2017-08

原作のイメージを壊すコスプレは犯罪か?(その4) ~ 「完コス」という名の「自己満足」 ~

原作のイメージを壊すコスプレは犯罪か?(その4)
           ~ 「完コス」という名の「自己満足」 ~

 この記事は、『原作のイメージを壊すコスプレは犯罪か?(その3) ~ “着ただけ”でも、「コスプレは自己満足」だからOKなのか? ~』の続きである。

 普通に考えたら、「完コス」と「自己満足コス」は対立概念である。
 しかし、完コスの定義によっては、「完コス」と「自己満足コス」は同義に成り得る。この激しい矛盾もまた、今日のコスプレの特徴である。

 例えば、厚底ブーツ。

 原作のキャラは身長175cm。ブーツを履いているが、それは決して厚底などではない場合。
 身長160cmのレイヤーは、15cm(+α)の厚底ブーツを履いてそのキャラのコスすることで、完コスを達成できるのか?
 答えは否である。当たり前だが、「厚底ブーツを履いていないキャラを、厚底ブーツを履いて表現した」という時点で、既に完璧ではない(ただし、外見上、厚底を履いていることが全く分からない場合は除く)。

 では、身長160cmのレイヤーが、普通のブーツを履いて、身長175cm+αを再現できない状態でそのキャラのコスをした場合、完コスだと言えるのか?
 これも、答えは否。身長160cmは、身長175cmと比べると明らかに小さい。実際にパッと見れば、「あ、小さい」ということはすぐに分かる。

 となると、15cm(+α)のシークレットブーツ(外見上は普通のブーツだが、内部がハイヒール構造になっている)を履くしかないのだが、そうしたところで完コスには成り得ない場合がほとんどだ。何故なら、身長160cmと身長175cmの人間の間には、骨格自体のサイズ差があるからだ。
 15cm(+α)のシークレットブーツを履いて身長を175cmレベル合わせたところで、上半身の大きさが175cmレベルに膨らむわけではない。人一倍顔が大きいとか、肩幅が広いという人でない限り、シークレットブーツを履いて身長を合わせても完コスにはならないのだ。

 ただし、男女ペアのコスで、男性がシークレットブーツを履いている場合は、この限りではない。平均的な男女であれば、身長が同じであっても男性の方が上半身が逞しい。女性がハイヒールを履いた分を、男性がシークレットブーツで相殺するといったケースなら、男女ペアで並んでいる限りは不自然に映らないだろう。この場合は、シークレットブーツを履いて身長差を調整していても、完コスが有り得る(厳密には「完コスであると見せかけることが出来る」と言うべきか)。

 上記のように、(僅かな例外を除けば)キャラよりも15cmも身長が低かったら、もうその時点で完コスなど有り得ない。
 こう考えるのなら、「完コス」と「自己満足コス」は対立概念である。
 しかし、レイヤーの中には
「身長が足りなくても、厚底を履くことで完コスにすることが出来る」
あるいは、
「厚底で身長を合わせることが、完コスの条件」
と考えているように思える人もいる。

 これは、明らかに欺瞞である。
 完コスという概念を、自分にとって都合が良いように歪めている。
 なぜそんなことをするかと言えば、そうすることで自分が満足できるからである。
 これは要するに、自己満足である。
 完コスという名前を付けただけの、単なる自己満足である。

 この「完コスと称した自己満足」のパターンは、厚底ブーツの使用だけに留まらない。
 そもそも、女装レイヤーによる男装コスの多くは、完コスなど基本的に達成不可能であろう。第二次性徴が現れた後の女性が、完全に「男性に見える」など、余程“素質”に恵まれていなければ有り得ないではないか。これはもちろん、男性レイヤーによる女装コスに関しても、同様のことが言える。

 私は、特殊な例外を除き、男装コスや女装コスにおける完コスは存在しないと思う。
 言い方を変えれば、特殊な例外を除き、男装コスや女装コスは自己満足の域を出ない。
 そこに、完コスという言葉を持ち込むのなら、それは「完コスと称した自己満足」となる。

 あるいは、本当の「完コス」以外に、自己満足基準での「完コス」が存在し、その「完コス」同士が対立概念なのだと言うべきなのかも知れない。
 つまり、自己満足基準での「完コス」とは、「本当の完コス」を成し得ることができない「その他大勢のコスプレイヤー」という集団が共有している、共同幻想というわけだ。

 それこそが、コスプレという世界に存在する“矛盾”という特徴なのかも知れない。
 趣味の世界は多数あれど、こんな矛盾を抱えている世界は、コスプレぐらいしかないのでは…と思ってしまう。その辺に転がっている「ダブルスタンダード」と呼ばれる代物よりは、遥かに強烈な矛盾だろう。

 …というわけで、今回はこれまで。(その5)こそは、『原作のイメージを壊すコスプレは犯罪か?』の本題について語ってみたい。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。