はヒビキの携帯の受け取り、メールを開いて返した。
「サンキュー、じゃあな、シュッ」
独特の仕草を決めると、ヒビキはバイクで颯爽と走り去っていった。
「○○山なら、ここから電車で…」
明日夢は、魔化魍出現予想位置が書かれたメールの内容を、しっかりと記憶していた。

 電車を乗り継ぎ、メールに書かれていた○○山に到着した明日夢。ヒビキから貰ったコンパスを片手に、地図を見ながら山道を歩く。道の脇の草むらがガザガザと揺れ、犬の鳴き声のような声が聞こえてきた。明日夢は声の主を探し、瑠璃色をした小さな犬型のロボットのようなものを発見する。すぐ近くの木の枝には、緑色の小さな猿型のロボットのようなものも。
「何だコレ?」
明日夢は、その小さなロボットのようなものを必死に追跡し、キャンプ地に辿り着いた。そこにはヒビキと、ヒビキのサポーターを務める女性・香須実がいた。
 そこで明日夢は、小さなロボットのようなものがディスクアニマル(DA)という一種の式神であること、DAは純然たる機械ではないことをヒビキから教えられる。
 香須実は、明日夢が魔化魍を見ることが出来ることに加え、DAの鳴き声や再生音を聴くことが出来ることに驚く。訓練されたサポーターである香須実でさえ、魔化魍を見ることは出来ても、式神であるDAの鳴き声や再生音を耳で直接聴き取ることは出来ないのだ。 

 後日、明日夢は、ヒビキや香須実が働いているという店「たちばな」を訪問する。
 「たちばな」は、和風の音楽喫茶という珍しい店で、ヒビキはそこで和太鼓を演奏していた。手にしているバチは、あの「音撃」を行なったときに使っていたものである。
 装いは和風だが、トランペット風の楽器を演奏している青年はイブキ。
 同じく、エレキギター風の楽器を演奏している青年は戸田山。本来はザンキが演奏者なのだが、怪我で入院中のため、弟子の戸田山が代理を務めているとのこと。
 この3人が、シフトで同じ組に入っている「太鼓・管・弦」の鬼たちなのだ。鬼の勤務が非番の日々は、3人ともこの店の演奏者兼店員として働いている。(ちなみに鬼は全て、戦いを終えた後は、その場を清める為の“清めの演奏”を行う)
 おやっさんは、明日夢に猛士関連情報の口止めするとともに、高校に入学次第、店でアルバイトとして働かないかと提案。明日夢はこれを了承する。

 無事高校に合格した明日夢。彼は、同じクラスの天美あきら(キャストは秋山奈々ではなく、『仮面ライダー THE FIRST』でスネークを演じた小林涼子)が、鞄の中にDA(機動前)を入れていることに気付いてしまう。クールで完璧主義者(秘密主義者)であるあきらは、明日夢にDAを見られたことでプライドを傷付けられる。
 「たちばな」で、あきらがイブキの弟子であることや、鬼の師弟制度などを教えてもらった明日夢は、ヒビキには弟子がいないのかと質問する。
「ヒビキさんは、弟子を取っていないんですよ」と日菜佳。
「何でですか?」
「それはチョット、ワケありで…」
 立花姉妹は、「どうしても知りたかったら、ヒビキさん本人に訊いて」と、明日夢の質問から逃げるのだった。
 明日夢が、ヒビキ本人から聞いたその答えは、衝撃的なものだった。
「俺は、最初に取った弟子を、戦いで死なせているんだ。それ以来、俺は弟子を取っていない」

 明日夢やあきらと同じクラスの持田ひとみ。彼女は、幼馴染である明日夢をずっと慕っていた。
「たちばな」で明日夢があきらと一緒にバイトをしていることを知った持田は、なし崩しにバイトのメンバーに加わる。明日夢とあきらの疑惑?が晴れた後、持田とあきらは互いに妙にウマが合うことに気付く。
 持田の存在によって、あきらの明日夢に対する必要以上の刺々しさも消えていく。3人は、ボケの持田、ツッコミのあきら、イジられ役の明日夢という漫才トリオのような関係になるのだった。

