2017-06

床の間は、メカゴジラの秘密基地

床の間は、メカゴジラの秘密基地

 ここだけの話ですが、実家の床の間は、メカゴジラの秘密基地になっています。
床の間のメカゴジラ
 
 このアングルだと、より秘密基地っぽく見えます(写真をクリックして画面一杯に拡大しましょう!)
床の間はメカゴジラの秘密基地
メカゴジラ横姿

 もちろん、たまには出動してフィンガーミサイルを撃ったり、
フィンガーミサイル発射

全砲門を開いたりしています。
全武器発射

 …というのは冗談で、勿論このメカゴジラはラジコンです。
箱から出してみた

 こんなふうに箱の中に入っていました。
箱を開けたところ

 箱から出したところです。
フラッシュ焚くとイメージ変わる

 バリアー展開の連続写真です。
バリアー展開1
バリアー展開2
バリアー展開3

 ちょっとマニアックな話をすると、メカゴジラというキャラクターは、ゴジラファンの中でも、位置付けが非常に特殊なキャラクターなのです。
 メカゴジラは大まかに言えば、全く別物として3体(3種類)が存在しています。

 1つめが、昭和版のメカゴジラで、言わば初代メカゴジラ。この記事のメカゴジラです。初登場は1974年に公開された『ゴジラ対メカゴジラ』。
 2つめが、平成シリーズ(VSシリーズ)のメカゴジラ。登場したのは、1993年に公開された『ゴジラvsメカゴジラ』。
 3つめが、機龍メカゴジラ。初登場は2002年に公開された『ゴジラ×メカゴジラ』。

 私は現在44才のオッサンでありながら、未だにゴジラファンを自認していますが、私より更に3つ4つ年上のオッサンの中にも、ゴジラファンの方がおられます。
 さて、そんな現在40代後半のゴジラファンにとって、デフォルトのメカゴジラ、即ち“初めて劇場で観たメカゴジラ”は、3つのうちどのメカゴジラでなのしょうか?

 『ゴジラ対メカゴジラ』(1974年3月21日公開)…昭和版
 『ゴジラvsメカゴジラ』(1993年12月11日公開)…VSシリーズ版
 『ゴジラ×メカゴジラ』(2002年12月14日公開)…機龍

 こうやって並べると、現在40代後半のゴジラファンの“デフォルトのメカゴジラ”は、昭和版のメカゴジラだと思うでしょ?
 それが違うんです。
 現在かろうじて40代前半の私は、昭和版メカゴジラが“メカゴジラのデフォルト“となっています。けれども、私より3つ4つ年上のゴジラファンは、VSシリーズのメカゴジラが“メカゴジラのデフォルト“となっているのです。

 それは何故か?
 私より3つ4つ年上のゴジラファンは、『ゴジラ対メカゴジラ』の前年に公開された『ゴジラ対メガロ』を観たことでゴジラ映画を卒業してしまい、『ゴジラ対メカゴジラ』をリアルタイムで観ていないからなのです。当然ながら彼らは、『ゴジラ対メカゴジラ』の翌年に公開され、昭和シリーズの最終作となった『メカゴジラの逆襲』もまた、公開当時の劇場では観ていません。

 1973年3月公開の『ゴジラ対メガロ』を映画館で観たとき、その人が小学何年生であったかが、結果的にその人の“デフォルトのメカゴジラ”を決定付けたと言えます。
 私は『ゴジラ対メガロ』を、小学2年生の最後の月に映画館で観ています。ですから、ギリギリのところでゴジラ映画に愛想を尽かさずに済みました。しかし、当時小学6年生だった人は、『ゴジラ対メガロ』を観たことで、「来年、中学生になってもゴジラ映画を観に映画館に足を運ぶぞ」という情熱を失ってしまったのです(本当にごく一部の特殊な例外を除く)。

 私は、運が良かったのだと思います。
 “チャンピオン祭り”世代として、当時の劇場で、昭和最後のゴジラの後姿を見届けることが出来たのですから。
 『ゴジラ対メカゴジラ』をリアルタイムで映画館で観て、翌年の『メカゴジラの逆襲』もリアルタイムで映画館で観て、それで昭和ゴジラシリーズが終焉することによって、私は自然にゴジラ映画を卒業しました。そこには、憤りも悲しみもなく、ただ自然な時の移り変わりだけがありました。

 今、ゴジラ映画は休眠期に入っています。
 ゴジラファンとしての私も、基本的にはお休み中です。
 だから…
 我が床の間のメカゴジラよ、今は、私の古き良き時代の記憶と共に、眠れ…

床の間で眠るメカゴジラ
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『怪獣大戦争デラックス』

              『怪獣大戦争デラックス』

         【以下の文章は、2000年03月20日(月)頃に書いたものです】

 以前から、X星人をリメイクして、金髪の外国人女優さんに演じてもらいたい、と思っていました。
 でも、パツキンの美人が「X星から参りましたの」と言っても、現代ではギャグにしかなりようがないような気もします。

 それなら、無理にシリアスにせず、思いきってB級ギャグテイストのゴジラ映画ならどうだろう?!
 それも、日本独自のセンスを生かしたB級。スピリットは「バトルヒーター」のような真っ向勝負のB級で、もう、自己突っ込み全開!みたいなノリ。怪獣映画としての映像的クオリティは、平成ガメラ3クラスのA級。

 こんなミスマッチ、おバカで真剣な怪獣映画も一作ぐらいはあってもいいんじゃないでしょうか?
 東宝とトライスターで合作を創るとしたら、こういったコメディ路線の方が、むしろ上手くいくような気さえします。ゴジラその他の怪獣やUFOに関しては、デザインは東宝による日本式とし、映像化はトライスター担当のフルCGという分担にすれば、面白い映像になると思います。
 それでは、まずは主役格4人の登場人物の説明です(カッコ内はキャステイング)。


ナミカーワ(ユマ・サーマン)… 金髪碧眼、スタイル抜群のX星人美女。パートナーのグレンととも
                に、Z星から逃亡した犯罪者を地球まで追ってきた、いうなれば宇宙刑事。ガン捌きは格好良く決まるが、命中精度はゼロに等しい。その代わり、剣術に関しては達人。言動は一見貴婦人風だが、実際の性格はクールでエグい。しかし、基本的には正義と平和を愛する善人である。
 変装アイテムを装着しているため、着物姿を含め七変化を見せる。
 等身大のサポートロボットであるロボラドンを携帯電話の中にセーブしている。

グレン(空手家の、ニコラス・ペタス)… ナミカーワのパートナーで、一緒に地球にやってきたX星
                    人の宇宙刑事。金髪碧眼の二枚目で、適度にマッチョなナイスガイ。射撃の腕前は一流だが、ガン捌きが下手くそで、抜くときか撃ち終わって戻すとき、必ずと言っていいほど銃を落っことす。
 何故かブルース・リーに心酔しており、ジークンドー拳法を使いこなす。アクションは、ブルース・リーそのもの。性格は真面目・純情・正義漢。しかし、行動はドジでおっちょこちょい。協力者となった日本の女刑事、ヒカルに惚れてしまう。
 等身大のサポートロボットであるロボゴジラを携帯電話の中にセーブしている。

