2017-04

『機動戦士ガンダムAGE』ブルーレイ(DVD)ディスク第8巻の感想

『機動戦士ガンダムAGE』ブルーレイ(DVD)ディスク第8巻の感想

フリットは「丁寧に描写されたパトリック・ザラ」か、「孫と一緒に戦い続ける兜十蔵」か?

 今まで1話ごとにupしていた感想を、某所のレビュー用にまとめてみる。
 ついでに、このレビュー用記事を書いた人、即ち私の画像もup。
ガンダムAGE感想記事用画像_2
 前回3パターンまとめて撮ったやつの2パターン目。次回のまとめ記事では『AGE』と『ΖΖ』になるのは決定事項。次々回のまとめ記事では、フリット(アセム編)のコスプレ姿を披露できるかも? あーでも、コスプレとなるとメイクもしなければならないので面倒だから、“着ただけ”にしようかな。


 第27話『赤い夕陽を見た』

 ヴェイガンの狙いは、地球連邦の最重要生産拠点であるコロニー「ノートラム」を無傷で住民もろとも制圧することにあった。更にその後、移動要塞を強制結合させ、ノートラムを地球侵略の前線基地と化すという豪胆な作戦だ。
 フリットの指揮する地球連邦軍は、切り札である新兵器「フォトンリング・レイ」でヴェイガンの移動要塞を攻撃するが、移動要塞は強力な干渉スクリーンを展開してこれを完全に防御する。ビーム兵器が通用しない移動要塞の中央突破を防ぐ手立てはあるのか?

 地球連邦とヴェイガンの攻防戦は、さながら「巨大な矛」と「巨大な盾」の対決だ。過去のガンダムシリーズで観られた、“両軍が大量破壊兵器を撃ち合う”といった展開とは異なっており、興味深かった。
 しかも攻防戦の末、移動要塞が地球へ落下し始めるという、地球連邦もヴェイガンも望んでいない結果を招く。このままでは両軍共に作戦は失敗、勝者のいない戦いになってしまう。

 事態を打開するため、フリットとゼハートは自分の命と引き換えに移動要塞を内部から爆破することを決心する。アセムのAGE-2はゼハートのゼイドラに導かれ、コロニーデストロイヤーを移動要塞奥深くのエネルギーコアまで運搬し、固定式の爆弾としてセット。しかしこれは本来の運用とは異なる使用方法であり、起爆装置を手動で作動させた後、脱出時間を確保することは出来ない。

 成すべき仕事をやり遂げ、死を覚悟…と言うより人生最期の時間を迎えて諦観した二人は、互いの心中を吐露し、語り合う。差し伸べた合った手と手が握られる直前、Xラウンダーの能力を解放させていたゼハートの脳裏に、イゼル・カントからの指示が届くのだった。

 移動要塞からの脱出に成功したアセムのAGE-2は、そのまま大気圏に突入して地球へ降下。フリット達の乗るディーヴァも、その後を追う。
 生きて地球へ降下した者もいる。
 宇宙で死んでいった者もいる。
 戦争に、完全なハッピーエンドなど有り得ない。
 そして、生き残って美しい夕陽に感動してもなお、
「この美しさを奪い合って、我々は戦争をしているのだ」
という現実は変わらない。裏を返せば、
「譲り合えば戦争などしなくても済む」
わけだが、小さな島すら譲り合えない国家に属する現実の私たちに、そんなツッコミなど出来るはずもないのだ。


 第28話『地球圏の動乱』

 軍のトップが反乱を起こして政治に介入し、粛清委員会を指揮して“反逆者”を一人残らず摘発した後、戦争の在り方までも変えてしまう。こんな壮絶な描写は、宇宙世紀ガンダムシリーズ(ファースト、『Ζ』、『ΖΖ』)でも、ファーストガンダムをベースにした『SEED』でも見られなかった。作品を観ていれば、ギレン・ザビやジャミトフ・ハイマン、パトリック・ザラも同じようなことをやったのだろうと読み取ることは出来るのだが、実際にここまで赤裸々な過程描写はされていなかった。

 また、ギレン・ザビやパトリック・ザラに関しては、今回のような生々しい描写がなかったことに加え、彼らの思想には「宇宙時代の選民思想」という虚構が含まれていたため、ここまで衝撃的ではなかった。しかし、フリット・アスノの思想は、単に「敵対する異民族の根絶」であり、今日の我々の現実社会にもそのまま当てはまってしまう。だから、フリットに対して特別な怖さを感じるのだ。

 また、今回のフリットを例えば「丁寧に描写されたパトリック・ザラ」だと思って割り切って見ようとしても、そうはいかない。何故なら、フリット編の彼が優しい少年であったことや、アセム編の彼が厳しいながらも良き父・良き夫であるということを既に知ってしまっているからだ。

 悪人の中の悪は、さほど怖くない。
 善人の中の悪こそ、怖いのだ。

 もちろん法的な見地からは、フリット中将という軍人の行為は全面的に正しく、悪とは言えないだろう。しかし、「戦争の終結はヴェイガン殲滅しか有り得ない」という彼の主張に関しては、そうは思えない。

