2017-09

『機動戦士ガンダムAGE』ブルーレイ(DVD)ディスク第9巻の感想

『機動戦士ガンダムAGE』ブルーレイ(DVD)ディスク第9巻の感想

戦争ドラマの中で浮き彫りになる“戦争という現実”! そして父さんは天国ではなく宇宙で待っていた!!

 今まで1話ごとにupしていた感想を、某所のレビュー用にまとめてみる。
 ついでに、このレビュー用記事を書いた人、即ち私の画像もup。
ガンダムAGE感想記事用画像_3
 予告通り、前回3パターンまとめて撮ったやつの3パターン目で、「『AGE』と『ΖΖ』」。
 次回のまとめ記事では、フリット(アセム編)の“着ただけ”で、「『AGE』と『SEED』」にする予定。


 第31話『戦慄 砂漠の亡霊』

 例えるなら、“砂の中を高速で移動する鮫”のようなヴェイガンのモビルスーツ。『トレマーズ』に登場したモンスターの初期設定を思い出させる。
 アビス隊隊長が駆るグランシェ・カスタムは、モビルスーツ形態でディーヴァからカタパルト発進した直後、ストライダー形態に変形する。
 このようなモビルスーツは、過去のシリーズで見たことがあるようでないような…そんな不思議な感覚を抱かせる。いずれにせよ、こうした何か一工夫加えたアイディアや描写は観ていて楽しい。

 今回の最大の見所は、砂漠の亡霊ことファントム3とガンダムAGE-3のモビルスーツ戦。
 デルタアタックはジェットストリームアタックの焼き直しではなく、全くの別技。相手の足元に巨大な“蟻地獄の巣”を、上空には竜巻(砂嵐)を発生させて動きを封じ込め、3方向から同時に攻撃を仕掛けて仕留めるという攻撃パターンである。

 キオはフリットの指示に従い、ジャンプでこれを逃れようとするが、敵に読まれて叩き落されてしまう。AGE-3ノーマルはジャンプに失敗して着地し、動きが止まった瞬間を狙われる。普通のモビルスーツどころかガンダムAGE-2でもやられてしまう危機的状況だったが、AGE-3には緊急ドッキング解除という裏技があった!
 咄嗟にこんな裏技を繰り出したキオも凄いが、それに瞬時に対応して致命的な同士討ちを回避したファントム3も凄い。
 そこからの反撃を急ぐ余り、完全に竜巻を抜ける前に再ドッキングしてしまったキオのミス(出撃前に「攻撃を重視し過ぎる」と指摘されていた通り!)を突いて、ファントム3は更なる攻撃へと繋げていき、戦いの主導権を渡さない。
 まさに、一進一退の攻防。

 そんな中、ウットビットが完成したばかりのGホッパーで出撃する。イケメンでないキャラが、ガンダムメカのパイロットになるのは『ΖΖ』と同じ展開。本当に久し振りに見た気がする。
「(普通の男でしかない)俺だって、ガンダムに乗れる!」
と思えて、気分が高揚する瞬間だ。
 
 GホッパーとドッキングしてフォートレスとなったAGE-3が、まるでサーフィンをしているかのように小刻みにバランスを取りながらホバリングしている描写は新鮮。
 しかし、フォートレスに換装しても相変わらず火力頼みの攻撃を続けるキオは、ファントム3に翻弄され、再びデルタアタックに捕えられそうになる。
 そんなキオを救ったのは、シミュレーター訓練時に受けたアドバイスだった。
AGE-3フォートレスは、砂漠においても高い機動力を発揮できる。キオは「常に動き続けていれば、ファントム3にデルタアタックを出す機会を与えない」ということに気付いたのだ。

 これが、実は対ジェットストリームアタックとしても有効な対処法であることが面白い。常にドムの列のサイドへサイドと回り込むように動き続ければ、ジェットストリームアタックそのものを封じることが出来るだろう。裏を返せば、ジェットストリームアタックはガンダムが止まっていたから使えたのだ。
 また、AGE-3フォートレスは足回りに関してはドム系の機体であるので、「ドム対ドムならば、ジェットストリームアタックは成立しない(お互いに容易に防げる)」なんてことも頭の隅っこに浮かんでしまった。

 AGE-3フォートレスが、砂の中に潜んでいる多数の敵を一気に殲滅するために、一定範囲を高出力ビームで掃射するという戦法には説得力があった。確かに、砂漠戦においては有効かつ必要な能力だと思える。逆に言えば、敵の姿が見えているのに広域を掃射するという攻撃方法は、エネルギーの無駄遣いとも思えるだが。