 ある日、明日夢はCDショップで万引きをしている学生を目撃し、思い切って店の人に知らせる。しかし、万引きグループの逆恨みに遭い、後で明日夢はボコボコにされてしまう。
「自分なりに勇気を振り絞って正しい行いをしたのに、暴力の前には成す術が無かった」
と、明日夢は落ち込む。
 顔に痣を作って「たちばな」でバイト中、明日夢は偶然、みどりの研究室に文字通り転がり込んでしまう。みどりはそんなハプニングを歓迎、研究室を案内する。最初は無邪気に喜んでいた明日夢だが、変身音叉を見ているうちに「暴力の前には成す術が無かった自分」を思い出す。みどりが目を離した隙に、明日夢は音叉を起動させて変身を試みる。当然ながら変身は失敗、明日夢は弾き飛ばされて失神。救急車で病院へ運ばれる破目に。

 病院で目を覚ました明日夢だが、全身筋肉痛で真っ直ぐに歩けない状態。2、3日入院することになる。病院の廊下で転びそうになった明日夢を支えてくれた男性は、その日に病院を退院するというザンキだった。
 翌日、ザンキは戸田山と一緒に、明日夢の病室を訪れる。
「ああ、君はあのときの…。そうか、君が明日夢くんだったのか」
ザンキは、ヒビキからお見舞いの品を預かっており、代理でお見舞いに来たのだった。
「ヒビキさんは…?」
「アイツは今、魔化魍と戦っている」
明日夢は戸田山に、ヒビキが弟子を戦いで死なせている件を引き合いにして、戦うことが怖くないのかと尋ねる。戸田山は
「そりゃ、怖いっすよ」と短く答えた後はその件に触れず、自分がザンキに弟子入りした経緯を話して聞かせるのだった。
 そして、復帰戦で再び膝を負傷してしまったザンキは、引退を決意。
 急遽デビュー戦を迎えた戸田山だったが、無事勝利を飾り、トドロキの鬼名を得る。
 明日夢は偶然、その戦いの場に居合わせていた。ザンキと共にトドロキのデビュー戦を見届けた明日夢は、ヒビキの弟子に成れるかどうかは別にして猛士入りし、自分を鍛えて少しでも人助けに役立とうと決意するのだった。

 正式に猛士のメンバーになった明日夢は、最初は使い走りのような雑用から始まって、徐々に深く猛士の活動に関わるようになっていく。身近にいる意外な人が猛士のメンバーだったり、近所の施設が猛士の集会所になっていたりと、謎の組織・猛士の秘密が少しずつだが明らかになっていく(警察やマスコミにも猛士のコネクションがあるetc)。
 そんなある日、魔化魍には自然に発生する「天然もの」と、人為的に造り出されているものの2種類があることを、明日夢は教えられる。
「魔化魍を人為的に造っている人たちって、一体何者なんですか?」
「猛神(タケガミ)と名乗る者たちだ」
「猛神って、猛士と何か関係が?」
「猛神というのは、150年前、猛士から分かれたグループなんだよ…」
 150年前、何らかの事件により、猛士は二つのグループに分裂し、一方は新たに猛神を名乗るようになったのだ。果たして、150年前、何があったのか? 人為的に魔化魍を造り続ける猛神の目的は何なのか?

 普通の人には見えないはずの魔化魍を見ることが出来たり、DAの音を聞くことが出来るという稀な素質を持っている明日夢は、猛士内部からも密かに期待されていた。明日夢は猛士内で訓練を受けたり、自主トレをしたり、ヒビキの鍛錬に同行することによって、その特殊能力をメキメキと伸ばしていく。
 学校でも猛士でも、相変わらずドジでヘタレなところはあるのだが、それでも明日夢が少しずつ逞しくなっていくことを、母親や持田は気付いていた。
 そして、DAを一応扱えるようになった明日夢は、みどりから研究開発の助手を任命され、専用の音叉(音貫・おんかん)と専用の試作DA(カラス型、エリマキトカゲ型、モグラ型)、装備帯といった「鬼道具一式」を与えられるのだった。

