2017-07

『ガンダムAGE』が賛否両論なのはいいけど、けなしている人は一体何のガンダムと比較しているのだろうか?(その2)

『ガンダムAGE』が賛否両論なのはいいけど、けなしている人は一体何のガンダムと比較しているのだろうか?(その2)

 『ガンダムAGE』はファーストガンダムの正当な後継者である。
 主人公のフリットは、ガンダム技師を親に持ち、彼自身もまた少年エンジニアである。
 ガンダムは、他のモビルスーツとは一線を画す性能を誇る特別な機体であり、ただ1機のみが稼動状態にあった。
 主人公のフリットは、エンジニアであってパイロットではなかった。それでも彼は、UE襲撃の最中、自分の意思でガンダムに乗り込み、敵モビルスーツタイプを撃退する。そのときから、彼はガンダムのパイロットとなったのだった…

 前記事( → こちら)に書いた通り、
「ねじれ崩壊を始めたスペースコロニーからの脱出」
を描いた第1話から第3話は、『ガンダム』という名を冠する作品に相応しい、SFアニメの真骨頂を観せてくれた。正に“進化した『ガンダム』”として、世界に誇れるクオリティだ。

 『ガンダムAGE』とファーストガンダムには多くの共通点があるが、『AGE』はファーストの焼き直しではない。例えば、その世界。ファーストが戦中の世界を描いたことに対し、『AGE』は戦後の世界が基本となっている。
 『AGE』の世界では、戦後の世界に、テロにも似た“UEの襲撃”が始まったところであり、これは現在の私たちのリアル世界(東西冷戦構造はピーク時とは比較にならないほど弱まったが、テロの脅威は劇的に強まった)とほぼ同じ構図である。その世界観が、低年齢層にもフレンドリーな作風で描かれており、ファーストガンダムのリアルタイム世代から現時点での低年齢層まで、幅広い世代に受け入れられる作品となっている。

 しかし、どんな作品でも貶す人はいるわけで、その大半はファーストガンダムを観たことがない人なんだろうと思うのだが、まぁその辺りは正直どうでもいいし興味も無い。
「親の顔が見てみたいわ!」
とか言っても、実際に見るつもりなどないのと同じである。ただ、『ガンダムAGE』を楽しめない人達の背景をアレコレ考えるのが面白いのだ。例えば、
『ガンダムAGE』をけなしている人って、『イナズマイレブンGO』も『ダンボール戦機』も観ていないのでは?
…とか。
 つまり、『ガンダムAGE』を貶している人は、普通のアニメファン(アニメが全般的に好きな人)でもなければ、ロボットアニメファンでもない、と思うのだ。

 “ロボットアニメ好き”だったら『ダンボール戦機』は観ているだろう。“ロボットアニメファン”だったら、観ていなけりゃモグリだ。何しろ地上波のゴールデンタイムで放送しているのだから。私はアニメ誌とか全くと言って良いほどチェックしないのだが、『ダンボール戦機』の存在には何かで気付いて、第1話から観ている。

 『ダンボール戦機』を観れば、前番組の『イナズマイレブンGO』の存在にもすぐ気付くだろう。普通にアニメ好きだったら『イナズマイレブン』というサッカーアニメがあることは当然知っている筈だし、それを観たことが無い人でも「ふーん、今は“GO”が付いているのか」とか思って、ちょっと観てみたりするだろう。何しろアニメがゴールデンタイムで2作品連続放送されているなんて、アニメファンにとっては嬉しいことだから。

 私は『イナイレGO』を、さぁや(北原沙弥香)目当てで観始めたから、アニメファンとしては外道なんだけどね。…そう言えば、『ダン戦』も、ひぃちゃん(稲森寿世)が主題歌を歌っているから存在に気付いたような気がする。あらヤダ、本当に外道だわ。

 ま、とにかくキッカケは何であれ、『イナズマイレブンGO』や『ダンボール戦機』を観ていれば、『ガンダムAGE』も普通に受け入れられる可能性が高くなると思う。
 観れば分かるけれど、『イナズマイレブンGO』・『ダンボール戦機』・『ガンダムAGE』は、同じようなタイプの作品なのだ。絵柄も作風も主人公の年齢も似通っているし、マーチャンダイジングも同じ(特に同じロボットアニメである『ダン戦』と『AGE』は、“機体のカスタマイズ”がセールスポイントになっているところまで共通している)。そういう観点では『ポケモン』もそうだろうし、言うなればこれが今のアニメのスタイルなのだ。

