2017-04

『機動戦士ガンダムAGE』第35話から第38話の感想(その3)

『機動戦士ガンダムAGE』第35話から第38話の感想(その3)

 第37話『ヴェイガンの世界』

 『ガンダムAGE』に登場する3人の主人公の中で、キオは最も損な役どころと言えるのかも知れない。何しろ、3人の中では全話を通じての出番が最も少ないのだ。
 『ガンダムAGE』の物語の時間軸は単純に過去から未来へと進んでいるため、キオはフリット編にもアセム編にも全く登場する機会が無かった。1人目の主人公であるフリットはアセム編にもキオ編にも副主人公として最初から登場し、アセムもキオ編の途中から物語のキャスティングボートを握る存在として派手な復帰を果たしている。フリットとアセムが明確な対立関係にあるため、キオはその間に挟まれた格好になって、今ひとつパッとしなかった。

 そんなキオが、“シャナルワ編”以来、主人公として最大級の活躍の場を与えられた。ヴェイガンの本拠地であるセカンドムーンを、たった一人で体験することになったのだ。ヴェイガンの一般社会は、今まで具体的に描かれたことが無かった。イゼルカントはキオに「地球圏の代表としてヴェイガンの世界を見てもらう」と言ったが、TVの前にいる私達からすれば、「視聴者を代表としてヴェイガンの世界を見てもらう」ことになるわけだ。
 キオ編の第1話の感想で、「キオが“戦争を終わらせる世代”であるならば、アセム以上にヴェイガンとの交流を持つ必要がある」と書いたが、こんな大胆な展開が待っているとは予想していなかった。

 イゼルカントが語った戦争の理由。それは、現実における日本が他国との間で争っている領土問題と基本的には同じである。
 キオから見れば「地球を奪う」という行為が、ヴェイガンから見れば「地球を取り返す」正当な行為となる。両者とも「その領土は我々のもの」と言って譲らない。地球とヴェイガンの戦争は、現実の国家間でも起こりうる領土戦争なのだ。

 キオは、ディーンとルウに出会ったことで、ヴェイガン市民の窮状を知る。地球ではごく当たり前のことが、ヴェイガンの市民にとっては羨望と妬みの対象になるのだ。
 イゼルカント邸に戻ったキオは、出された夕食に手を出さない。その夕食は、地球人の感覚からすれば決して豪華ではなく、ファミレスで普通に出てくる程度の料理である。しかし、ディーン達の粗食を知ったキオは、手を出せないのだ。

 以前、ブログで
【フリットが「過程が丁寧に描写されたパトリック・ザラ」という面を成立させたのだから…
イゼルカントには「理念が明確に描写されたギレン・ザビ」という面を成立させて欲しい。】
と書いたことがあった。実際、その通りになってきたので嬉しい。
 ファーストガンダムでは、末端の戦士の描写が濃厚だった半面、軍上層部やザビ家内部の描写は比較的淡白だった。『ガンダムAGE』でイゼルカントの過去やイデオロギーが明確に描かれたことは、評価に値する。

 それにしても、キオがイゼルカントの息子と似ているのは単なる偶然なのか?
 それとも、直接の血縁関係を暗示しているのか?
 復讐に取り付かれたフリットの暴走を止めるには、「フリットの母親は、実はイゼルカントの妹だった!」といった衝撃の展開が必要である気もするのだが。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。