 山中で、試作DAのテストを行なっていた明日夢は、突然の雷雨によって、DAを見失ってしまう。雷雨の中を探し回る明日夢は、DAを手にしている20代半ばの背の高い美女と出くわす。
「…最近の若い者は、こんな式神ひとつ、満足に扱えないのか?」
「あの…猛士のかたですか?」
「猛士なんぞ、とっくの昔にこちらから辞めてやったわ」
ポツリ、と雨粒が美女の頬を伝う。このとき、明日夢は美女が雷雨の中、傘もさしていないのに殆ど濡れていないことに気付いて驚く。
「やれやれ、まだ数が足りぬか」
美女は、雨に濡れた野花を一輪摘むと、それをコウモリ型の黒い式神に変化させた。美女の頭上には、コウモリ型の黒い式神の群れが群れを成して舞っており、彼女を雨から守っているのだ。
「驚いたのか? 昔の鬼は、誰でもこの程度のことは出来たのだがな」
「あなたは、鬼…なんですか?」
「私はシュキ。私ほどの鬼はいないぞ」
シュキ(キャストは片岡礼子ではなく、元モー娘。のリーダーの飯田圭織)と名乗ったその女性は、明日夢が一瞬注意を逸らした間に、幻のように消えてしまった。
 猛士を離脱していながら「私ほどの鬼はいない」と言う、美しき鬼・シュキ。果たして彼女は、敵か、味方か?

 明日夢が順調に才能を開花させていく一方で、あきらはスランプに陥っていた。
 人より速いペースで鬼の基本となる「変身体」には成ったものの、音撃が可能となる「音撃体」に入ってからの進歩が遅いのだ。明日夢が専用の音叉・音貫と、試作とはいえ新型のDAを与えられてことに対して、強い不快感を露にする。
 あきらは、明日夢個人には、友達として好意的な感情を抱いていることを自覚していた。しかし自分でも気付かないうちに、猛士のメンバーとしての明日夢をライバル視していたのだった。
「安達君には、絶対負けたくない。負けるわけにはいかない」

 山の中で自主トレをしていた明日夢の元に、放っておいたDAが戻って来る。DAは偶然、童子と姫を発見していた。普通の人間には、童子と姫の姿は見えない。山菜取りに来ていた人たちに危険が迫っている。明日夢は、童子と姫を追って「神隠し」の現場を押さえるが、力及ばず人々を救うことは出来なかった。
 自分の無力さを呪い、あてどもなく街を彷徨う明日夢。そんな明日夢は、いつぞやの万引きグループと遭遇し、再び暴力に晒される。鍛え続けていた明日夢は苦戦するものの、遂に万引きグループを返り討ちにする。しかし、明日夢に勝利の喜びなど無かった。
「何をやっているんだ、僕は…」
 翌朝、顔を痣だらけにした明日夢は、ヒビキの元を訪れた。
「ヒビキさん、僕を弟子にして下さい」
「何のために、弟子になるんだ? ケンカに勝つためか?」
「いいえ、自分に克つためです。自分に克って、人助けが出来るようになるためです」
ヒビキは、彼の覚悟を受け入れた。
「よぉし、明日夢、それじゃあ早速鍛えに行くか」

 ヒビキの弟子となった明日夢は、猛士が「魔化魍全滅」を目的にしていないことを知らされ、驚く。猛士は、天然の魔化魍に関しては増えすぎないように数を調整する、いわゆる“間引き”を行なっているだけで、数が減りすぎた場合には逆に保護することすらあると言う。
 魔化魍も、自然のバランスを保つ上で必要な存在。猛士はそういう魔化魍を秘密裏に管理する全国組織だったのだ。
 明日夢は、猛士と敵対する猛神の目的についても知らされる。
「猛神は、猛士とは逆に、魔化魍を使って人間を管理しようと考えているんだ。自分達でコントロールできるような魔化魍を造りだし、増えすぎた人間の数を、彼らの理想の状態に調整する。それが彼らなりの“人類の保護”ということらしいんだ」

 同じ時期、あきらも、猛士が「魔化魍全滅」を目的にしていないことを知らされ、強いショックを受ける。あきらは両親を魔化魍(ノツゴ)に殺されたことを恨んでおり、「魔化魍全滅」を生涯の目標に掲げていたのだ。
 「スランプに陥っているのは、憎しみで強くなろうとしているからだ」とイブキから諭されても、あきらは納得できない。
 そんなあきらは、シュキと出会ってしまう…。
「私は最強の鬼だ。何故なら、誰よりも強く魔化魍を憎んでいるからな」
「最強の鬼って…ヒビキさんより、強いんですか?」
「ヒビキ? ああ、その若造なら、以前軽く相手をしてやったこともあったな」

