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2005-08

「既成作品に関する、私の考えたアイディア」の類の発表について

「既成作品に関する、私の考えたアイディア」の類を
ブログに載せることについての私的考察


 15年ほど前のまだ若かりし?頃、私は同人誌活動を行っていた。
 当時、少なくとも私の周囲では同人活動を「創作系」と「既成作品のファン系」の二つに分けて考えていた。もっと端的に言えば、「創作」か「創作ではない」という捉え方である。ここで言う創作には、いわゆる二次創作(二次著作物)は含まれない。創作と言えば、それはもう自分の完全なオリジナル作品以外は有り得なかった。
 当時、少なくとも私の周囲では、二次創作(二次著作物)という言葉や概念さえなかった。既成作品に関して自分流のストーリーを書くことは、既成作品に登場するキャラクターの似顔絵を描くことと全く同じ次元のものであり、ファンの「作品の楽しみ方・遊び方」の一つ。要するに、消費活動であるという認識だ。「消費」であるから、「創作」全く反対の行為。そんな代物に、「創作」とか「著作」などという単語がくっついてくるとは、全く思っていなかった。
 
 転勤したことで同人誌活動から遠くなり、代わりにBBSでの書き込みを行うようになった。主に書き込みを行っていたのはゴジラ関係のBBSで、その内容のメインは「既成作品に関する自分の考えたアイディアの発表」だった。現在このブログに載せているゴジラの二次著作物に相当するものは、当時BBSに書き込んだものの一部である。
 あるBBS(今はもう閉鎖されている)の管理人が中心になって、有志が「ゴジラ映画の自分流のアイディア・ストーリー(要するにゴジラの二次著作物)」を持ち寄り、それをまとめてゴジラ映画のプロデューサー(富山さん)ご本人に提出したことがあった。このときは、富山さんからお返事を頂けた。
 これとは別件で、ゴジラ映画の脚本家の方から個人的に連絡を受け、私がBBSに書き込んできた「ゴジラ映画の自分流のアイディア・ストーリー」をまとめて手渡したこともあった。このときは、最新作の台本を少々見させて頂きました。
 また、ゴジラ関連のBBSのオフ会では、ゴジラ映画の監督や、造形関係の方々とお話をする機会もあった。
 時系列は前後するが、私の書いた「ガメラ映画の自分流のアイディア・ストーリー」が同人誌に載ることになったとき「せっかくだから大映の広報にも見てもらおう」と思って原稿を封筒で送ったこともあった。このときは、お返事と一緒に映画のチケットまで頂き、恐縮した。

 このように私は、二次著作物を書いたことが縁となって、その製作側と直接コンタクトを得る機会を何度か経験してきた。しかし、一度として製作側から二次著作物を書いたこと自体の是非を問われたことはなかったし、自分自身も二次著作物を書いたこと自体に問題があると思ったことはなかった。
 このとき、製作側が実際にどう考えていたかは分からない。ただ、少なくとも私は「既成作品に関する、自分流のアイディア・ストーリー」が創作物だとか著作物だとか思ったことは一度もなかった。
 自分を含めたBBSへの書き込みメンバーによる書き込みは、一つのパターンがあった。作品の感想を書いているうちに、ここはこうしたほうが良かったとか、いやそうじゃなくて自分としてはこういう場面を見たかったとかいう流れになるのである。結果的に二次著作物を書いているわけだが、誰もそんな意識など持っていない。
 作品に対する自分の要望が積み重なると、自然に「既成作品に関する、自分流のアイディア・ストーリー」になっていく。感想の行き着く先であり、感想の最終形態と言っても良い。「私はこういう作品が見たいんです」という製作側に対する要望であり、メッセージでもあるのだ。
 それを「二次著作物」とか言われても、「何のことですか?」というのが正直なところである。
 「著作権の侵害です」とか言われても、「はぁ?」である。
 やっていること自体は、プロ野球の試合結果(自分が望む試合結果)をBBSで予想したり、サッカー日本代表の先発メンバーやフォーメーションを希望的予測してブログに書くのと、何ら変わらないではないかと思う。

 もちろん、それで金儲けをしたら問題となるだろう。だから本来は、そういった内容の同人誌を有償販売した場合は、売り上げの一部を然るべき先に納めるべきだと思う。しかし、無償で閲覧されているBBSやブログは対象外だろう。

 著作者が、何か不利益を被っているとは思えないのだ。
 既存のキャラクターのイラスト(トレースではない)や、既存作品の自分流ストーリーがブログに載せられ、それが不特定の人々に閲覧されたとしても、一体どういった不利益が生じるのか?
 作品自体との間に、何の競合もないではないか?
 子供がライダーの似顔絵を描いてブログに載せたら、ライダーの商品のどれかの売り上げが落ちるのか?
 大人がライダーの次回のストーリーを予想(これも二次著作に相当する筈だ。そうでなければ、自己流ストーリーも二次著作ではなくなる)してブログに載せたら、その回の視聴率が落ちるのか?

