2008-11

『機動戦士ガンダム』第4話の感想 〜 ついでに『ガンダムOO』も 〜

『機動戦士ガンダム』第4話の感想
 〜 ついでに『ガンダム00』も 〜


 前回の『ガンダム00』を観て思ったのは、
「ゴチャゴチャした設定をとりあえず全部ぶちまけておいて、後はその中から適当に引っ掛かったヤツで引っ張ればいいや」
という考えで作られているんじゃないかということ。
 さて、そういう放送の回はサラっと流して、『機動戦士ガンダム』の続きをDVDで観よう。

                第4話 ルナツー脱出作戦

 「連邦=正義」ではないことが、明確に描かれた回。
 もちろん、初回からずっとナレーションが「この物語は、ジオンの独立とそれを拒む連邦の間で起きた戦争を描いたものである」ことを伝え続けていた。しかし、連邦軍(あるいは軍という組織そのもの)が具体的にどういったものであるのかが描かれたのは、今回が初めてである。

 それにしても、軍隊そして軍人が「民間人を守るための存在ではない」ということを、これほど強烈に描いているのは今観ても凄いと思う。軍が守るのは「民間人」ではなく「軍規」であり、「上からの命令」なのだ。当たり前といえば当たり前のことなのだが、これをキチンと描いたアニメが、ファーストガンダム以前にあっただろうか?

 今回も、キャラクターの配置とその設定、動かし方が素晴らしい。
 先ず、いきなり「ガンダムの封印」、「ブライト以下のホワイトベースクルーの拘束」を宣言するワッケイン司令の印象が強烈である。何しろ、ホワイトベースのメンバーの今までの苦労を全部否定するところから話が始まるのだ。
 このワッケインの第一印象は「現場を知らない、頭の固いお役所の役人」である。
 しかし、彼に与えられた役割は、実はもっと単純である。
 それは、「大人」という役割。

 同様に、アムロは「中学生」。
 ブライトは「最若年層の大人(準大人)」。アムロとワッケインの中間に位置するが、今回は当然ながらアムロ寄りの立ち位置にある。

 前回まで対立していたアムロとブライトは、ワッケインという「典型的な大人」という共通の対立概念を前にして、今回は利害が完全に一致して団結するのである。

 「対立の無いところにドラマは無い」というが、今回は前回までの対立がいったん棚上げされて、新たな対立が生まれている。前回までの対立は消えたわけではないので、対立の入れ子構造が出来たことになる。
 もちろん、大外の対立は「ジオン対連邦」である。それを端的に表しているのが、ワッケインに対するブライトの台詞だ。
「あなたの敵はジオン軍なんですか、それとも私達なんですか」

 つまり、内部の対立(二重構造)と、外部の対立であり、式?にすると

   (ワッケイン 対立(ブライト 対立 アムロ))対立(ジオン=シャア)

 となる。単純ではなく、複雑すぎず、見ていて分かり易くて面白い。
 こういう構図が、ガンダムの魅力の一つだったのだと、今になって気付く。

 ワッケインとブライト達の対立は、パオロ艦長の説得によって解決される。
 パオロ艦長は、言うなれば「超・大人」である。
 「大人(ワッケイン)」と「準大人(ブライト)」と「中学生(アムロ)」の対立を、大人を超えた「超・大人」が出てくることによって収めるのである。この対立から対立解消までの構図は、実に良くまとまっていてテンポも良い。

 「超・大人」パオロの説得によって、「大人」のしがらみから解放されたワッケインが、それまでの無能ぶり(シャアの策略にことごとく嵌められる)とは打って変わり、まるで水を得た魚のように適切な指示を連発し、事態を一気に打開していくところも面白い。
 ここで視聴者は、ワッケインという個人が無能なのではなく、ワッケインという個人を縛っていた軍という組織が無能であることに気付くのだ。

 シャアも、今回はカッコ良く描かれている。
 何しろ、「典型的な大人」として描かれたワッケインを、ことごとく出し抜き、一時はルナツー自体を絶体絶命の窮地に追い込んでしまう。今回は、
「ああ、シャアってやっぱり凄いんだ」
と、シャアを見直す回でもあるのだ。

 そして忘れてはならないのが、ファルメル(シャアのムサイ艦)内部の雰囲気、リアリティである。
「少佐、ルナツーをやりますか?(ニヤリ)」
 副官ドレンのこの一言に、
「ドレン、貴様も言うようになったな」
と、どこか嬉しそうな様子で返すシャア。

 これだよ、これ。
 男、漢の世界だよ。
 『機動戦士ガンダム』は、基本的には男の世界の物語なんだよ。
 しかも…、
 有能な中年のベテラン副官(見るからに渋い?オッサン)に、天才若手指揮官(見るからにカッコイイ美青年)だよ。
 これがまた、絵になるんだよ。

 やっぱりファーストガンダムは凄いわ。

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 おまけ 『ガンダム00』 #9 拭えぬ過去

 今回も、前回ほどではないにしろ、とっ散らかった話。
 使える時間は約20分と決まっているんだから、もっと話を絞り込み、その分掘り下げて描くべきだ。二代目ロックオンの台詞「俺達は過去じゃなく、未来の為に戦うんだ」も、上滑りしていて、深み(中身)が無い。

 ホント、『00』は浅すぎる。浅いエピソードの寄せ集めで、リアリティがない。キャラがパターン化していて、生きていない。当然、物語も生きていない。

 イノベイターには、相変わらず全然リアリティが無い。
 何故なら、我々の現実の世界では、イノベイターなんかいないのに世界は歪んでいるし、紛争が無くならないからである。

 イノベイターがいなくても、世界は歪む。
 イノベイターがいなくたって、紛争はなくならない。
 それが目の前のリアルだ。
 そのリアルの前には、『00』は何の説得力も無い。

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震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。