 ウットビットがキオへの反発・対抗心を露にしたことで、キオの天然系天才キャラが浮き彫りになったところは上手いと思う。
 ファントム3のうち1人が、ファーストガンダムにおける「ズゴックに乗ったウヒャヒャ系のパイロット(ベルファスト基地で修理中のホワイトベースを強襲し、結果的にミハルの潜入をアシストした)」を思い出させるところも嬉しい。デシルやマジシャンズ8のような“イカれた天才タイプ”も個性的だが、こういった“荒々しくて品には欠けるが、実力は折り紙付き”という野獣系のパイロットにも、別の魅力がある。

 キオ編、とりあえず出だしは好調である。


 第32話『裏切り者』

 人の因果。
 罪と罰。
 何ともやるせない、砂を噛むような現実を淡々と描写し続けた一遍である。

 働く人は、生きていくために働く。
 大人の世界では、人は働かないと生きていけないからだ。
 戦う人は、誰かを守るために戦う。
 戦時下の世界では、戦う人がいないと誰かを守ることが出来ないからだ。

 シャナルワは、地球連邦の軍人として勤務するだけでは妹を生かすだけの収入を得ることが出来ず、やむなくヴェイガンのスパイとして働いた。シャナルワにとって、家族を守るとはそういうことだった。
 ファーストガンダムにおけるミハルのエピソードを思い出さないわけにはいかない。ミハルも、地球連邦に属する人間でありながら、妹たちを養うためにジオンのスパイとして働いていた。また、シャナルワとミハルは、「完全に敵側に寝返って連邦側の人間を殺傷するという意思がない」点に関しても共通している。
 決定的に異なっているのは、シャナルワは軍人、ミハルは民間人であるという点だ。正規の軍人であるシャナルワは、スパイであることが露見すれば情状の余地無く死刑が確定する。シャナルワは、モビルスーツでディーヴァから無許可発進した時点で、「モビルスーツに乗った死刑囚」だったのだ。

 モビルスーツで外に出ても、ヴェイガンは自分を殺そうと襲ってくるし、連邦軍に戻っても死刑となる。
 正に逃げ場なし。
 「妹の命を守るためには、自分が生き続けなければならない」と、どんなに強く想っても、自分が殺される以外に選択肢が無いという現実。
 シャナルワが選択できたのは、自分の死に方だけだった。

 想像するに、シャナルワの妹は余命幾許も無いことが明らかになっていたのではないか。会話を交わすことも出来ないほど衰弱しており、後は死を待つのみだけだったのではないか。最後の最後で、まるで自分の死に場所を得たかのような行動を取ったシャナルワを見て、そう思った。


 第33話『大地に吠える』

 赤い水陸両用モビルスーツが、最小限のスラロームを行いながらアデルとの間合いを急速に詰めたかと思うと、ネイル一閃、アデルの胴体をブチ抜く!

 シャアの再来だ!

 ゼハートの駆る水陸両用モビルスーツが、ズゴックよりもむしろゴッグに近い感じがするのが、また面白い。シャア専用ズゴックならぬ、シャア専用ゴッグの『ガンダムAGE』版である。
 ファーストガンダムにおけるジオンの水陸両用モビルスーツは、ザクやドムとは異なり、人型と言うよりは怪獣型であった。一方、『ガンダムAGE』におけるヴェイガンのモビルスーツは最初から怪獣型の要素を含んでいた。だから水陸両用となると、デザイン的に凄くハマるのだ。

 怪獣型で、水陸両用なのに、スマートかつスタイリッシュ。良いモビルスーツだ。

 前話では、シャナルワとキオのドラマに重点を置き、視点を絞って描かれた、ある意味“主観的”な展開だった。今回は、通常通り複数の視点による“客観的”な描写から始まり、それが主人公であるキオに収斂していくという展開が観られた。

 戦艦ディーヴァの戦い。
 キオとゼハートとのモビルスーツ戦。
 ロストロウラン全体の戦局。
 ディーヴァにいるフリットと、本部にいるアルグレアスのやり取り。
 それぞれの流れが一本に重なっていき、その一本になった流れの先端へとキオが押し流されて行く。そして、流れの中で先頭に立たせられた格好のキオが、最後は自分の意思で走り出す。
 その際、前回はミハルを思い起こさせられたシャナルワに、今回はマチルダのイメージが重なったことが切ない。

 3人のガンダムパイロットの中で、最も若くして戦争に身を投じることになったキオ。その若さ故、ゼハートをも上回るXラウンダー能力を秘めながら、感情面・精神面における脆さを露呈させている。
 気になったのは、父親を早くに失っているにも関わらず、母親に対する依存心が低いこと。ユノアがロマリーのことを名前で呼んでいたのも少し引っ掛かるし、ひょっとしてロマリーは再婚しているのか?

