2017-08

西岡利晃 VS ラファエル・マルケス “ラスベガス世界戦”の感想

西岡利晃 VS ラファエル・マルケス “ラスベガス世界戦”の感想

 “西岡 VS ラファエル”ラスベガス世界戦は、チャンピオン西岡が明確な判定勝ちを収めた。
 試合の展開は、大体『いちおう日記』で想像した通りだったが、予想外だったのは、ラファエル陣営が西岡のボディブロー(左ストレート)や、ダッキングに対してアッパーを合わせて来なかったことだ。
 ラファエルの勝つパターンは、フックを警戒させて(意識させて)おいて、ダッキングした西岡にアッパーを合わせるという戦法だと思っていた。そもそも、西岡は攻守において姿勢を低くすることが比較的多いボクサーなのだから、そこへアッパーを突き上げるという攻めは、リスクを伴うものの一つのセオリーである。

 もっとも、勝負を分けたのは、ラスベガスと言う“ジャブが過大に評価される”舞台だったのかも知れない。
 西岡は、左ストレートを主武器にするストレートパンチャーで、ボクサー寄りのボクサーファイター。
 ラファエルは、フックを主武器にしており、ストレートパンチャーではない。ボクサーファイターではあるが、ファイター寄りだ。
 本来のファイトスタイルで、どちらがラスベガスという戦場に向いているのかは言うまでもない。

 しかし序盤、その“過大に評価される”ジャブの差し合いで、ラファエルは優位に立った。ただし、それと引き換えに、ラファエルは左フックを全く使うことが出来なかった。実際には両者とも前腕(前に出している腕)のフックを6回まで1発も出していないのだが、西岡は元々ストレートパンチャーである。
 確かに序盤、西岡はラファエルの左ジャブを浴び、自分の左ストレートは届かないという苦しい展開だった。しかし裏を返せば、西岡は主武器である左ストレートを序盤から使うことは出来ていたのだ。

 「全く出せない」のと「出しているが当たらない」では、後々大きな差が出る。
 「全く出せない」のでは「いつまでたっても当たることはない」が、「出しているが当たらない」のなら「出しているうちに当たるようになる」からだ。

 ジャブを当てていれば、ポイントが来る。
 ジャブとは言え、当て続けていればダメージが蓄積する。
 実際にクリチコ兄弟は、ラスベガス以外の舞台でも、その戦術で勝っている。
 しかし、本来フックを主武器にするラファエルが、試合の半分を消費するに相応しい戦術だったのだろうか。

 勝負を分けたのは、序盤を過ぎた4、5ラウンドだったと思う。この辺りでラファエルが左フックの封印を解いていれば、6ラウンドで西岡の左ストレートが有効に機能するようにはならなかったのではないか。7ラウンド以降、ラファエルが左フックのタイミングやポジショニングを調整しきれないまま終わってしまうことは無かったのではないか。

 本来のマルケスだったら、試合の序盤から、ボディへ左ストレートを伸ばしてくる西岡を、アッパーで豪快に迎え打っていた筈である。それが仮に当たらなくても、一定の抑止力として機能し、試合を有利に進めてしまう。「力任せのボクシング」ではなく、「力を上手く使ったボクシング」である。
 そういうマルケスを観ることが出来なかったのは残念だが、西岡がそうさせなかったという意味では素晴らしかった。ジョニー・ゴンザレスを1発でKOした左ストレートが、ラファエル・マルケスに戦法の変更を余儀なくさせたのだ。

 日本人のチャンピオンが、世界的なスター選手に勝つ姿を、私はリアルタイムで初めて観た。
 ありがとう、そしておめでとう。
 日本の、そして真の意味での世界のチャンピオン、西岡利晃!
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。