 天然の魔化魍の発生数は増加の一途を辿り、猛神が繰り出す魔化魍もより強力になっていく。
 そんな中、ヒビキは強化形態である「紅」への二段変身を完成させる。しかし、「紅」は鬼としての生命を激しく消耗させる、危険な形態であった。
 そして、今年が「オロチの年」である可能性が高いことが、関東支部の集会で報告される。
 更に、オロチに対抗する「鬼柱」として、ヒビキの名前が挙がる。
 オロチとは何か? そして鬼柱とは?
 一方、みどりと小暮を中心とする開発チームは、「ヒビキを鬼柱から生還させるため」、アームドディスクとアームドセイバーの実用化に向けて作業を急いでいた。そして、その現場にはテスト要員として働くザンキの姿があった。

 イブキとあきらの確執は深まるばかり。イブキはあきらを、ヒビキと明日夢のところに一時的に預けることにする。明日夢をライバル視しているあきらは、何かにつけて自分の優位性を誇示しようとする。
 ヒビキと明日夢の元に来ても、あきらは「魔化魍は全滅させるべき」という主張を変えない。
「自分の中の憎しみを殺さないと、鬼にはなれない」と諭すヒビキに対して、あきらはシュキを引き合いに出して真っ向から反発する。
「あきら、お前、シュキのことを知っているのか? シュキは、おやっさんを殺そうとして、鬼を辞めさせられた人なんだぞ」

 「たちばな」にて、シュキに関する緊急ミーティング。
 シュキは呪術によって当時の肉体の若さを保っているだけで、実はおやっさんこと勢地郎と同世代・同期の鬼。勢地郎もまた、鬼(太鼓の使い手)であったのだ。シュキは勢地郎と共闘中、勢地郎もろともノツゴを倒そうとしたが失敗。結局ノツゴを取り逃がし、勢地郎はシュキの攻撃によって瀕死の重傷を負う。一命は取り留めたものの、この怪我によって勢地郎は鬼を引退することを余儀なくされたのだった。

 密かにシュキと接触を持ったあきらは、勢地郎の件を問い質す。しかし、シュキは「戦いに犠牲は付きものだ」と意に介していない様子。
「そんなことより、オロチの件はどうなっている? あのヒビキとかいう若造が鬼柱になるのか?」
さらにシュキは、猛神の真の目的を語りだす。
「猛神が、魔化魍を使って人間を管理しようとしているなんて、猛士が流している嘘の情報だぞ。猛神は、150年前のオロチで肉親を亡くした者たちの集団なんだ。連中は、自分達の力で、次のオロチを止めようとしている。
 猛神の究極の目的は、“魔化魍全滅”だ。魔化魍を全滅させるために、魔化魍を研究し、造り出しているというワケさ。私に言わせれば、まどろっこしいだけなんだけどね」
 「猛士も猛神も関係ない。ただひたすら、自分の力で、親の敵であるノツゴを討つ」と言い放つシュキ。彼女同様、両親をノツゴに殺されているあきらは共感し、遂にシュキに弟子入りしてしまう。

 「オロチ」の影響で、ノツゴが10年ぶりに活動を再開した。
 シュキはトドロキから音錠を奪い、鬼としての活動を再開する。
あきらは、シュキの元で鬼となり、蘭鬼(アララキ)を名乗ってシュキと行動を共にする。
 ノツゴに遭遇する前に、腕慣らしとばかりにヒビキたちの戦いに割って入ったり、猛神からの誘いを断って魔化魍を差し向けられたり、シュキとあきらの行くところ、波乱万丈である。
 そんなシュキに対し、猛士は「鬼祓い(組織を守るための粛清)」を決定。
 ザンキは、非公式にシュキの説得にあたる。ザンキはかつて、猛士では禁じられていた呪術を学びたいが故に、破門者であるシュキの元へ秘密裏に弟子入りしていた時期があるのだ。
 明日夢はあきらを探し出し、必死に説得する。だが、念願の鬼の力・復讐のための力を手に入れたあきらには、明日夢の言葉は届かない。しかも、その様子を見た持田は、明日夢とあきらの関係を誤解してしまう…。