ヒカル(宇多田ヒカル or 藤谷文子)… 日本の女性刑事。成り行きで、地球側を代表して宇宙刑
                       事達に協力することになる。英語はペラペラ。注意深く慎重な性格と大胆な行動力を兼ね備え、刑事として理想的な人物だが、真面目すぎる性格が災いして上司とぶつかることもしばしば。剣道と合気道の高段者。

佐藤(唐沢寿明or 織田裕司)… 日本の男性刑事。もと暴走族のリーダーという変わり種。ヒカ
                    ル同様、成り行きで、地球側を代表して宇宙刑事達に協力することに。普段はおちゃらけたお調子者だが、正義感は強く、勝負所には強い。格闘技マニアで、数多くの格闘技を少しずつかじっている。ケンカに関しては強いと言うよりも上手いタイプで、乱戦においてその真価を発揮する。


 さて、物語は国会の代表質問のシーンから始まります。

 総理大臣と野党議員の答弁が行われている最中、国会議事堂の上空に2機の円盤が飛来し、国会会議室の真上にて空中静止。
 総理大臣と野党議員の答弁が行われている、その国会会議室の中央に、光のチューブとともにナミカーワとグレンの二人のX星人が堂々と降臨してきます。二人ともギンギンにラメの入った、もの凄い派手で体にフィットした衣装を着ています。

 目の前で起きた突然の出来事に、あっけにとられている国会議員の面々を無視し、二人は総理大臣に英語で話しかけます。
「(英語で)あなたが、日本の代表者ですね。お願いがあって、X星より参りました」
 英語の分からない総理大臣は、オロオロして周囲に助けを求める。英語の出来る女性議員が恐る恐る歩み出て、ナミカーワに英語で話しかける。
「あなたはX星から来たと言われましたね。地球人ではないということですか? なぜ、英語で喋るのですか?」
 ナミカーワは怪訝な表情で答える。
「私も、グレンも、X星から来た、X星人です。地球人は、みんなこの言葉を喋るものだと思っていたのですが、違うのですか?」

 水を打ったように静まり返っていた国会会議室内が、ざわめき始める。
「この宇宙人、英語喋ってるぞ」
「ガイジンじゃないのか、この宇宙人?」 
「なんで宇宙人が英語喋っているんだ?」 
「なんだ、あの派手な格好は?」 
「ガイジンはやっぱり、脚、長いなー」
 ざわめきを気にしている感じの二人のX星人、英語の出来る女性議員に話しかける。
「(英語で)時間がなかったので余り詳しく地球のことを調べていないのですが、私たち、どこか変ですか? 一応、宇宙人らしくしてきたつもりなのですが」
 あいまいな笑顔で、英語で何やら答える女性議員…。

 5分経過。
 あらたまって、答弁の席に立っているナミカーワとグレン。グレンが、流暢な日本語で喋り始める。
「我々は、Z星から逃亡した犯罪者グループを追っています。この犯罪者グループを逮捕するため、日本にいる怪物01および怪物02、つまり、ゴジラとラドンを、お借りしたいのです」
「ゴジラとラドンを?」驚く総理大臣。
「そうです」唱和するように答えるナミカーワとグレン。(ナミカーワは、相変わらず英語)
 ざわめく国会会議室内。しかし、すぐに静まる。
「しかし、ゴジラもラドンも、あー、30年ほど前に日本に一度現れたきり、姿を見せていないので、貸してくれと言われても…」
「ゴジラは浜名湖の底で眠っています」と、ナミカーワ。
「(通訳を介してナミカーワの発言を理解し)あそこは確か今、ボートレースが開催中の筈ですな」
 再びざわめく国会会議室内。
「そりゃ困る、俺あそこのレースに賭けてるんだ!」などのヤジが飛ぶ。
「静粛に!」議長が叫び、ざわめきは静まる。
「ラドンは阿蘇です」とグレン。
「あっそう」と総理大臣。寒すぎるギャグに、国会会議室内にピュ~ッと北風が走り抜け、書類が舞う。

「あ~、ま、とにかく、日本にいるゴジラとラドンを貸して欲しいと、まぁそういうことですな」
 自分のギャグが滑ったことに気付き、総理大臣は話を先へ進める。
「しかし、理由は何ですか? 日本固有の財産であるゴジラとラドンをお貸しするからには、Z星の犯罪者とやらを捕まえるために、どうしてゴジラとラドンが必要なのか、国民が納得する理由を…」
「Z星人の犯罪者たちは、現在金星に潜伏中です。連中は、金星で眠っている怪物0を復活させて、地球進行を狙っています」
「怪物ゼロ? それは一体何なのですか?」と総理大臣。
「怪物0に関しては、私たちも、それが強大な宇宙怪獣であるということ以外、分かっていません。これは、金星に飛ばした偵察ロボットから送られてきた映像です」
 不鮮明ながらも、いかにも悪の秘密基地らしい建造物と、タコともイカともカニともつかぬ奇怪な怪物の立体映像が現れる(立体映像の周囲で、何故か「映像は開発中のものです」という文字が点滅している)。

 どよめく国会会議室内。
「ありゃあタコだ!」「いやイカだ!」「金星だったらカニじゃないのか?!」
「静粛に!」議長が叫び、どよめきは静まる。
「Z星人の犯罪者たちが、逃亡先で怪物0を入手するこというケースは、我々も予想していませんでした。目には目を、歯には歯を、怪獣には怪獣を! ということで、敵の宇宙怪獣に対抗するため、我々も怪獣を現地調達しておきたいのです」
 しかし、総理大臣は国会答弁そのままの「関係各省庁と協議の上、前向きに検討する所存でございます」的な言語明瞭意味不明な発言を繰り返す。

 煮え切らない総理大臣の答弁に対して、ナミカーワはキレてしまう。
「私たちは、独自でZ星犯罪者グループ逮捕に向けて活動を始めますわ! もし、日本政府がゴジラとラドンを貸す気になったら、ここに連絡しなさい!」
 『銀河連邦警察 第7支部』の緊急呼び出しチャンネルを表示すると、ナミカーワとグレンは国会議員達が止める間もなく光のチューブで円盤に戻り、いずこかへ飛び去ってしまう。呆気にとられて窓から外を眺める国会議員や大臣の面々。

 しかし、この模様はNHKの国会中継で全国に放映されていたために国民に知れ渡り、特に地元の阿蘇や浜名湖周辺では大変な騒ぎに。
 新聞の輪転機が、回って回って回りまくり、号外が街にばらまかれる。

“ゴジラとラドンは日本にいる!? 政府による浜名湖と阿蘇山の徹底調査が決定!”
“浜名湖ボート、中止! 納得いかない客が暴動!”
“ゴジラの足の指は3本か4本か?! 専門家の間でも意見が分かれる”
“銘菓「ラドン焼き」、本家と分家で骨肉の争い!”
“ナイスバディ! これがX星人美女ナミカーワの3サイズだ!”
“ゴジラ松井、ドサクサに紛れて中日ドラゴンズに電撃移籍?!”