 自分の書いたイラストやストーリーが著作者に対して不利益とならないと思うのなら、著作者に対して堂々と「二次著作の許可」を得れば良いとも思う。しかし、実際の工数を考えると、その行為こそが著作者に対する不利益となるだろう。
 全国のブロガーが、イラスト一枚、次回予測1回upするたびに、著作者に対して「二次著作の許可」を申請したら、どうなるのか? 作品によっては1日に何百件という申請が届き、その1件1件を審査し、登録し、発行するという作業が、放送期間中は毎日(放送終了後も?)続くのだ。そんなことを、著作者は本当に求めているのか?
 私には、とてもそうは思えない。
 自分だったら、絶対やりたくない。
 やるとしたら、1件ごとに許可料を徴収するとかして、コストを回収しなければ割に合わない。しかし今の時代、「あなたが『忠犬戦士 シバドッグン』の作品キャラクターのイラストを描き、それをブログに載せた場合、1枚につき500円を徴収します」という方針が支持されるだろうか? 著作者が描いたイラストをダウンロードするのに1枚500円支払うのなら、納得できよう。しかし、自分が描いたイラストをアップロードするのに500円支払わなければならないというのは、大抵の人は納得できないだろう。
 金を払ってまで自作イラストをブログに載せたくないと思わせ、これを止めさせれば、即ち二次著作物の無断掲載を禁止させたことになる。だが、これが著作者側の勝利なのだろうか? 結果的には、公式HPに「『忠犬戦士 シバドッグン』の二次著作物(作品キャラクターのイラストや自己流のストーリーなど)をインターネット上で公開することは全面禁止します」と掲示するのと同じだろう。そんなことなら、現時点でも出来ることだ。

 結局のところ、本気で無許可の二次著作物(作品キャラクターのイラストや自己流のストーリーなどに限定、以下同じ)を一掃したいのなら、検索エンジンを使って二次著作物掲載サイトを見つけ、裁判沙汰にしてでも片っ端から処理していくしかない。これにはコストがかかる。しかも、金銭的なメリットはない。既に述べたように、無許可の二次著作物の存在は、著作物の商品的側面と競合しないからだ。
 言うまでもないが、あるDVDの売り上げを不正に減少させる可能性があるのは、そのDVDそのものの違法コピー(インターネットでダウンロードされるものを含む)等であり、そのDVD作品に関するファンのオリジナル小説(インターネットで閲覧可能なもの含む)等ではない。違法コピーを取り締まれば正規の商品の売り上げが増加することが期待できるが、無許可の二次著作物を取り締まっても、関連商品の売り上げには何の影響もないだろう。
 
 これで話はぐるっと一周して元に戻った。
 著作者に対して「二次著作の許可」を申請する必要があるのか?
 私の結論は「あえてそうする必要はない」だ。
 もちろん、著作者から訴えられたら、その内容に従うのは言うまでもない。

 私は、ファンクラブのような包括的なサービスの一環として、二次著作物の許可を与えるという方式を期待している。こちらとしても許可を与えてもらったほうがスッキリするし、ファンクラブの会員に登録することで、著作者側としても個人情報の合法的入手、メールによる商品購入誘導、アンケートによる意識調査などのメリットが生じるからだ。
 二次著作物の一括許可を、有料のコンテンツにしても良いだろう。審査もせず、一度IDとパスワードを与えた後は特に管理もしなければ、特別なコストは生じない。それでも把握だけは出来るし、二次著作物以外の著作権等に関する啓蒙にも多少は効果があるだろう。
 関連商品を購入すると、ポイントが加算されて会員のアカウントが向上する等のシステムに関しても、吝かではない。こちとら、関連商品を購入する気のないような作品に関しては、最初から二次著作などに及ばないのだから。

 商品購入の話が出て、再び振り出しに戻る。
 要するに、「消費者」としての「消費」行為なのだ。
 作品を視聴することも消費、感想を書くことも消費、自己流ストーリーを書くのも消費、関連商品を買うのも消費、買ったグッズを使ってコスプレするのも消費。これらは全て、自らの要求を満たす消費行動の一環なのである。それを二次著作物うんぬん言い出すから、おかしくなる。
 特に知識がなくても運用可能、かつ無償公開が原則のブログというツールが普及してきた今、著作権という概念も変わらなければ現実と乖離していくだけだ。
 消費の自由が制限されたコンテンツは、いずれ消費者から見放されて衰退していくだろう。製作者側と消費者側のバランス感覚が、今試されているのかも知れない。
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震電

震電

 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。