 ノツゴが出現、響鬼・威吹鬼・轟鬼の3鬼(サポーターはザンキ)が立ち向かうが、3人がかりでもノツゴに圧倒されてしまう。大ダメージを被り、威吹鬼・轟鬼が戦線を離脱する。響鬼は、無理を押して紅に変わり、ノツゴにダメージを与えるが、反撃を受けて紅が解除。その隙に、ノツゴは移動を始める。
 乱入のタイミングを計っていたシュキとあきらは、ここぞとばかりに追撃を開始する。ノツゴの移動先には民間人がいた。シュキは民間人を捨て置いてノツゴと戦い、優位に立つ。しかし、あと一歩のところで逆襲を受け、倒れ込む朱鬼。止めをあきら(蘭鬼)に託す。
 だがそのとき、逃げ遅れた親子が、ノツゴに捕らえられる。
「今しかない! 犠牲を恐れるな、撃て!」
ノツゴが親子を食わんと口を開けている今、鬼石を撃ち込む絶好のチャンスである。しかし、それでは捕らわれた親子を巻き添えにすることになる。
 あきらは撃てなかった。身を呈して親子を救い出そうとするが失敗、一緒にノツゴの餌食になりそうになる。
「愚か者め…」
立ち上がった朱鬼は、捕らわれた親子とあきら諸共、必殺の一撃をノツゴに撃ち込もうとする。
「やめろーッ」
雄叫びと共に現れたザンキが変身すると同時に、新型DA・コガネオオカミが変形、斬鬼の膝に強化プロテクターを形成する。ザンキは朱鬼に体当たりをかまして弾き飛ばすと、そのままの勢いで捕らわれた親子とあきらを救出した。
 朱鬼もすぐに体勢を立て直して音撃を開始したが、一瞬遅く、ノツゴの急所を撃ち抜くことはできない。今度は朱鬼自身がノツゴに捕らわれてしまうが、彼女にとっては最後の手段として覚悟していたことだった。朱鬼は自らの身体を犠牲にして、必殺の音撃をノツゴの体内に撃ちこんだ。
 ザンキの膝の強化プロテクターが強制解除される寸前、ザンキの音撃斬がノツゴに止めを刺した。
 プロテクターを失って崩れ落ちるザンキの体を、響鬼が支える。
「すみません、ザンキさん」
「俺のことはいい、民間人と、あきらを…シュキは、俺が」
 親子の元へ向かう響鬼。あきらの姿は既になかった。
 復讐を果たし、大地に横たわる朱鬼の身体を、ザンキが野花で覆っていく。最後の一輪によって全身が覆い尽くされたとき、朱鬼の命は消えた。
 朱鬼が逝ったこと悟ったおやっさんこと勢地郎は、空に向かって30年振りに鬼時代の決め仕草を決め、同期の死を見送るのだった。

 「オロチ」が、日一日と迫っていた。
 「膝だけアームド斬鬼」の実戦での成功を受けて、全身版アームド斬鬼のテストが急ピッチで進められていた。全身版アームド斬鬼は、アームド響鬼の試作品という位置付けである。できることなら、他の鬼のアームド化も進めたいところだが、今はその余裕がない。もっとも、アームド化構想は本来「ヒビキを鬼柱から生還させるため」のものなのだ。

 「オロチ」とは、150年に一度誕生する究極の魔化魍であるオロチと、それに伴ってあらゆる種類の魔化魍が大量発生する現象の総称である。
 「オロチ」は、長い年月の間に大自然に溜まった歪を一気に解消するために、地球という巨大生命体が定期的に発生させている自浄現象である。大地の底に溜まった歪を解消させるため、究極の魔化魍であるオロチが大地を裂き、河川を捻じ曲げる。表面的には破壊であるが、内部的には再生である。
 あらゆる種類の魔化魍が大量発生するのは、オロチを適切な時期に終わらせるためである。大自然の歪が最も解消された瞬間、大量発生した魔化魍は、一斉にオロチに喰らいつく。さすがのオロチも最期には力尽きて土に返るが、それまでに、無数にいた魔化魍もそのほとんどがオロチによって倒されてしまう。
 「オロチ」が終わったとき、魔化魍は例年のレベル以下にまで数を減らしている。
 これで、大自然は健全な姿にリセットされるのだ。
 もちろん、これは大災厄でもあり、大勢の人間が「オロチ」に巻き込まれて死ぬことになる。