 そんな号外を読みつつ街中を歩いている刑事(佐藤)は、異様な車が、白昼堂々違法駐車されていることを発見する。その車は「スーパージェッターの流星号に、ワニのような口がついている」という代物で、タイヤはなく、地面から30cmほど浮かんで静止している。車体には「龍勢号」の文字が。
 佐藤は、所持していた特殊警棒を伸ばして、浮いている「龍勢号」の下面と地面の隙間に差し込み、左右に振って何もないことを確認。さらに、「龍勢号」の上の部分も、見えない糸で吊ったりしていないことを警棒で確認。どう見ても、何の支えもなく地面から30cmほど浮かんで静止している「龍勢号」を目の前にして、腕を組み首を傾げる佐藤。

 その時、近くの不動産屋から何やら叫び声が。警察手帳を提示しながら不動産屋の中にはいると、X星人コンビが、不動産屋と揉めている。
「あっ、警察の方ですか? ちょっとお願いしますよ、このガイジンさんたち、見たこともないキャッシュカード一枚で部屋を貸せって強引に」
「ガイジンじゃない、X星人だってば!」
「このカードは、銀河系内ならどこでも使える“ぎららグルーブ”のマルチカードなのよ! 早く“銀河マルチサービスネット”に繋ぎなさい!(ナミカーワは相変わらず英語のまま)」
 佐藤は手にしている号外の写真と、目の前のやたら派手なガイジン風の男女二人を何度も見比べると、何か決心したような表情になる。
「あの、X星人の方ですよね? この星はまだ“ぎららグルーブ”や“銀河マルチサービスネット”には未加入なんですけど」
 ガーン!と大ショック状態のX星人コンビ。

 とりあえず、二人を「同じ刑事だから」警察の独身寮に連れていくことにする佐藤。
 グレンは早々に佐藤の部屋に居候することが決定。
 ナミカーワは相変わらず何故か英語しか喋れない(日本語はカタコト程度)ので、女子寮の中で英語が一番出来る女性刑事・ヒカルの部屋に居候することになる。

 一方、日本政府は大勢のマスコミが注目する中、浜名湖の湖底の調査を開始しようとしていた。マニピュレーター付きの特殊潜水挺が、浜名湖の水面下へ潜行していく…。

 さらにもう一方、こちらは金星。
 その金星に潜伏中の、Z星人犯罪者グループ。調整カプセルから出てきた彼らの姿は、どこから見ても地球人西洋人、要するにガイジンそのもの。彼らのド派手なコスチュームは、まるでビジュアル系のロックバンドのようである。
「(英語で)さて、これで準備は完了」
「(英語で)あとは、地球のどこを侵略の拠点にするか、だ」
 地球儀大の地球の立体映像を前にして、Z星人犯罪者グループのボスらしい男が腕組みしている。と、突然、後ろを向いて、
「(日本語で)ポコペンポコペンだーれが突つーいた!」
と言うなり振り向き、顔を背けたまま地球の立体映像に人差し指を突き立てた。
「(英語で)ボス、なんの真似ですか、それは」
「(英語で)ふふ、なかなか面白いだろう。これは地球に棲む少数民族の習慣でな、迷ったときはこうやって指で突いて行き先を決めるらしい。さて…」
 ボスの人差し指が突いたところは、日本。
「(英語で)こじんまりとした島国ですね。その割には人口も多いし、手始めに侵略するにはうってつけです」
「(英語で)ようし、決定だな。それでは早速出発するぞ!」 「オーイエー!」
 こうして、Z星人犯罪者グループによる日本侵略が決定、彼らは金星を出発するのだった!

 場面戻って、地球。浜名湖湖底でゴジラ調査を行っている特殊潜水挺。
 湖底の岩山の穴から放射能反応が検出されたため、潜水挺のマニピュレーターで、その穴の中を探っている。すると、その穴周辺の岩が、いや、その穴のある岩山全体がムズムズと動き出した。驚く潜水艇の乗組員(科学者、軍人)達。
 しかし、時既に遅し。その岩穴はゴジラの鼻の穴だったのだ。ゴジラは盛大なくしゃみを一発かますと、目を覚ました。這々の体で浮上する潜水艇。
 緊急浮上した潜水艇から出てきた科学者達に群がるマスコミ。「た、大変だ、ゴ、ゴ、」
 その背後で、湖面を突き破って、豪快に出現するゴジラ。
「ゴジラ~~~~~~~~~!!」
「うわわわああああ~~~~~~!!」
 逃げまどうマスコミ、政府関係者。
 小規模な軍隊も来ていたが「てっ、撤退~~~~~~!」

 TVのニュースでゴジラ出現を知ったナミカーワ、グレン、佐藤、ヒカルの四人は、ゴジラとラドンを借りるべく、改めて日本政府と交渉に望むべく行動を開始する。
 ゴジラは浜松駅に向かって進行、周辺市民は避難。防衛軍は自治体の要請を受けて、ゴジラ攻撃のため緊急出動する。

 防衛軍の取ったゴジラ攻撃作戦は、戦闘機の空対地ミサイルを使った、約40km離れた距離からのミサイル攻撃である。
「近代戦闘に於いては、遠距離からの誘導ミサイル攻撃が常識。ゴジラの放射火焔など、その射程は長くてもせいぜい1km。こちらは40km先の安全圏内から、一方的に叩かせてもらう」
 戦う前から勝ち誇った表情の防衛軍司令官。
 その隣には、何故か白衣姿の博士らしい男(胸に、「ゴジラ博士」という大きな名札が付いている)が立っている。

 ゴジラが、かろうじて点として見る遠距離(スクリーン上では、「ゴジラはこの辺り」というスーパーインポーズと矢印が出ている)から、戦闘機がミサイルを発射。

「ミサイルは、ゴジラの遥か上空を飛ぶ偵察機からのレーダー誘導に従ってゴジラに接近し、ある程度接近したところで、ミサイルに取り付けられたTVカメラの映像を見ながら戦闘機のパイロットが映像的に目標をロックオン、後はミサイルが自動的に追尾してゴジラ命中するというわけです。狙いはやっぱり、頭部でしょう。目などの感覚器官や脳がありますからね」
 ゴジラ博士が解説する。
 その隣の防衛軍司令官、(コイツ、誰に対して喋ってるんだ?)という表情で博士を見る。

 横一列に並んだミサイルが、遥か彼方からほぼ一直線にゴジラに接近。
 ゴジラ、ミサイルの飛んでくる方向を向いて、じっと立っている。
 ミサイルが接近し、そのままゴジラに命中するかと思われたとき、ゴジラは突然素早く上体を左右に振りながら後方へ反らして頭の位置を低くし、ミサイルを全部避けてしまう。(『マトリックス』のパロディ)
 ミサイルは、背後のビルなどに命中、大爆発が起こる。

 唖然としている防衛軍司令官を横目に、ゴジラ博士が他人事のように言う。
「うーむ、ゴジラの動体視力と反射神経と上体の動きが、我々の想像よりも優れていましたねぇ」
 防衛軍司令官、我に返って反論する。
「し、しかし、誘導ミサイルだぞ、例え避けられても自動的に追尾して」
「ミサイルは基本的には高速で真っ直ぐ飛んで行きますからねぇ、止まっている標的が急に横や下に動いたら、どう頑張ったって追尾し切れませんよ」
「だっ、だったら胴体を狙えばいいんだ! ボクシングでも、頭は上下左右に動かせるが、胴体は動かせないからな! 目標をゴジラの胴体に変更して、ミサイル第二派攻撃だ!」

 しかしゴジラの胴体を狙ったその第二派攻撃も、命中寸前にゴジラが野球のヘッドスライディングのような動きで、ズシャアッと腹這いになったため、ミサイルは再び全弾誤爆。派手に吹っ飛ぶビル街。
「全身の反射神経も大したものですねぇ」と、ゴジラ博士は感心したように呟く。

