2017-08

『シンデレラマン』

『シンデレラマン』
  2005年の映画館で観た映画:23本目
  映画を観た日:2005年9月24日(土)

 私は映画ファンであると同時に、ボクシング(とUFC)を観るためにWOWOWに加入した格闘技ファンである。であるからして、ボクシング映画を観ないわけにはいかない。ちなみに、購読しているのは『ボクシング・マガジン』の方。
 普通に良い映画だった、と思う。いわゆるアカデミー賞を取るような映画だ。
 ハリウッド映画は所詮アメリカ人のための映画なので、日本人である私にとっては「傑作」と思える作品は少ないのだが、こういう「普通に良い」と思える作品が多いことも確かである。邦画と比べると、「駄作=映画館で観るんじゃなかった」というハズレを引くことが少ない。もちろん、ハリウッド映画の中でも日本人受けするような作品が選ばれたうえで日本の映画館にかけられているのだから、ハズレは最初から振り落とされていると言える。
 それでも、金を払っている客の立場からすれば、結果が全て。邦画だって自分なりに選んで観ているのに、それでもハズレ=駄作だった場合は本当にガックリするのである。

 さて、私がボクシングを本当に観始めたと言えるのはWOWOWに加入してからであり、まだ4年くらしか経っていない。リアルタイムのボクシングをチェックするだけで手一杯であり、たまに時代を遡るとしても、ぜいぜいタイソンのDVDで観るくらいだ。この映画のような古い時代のボクシングに関しては無知に等しいし、今のところ食指も動かない。
 そんな私がこの映画を観て思ったのは、当時のLヘビー(ライト・ヘビー)とヘビー級の階級差がどうだったのか、ということ。現在のプロボクシングに詳しくない人は、Lヘビー級の一つ上がヘビー級だと思っているだろうが、実際には間にクルーザー級が挟まれている。現在、Lヘビーとヘビーの間には相当な隔たりがある。Lヘビーのチャンピオンが、いきなりヘビーの王座に挑戦するということはまず有り得ない。近年、天才と呼ばれたロイ・ジョーンズJrが、それを成し遂げことは記憶に新しい。その試合をリアルタイムで観たファンは、まさに時代の目撃者になったのだ。

 もう一点は、当時、白人のヘビー級王者の希少性はどうだったのかということ。現代ボクシングにおけるヘビー級のベルトは黒人選手が巻く確率が高く、主要4団体の王座を黒人選手が独占しても何ら不自然ではない。そにため、ヘビー級の有力な白人選手は「ホワイト・ホープ」と呼ばれて貴重視される。最近では、ジョー・メイシーがそう呼ばれていたが、確かクルーザーから上がってきたワシリー・ジロフとの試合で終盤ボコボコにされ、判定で勝ったものの、それ以後はリングから遠ざかっているようだ。
 この映画の主人公であるジム・ブラドックは、アイルランド系の移民。当時のアメリカ社会では差別される存在だったそうだが、英語圏ヨーロッパ出身となれば、現在のヒスパニック系アメリカ人よりは「ホワイト」と見なされたのではないか。ちなみに、現在主要4団体のヘビー級王者のうち、WBA王者のジョン・ルイスがヒスパニック系アメリカ人、WBC王者のビタリ・クリチコ(注1)がウクライナ人で、日本人から見ると「白人」なのだが、両者ともアメリカでは「ホワイト」のチャンプとしての人気に与かっているとは思えない。

 ボクシング映画として観ると特筆すべき点はないのだが、最初に書いたように映画としては良く出来ている。ボクシングと通して人間を、社会を、そして家族を描いた佳作である。万人に薦めたい。

※注1…WBCヘビー級正王者だったビタリ・クリチコは、暫定王者ハシム・ラクマンとの王座統一戦を目前にして膝を負傷。その負傷を理由に引退を表明した。非常に残念である。鉄拳博士、今まで素晴らしい試合をありがとう。お疲れ様でした。
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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。