 これを防ぐには、鬼柱を立てるしかない。
 最も強い鬼を、鬼柱の術で究極の鬼(魔化鬼)に変え、大量発生した魔化魍を統べる能力を引き出させる。鬼柱となった者は、究極の鬼であると同時に、オロチと並ぶもう一つの究極の魔化魍でもあるのだ。だから、無数の魔化魍を統べることが出来る。
 この鬼柱が、無数の魔化魍を統べて、誕生したばかりのオロチを攻める。オロチが大地を裂く前に、退治してしまうのだ。そうすることで、大災厄としての「オロチ」を防ぐというわけだ。

 鬼柱になるということは、鬼が魔化魍になるということだ。魔化魍になった鬼は、もう人には戻れない。身だけではなく、いつしか心も魔化魍になり、遂には人を喰らい始める。
 そうなる前に、残っている鬼が全力を挙げて、鬼柱を退治する。
 「鬼祓い」とは、本来この「鬼柱を退治する」ことを指す言葉なのだ。

 そして今年の「オロチ」に対して立てられる鬼柱は、ヒビキ。
 みどりと小暮を中心とする開発チームは、紅の状態でアームド化した響鬼なら、「アームド解除」と「紅解除」の2段階の解除により、自ら「鬼柱の術を落とす=心身から魔化魍を祓う」ことが可能だと考えていた。いやむしろ、その可能性に賭けたと言った方が良いかも知れない。

 150年前のオロチの際に起こった惨劇とは何か?
 それは、鬼柱の働きによって「オロチ」はほぼ無力化できたものの、その後に凶暴な魔化魍と化した鬼柱の猛威の前に、大きな犠牲を払うことになったという惨劇だ。猛士に残っていた鬼の9割と、鬼以外の猛士の約半数、そして多くの民の命が失われたのである。
 これでは、せっかくオロチを防いでも、別のオロチが発生したようなものである。
 この惨劇の後で、猛士は二つに割れた。
 一つは、基本的には今まで通り魔化魍と共存しつつ、150年後のオロチに備えようとする者たち。
 もう一つは、「魔化魍全滅」を究極の目的に掲げ、「オロチ」そのものをこの世からなくそうとする者たち。
 後者は猛神と名前を変え、旧体制である猛士と敵対するようになった。

 あれから150年の歳月が過ぎ、再び「オロチ」の年がやってきた。
 猛神が企む「逆オロチ」は成功するのか?
 猛士は、ヒビキを鬼柱に立てるのか?
 それまでに、アームド響鬼、そして究極の音撃武器・アームドセイバーは間に合うのか?
 鬼柱になったヒビキは、人として生還できるのか?
 
 そして…
 猛神に連れ去られた、あきらの運命は?
 明日夢は、あきらを救えるのか? 憎しみの力に頼ることなく、明日夢は鬼に変身出来るのか?

 ヒビキを救うため、威吹鬼は「威吹鬼 紺碧(いぶき こんぺき)」への強化変身を果たし、
 轟鬼も「轟鬼 白銀(とどろき しろがね)」への強化変身を果たす。
 威吹鬼紺碧、轟鬼白銀とも、音撃武器が発する清めの音を手首・足首の音撃器官にチャージすることにより、拳脚から音撃を伴った打撃を繰り出すことが出来る。
 全身版アームド斬鬼は、鬼爪に烈斬の清めの音を共鳴させることによって、「音撃鬼爪」を繰り出すことが出来る。
 対オロチ仕様となった鬼たちの活躍によって、『響鬼』のクライマックスは大いに盛り上がるのであった!
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コメント

あけましておめでとうございます

よく、こんなに考えられますねえ!!すごいです。
今までの震電さんの記事で「このエピソードはこのキャラがやるべきだった」という意見を何度か拝見しましたが、こんな風に考えてらしたんですね。

決定的に違うのは明日夢ですね。
主人公になるだけの理由(特殊能力)があり、挫折と成長をくりかえしてヒビキと並ぶ存在になる、正しいヒーローものの主人公としての明日夢。
何度も書いてらしたように、日曜8時のヒーローは、こうあるべきだったかもしれません。