 その頃、ナミカーワ、グレン、佐藤、ヒカルの四人は、ゴジラとラドンを借りるべく日本政府と再交渉しようとしていたが、政府首脳達は、在日米軍にゴジラを退治してもらうため、在日米軍司令や大使と交渉中とのこと。ナミカーワ一行は、X星人のアイテムを使用して、その交渉の現場に勝手に忍び込む。

(日本政府側)「ゴジラは、日本に対する明確な脅威です。日米安保条約に基づき、在日米軍の出動を要請します。(心の中の声…こういう時のために、基地とか思いやり予算とか、今までさんざん面倒見てやってるんだからな!)」
(在日米軍側)「ゴジラは軍事的な脅威ではなく、一種の自然災害であり、日米安保条約の対象にならないというのが我々の判断です。また、在日米軍が安易に軍事行動を起こせば、アジアの軍事的な緊張を高めることにもなり、国際世論からも非難を受けることになります。
(心の中の声…我々の基地が直接攻撃を受けたわけでもないのに、ゴジラなんかと戦うなんて冗談じゃない。我々は、アジア資本主義経済における米国の利益を守るために駐留しているのであって、日本を守るなんてつもりなんか最初からないよーだ!)」

 そんな交渉を見守っているとき、ナミカーワ、グレンの携帯電話が鳴る。それは彼らの円盤からの自動通報で、Z星人犯罪者の円盤が地球にやってきた(金星から地球へと一気にワープしてきた)ことを知らせるものだった。
 とりあえずゴジラとラドンの件は置いといて、Z星人犯罪者逮捕に向かうナミカーワたち。
 佐藤の運転する覆面パトカーにナミカーワとヒカルが乗り込み、グレンの運転する龍勢号がその後に続く。ナミカーワの携帯電話のナビゲーション画面(ナミカーワたちの円盤から情報が送られてきている)に従って、一行はZ星人犯罪者のいる現場へ急行する。

 その現場は、街中のデパートであった。龍勢号とはまた違った感じの、妖しげな浮上式の車が2台、コンビニの駐車場に浮かんでいる。ナミカーワが、携帯電話のスキャナーでデータを照合する。
「これ、盗難車よ。奴らに間違いないわ」
「よし、一網打尽にしてやる!」と突入しようとするグレンを、ナミカーワが押しとどめる。ヒソヒソと作戦を練った結果、まずは佐藤とヒカルが店内に入って行く。

 店内では、ビジュアル系のロックバンドのようなド派手なコスチュームに身を包んだ二人のガイジン風男性と二人のガイジン風女性から成るZ星人犯罪者グループが、レジで店員と何やら揉めている。
「ちょっと失礼、私はこういう者ですが」と警察手帳を提示した佐藤に、店員がすがり付く。
「ちょうど良かった! さっきからこのガイジンの人達が、変なカードで買い物させろって」
「(英語で)ガイジンじゃない、Z星人だってば!」
「(英語で)これは“がっぱグループ”の銀河共通お買い物カードなのよ! 店の責任者を連れてきなさい!」
 ヒカルが、英語でZ星人たちに話しかける。
「あの、Z星人の方ですよね? この星は、まだ“がっぱグループ”にも、それから“ぎららグルーブ”にも加入してないんですよ」
 ガーン!と大ショック状態のZ星人犯罪者グループ。

 しかし、すぐに立ち直ると、
「そうか、それならコイツはどうだ!」と、懐から光線銃を取り出して店員に突きつける。
「良く考えたら、アタシ達犯罪者なんだから、最初からこうすれば良かったんだわ」
 ヒカルと佐藤、素早く光線銃を構え、Z星人犯罪者グループに向ける(ナミカーワ、グレンの予備の光線銃を借りてきていたのだ)。
「警察だ! 銃刀法違反その他の現行犯で逮捕する! 武器を捨てて手を上げろ」
「き、キサマたち、一体何者だ?」
「それを捨てなさい! 死体にしてでも連行するわよ!(『ロボコップ』の台詞のパロディ)」
 顔を見合わせ、武器を捨てて両手を上げる4人。しかし、彼らは手を上げつつ、こっそり隣の仲間の手首にはめられている携帯電話のスイッチを操作していた。

 Z星人犯罪者グループの手首にはめられている携帯電話の中から、ロボガイガン(等身大のサポートロボット)が解凍・出現。佐藤は思わず光線銃を発砲、ロボガイガンやZ星人犯罪者グループも暴れ初める。グレンとナミカーワも店内に突入、彼らもサポートロボットのロボゴジラ、ロボラドンを携帯電話から呼び出す。
 デパートの中は、光線が飛び交うわ、等身大ロボゴジラとロボガイガンが鉛筆大のミサイルを撃ち合うわ、Z星人犯罪者グループと刑事達のカンフー映画的な格闘はあるはで、一般客を巻き込んでの「そりゃもう大騒ぎ」となる(しかし死人どころか怪我人すらでない)。

 結局、Z星人犯罪者グループは、現場に彼らの円盤を呼び寄せて脱出、そのまま逃げおおせることに成功する。ナミカーワたちも
「仕方ないわ、とりあえず私たちも引き上げましょう」と、メチャクチャになった現場を後にする。佐藤とヒカルは、成り行きとは言え自分たちがしでかしたことを後悔し、刑事としての自分の未来に絶望するのだった。「次の職を探した方が良さそうだな、とほほ」

 警察の寮に戻って、TVニュースその他で情報を収集しつつ、鍋を囲みながら(X星人のリクエスト)今後どうするかを検討しているナミカーワたち。しかし佐藤とヒカルは既にクビを覚悟して開き直っており、次第に「X星の地球訪問を歓迎して、ちょっと一杯」というムードになり、酒もガンガン入って完全に宴会となってしまう。

 翌朝早々、Z星人犯罪者グループの円盤は、怪物0ことキングギドラ(ちなみに、国会会議室でナミカーワたちが見せた映像とは似ても似つかない、正統派デザインのギドラ)と、怪物13ことガイガンを引き連れて東京に襲来。日本政府に全面降伏を要求する。

 防衛軍は「一応、出動」するものの、予想通り力の差は歴然としており、あっさり敗退。
 進退窮まった日本政府は、ナミカーワに教えられた『銀河連邦警察 第7支部』の緊急チャンネルに呼びかけることを決定、日本中のパラボラアンテナが指定された宇宙の一角に向けられ、指定された信号が最大出力で一斉に送信される。

 日本の運命が懸かったその電波は、光速で地球を飛び出し、月も金星も遥かに越えて宇宙の彼方に…と思ったら、金星の軌道で中継されて地球へUターン、日本のとある建物の一室に…。
 宴会場となった佐藤の部屋で雑魚寝状態の、4人の宇宙/地球の刑事たち。ナミカーワの携帯電話が鳴り出す。ナミカーワ、爆睡していて起きる気配なし。

「まだ『銀河連邦警察 第7支部』から応答はないのか?!」
 あせる総理大臣、警察庁長官たち。
 その隣に立っている白衣姿の博士らしい男(胸に、「宇宙博士」という大きな名札が付いている。しかし、以前登場した「ゴジラ博士」と、どう見ても同一人物)が、まるで他人事のように応える。
「まぁ、仮に『銀河連邦警察 第7支部』が冥王星軌道のすぐ外側にあるとするとしても、電波が行って帰ってくるだけでも約11時間かかりますからねぇ。もしαケンタウリだったら、片道4.3光年ですから、即答で返事が帰ってきても8.6年後ですよ」

