2017-04

『機動戦士ガンダムAGE』第43話から第46話の感想(その1)

『機動戦士ガンダムAGE』第43話から第46話の感想(その1)

 第43話『壮絶 トリプルガンダム』

 ファーストガンダムにおける“ニュータイプ”シャリア・ブルと同様、“Xラウンダー”ジラード・スプリガンも、短い話数で姿を消した。今回は、
・3機のガンダムが揃い踏みとなったモビルスーツ戦
・大量破壊兵器を使用するか否かを迫られるルナベース攻防戦
・ジラード・スプリガンのドラマ
の3つが盛り込まれた回だったが、やはりメインはジラード・スプリガンだった。

 全体的には、シャナルワ編とも言うべき第32話『裏切り者』の延長線上にある流れだった。今回もまた、砂を噛むような現実を淡々と描写し続けた一遍であったと言える。
 今、大きな因果を抱えている人間に、キオの“青臭い理想論”が全く届かないという現実。
 最愛の人を奪われた深い哀しみと憎しみ、そしてそこから生まれた復讐心で埋め尽くされたスプリガンに対しては、キオの想いは本当に何一つ届かないのだ。
 何も届かないところには、何のドラマも生まれない。ただ、殺すか殺されるかという現実があるだけだ。

 その一方で、スプリガンとゼハートの間には、意外なドラマが生まれていた。
 イゼルカントの掲げる理想「エデン」を実現させるという信念と覚悟を持つゼハート。
 「敵の敵は味方」という単純な理屈でヴェイガン側へと寝返ったスプリガン。
 両者の間には一見何の共通点もないと思っていたのだが、実は「Xラウンダーの能力制御実験の対象者」という同じ属性を背負っていた。自分の能力を全開にすれば、自分自身でも制御出来ない暴走状態に陥る危険と、常に背中合わせで戦ってきたのだ。

 ゼハートは、そんな“同属”であるスプリガンに配慮し、一時は戦線離脱を命令するが、状況がそれを許さない。そして遂に、ゼハートが危惧していた能力の暴走が、スプリガンの身に起きてしまう。
 Xラウンダー能力が暴走して自我すら失いかけ、敵味方からビットやファンネルを奪って無差別攻撃を行うスプリガンは「人類の革新」でも「進化した人類」でもなく、「戦争が生んだ悲しい奇形」であった。

 そんなスプリガンの魂を、キオは一切片も救うことが出来なかった。
 スプリガンの魂を、僅かでも救うことが出来たのは、ゼハートだった。
「…お前は自分の信じた正義に殉じて戦い抜いた。私はお前のことを戦士として認める」
 例えそれが、私の信じている正義とは違う正義であったとしても。
 ゼハートは、この点に関してスプリガンに共感を抱いていたからこそ、最期の最期でスプリガンの魂を僅かでも救うことが出来たのだ。

 しかし本当に大切なのは、死にゆく戦士の魂を救うことではない。
 生きている人間を、生きた人間として救うことだ。
 それを今回、アルグレアスとセリックはギリギリの局面で実行した。
 キオも、それをやろうとして今、もがいている。少年であるにも関わらず、自分の立場と能力に自覚を持ち、もがき苦しんでいる。
 果たしてキオは、ガンダムは、真の救世主になれるのか。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。