「響鬼」の材料は、腕しだいで本当にいろいろな料理になる可能性を秘めていると思います。
朝8時は、正統派こども向けヒーロー番組の響鬼、深夜28時(笑)はヘタレ明日夢の人間ドラマ響鬼(←注・好きなんです!)、って感じで両方見たいなあ。

ヘタレ明日夢、追加

 77maru77さん、あけましておめでとうございます。
 記事の中で、明日夢のヘタレ部分に関して言及していなかったので、そのことを追加しておきました。優等生じゃ、面白みに欠けますから(ある程度のツッコミどころが必要)。

 もう一人の主人公・ヒビキに関しては、成長を見せるキャラではなく、番組開始時に既に完成されたキャラとして登場とする点に関しては、オリジナル通りで良いと思います。
 その「(ほぼ)完璧なキャラ」でさえ、どうにも出来そうにない困難が迫ってきて、さぁどうするんだ…となって、「完璧な一人のヒーロー」ではどうにもならないことでも、周囲の仲間の助けがあれば、切り抜けることが出来る!というハッピーエンドを迎える。これなら、人が死ななくても最後まで引っ張っていけるんじゃないかなと思います。

楽しんで読んでしまいました♪

TB&コメントありがとうございました!僭越ながらこちらからもTBさせていただきます。
私は、ヒビキをまだ成長する余地のある人物、特に番組を見ている親が共感するキャラと見ていたのですが、明日夢の設定をかなり変えるだけで「ヒビキ=完璧キャラ」でも楽しめますね。
これでさらに、全身版アームド斬鬼は成功したのに、実際には響鬼ではなかなかうまくいかない(技術の問題ではなく個体差の問題もあった!)なんてエピソードが挟まったら、もっと感情移入できそうです。

感情移入

 rihoさん、コメントありがとうございます。

>全身版アームド斬鬼は成功したのに、実際には響鬼ではなかなかうまくいかない

 これ、イイですねぇ! このまますんなり響鬼がアームド化と思ったら、うまくいかない! 完璧なはずの戦士・ヒビキが、土壇場で苦労(苦悩)する。
 それを見かねたザンキが
「こうなったら、アームド化できた俺が鬼柱になる!」
と、本末転倒なことを言い始める。それを冷静に宥めるヒビキ。
 クールに見えるザンキの熱さと、飄々としたヒビキが追い詰められた中で見せる、精一杯の余裕。
 師弟ドラマとは別に、ベテラン同士がガップリ四つに組んだドラマもあると、厚みが増します。

そうか、ここでいいらさんを出すか……(笑)

 こっち↓では、もっと出してます!(胸を張る私)
http://sinden.blog6.fc2.com/blog-entry-24.html

TBありがとうございます。
凄いす。「鬼祓い」設定、ぐっときました。
これはライダー的にはかなり盛り上がりますね。
悲劇的でいて、でも世の中的にはハッピーエンド。という私好みの結末がいろいろ練れそうです。
明日夢くんの設定も、これならうちの息子でも入っていけそうです。ライダーというより、ちょっと戦隊っぽいキャラでしょうか。
年齢もいっそ、もう3つばかし下げちゃって、声変わりしてない明日夢くんだといいなあ。
いっぱい悩んでいっぱいしくじって、いっぱい活躍してくれそうです。
いえ栩原楽人くんは実際外せないキャスティングだったと思ってますけど。
アキラちゃんとシュキさんのキャストにはかなり笑いました。
このアキラちゃんには「オンドゥルルラギッタンディスカ」とか言っちゃいそうです…

 青山さん、コメントありがとうございます。
 気に入っていただけたようで、何よりです。世代的に、「仮面ライダーとしての悲哀」にはこだわってしまいます。(「改造人間じゃないとダメ」とかまでは言いませんけど)

 そう言えば、キバレンジャーでしたっけ、6番目の戦士?で若い子がいましたねぇ…。
 栩原さんは、もっと若い頃だったら、宮崎アニメの実写版の主人公が似合うだろうなと思ったことがあります。ちょっと線が細いのですが、目がクリクリしてるし、ピュアな感じですし。 

>アキラちゃんとシュキさんのキャストにはかなり笑いました。

 笑わないで下さいよ~。小林涼子さんも飯田圭織さんもスタイル抜群なので、顔だけ変身解除姿が超カッコイイですよ!

