2017-08

『仮面ライダー響鬼と七人の戦鬼』

『仮面ライダー響鬼と七人の戦鬼』
  2005年の映画館で観た映画:20本目
  映画を観た日:2005年9月3日(土)


 平成ライダーの劇場版に関しては、基本的には期待していない。
 『555』は未見だが、それ以外の劇場版を観た限りでは、例年「新フォームのお披露目」映画というコンセプトで製作されており、作品としての完成度は低いからだ。TVに先行して新フォームを登場させて子供を喜ばせると同時に、付き添いで劇場に来た親に「今度のボーナスは、この新フォームの玩具を買ってあげて下さい」とアピールしているという印象だ。
 今回もそのパターンを踏襲していると思っていたので、ある一点を除いて期待していなかった。その一点とは、
「変身時に衣類が失われるという設定のフォローの仕方」
である。
 戦国時代であれば、衣類は現代とは比較にならないほど貴重な筈だ。現代を舞台にしたTV版のように、変身の度にホイホイ燃やすというのは不自然である(TV版でも、高価そうなコートを脱ぎもせず焼失させているのには違和感があったが)。この点をどう処理するのかに、注目していた。
 もしかしたら、変身前にパッと衣類を一挙動で脱ぎ捨て、フンドシ一丁になるのではないか?
 相撲という競技はこの時代から存在していたし、戦いに望む男子が人前でフンドシ一丁になるのは、それほど不自然ではない。そもそも、力士はある意味神懸かった存在であり「四股を踏む」の「四股」は本来「醜」である。「四股を踏む」という動作にはその土地の邪気を払うという意味も込められているのだ。「四股名」も本来「醜名」であり、字の造りの通り、「鬼名」という意味に近い。
 TV版でも鬼の名前は力士の四股名に似たイメージがあるし、弟子の修行に相撲に類似した段位制が使われていることも明らかにされている。劇場版では、この鬼と相撲の関係をより明確にするのではないか? お母さん世代に対するサービスの意味も込めて、変身する前に「フンドシ一丁」となるシーンが描かれるのではないか?

               (以後、内容に関するネタばれあり)  そんな予想をしていたのだが、実際の映画では「変身時に衣類が失われるという設定」を完全に無視。これもまた予想の内ではあったのだが、正直ちょっとガッカリであった。

 これ以外の点でも、やはり例年の劇場版の通り「雑な造り」になっていた。
 まず、劇場版用の鬼が5人も登場するが、これ自体が雑。全員が音角で変身するという点で既に「ひと山幾ら」といった感じだ。羽撃鬼は管の使い手なのに、音角で変身するというのは違和感があった。
 煌鬼はシンバルという打楽器系の音撃武器を使用するにも関わらず、バックルには音撃鳴を装着しているという不整合ぶり。当然、音撃時にはバックルを使用しない。
 羽撃鬼と西鬼はバックルと音撃武器の属性が一致しているものの、音撃時にバックルを使用しない。
 凍鬼に至ってはデザインが鬼に見えないし、巨大な音撃金棒は一体どこから現れたのか?
 劇場版用の5人の鬼は、もう見るからに「やっつけ仕事」という感じがした。
 大体、劇場版用の鬼が5人も必要だとは思えない。ライダーが大勢登場することが売りの『龍騎』でさえ、劇場版用のライダーは二人だった。数を出せば子供が喜ぶというものではないだろう。数が多ければキャラクターの描き込みも浅くなるし、「何かいっぱい出てきた」といった程度で終わってしまうのではないか? 事実、映画が終わった後、子供が親に「カブキはなぜ悪者になったの?」と尋ねているところ2度(別々の親子)目撃した。

 他にも、威吹鬼の烈風がTV版と同じトランペットという点にもやる気の無さを感じた。轟鬼のエレキギター烈雷も同様である。
 火焔大将やヒトツミは魔化魍らしさがほとんど感じられず、『マジレンジャー』の敵キャラにした方が余程しっくりくる。
 明日夢が、兄の死が不慮の事故死であると知った上でヒビキを恨んでいるのか、そうでないのかもハッキリしない。
 かずえ、ひなこは人物像(普段は何をしているのか?)すら不明で、リアリティが全く無い。
…などなど、比較的丁寧な造りのTV版の逆を行く、ひたすら雑な造りであった。

