2017-08

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のいろいろな感想 ~ なぜ私にとって鉄血のオルフェンズが面白いのか自己分析してみた(1)~

『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』のいろいろな感想
~ なぜ私にとって鉄血のオルフェンズが面白いのか自己分析してみた(1) ~

 以前書いた記事の、私にとって『鉄血のオルフェンズ』が面白い理由の

(1)ボトムズやダグラムを思い出させると同時に、ちょっとサイバーパンクな要素が入っているところ。

について少し詳しく書いてみる。
 そもそもガンダムシリーズは、ファーストガンダムで
「ジオン独立戦争を、連邦側(反独立側)に主人公を置いて描いた作品」
として始まった。ちなみに私はその1979年の初回放送をリアルタイムで14才のとき(アムロとほぼ同年齢)に観て、ガンダム(シリーズ)のファンになった。

 “ポスト・ガンダム”として注目された『イデオン』は、
「独立側も連邦側も無く、対等な立場の異なる文明同士の衝突としての戦争」
が描かれた。ファーストガンダムとは、同じ戦争アニメでも構造が違った。

 『ダグラム』は、
「デロイア独立戦争を、デロイア側(反連邦側)に主人公を置いて描いた作品」
であり、ファーストガンダムとは構造は同じでも構図が真逆になっている。

 『ボトムズ』では、
「銀河を二分する二大勢力が、100年もの間戦争を続けていることにより、疲弊した社会」
という世界観が展開された。その「いつまでたっても戦争が終わらない」デストピア的な構造に飲み込まれていた主人公が、いつしかその核心へと近付いていくという構図だった。

 『ガンダムAGE』は、『ボトムズ』同様100年戦争という状況を提示しながらも、
「100年戦争を三世代に渡る大河ドラマとして描く」
ことをコンセプトとし、主人公とその乗機であるガンダムの世代が戦争の切り口として(あるいは世代が戦争を繋いでいく単位として)描かれていた。

 これでもうリアルロボットアニメにおける戦争の描き方(戦争の構造と構図)は出尽くしたかなと思っていたとき、『鉄血のオルフェンズ』が登場した。
 既に書いた通り、
「独立運動を、火星側(反連邦側)に主人公を置いて描いた作品」
という側面に関しては、『ダグラム』と同じ構図である。
「搾取され続け、いつまでたっても消耗品扱いされる状態から抜け出せない」
という社会の底辺に主人公が置かれているという構図は、『ボトムズ』と同じである。
 しかし、『ダグラム』や『ボトムズ』と根本的に異なる構造が、『鉄血のオルフェンズ』にはあるのだ。それは、

「独立運動を、火星側(反連邦側)に主人公を置いて描いた作品」
でありながら、主人公を含む組織が独立運動の主体ではないという構造だ。
 鉄華団は、結果的にギャラルホルンを敵に回した形にはなっているが、決して反政府組織でも独立派ゲリラでもない。鉄華団は、飽く迄もクーデリアの地球行きを請け負っただけの、一企業である。クーデリアの件だけに限定して言えば、クーデリアの地球までの旅を請け負った旅行会社に過ぎないのだ。

 当然、鉄華団の設立目的は火星の独立では無い。鉄華団の設立目的は、自分たちが消耗品扱いされる状態から抜け出して、まともな人間として生きていくことが出来るようになることである。三日月やオルガには、火星全体がどうのこうのという大志などは無く、飽く迄も自分と仲間達で立ち上げた会社(自分たちの生きる場所)を守るという身の丈のことで精一杯なのである。

 企業という構造を持つ意味においては、過去のガンダムシリーズよりは『トライダーG7』に近いと言えるかも知れない。『トライダーG7』には収支に関する話題が度々出ていたし、『鉄血のオルフェンズ』でもそうである。ただし、両作品では戦闘に関する描写(『鉄血のオルフェンズ』の場合、戦闘があれば高い確率で死者が出る)が基本的に異なるため、作品の雰囲気は大きく違っている。

 “仲間”・“家族”という要素も、ガンダムシリーズのテーマの一つである。鉄華団は軍隊では無いため、このテーマはより強く描かれている。
 ファーストガンダムでは、ホワイトベースという小社会が「同一地域社会からの避難民の寄せ集め」から「正規の軍隊」となり、最終話で主人公であるアムロにとっての「帰るべき場所」として昇華される。
 これに対し、『鉄血のオルフェンズ』の鉄華団は最初から「死んじまった仲間の血と、これから俺らが流す血が混ざって、鉄みたいに固まってるから、離れられない、離れてはいけない仲間」=家族としての小社会である。

 独立運動からも戦争からも基本的には別のところにある、家族としての会社。
 この構造が、楽しくも悲しくて、悲しくも愛おしい。
 だから、私は『鉄血のオルフェンズ』のファンなのだ。

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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。