2017-04

『機動戦士ガンダムAGE』第27話から第30話の感想(その2)

『機動戦士ガンダムAGE』第27話から第30話の感想(その2)

 第28話『地球圏の動乱』

 軍のトップが反乱を起こして政治に介入し、粛清委員会を指揮して“反逆者”を一人残らず摘発した後、戦争の在り方を変えてしまう。こんな壮絶な描写は、宇宙世紀ガンダムシリーズ(ファースト、『Ζ』、『ΖΖ』)でも、ファーストガンダムをベースにした『SEED』でも見られなかった。作品を観ていれば、ギレン・ザビやジャミトフ・ハイマン、パトリック・ザラも同じようなことをやったのだろうと読み取ることは出来るのだが、実際にここまで赤裸々な過程描写はされていなかった。

 また、ギレン・ザビやパトリック・ザラに関しては、今回のような生々しい描写がなかったことに加え、彼らの思想には「宇宙時代の選民思想」という虚構が含まれていたため、ここまで衝撃的ではなかった。しかし、フリット・アスノの思想は、単に「敵対する異民族の根絶」であり、今日の我々の現実社会にもそのまま当てはまってしまう。だから、フリットに対して特別な怖さを感じるのだ。

 また、今回のフリットを例えば「丁寧に描写されたパトリック・ザラ」だと思って割り切って見ようとしても、そうはいかない。何故なら、フリット編の彼が優しい少年であったことや、アセム編の彼が厳しいながらも良き父・良き夫であるということを既に知ってしまっているからだ。

 悪人の中の悪は、さほど怖くない。
 善人の中の悪こそ、怖いのだ。

 もちろん法的な見地からは、フリット中将という軍人の行為は全面的に正しく、悪とは言えないだろう。しかし、「戦争の終結はヴェイガン殲滅しか有り得ない」という彼の主張に関しては、そうは思えない。

 オルフェノア首相が、連行される際にフリットに向けて放った台詞は印象的である。
「私という交渉人を失ったら、ヴェイガンと連邦が歩み寄る日は永久に来なくなるぞ。地球を巡り、この戦争は、どちらかが完全に滅びるまで続くことになる」
 フリットに言わせれば、
「歩み寄ってはまた離れる、そんな交渉を繰り返していては、連邦もヴェイガンも永久に終わらない戦争を続けることになる」
といったところか。
 一体、どちらが正しいのか。
 そもそも、地球とは誰のものなのか。誰のものであるべきなのか。
 答えの見えないまま、物語はキオ編へと続いていく。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。