 映画として期待していないと最初に書いたが、それでも、この映画の映画としての最大の失敗については言及しておきたい。
 この映画である意味一番映画らしかった「家が焼け落ちるシーン」、これは「カブキの実家が焼け落ちるシーン」でなければならなかった。人を信じて人助けを続けてきたカブキが、その「人」に裏切られて家族を失うシーンを描けば、カブキが魔化魍側に付いた理由を説明できたのだ。ヒビキがカブキを問い詰め、カブキが答える場面で回想シーンとして出せば良い。

 それにしても、響鬼の新フォームは、TV版ではどういう扱いになるのだろう? 「鍛えて強くなる」というコンセプトを、大きく外すことだけは避けて欲しいものである。
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コメント

こんにちは。私も見てきました。
音角で変身、音撃武器と関係ないのにバックルには音撃鳴というのは、今気づきました。たしかに、そうですね。でも、音角で変身というのは鬼がまだ未分化だったというか、現代みたいな個人の時代でなかった当時は、鬼仲間ってことでいいような気もしましたけど(まあ、戦国武将って個性的だったというから違うかもしれませんが)。
でも、「カブキの実家が焼け落ちるシーン」でなければならなかった。」は名案ですね。その通りだと思います。たしかに、カブキは惜しいキャラでした。
総じて、感じたことは同じですが、私は映画のマジックにだまされたので、子供といっしょに見る映画としてはよかったと評価しました。カブキの説明は親任せになりますが...。

不自然な統一感

 コメントありがとうございます。

>まあ、戦国武将って個性的だったというから違うかもしれませんが
 
 劇場版用の鬼が5人は、それこそ戦国武将みたいに、デザインが派手でバラバラ。響鬼たちとは全然イメージが違います。それなのに、変身道具は全員ヒビキと同じ音角。ここに、不整合感を感じてしまうわけです。
 あそこまで鬼のデザインがバラバラなら、変身道具のデザインもバラバラじゃないと不自然でしょう。戦国時代は個人ごとにバラバラだった音角のデザインが、時代の経過とともに洗練され、一つの形に収斂していくというのが自然だと思います。

>子供といっしょに見る映画としてはよかったと評価しました。

 これは仰る通りだと思います。ちゃんとハッピーエンドで終わっていますし。

うーん

確かに今回のは各所が雑な感じですね。息吹鬼が音笛で変身するのに同じカテゴリーの武器を持つ羽撃鬼が音叉で変身というのは・・・せめて変身道具の各鬼への振り分けの基準(例えば適性とか)を説明するような描写があれば・・・(明日夢が変身しようとして怪我するとか)TVの補足としての楽しみなんかが生まれたかも知れませんね。
あと、童子・姫・ヒトツミが「噛ませ犬」にしかなってないような気がしてなりませんでした。火焔大将の方が活躍した気がしません?戦国のほうでのアームドセイバーも海に沈んだっぱなし・・・
今回は全体的には説明が足りてない感じが拭えませんでした。鬼の能力についてのキャラ付けもいい加減。ハッピーエンドだったので子供はいいですが中三にもなると微妙でした・・・

管理人さんへ:555見てないんですか?もし見てないならDVDとかを借りてみてみるといいです。僕の自分勝手な評価ですが多分パラダイス・ロストは平成のヒーロー映画としては最高の出来栄えです。平成ライダーを語るならばあれを見なくては語れません。(重ね重ね生意気ですいません)

Re:うーん

 TV版の『555』は、平成ライダーの中で唯一面白くなかった(途中で見るのを止めてしまった)作品なので、劇場版も観ていないんです。
 でも、『パラダイス・ロスト』はTVシリーズとは全く別の話ということですので、薦められるのでしたら観てみようかなと思います。

ちょいとアレでしたね

平成ライダー劇場版の中じゃ再駄作じゃないかと。

あと少し異議アリ!

555劇場版は「映画専用ライダー」と割り切ると面白いっすよ。
ただ残念だったのが予告編でネタバレをガンガン垂れ流してた事でしょうか・・・

予告編のネタばれ

 今回の『響鬼』も、ネタばれ防止のため、毎週TVCMその他を見ないように気を使いました。しかし、雑誌『ニュータイプ』が、表紙で装甲響鬼のネタばれをかましてくれたのは、計算外でした…。

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