 しかし、この「現代のアニメとしてモダンなスタイル」は、『ガンダム』シリーズにあっては実は珍しかったりする。前作のTVシリーズである『ガンダム00』も、2期分割方式であった点を除けばマーチャンダイジングは古典的であった。TVシリーズ以外で現在展開中である『ガンダムUC』も、マルチメディアで時間差展開するという点を除けば、やはり同様に古典的なシステムで商業化されている。
 『ガンダムAGE』は、『ガンダム』シリーズ始まって以来、初めて今風のスタイルで作られている作品なのだ。見方によっては、
「『ガンダム』シリーズが、今風のスタイルに染まってしまった」
とも言えるし、
「『ガンダム』シリーズが、漸く他の現代アニメのスタイルに追いついた」
とも言える。

 私は、『ガンダムAGE』が今風のマーチャンダイジングを前提に作られたことは、当然だと思う。そもそも、ファーストガンダムはガンプラという革命的なマーチャンダイジングを導入することで商業的に大きな成功を成し遂げたのだ(若い人のために補足すると、放送が終了したロボットアニメのプラモデルを新たに売り出すなんて、当時の業界ではまず有り得ない事だった)。
 今、遅れ馳せながら『ガンダム』シリーズが今風のシステムを取り入れた。歴史を振り返ると皮肉な感じもするが、現状の玩具文化を目の当たりにすれば当然であり必然であろう。

 『ガンダム』シリーズより歴史の古い『仮面ライダー』シリーズでさえ、『ディケイド』以降はモダンなスタイルを導入しているのだ。これも先程と同様、
「仮面ライダーが新しい玩具システムに取り込まれた」
と否定的に捉えるか、
「特撮ヒーローがシリーズを存続させるための新しい収入システムを獲得した」
と肯定的に捉えるかは、人に拠る。

 そうした意味で、『ガンダムAGE』はガンダムシリーズにおける一つの実験作とも言えるだろう。
 思い起こせば、ファーストガンダムも実験作…アニメ新世紀のための実験作とも言える作品であった。
 実験とは挑戦である。「ねじれ崩壊を始めたスペースコロニーからの脱出劇」を描くことが出来たのは、そんな挑戦者の意識があってこそなのかも知れない。

 さて、次の記事ではウェア換装等について語ってみたい。
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コメント

イナズマイレブンやダンボール戦機の視聴者にも、AGEは批判されてます

先のコメントにも書きましたが、僕が見る限り(僕自身もそうですが)、イナズマイレブンやダンボール戦機の視聴者にも、AGEは批判されまくってます。

多く見られる批判は、「あれらの作品みたいに荒唐無稽に思いっきればいいのに、変に定番ガンダムを意識しているのが問題」
あと繰り返し言いますが、登場人物やメカ、アクションに、これら二作と比べてあまりに魅力がなさ過ぎるのも、指摘されてます。

『仮面ライダー響鬼』に対する批判が思い出されます

 『仮面ライダー響鬼』でも、プロデューサー更迭に絡んで、ブログ等で批判が起きました。しかし、番組の視聴率は下がるどころかむしろ上昇しました。(私もこのブログでそのことを記事にしています)

>多く見られる批判は、「あれらの作品みたいに荒唐無稽に思いっきればいいのに、変に定番ガンダムを意識しているのが問題」

 単細胞振りに呆れるばかりです。
 
「サッカーは手を使ってはいけないというルールだからつまらない。バスケみたいに手を使ってドリブルしてシュートしても良いというルールに変えるべきだ」
と言っているのと同レベルです。(ラグビーやハンドボールのコンセプトがサッカーに劣っているという意味ではありません、念のため)

「意図はわかる。でも、実践があまりに下手だ」と批判されているのですが

 いえ、少なくとも僕や僕の周囲でよく見るような人たちは、あなたが一連のブログ記事で書かれていることはとっくに承知していて、「意図はわかる。でも、実践があまりに下手だ」と批判しているのですが。

 というか、「ダンボールやイナズマを見ている人たち」「普通のアニメファン」からもAGEが批判されているということを説明したら、それも否定したくて別の理由をひねり出したかのような返答を返すのは、いかがなものでしょうか。

意図が分かっていないだけではないかと

>別の理由をひねり出したかのような返答を返すのは、いかがなものでしょうか。

 私には、「単に意図が分かっていないだけ」ではないかと思えます。

 飽く迄も私の想像ですので、気にしないで下さい。
 本文に書いた通り、実際にどうなのかは、私も興味がありませんので。

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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。