>このアキラちゃんには「オンドゥルルラギッタンディスカ」とか言っちゃいそうです…

 とすると、明日夢は「お前は俺たちの味方だったんじゃなかったのグワァ~」と、台詞を最後まで喋らせてもらえなかったりするんでしょうか。

どうも始めまして、最近平成ライダーにのめり込んで
当時の響鬼感想サイトを巡ってここに辿りつきました
4年も前の記事ながら非常に面白い内容だったのでコメントさせてください、迷惑だったらすいません

僕は響鬼を見終わった後に、どちらかと言えば前半派だったんですが、
それでも心によく分からないモヤモヤが残りました
しかしディケイドの響鬼編、そして震電さんのこの理想のプロットを読んで、ようやくそのモヤモヤの正体が分かりました
僕はあくまで明日夢がちゃんと「主人公」をやっている響鬼が見たかったんだなぁと

そうして考えてみると、このプロットは本当に無理なく明日夢が物語に絡み
ちゃんと主人公をやりながらヒビキとの「師と弟子」という二代に渡るストーリーもしっかり描けそうで非常に素晴らしいと思います

こうして見ると、震電さんが4年も前に書かれた理想の響鬼プロットと
今現在放送しているWは結構似ていますね

明日夢が猛士という組織の謎に少しずつ近づいていくところなんかも
Wの翔太郎とフィリップがドーパント絡みの事件を通しながら
園咲家という謎だらけの一家に近づいていくところなんかに似てますし

 フウトさん、はじめまして。コメントありがとうございます。
 
>しかしディケイドの響鬼編、そして震電さんのこの理想のプロットを読んで、ようやくそのモヤモヤ
>の正体が分かりました
>僕はあくまで明日夢がちゃんと「主人公」をやっている響鬼が見たかったんだなぁと

 スーパーヒーロータイムの『仮面ライダー』は、ヒーロー番組であって純文学ではないので、『ディケイド』の響鬼編や、『W』の方が観ていてしっくり来ます。
 別にアンケートを取ったわけではありませんが、『ディケイド』の響鬼編は、それを観た響鬼ファンの多くに対して一定の説得力を持っていた(納得感を与えた)思います。

 この記事(プロット)を評価して頂き、嬉しく思います。でもこれは、四年前どころか三十数年前から私が観続けてきたヒーロー番組が持っていたフォーマットに、『響鬼』の要素を当てはめたて書いたものなのです。私が子供の頃に放送されていたヒーロー番組の多くは、こういうワクワクドキドキ系でした。
 『W』も、そういった標準的なヒーロー番組として創られているのだと思えます。

凄い!今更ながら最後まで読みたいくらいです

遅蒔きながら、先日「仮面ライダー響鬼」をDVD全巻借りて
最後まで見終わり、数々の関連サイトを見る中、当サイトを見つけました。

このサイトでの総評には思わず頷いてしまう部分が多々あり
非常に感銘を受けました。

そして、この理想の「響鬼」のプロット、正直小説版などとして
出されていてもおかしくないと思います。

もし可能であれば、この話のラストまで(明日夢が結果どうなるのか)
震電さんの目線で描かれた理想の「響鬼」も最後まで読みたいと思うばかりです。

当方、ジンクスを気にする性質なのです

 レフトさん、この記事(プロット)を評価して頂き、ありがとうございます。
 続きは考えてありますが、私には
「結末まで書かないプロットを公表すると、その一部が実現する」
というジンクスがあります。

 この記事も『ディケイド』版の響鬼で一部実現しています(ヒビキが魔化魍になる)し、それ以外にも

http://sinden.blog6.fc2.com/blog-entry-1.html

http://sinden.blog6.fc2.com/blog-entry-125.html

http://sinden.blog6.fc2.com/blog-entry-662.html

などがあります。
 その一方で、結末まで書いたゴジラのオリジナル・プロットは、実際の映画のスタッフに手渡ししたもの以外は実現していません。

 そういうジンクスを気にする性質なので、最後まで書かないという方針を、どうかご理解下さい。

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。