 地球連邦の新たな本部・ロストロウランを巡る一つの局面が終わり、主人公たちを乗せたディーヴァの戦場は宇宙へと移ることになった。それに先立ち、主人公側にはガンダムを巡る新たな動きと新キャラの合流が示唆され、敵側には新キャラが登場して新たな動きを予感させる。

 夕陽を浴び、まるで戦場に突き立てられた墓標のようにも見えるモビルスーツの残骸。
 その向こう、赤く染まった地平線から飛び立って行くディーヴァ。
広大な大地と比べれば余りにも小さなその船が向かう先にあるものは、安住の地ではなく、新たな戦場。
 やはりガンダムは戦争ドラマなのだと感じさせられた。


 第34話『宇宙海賊ビシディアン』

 ずっと地球上だったキオ編の舞台が宇宙へと移った。そう言えば、フリット編は(スペースコロニー内の話も多かったのだが)全て宇宙圏が舞台であり、アセム編でも地球に降りたのは終末の局面だった。キオ編では逆に地球から宇宙へと上がるわけで、このところの流れは、ファーストガンダムのジャブローに入る前(『女スパイ潜入!』)辺りからの流れを思い起こさせる。

 宇宙に出たキオには、新たな、そして衝撃的な出会いが待っていた。
 父は、天国ではなく宇宙にいたのだ。
「やっと会えたな、キオ…力を見せてみろ、この父に!」
 まるで「ずっと宇宙で待っていた」と言わんばかりのアセムの台詞に違和感を覚えつつも、アセムの再登場には胸が躍った。戦う天使のように純白でスタイリッシュだった特務仕様のAGE-2が、真逆の黒い機体・ダークハウンドに生まれ変わっているのも興味深い。新武装も、グフのヒートロッドやドムの拡散ビームに似たトリッキーなタイプで、面白い。

 そういったトリッキーな新武装、そして本来持っている高速機動を駆使するAGE-2ダークハウンドに、初めて宇宙で戦うキオのAGE-3ノーマルは翻弄される。更に、ファントム3の生き残り達が仕掛ける、空間とスピードを生かした集団戦法にも苦戦する。キオが宇宙戦に不慣れな所為もあるが、パワーと火力重視のAGE-3ノーマルは、基本的に高速戦闘には向いていないのだ。

 窮地に陥ったキオのAGE-3を救い出したアセムのダークハウンドだが、その背後から敵が襲い掛かる。こ、これは、アセムを助けたウルフが戦死したときと同じパターン!
 一瞬見る者をヒヤッとさせたものの、アセムのダークハウンドは鮮やかに身をかわし、同時にカウンターを深々と突き刺した。
「スーパーパイロットを舐めるなよ…」
 機体の色は黒に変わっても、アセムの心の中にウルフ隊長が生きていることが伝わってくるシーンだった。

 気になるのは、アセムが家族を捨てて海賊になった理由である。海賊船に戻ったアセム自身がサラッと語ったことが全てだとは到底思えない。「戦争の行方を左右する秘法」こそが、真の理由に深く関わっていると思えるのだが…
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コメント

お久しぶりです。
ガンダムAGEもクライマックスに近づいていますが、
PSP版のゲームは買う予定で?
個人的にはレベル5作品はゲームを買わないと総評が書けないと思っているので。

 お久し振りです。
 私はゲームは基本的にやりません(例外はバーチャファイター)。
 家庭用ゲーム機を買ったのは、バーチャ3をやるためのPSが最後です。
 ゲイジングのアイテムも、AGE-1の分だけ揃えてありますが、全然やる気がありません。
 ライダーや戦隊もガンバライドありきの展開なので、やった方が良いんだろうなという気はしますが、いかんせんゲームには基本的に興味がないのです。

ヒールホールドさん初めまして、アマゾンでコメントと質問をさせていただいた者です。

あなたからの返信がいただけないのでこちらに投稿することにしました。

私は、あなたのこれまでのレビュー、ブログを全て閲覧させていただきました。
ブログの中で、あなたは“ageを批判している人の多くはレベルの低い単細胞である”“OOは戦争のリアリティーから逃げた駄作”と言っていますね。

確かに、ageを批判している人の中には物語を見もせずに非難する幼稚な人も多くいるでしょう。
ですが、まじめに物語を見た上で非難している人が多くいるのも事実です。
その人達は、“ガンダム”はこうであるべき!と言ってません。
大半が、辻褄の合わないストーリー、キャラ描写(特にヒロイン)の稚拙さ、度の過ぎたオマージュを非難しているように思えます。
あなたは、ヒロインの扱い・視聴していて嫌でも目に付く矛盾点についてどう思っているのか知りたいです。

