2017-08

『機動戦士ガンダムAGE』ブルーレイ(DVD)第6巻の感想

『機動戦士ガンダムAGE』ブルーレイ(DVD)第6巻の感想

 某所のレビュー用に、まとめてみる。

コクピット越しの激論が世代を超えて立体交差する! これぞ『ガンダムAGE』の醍醐味だ!!

 第19話『アセムの旅立ち』

 アセム編の第4話にして、フリット編に登場していたキャラクター“第2陣”が一気に再登場。ちなみに、新オープニングを観てウルフがオッサンになって再登場することは承知していたのだが、ディーバの艦長がミレースであることには確信が持てていなかった。
 フリット編で24歳だったミレースは、もう50歳になっている。23才だったウルフも49歳。二人とも私より年上になった。
 フリットはまだ40歳だから私より年下である。しかし、ガンプラ世代の若年層は、ファーストガンダム本放送リアルタイム視聴世代よりも数歳から十歳程度若い。そういった視聴者の中には、フリットにすら年齢を追い越された人もいる筈だ。「子供キャラに、一気に年齢を追い越される」というのは複雑な気分だろうと想像する。

 もっとも、今回のメインはフリット編キャラクターの“第2陣”再登場ではなく、アセムとガンダムAGE-2の初陣。
 ガンダムAGE-2の初登場が飛行機形態であるのは、『Ζガンダム』におけるΖガンダムの初登場を踏襲したものだ。ただし、その活躍は華々しく、より効果的になっている。アセムはやや暴走気味ながらもガンダムAGE-2を駆って大きな戦果を挙げ、初陣では非凡なところをみせた。
 
 一方、ゼハートは司令官に任命され、立場としてはフリットと同じになった。これでゼハートはパイロットとしてはアセムと対立し、司令官としてはフリットと対立するという、アスノ家に対して二重に対立するポジションに身を置くことになったわけだ。
 また、アセムはフリットに追いつき追い越すことを目標(宿命)にしているので、その意味ではアセムとフリットは宿命のライバル関係にあるとも言える。つまり、ゼハート、フリット、アセムの3人で、ライバルとしての三角関係を構成するのだ。
 『ガンダムAGE』は、フリット編で対立を上手く描いていた。アセム編でも引き続きそういった面に期待が持てそうである。


 第20話『赤いモビルスーツ』

 先ず、意表を突かれたのはデシルの再登場。しかも、ゼハートの兄として。
 ゼハートが「ゼハート・ガレット」と名乗っていることには気付いていたが、何しろ、デシルとは髪の色が全然違う。『ガンダムAGE』では髪の色が血縁を示す記号となっているので、ゼハートはガレット姓であってもデシルとは赤の他人(ガレット姓は、地球圏潜入員のコードネームのようなもの?)だと思っていた
 また、デシルが7歳のときの性格のままでオッサンになっていたことにも驚かされた。第14話でフリットに完敗を喫したことで、デシルはトラウマを抱えるとか良心に目覚めるとかして大きく性格が変わった形で再登場を果たすと私は予想していたのだ。それがまさか、歳を取った以外は何も変わっていないとは…。

 デシルはゼハートと対立関係にある上、フリットとは因縁の間柄である。また、アセムとも対立する可能性が高い。
 つまり、フリットとゼハートの“司令官としての対立”の構図に、デシルは「フリットに対しては敵として対立する立場」で割り込み、「ゼハートに対しては同胞(兄弟)として対立する立場」で割り込むことになる。アセムとゼハートの“パイロットとしての対立”の構図に対しても同様だ。デシルもまた、アスノ家に対して二重に(親子2代に渡って)対立するポジションに立つことになる。

 また、フリットとアセムの親子も一種の対立関係(アセム視点でのライバル関係)にある。
 ファーストガンダムにおけるアムロとランバ・ラルは、「親子ほどの年齢差があるライバル関係」であった。フリットがヒゲを蓄えていることから、アセムとフリットの関係が、アムロとランバ・ラルの関係とどこか重なって見えるのも楽しい。
 この回は、ファーストガンダムでも良く登場した食事シーンが描かれていたり、ミレースとウルフの小さな対立から二人の訳有りな過去が垣間見えたりして、内容が濃かった。これぞ“ガンダム”だ。