 鳴り続けるナミカーワの携帯電話。ヒカルが目を覚まし、寝ぼけたままでナミカーワの携帯を取る。
「(携帯電話のコンピュータの説明音声、英語)発信源が近いため、直接回線に切り替えますが、よろしいでしょうか?」
「(寝ぼけたまま、英語で)はい、どうぞ」
「(携帯電話のコンピュータの説明音声、英語)それでは回線を繋ぎます。(発信音)ピーッ」
 マイクを前にしてイライラしていた総理大臣、「ピーッ」という発信音を聞いて、反射的に喋り出す。
「あ、もしもし、えー、こちらは日本政府です。あっ、地球の日本です。そちらは『銀河連邦警察 第7支部』でしょうか、もしもし」
 ヒカル、一瞬反応が遅れるものの、寝ぼけ眼から一気に目が覚める。
「(英語で)只今担当者と代わりますので、そのまましばらくお待ち下さい」
 大慌ててナミカーワを叩き起こすヒカル。ナミカーワ、どうにか目を覚まして電話に出る。ヒカルは佐藤とグレンも叩き起こすと、TVのスイッチを入れる。

 TVは、どのチャンネルも「宇宙怪獣襲来! どうなる日本!『銀河連邦警察 第7支部』との交信現場から実況生中継!」というニュース番組。その番組を放映するTVから、自分のすぐ傍でナミカーワが寝ぼけて喋っている、
「(英語で)ニッポンの鍋料理は最高ですわ」
「(通訳を介して)は、はぁ? それで、ゴジラとラドンをお貸しするという件に関してですが」
みたいなチャランポランな会話が聞こえてくる。
 ヒカルはナミカーワから携帯電話をもぎ取ると、一気にまくし立てる。
「(英語で)『銀河連邦警察 第7支部』は、ゴジラとラドンを貸し出すという地球側の申し出を了解しました。只今より、我々が現地に派遣した宇宙刑事が、ゴジラとラドンを引き連れ、宇宙怪獣撃退およびZ星人犯罪者グループ逮捕に乗り出します! 日本政府は全面協力されたし、以上、交信終わり!」
 電話を切ったヒカルは、そろそろ目が覚めて状況を理解し始めた他の3人をせき立てる。
「もー、いつまでボーッとしてんのよ! 日本が大ピンチなのよ、さっさと支度して出発!」

 かくして、宇宙/地球刑事と彼らが率いるゴジラ&ラドンが、Z星人犯罪者グループと彼らが率いるキングギドラ&ガイガンと真っ向から対決するのであった!
 龍勢号やZ星人犯罪者グループが乗った「空飛ぶ自動車(屋根が吹っ飛んでオープンカー状態になったりする)」が、ゴジラやギドラの周りを飛び回っての「空中カーチェイス」を繰り広げる!
 ゴジラ&ラドン対キングギドラ&ガイガンの、光線合戦有り、プロレス有り(両者のチームプレイも有り)の、怪獣対決!

 クライマックスでは、Z星人犯罪者グループがロボガイガンを“装着”してガイガンマン、ガイガンウーマン(等身大、ロボコップみたいに顔出し式)になったり、それに対抗してグレンがゴジラマン、ナミカーワがラドンウーマンになったりもします。
 結果はもちろん、ピンチを切り抜けた後、宇宙/地球刑事と彼らが率いるゴジラ&ラドンが勝利!
 Z星人犯罪者グループは逮捕され、キングギドラ&ガイガンはカプセルに封印される。
 ゴジラ&ラドンも、元の場所で再び眠りにつかされます。
 X星人宇宙刑事のナミカーワとグレンは、佐藤とヒカルとの別れを惜しみつつ、宇宙へと去っていくのでした。

 そんなわけで、『怪獣大戦争』のお馬鹿バージョンリメイクと言って良いのかどうだか分かりませんが、『怪獣大戦争デラックス』! 特撮ネタてんこ盛り“超B級”なノリで、映像的にはAクラス!
 こんな怪獣映画も1作ぐらいは、どーですか、お客さん!

『 ゴジラ 日本全滅 』

『 ゴジラ 日本全滅 』


 『 ゴジラ ~ モンスターズ・レジェンド ~ 』と同様、「現代を舞台とした“最初のゴジラ”を描いた作品」として書いたものです。
 1954年の『ゴジラ』の直接のオマージュにはなっていませんが、科学者を含む家族が主人公であるという点は踏襲しています。ゴジラの造形も、初ゴジをイメージしています。作品の雰囲気は、1954年の『ゴジラ』に結構近いものになっていると思うのですが、どうでしょうか?

     【以下の文章は、2000年10月15日(日)頃に書いたものです】


 暗い部屋、ベッドで眠っている男性。
 その「彼」の見ている夢。
 九州の日向灘を航海中の核燃料輸送船が、海底火山の爆発に巻き込まれて沈没する。
 原子力工学の研究者である彼は、災害調査チームのメンバーとして召集を受ける。自衛隊の特殊潜行艇に乗り込み、現場である海底を目の当たりにする彼。そこには、船の残骸が僅かに残っているものの、予想されていた放射能による汚染は、ごく低いレベルでしか検出されない。
「火山活動によって、全て地下へ飲み込まれてしまったのでしょうか…?」
 彼の隣で、調査チームの一員である火山学者の女性が呟いた。その「彼女」の美しい横顔。

 暗い部屋、ベッドで眠っている女性の横顔。「彼」の夢に出ていた、女性火山学者だ。
 その「彼女」の見ている夢。
 北海道の核廃棄物処理工場が、謎の地殻変動による直下型の地震によって崩壊する。
 火山学者である彼女は、自衛隊の特殊装甲車に乗り込み、現場に向かう。放射能防護服を着て現場を調査した後、仮設の基地に戻った彼女の隣で、調査団の一員が呟く。
「この前と同じだ。放射能汚染は、ごく低いレベルにとどまっている。まるで、地球が核物質を飲み込んでしまったみたいだ」
 放射能防護服を脱いだその人物が、彼女に微笑みかける。
「また、お会いしましたね」
 海底火山噴火による核燃料船沈没の調査の時、一緒だった「彼」である。

 朝。ベットで目覚める「彼」と「彼女」。
 彼らは、互いに見た夢のことを話し、寝巻き姿のまま1階に下りてアルバムを開くと、2人が出会った頃の昔話に花を咲かせる。そこへやって来る、彼らの子供たち。
「お父さん、お母さん、何やってるの? 7時に出発するんでしょ、早く…」
 今日は、「彼=父」・「彼女=母」・2人の子供が、揃って北海道旅行に出かける日なのだ。この家族旅行は、北海道の地質研究所にいる仲人を訪問することを兼ねている。

 家族を乗せた旅客機が、名古屋空港から北海道を目指して飛び立っていく…。

 北海道の地質研究所に到着した家族は、仲人と再会して楽しい一時を過ごす。しかし、数日前から観測されていた地質学的異常が激しさを増し、ついには体で感じられる地震が発生。震源地は、あの核廃棄物処理工場があった地点の近くだ。
 そして、父の携帯電話が鳴る。
「九州の日向灘で海底地震が発生、その震源地付近で放射能汚染が観測された」
 非常召集だ。自衛隊のヘリコプターが彼を迎えに来る。父は、妻子を北海道に残したまま、一人で九州の現場へと飛び立つ。母は嫌な予感を感じつつも、16年前に現場を調査した火山学者の使命感から、子供と一緒に北海道の地質研究所にしばらくとどまる決意をする。