最後に、OOファンとしてこれだけは言っておきたいことがあります。
あなたは、
<『ガンダム00』は、イノベイター(イノベイド)という黒幕を登場させたことで、戦争を描くことを放棄してしまっている。戦争のリアリティと向かい合うことから逃げたのだ。~中略、“世界の歪み”は我々の世界に歴然と存在している。

 『ガンダム00』は、そういった“世界の歪み”というリアルなテーマを作品の主軸に据えながら、イノベイター(イノベイド)やヴェーダという全くリアリティのない設定を持ち出して、それが“世界の歪み”の根本原因であるとする描き方をした。
 これでは、戦争を描いたことにはならない。
 現実の世界では、イノベイター(イノベイド)やヴェーダなど存在しなくても、戦争が起こっているではないか。
 幾らフィクションであっても、核心となる部分において、ここまで現実から眼を逸らした(現実から逃げた)設定をしてしまっては、もはやそれは戦争ドラマではない。>
と仰っていますが

まともな、理解力があればOOがいう“世界の歪み”とはイノベーターでもヴェーダでもなく、“偏見を持ち相手を解ろうとせず自分の価値観に固執する”という人間の姿勢のことであると解ると思います。
また、その姿勢は、現実の戦争の原因である資源、領土、宗教等のあらゆる対立の根幹です。
あなたは、その実OOを全く理解していないと思います。
最後に長文になったことをお詫びいたします。

>ヒールホールドさん初めまして

 ここでは震電です。
  
>あなたは、ヒロインの扱い・視聴していて嫌でも目に付く矛盾点についてどう思っているのか知りたいです。

 このブログで既に書いた以上のことは特にありませんし、矛盾点も特に感じていません。飽く迄もファーストガンダムを基準にしていますので。

>OOがいう“世界の歪み”とはイノベーターでもヴェーダでもなく、“偏見を持ち相手を解ろうとせず自分の価値観に固執する”という人間の姿勢のことであると解ると思います。

 だったら尚更、「イノベーターやヴェーダという不要なものを登場させ、リソースを浪費したことで駄作となった残念な作品」と言えます。
 イノベーターもヴェーダも登場させずに作品を上手く描ききっていれば、“ガンダムが出てくる『ゴッドマーズ』”ではなく、『ガンダムSEED』と同じレベルの作品になれたかも知れません。

すみません、震電さん

成る程、ファーストガンダムを基準としているわけですね。
ですが、それではあなたが「ガンダムはファーストガンダムのような作風でないといけない」ということになります、あなたが書いたOOの修正案ははっきり言って“どこのファーストガンダムだ”と突っ込みたくなりますし、そんなのだったら自分で小説なり漫画なりで創作ガンダムをやればいいと思いました。

>だったら尚更、「イノベーターやヴェーダという不要なものを登場させ、リソースを浪費したことで駄作となった残念な作品」と言えます。

そもそも、リボンズ達イノベイドは人類に協力しともによき世界を作る目的でイオリアに作られた存在で、ティエリアもそう自身をアイデンティファイしています。
ですが彼ら自身はまた人間でもあったため、能力的に劣る人類を見下し始めたということです。
世界に革命を起こし得る巨大な力と資質の使い方を誤ったリボンズ達が不要な要素というのは納得がいかないことです。
それに量子コンピューターというのは、実用化に向けて現在研究されているものですよ。

最後に、あなたはアマゾンのレビューで間違いを犯しています。
面倒なので具体的には言いませんが、あなたのレビューには“ガンダムは男だけの者”“イケメンぞろいのキャラ設定は女性に媚びているOOは駄作”という考えを感じさせる趣旨のものがありました。
あなたが、ガンダムという娯楽作品にどう思うかは勝手です。

しかし、女性をなんだと思っているんですか?
こんな公の場で、ガンダム好きの女の人やOOが好きな人(特に女性)が不快に思うことを書くなんてどういう神経をしているのですか?

自分のガンダム好きな女友達や、大学の彼女があなたのレビューを読んだらどんな気持ちになるだろうと考えただけでショックなレビューでした。

 ファーストガンダムや『ガンダムAGE』を普通に楽しめる人なら、老若男女を問わず、共感できると思います。

 なお、kaoruさんのコメントを2件承認しましたが、今後新しい知見を含まないコメントは他の方を含め、承認せず削除しますので悪しからずご了承下さい。

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。