 オルフェノア首相が、連行される際にフリットに向けて放った台詞は印象的である。
「私という交渉人を失ったら、ヴェイガンと連邦が歩み寄る日は永久に来なくなるぞ。地球を巡り、この戦争は、どちらかが完全に滅びるまで続くことになる」
 フリットに言わせれば、
「歩み寄ってはまた離れる、そんな交渉を繰り返していては、連邦もヴェイガンも永久に終わらない戦争を続けることになる」
といったところか。
 一体、どちらが正しいのか。
 そもそも、地球とは誰のものなのか。誰のものであるべきなのか。
 答えの見えないまま、物語はキオ編へと続いていく。


 第29話『じいちゃんのガンダム』

 キオ編の第1話は衝撃的だった。どう衝撃的だったかは、別のレビューで書いたのでここでは詳しくは触れないが、アセム編の第1話とは真逆な展開に本当に驚かされた。
 アセム編は『Ζガンダム』をベースにしている部分があり、『Ζ』の主人公であるカミーユ・ビダンが最終話で精神崩壊をきたして現実の世界からドロップアウトしていることから、アセムも最終話で除隊ぐらいはするのでは?という予想をしていたものの、まさか死亡者扱いになるとは…。

 ガンダムAGE-1ノーマルがファーストガンダムのRX-78にかなり似ており、ガンダムAGE-2ノーマルがΖガンダムをイメージさせたことから、ガンダムAGE-3ノーマルがΖΖガンダムを思い起こさせるモビルスーツとなっていることは、大方の視聴者が予想した通り。
 第1話から登場した点はΖΖガンダムと異なっているが、AGE-3はキオ編にしか登場しないのだから、もったいぶるわけにもいかないところだろう。

 重量感のあるプロポーションのAGE-3が、突進してくる重量級の敵モビルスーツをアッパー一撃で迎撃するシーンは迫力満点。そこからビームサーベル、更にはビームライフルと“ガンダムの代名詞的な武装”を次々に駆使する流れには観ていてテンションが上がった。
 巨大なバズーカ砲のようなライフルを、肩に担ぐのではなく、飽く迄もライフルとして腰溜めにして撃つAGE-3ノーマルの姿は非常にバランスが良く、絵になっている。AGE-2ノーマルの装飾系の立ち姿も非常にスタイリッシュだったが、AGE-3ノーマルも別の魅力があり、負けていない。

 祖父=フリットと孫=キオのやりとりを観ていて、妙にウキウキするので何故かなと思っていたら、これは『マジンガーZ』における兜十蔵と兜甲児のパターンではないか! そもそもフリットはガンダムの開発製造に携わっていたエンジニアだっただけに、こういったマッドサイエンティスト系の役所はしっくりくる。
 キオ編第1話に登場した瞬間のフリットは飄々とした好々爺といった感じだったのだが、戦闘が進むにしたがってアセム編のフリットのような厳しさを取り戻していき、第2話が終わる頃には、老人になってもヴェイガンを殲滅するという意思が全く変わっていないことが明らかになった。

 そのフリットから、キオは「ヴェイガン殲滅すべし」との教えを受け入れる。キオが“戦争を終わらせる世代”であるならば、アセム以上にヴェイガンとの交流を持つ必要があると思うのだが、残る20話程度の物語の中で、一体どんなドラマが展開されるのだろうか…


 第30話『戦場になる街』

 キオが操縦するAGE-3は、初陣ながらヴェイガンのモビルスーツを次々に撃破していったが、ゼハートの駆るギラーガ相手では、さすがに防戦一方となる。状況を打開するため、フリットはディーヴァを出すようオリバーノーツの基地に連絡する。
 フリットの元部下であったアルグレアス提督の計らいによってディーヴァは出撃することになるが、非常事態下であったこともあり、ブリッジのクルーは艦長も含めて問題のある者ばかりを寄せ集めた集団となっていた…

 戦力外の老朽艦扱いされているディーヴァが、寄せ集め集団によって戦線に復帰するという、ある意味“緩い”展開。これは、『ΖΖ』のアーガマが、盗みも厭わないジャンク屋集団であるジュドー達をクルーにしてしまう展開を思い起こさせる。軍属のようには見えないキオが、ガンダムのパイロットとしてディーヴァに乗り込んでも、何となく許せてしまう雰囲気があるのだ。
 もっとも、「非常事態下、民間人がガンダムのパイロットになってしまう」という始まり方は、ファーストガンダムやそれをベースにした『SEED』でも使われているパターンであり、ガンダムシリーズの定石とも言える。

 ナトーラが全くのダメ艦長として始まった点は上手いと思う。これによって、既に軍人ではなくなっているフリットが司令官のように振る舞うことが通ってしまい、当面は話をスムーズに進められるからだ。また、今後ナトーラが艦長として成長することで、フリットと対立するドラマも期待できる。
 キオ編は、ガンダムを授かった少年パイロットと、ガンダムの母艦を任された若きダメ艦長が戦いの中で共に成長し、フリットという大きな存在をそれぞれが別々に越えて行く、二重の意味での世代交代物語という面もあるのかも知れない。

 オリバーノーツでの戦闘が終わり、ディーヴァに収容されたAGE-3。その全身が細かい傷だらけとなっている(ビームライフルを把持していた右腕は特に酷い)絵は、激戦を無言で語っており、非常に効果的だった。ほんの4枚程度の止まった絵であっても、こうした説得力のある映像は、物語の空気を引き締めるのだ。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。