 九州の現場付近に到着した父を待っていたのは、自衛隊の一行と政府関係者、そして若い女性火山学者だった。父は、その若い女性火山学者に、初めて出会った時の妻の面影を重ね合わせる。若い女性火山学者も、火山学者を妻とする彼に好印象を抱くが、同時に妙なライバル心をも顕わすのだった。

 その夜、北海道のガラム岳(地震の震源地から比較的近い)から、四つ足の巨大な恐竜のような生物が出現する。その巨大生物は、一夜のうちに北海道をほぼ縦断し、交通網をズタズタに引き裂いた後、地中へと姿を消す。

 同じ夜、九州の日向灘に面した後白(ごじら)岬から二足歩行の巨大な恐竜のような生物が上陸し、一夜のうちに九州をほぼ縦断し、交通網をズタズタに引き裂いた後、海中へと姿を消す。

 翌朝、現地の被災地域に自衛隊やマスコミが集まり、救助活動や調査が行われるが、巨大生物が出現したらしいという状況証拠(足跡や、それらしいものが映っているビデオなど)が見つかっただけで、今後どうなるかは誰にも分からない。
 ただ、マスコミによって、北海道のガラム岳から出現した四つ足の巨大生物は「ガラム」、後白(ごじら)岬から九州に上陸した二足歩行の巨大生物は「ゴジラ」という通称で呼ばれるようになった。

 夕方になって、人々の活動が一段落ついた頃、ゴジラとガラムが出現した場所から、別の生物の大群が地上へと進出する。体長約4mの、巨大なサソリのような節足動物である。ノコギリクワガタのような顎まで生えており、恐ろしく戦闘的な姿だ。
 北海道では地中から、九州では海から地上へと出現したこの巨大節足動物の大群は、ゴジラとガラムの通ったコースをそのままなぞるようにして移動、人々を襲い、補食する。現場に居合わせた自衛隊が迎撃し、そのうち少数は撃ち殺されるが、何しろ数が多くて動きも速い。自衛隊員も住民もマスコミも、次々と巨大節足動物の餌食になっていく。

 北海道の地質研究所にいた研究員や母と子供達、九州にいた父や調査隊のメンバーも、この巨大節足動物の襲撃を受ける。混乱の中、一行は何とか脱出できたものの、それなりに厳しい状況になっていた。

(ここで、その時の主人公一家を取り巻く人物状況と、彼らの簡単な説明をしておきます)
 北海道では、以下のメンバーが行動を共にする。
 
 母 … 41歳。母親であると同時に現役バリバリの火山学者。2人の子供の母としての義務と、学者としての使命感の板挟みになって葛藤する。
 姉 … 14歳。中学2年生。忙しい母を助けて家事をこなし、学校でも生徒会役員を務めるなど、しっかりした性格。
 弟 … 12歳。小学6年生。成績は今ひとつだが、コンピュータ関係には強い。
 若手研究所員 … 25歳、男性。2枚目的キャラクター。
 中年研究所員 … 36歳、男性。3枚目的キャラクター。
 研究所副所長 … 57歳、女性。16年前に夫婦の仲人を務めた。先進的な性格で、まだまだ現役バリバリの研究者。

 九州では、以下のメンバーが行動を共にする。
 
 父 … 43歳。父親であると同時に現役バリバリの原子力工学の研究者。国立総合研究所の原子力部門のトップクラスであるため、他の部門のトップクラスの研究者とも繋がりが深い。
 女性火山学者 … 28歳。有名な大学教授の助手で、教授が体調不良のため、急遽代理で来た。学者としてのキャリアは駆け出しにすぎないが、意欲とプライドは一級品。
 調査団隊長 … 内閣直属の特務機関の役人。女性、34歳。特権意識が強く、官尊民卑な態度を取る。
 若手自衛官A … 22歳、男性。
 若手自衛官B … 25歳、男性。
 中年自衛官 … 40歳、男性。

 一難去った後の被災地を、再び恐怖のどん底に陥れた巨大人喰い節足動物の群。
 その一部は、ゴジラとガラムの後を追うようにして、それぞれ海中、地中へと姿を消す。残った大半は、日の出と共に数匹の小さな群に分かれ、日光を避けるようにして各所へと潜り込んでいった。

 翌朝、自衛隊の増援部隊が被災地へ派遣され、巨大節足動物の隠れていると思われる各所の周囲に、バリケードが張り巡らされる。マスコミの増援部隊も被災地へと急行し、昨日と同様、ただし悲惨さと混乱が増した現地の状況を報道する。

 ゴジラやガラムは交通網・電力・水道等のいわゆるライフラインや建物を破壊して被災者を出したが、直接人間を襲うというわけではなかった。巨大節足動物は、ライフラインや建物を破壊することはなかったが、群を成して人間に襲いかかり、移動しながら補食し続けたのだ。
 マスコミが伝える被害者の数が刻々と増え続けるのを見て、日本中に不安が広がる。

 一方、射殺された巨大節足動物の死体は、直ちに専門家チームによって分析が行われた。
「この生物は、メガヌロンと同じ時代に生息していた、古代昆虫ギガンヌリウムの幼虫である可能性が高い。ただし、化石として残っているサンプルより遙かに巨大であり、放射能を帯びていることからも、突然変異を起こしている可能性も考えられる。
 現時点で確実に言えることは、これ程までに巨大化したギガンヌリウムは、人間を餌とする以外には生きていくことが出来ないということだ」
 分析チームの出した結論から、政府は「北海道および九州から、全住民を避難させる」ことを決定。その後、「自衛隊機甲部隊による、ギガンヌリウムの徹底的駆逐」を行うというのだ。

 前代未聞の超大規模避難が始まる。
 単身九州に来ていた父は、北海道にいる妻子と、どうにか連絡をつけることに成功。
「とにかく、名古屋へ戻ろう。状況が変化したら、その時また連絡を取り合うとして、今は家に、我が家へ帰ることを考えよう」
 この「家に帰ろう」という言葉を支えにして、二つに分かれた家族は、それぞれ行動を共にすることになったメンバーと一緒に避難を始める。(父の調査グループは、調査団隊長の要請によって、3人の自衛官の護衛を受ける形でそのまま避難行動を取ることになる)

 母達のグループが青森まで避難してきたとき、震度3の地震が発生。震源地は岩木山付近。その後、ガラムが出現。今度は震源地付近の地中からではなく、震源地から離れた海岸から上陸してきた。ガラムは、ゴジラと同じように海を泳いで渡ってきたのか?
 現地の住民はガラムに追われ、北海道から避難してきた避難民たちに合流するような形になって、盲目的に逃げる。
 母と研究所副所長は、火山学者の勘から「ガラムは震源地へ向かう」と判断し、震源地からなるべく離れるコースを取って避難(南下)する。母と研究所副所長の勘は当たり、ガラムは震源地へと向かったため、一行は被害に巻き込まれることなく青森を脱出、岩手へ辿り着く。

