2017-10

『Dr.パルナサスの鏡』

『Dr.パルナサスの鏡』
    2010年の映画館で観た映画:2本目
    映画を観た日:2010年2月6日(土)

 テリー・ギリアム監督の名前を見て『未来世紀ブラジル』を思い出し、前売券を買った。
 映画館を出てから開いたパンフレットには、
“『12モンキーズ』『ブラザーズ・グリム』の鬼才テリー・ギリアム”
と書いてあったので驚いた。『ブラザーズ・グリム』はWOWOWで観たことがあるが、あんな「普通っぽい」映画をテリー・ギリアムが撮っていたとは。

 トニーを演ずる役者が劇中で何度も替わるのを見て、「ああ、この手法もハリウッドに先にやられちゃったな」と思った。私は日本でかつて所謂トレンディドラマが流行した時期に、「“人気俳優の順列組み合わせ”ごとに作品を作るのではなく、一つの作品の中で“人気俳優の順列組み合わせ”を見せるべきだ」と考えていたからだ。
 つまり、ドラマの1話ないし数話ごとに、主人公とヒロインそしてライバルの役者を替え続けるのだ(脇役達は替えない)。服とか帽子とか喋り方とか、キャラとしての何らかの象徴だけ引き継げば、役者が替わっても同じキャラであることを視聴者が認識するのは難しくない。それくらいの工夫はあって然るべきではないか、と。

 映画を観終わって、パンフレットを開くまでは、テリー・ギリアム監督が積極的にそういう手法を採ったとばかり思っていた。しかし実際には、撮影半ばでトニー役のヒース・レジャーが急逝したことによる苦肉の策であったのだ。
 となると、この映画は一体何だったのだろう? 私の中で作品に対する焦点が突然ぼやけてしまい、戸惑った。

 時間の流れから切り離されたような、場末感漂う移動式芝居小屋。そこに住む場違いなほど美しい女性。そして鏡の中の真実と、そこにおける二者択一という最も単純な選択。
 絶対に有り得そうもない筈なのに、不思議なリアリティがあった。
 騙されたいと人がそう願ったときこそが、実は最も真実に迫った瞬間なのかもしれない。
 私は鏡の中で何を観て、何を選択するのだろうか。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。