 第21話『立ちはだかる幻影』

 冒頭、戦闘訓練シーンでダミー(バルーン)が登場。フリット編では登場しなかったダミーがアセム編で登場するという点では、ファーストガンダムと『Ζガンダム』の関係と同じである。

 今回はマッドーナ工房が再登場し、そこの2代目も登場した。
 偉大な父を持つマッドーナ工房2代目は、職業こそ違えアセムと同じ境遇にある。しかし彼は、「父を越えることは出来なくても、自分なりに出来ることを追求する」という人生観に開眼していた。その彼が造り上げたシミュレータによって、フリットが自分の父と仮想対戦するという図式は面白い。マッドーナの息子の“成果”に乗り込んで、フリットの息子が“成果”を得ようと模索するのだ。

 親子関係が縦の繋がりだとすれば、親同士、子供同士の繋がりは横の繋がりである。
 『ガンダムAGE』は当初、「アスノ家3世代の物語」という縦の世界観が強調されていたが、世代ごとの横の繋がりが生み出す世界もあるのだ。そしてそれは、必ずしも明るい世界ばかりではない点にも注目しなければならない。

 ロマリーは、アセムが戦場でゼハートと再会したことに対して
「いいなぁ…」
と羨ましそうに呟いた。そんなロマリーを見て、アセムは愕然とする。
 ロマリーは、フリットとユリンの悲劇を知らない。おそらく、アセムも知らない。それでもアセムはロマリーの反応を目の前にして言葉を失った。
 果たして、悲劇は繰り返されるのか? 髪の色を見る限り、キオ・アスノの母親はロマリーであるように思えるのだが。


 第22話『ビッグリング絶対防衛戦』

 先ず興味深かったのが、ヴェイガンの最高指導者であるイゼル・カントがXラウンダーであるという描写がなされたことと、彼自身のXラウンダーに関する評価である。イゼル・カントは自分自身がXラウンダーであるにも関わらず、「人類の進化ではなく、むしろ退化である」とゼハートに語ったという。
 これは見様によっては、レビル将軍が「ニュータイプとは、戦争などしなくて済む人間のことだ」と戦場におけるニュータイプを否定したことに符合する。シャアもララァに対し「ニュータイプは、戦争が生んだ悲しい奇形かも知れんのだ」と自己否定的な可能性を吐露している。

 戦闘シーンは圧巻だった。
 これまで配置してきたキャラクター陣が、幾重にも重なる対立の構図としてダイナミックに開花した。
 司令官としてのゼハートとフリットの対立。
 パイロットとしてのゼハートとアセムの対立。
 フリットとデシルの因縁の対立。
 アセムとゼハート、フリットとデシルという2世代ライバルが、同じ戦場でパイロットとして交錯する。当然、アセムとデシル、フリットとゼハートとの間でも交戦状態となる。
 そこでは物理的な戦いが展開されるだけではなく、コクピット越しの激論が世代を超えて立体交差するのだ!
 これぞ“ガンダム”の、いや『ガンダムAGE』の醍醐味である。

 更に、戦闘が終了した後には、フリットとアセムの間で親子の対立が待っていた。
 ゼハートという友達との対立。
 フリットという父親との対立。
 対立と対立の狭間で、自分を見失いそうになるアセム。

 しかし、葛藤し、苦悩しているのはゼハートも同様だ。
 アセムという友達との対立。
 デシルという兄との対立。
 そして、フリットという司令官との対立。

 “フリットとの対立”では、アセムとゼハートが相対的な意味で同じ側に立っていることも見逃せない。それは、戦争を始めた大人達と、生まれる前から戦争が始まっていた(生まれたときから戦争を押し付けられた)青年達との世代対立という構図でもあるからだ。
 こういった男達のドラマに、ヒロインであろうロマリーが、いつ、どう絡んでくるかも注目である。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。