 同時刻、山口県豊ヶ岳付近でも地震が発生し、それに導かれるようにゴジラが下関から上陸。ガラム同様、ゴジラは震源地へと向かう。退路を断たれ、後ろから追い立てられる形になった避難民は、地元住民と渾然一体となって東へと逃げる。その中には、父の一行もいた。

 一方、危険指定地域からの住民避難が完了した北海道と九州では、自衛隊機甲部隊による「ギガンヌリウム駆逐作戦」が開始されていた。
 数匹のギガンヌリウムが潜んでいると思われる場所へ、次々と突入していく重武装の部隊。しかし、とあるビル内へと突入を果たした彼らの前にあったモノ、それは、今まさに羽化せんとするギガンヌリウムの蛹たちであった。
 巨大でスマートなノコギリクワガタのような姿に変態を遂げた、ギガンヌリウム成虫。
 その強靱な外骨格は、自衛隊の重火器さえ受け付ず、黒金に輝く顎は戦車の装甲さえ抉り裂く。その顎の奥から噴射される消化液を浴びせられた自衛隊員は、単なる肉塊へと変貌を余儀なくされるのだった。

 「ギガンヌリウム駆逐作戦」は、失敗に終わった。自衛隊機甲部隊を全滅させたギガンヌリウム成虫は、羽化したときの群の単位で、それぞれ飛び去っていった。
 ギガンヌリウム成虫は、戦車やヘリコプターと戦ったことによって「敵」を「学習」したのか、飛行機や大型車両、そして船舶を狙って襲い始めた。
 旅客機や客船で避難していた人々が、ギガンヌリウム成虫に襲われ、悲惨な最期を遂げていく…。もはや、陸海空いずれにも安全な場所はなくなってしまった。

 北海道で発生した地震は列島を徐々に南下していき、ガラムもそれに導かれるように南下していく。
 人々はガラムに追い立てられるようにして、南へと逃げ続ける。
 ガラムが過ぎ去った後、被災地に留まろうとした人々は、何日か遅れでやってくるギガンヌリウムの群の襲撃を受け、そのほとんどが餌食となった。
 来た道を引き返そうにも、交通網は寸断され、電気・水道などのライフラインも絶たれているのだった…。

 自衛隊は航空戦力も投入してギガンヌリウム群に攻撃を仕掛けるものの、幼虫の群を護衛するように上空を飛ぶ成虫の体当たり攻撃によって、消耗していく。繁殖活動が確認されていないにも関わらず、ギガンヌリウムの群の大きさは、むしろ日毎に大きくなっていくように見えるのだった。

 九州から始まった避難民の流れも、状況としては全く同様。
 母たちのグループも父たちのグループも、一人また一人と犠牲者を出しながら、怪獣からの逃走生活を続けていた。お互いの無事を祈りながら、ひたすら逃げ続けた。すでに一時的な「避難」ではなく、ほぼ毎日続く「逃走」になっていた。

 そして、避難民の数は、日毎にどんどん膨れ上がっていく。いつしか、道という道に、避難民が行き交うようになっていた。一定の犠牲者が出ているとはいえ、生き残った人々は背後から怪獣に追い立てられ、列島の中心部を目指すようにして移動を続けているのだから当然だ。
「このままでは、“1億総ホームレス”と化す恐れもあります」
 そんなマスコミの報道は、避難民にとってはもはや何の意味もなかった。彼らにとって、それは既に現実でしかなかいのだ。

 政府は、東京の手前でガラムを、大阪の手前でゴジラを迎撃することを決定し、全自衛隊を二分させて配置、それぞれ総力を挙げた防衛の布陣が展開される。
 ついに東京・大阪にも全面避難の命令が下され、日本の全人口が、富士山より西、琵琶湖より東にかけての地域に集結する。父と妻子は予定通り名古屋で合流を果たし、家族は再会する。(グループの被害状況は以下の通り)

 北海道から逃げてきたグループ
  母 … 軽傷
  姉 … 軽傷
  弟 … 軽傷
  若手研究所員 … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  中年研究所員 … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  研究所副所長 … 建物から避難する際、将棋倒しになって圧死。

 九州から逃げてきたグループ
  父 … 軽傷
  若手自衛官A … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  若手自衛官B … ゴジラと遭遇した際、建物の下敷きになって死亡。
  中年自衛官 … ギガンヌリウムに襲われて死亡。
  女性火山学者 … ゴジラと遭遇した際、火災に巻き込まれて死亡。
  調査団隊長 … 途中ではぐれて行方不明になる。大阪で暴徒に襲われそうになっているところを偶然父に助けられ、以後再び行動を共にする。

 ゴジラとガラムは予想通り大阪と東京に出現し、自衛隊と正面からぶつかり合う。
 大阪と東京から避難してきた新たな避難民を含む「日本全国民」は、固唾を呑んで戦況を実況中継するTV画面を見つめる。
 自衛隊の兵器は怪獣に命中し、足止めをしたかに見えた。しかし、火線が弱まるにつれ、怪獣は進行を再開、防衛線は突破される。弾薬が尽きかけ、戦力も消耗した自衛隊は戦線の維持を諦め、大阪と東京から撤退する。

 自衛隊の敗北と怪獣の進行をリアルタイムで目の当たりにした東西端の避難民は、より日本の中心部へと向かって移動を始める。「もはや政府をあてには出来ない」という絶望感と「自分たちだけは生き残りたい」という気運が国民全体に広がり、日本は無政府状態の様相を呈していく。
 再会を果たした家族は、調査団隊長を連れて、懐かしい「我が家」に辿り着く。しかし、そこは既に大勢の他人によって占拠されていた。隣家では、玄関にその家の主の死体が転がっている…。

 家族と調査団隊長は、父の勤務先である国立総合研究所へ向かう。
 セキュリティの堅固な国立総合研究所は、地元警察の協力もあって「城」のような雰囲気になっていた。
 父や家族達は、身分が証明されたため、中に入ることが出来た。とりあえず身の安全が確保され、ホッと一安心する一行。

 しかし、航空宇宙担当の研究者から、恐るべき情報が伝えられる。
 政府が、在日米軍基地から複数の核弾頭を持ち出し、これを使用して怪獣を撃退する作戦を決定したという情報である。数日前から、自衛隊の指揮の元、人工衛星用の宇宙ロケットを核ミサイルとして使用する作業が進行しており、もうほぼ発射可能な状態にきている…そんな情報が、種子島の発射基地から断片的に届いているというのだ。
 父を含む職員は、国立総合研究所備え付けの緊急回線その他を使って政府側とコンタクトを取ろうとするが、全く繋がらない。

 場面変わって、無人の国会議事堂。
 その上空を飛ぶ数機の輸送ヘリコプター。周囲を戦闘ヘリ部隊が、上空を戦闘機部隊が護衛している。
 輸送ヘリコプターの中にいるのは、政府、自衛隊、各産業の要人とその家族らしき人々。
 そこへ数匹のギガンヌリウム成虫が襲いかかり、激しい空中戦が展開される。
 激しく揺れる輸送ヘリの中で、胸に国会議員のバッチを付けた老人の一人が叫ぶ。
「本当に、核シェルターまで送り届けてくれるんだろうな! こんなところで死にたくはないぞ!」

 場面戻って、国立総合研究所。
 調査団隊長が職員達に「国家機能存続に関する第一種緊急避難措置」が取られている可能性について説明している。
「危機的事態に際し、国家としての必要最低限の機能を存続させるため、各方面の要人を地下の核シェルターに移送している最中かも知れません」

 人工衛星ロケットを核ミサイルとして使用する措置も、国家防衛の最終手段として、ずっと以前からマニュアル化されていたことだと調査団隊長は説明する。
「私が聞いているところでは、核弾頭の数は2発。米軍の協力の元で、日本の人工衛星ロケット専用の弾頭として改造されています。特殊な位置把握装置を搭載していて、日本の国土内でしか起爆しないようになっている筈です」
「本土決戦専用の核弾頭か…」
「今の状況で怪獣達に向けて核ミサイルを撃ち込んだら、逃げ場のなくなっている避難民を巻き込んで、広島、長崎を越える大被害が出る。何とかして止めないと」
「しかし、自衛隊の兵器で怪獣を撃退できなかった以上、もはや核兵器を使用する以外に、我々に残された方法はないのでは?!」

 一方、ゴジラは東へ、ガラムは西へと進行し、日本の中央で「一億総避難民」となった日本国民を挟み撃ちにする形になっていた。
 ゴジラやガラムの襲撃を直に受けて逃げまどう人々。
 ゴジラやガラムの通過した跡地で、ギガンヌリウムの襲撃を受ける人々。
 そこから逃れて、東西南北へ逃げる人々。逃げた先で展開される、暴徒と化した人と人との争い。
 そして、遂にゴジラとガラムが、追いつめられた避難民であふれる街を舞台に、お互いに惹かれ合うようにして激突する…。

 国立総合研究所では、調査団隊長が、父を始めとする職員の説得に応じ、本土決戦用核弾頭の起爆阻止に向けた活動が始められていた。
 本土決戦用核ミサイルは人工衛星用の宇宙ロケットを使っているため、通常の核ミサイルとは異なり、地球の周回軌道を回っている間に最終的な誘導プログラムを受信し、その後大気圏に再突入。ピンポイント的な精度で日本国内の目標へ落下するようになっている。この誘導プログラムに割り込みをかけ、日本国外へ落下するようにすれば、核弾頭は起爆しない。

 国立総合研究所の航空宇宙担当の研究者たちは、調査団隊長のパスワードを使って種子島の発射管制センターの誘導システムへのハッキングに成功。際どいタイミングで、1発目の本土決戦用核ミサイルが発射される。そして続いて2発目も!
 必死に誘導プログラムを書き換える航空宇宙担当の研究者たち。修正プログラムの送信は、果たして受け付けられるのか?
 ギリギリのところで軌道を変更し、日本を大きく逸れて太平洋へと向かって落ちていく2発の本土決戦用核ミサイル。起爆阻止成功に沸く、国立総合研究所の面々。
 しかし、その直後に3発目の本土決戦用核ミサイルが発射される。3発目は、1、2発目とは違い、衛星周回軌道に入らず、弾道ミサイルそのままの軌道で、ゴジラとガラムのいる日本中央地域へと飛んでいく。

「そんなバカな! 核弾頭は2発だと聞いていたのに!」
 調査団隊長の叫びも空しく、修正プログラムの送信も受け付けられず、弾頭はそのまま落下…!
 日本の中心部で巨大な爆発が起こり、二匹の怪獣を、街や人々を飲み込んでいく。そして空へ立ち上る巨大なキノコ雲…。

 天に閃いた光と大地を揺るがす振動は、国立総合研究所にも届いた。職員も、家族も、起こってしまった事態の前に言葉を失う。
「日本で、3度目の核爆弾が爆発してしまった…しかも、3度目は、日本人自身の手によって…」
調査団隊長が力無く呟く。
「被爆地へ飛ぶぞ」と、父。
「全てが終わったわけじゃない。ここにある被爆者を救う薬品や医療セットをヘリコプターに積んで、被爆地へ飛ぶ。例え1人でも2人でも、助け出すんだ」

 ヘリコプターで現地へ飛んだ父、調査団隊長、他数名の研究所職員は、予想外の光景を目にする。
 ギガンヌリウムの大群が、成虫、幼虫を問わず、キノコ雲を目指して移動しているのだ。まるで、電灯に集まる昆虫のように。限界を超えて被爆したギガンヌリウムは、次々に死んでいく。
 それでも群の流れは止まらない。どんどん数を増していくギガンヌリウムの群は、狂ったようにキノコ雲の中へと突っ込んでいく。

 更に驚いたことに、放射能汚染のレベルが予想されるよりも遥かに低く、しかも徐々に低下していくのだ。
「ギガンヌリウムの群が、放射能を吸収しているのか? それとも…」
 核弾頭は、空中ではなく地面に突入してから爆発したらしく、爆心地を中心に広い範囲で陥没や地割れが発生している。
 そして、ゴジラとガラムの姿は、どこにも見えない。
「いずれにしろ、これなら、日本は助かる。日本人は、生き残ることが出来る…」
 被爆地に着陸するヘリコプター。放射能防護服に身を包んだ父達が、被爆者の救助に向かう。
 彼らの背後で、キノコ雲が、夕陽に紅く染まり始めていた…。

                      《 終 》



 一般の映画ファンが楽しめるモンスター系パニック・ストーリーを主体にしつつ、日本特撮伝統の破壊・破滅のスペクタクルを描くことで、マニアの満足度も上げることを狙いました。
 ゴジラの属性には敢えて触れず、怪獣を荒ぶる破壊神として描いた「日本破壊」映画にしたつもりですが、どーですかお客さん!

『 ゴジラ  ~ モンスターズ・レジェンド ~ 』

『 ゴジラ  ~ モンスターズ・レジェンド ~ 』


   【以下の文章は、2003年2月25日頃に書いたものに、一部加筆したものです】

 以前から、ゴジラ50周年作品は、「現代を舞台とした“最初のゴジラ”を描いた作品」にして欲しいと思っていました。例えば、『ゴジラ(1954)』を現代の話に置き換えたような作品。
 しかし、オキシジェン・デストロイヤー風の超兵器でゴジラを葬るという話の持っていき方が、現代では少し無理があるという気もしています。

 それでも、現代を舞台として、“最初のゴジラ”を描くとしたら、『ゴジラ(1954)』の要素の幾つかを引き継いでいなければならないと思います。人によって、『ゴジラ(1954)』の何を重要な要素として選ぶかは異なるでしょう。例えば…

(1)「恐ろしいものが海から上陸する」というイメージで、海洋国日本の民族心理を揺さぶる。
(2)原水爆の愚かさ、被爆の恐ろしさを描き、科学技術がもたらす暗黒面に対して警鐘を鳴らす。
(3)怪獣と神話(伝説)を融合させ、日本人の意識の根底にある「八百万の神々感覚」を刺激する。

 この三つを選んで、自分なりの初代『ゴジラ』のリメイク、『 ゴジラ  ~ モンスターズ・レジェンド ~ 』を書いてみました。興味のある方はご一読ください。



 日本国内、海からそう離れていない土地。そこにある小規模な遺跡の発掘現場。数人の発掘メンバーが、黙々と発掘作業を続けている。その中の一人の青年が、土の中から何かを掘り出した。
「何だよ、コレ…」
 青年が掘り出したのものが、土偶の一種であることは間違いなかった。青年が戸惑ったのは、その土偶の形状である。その土偶は「2足歩行型の恐竜が、まるで人間のように上体を直立させた」姿をしていた。尻尾は長く、背中には、大小の背びれの列が並んでいる。

 青年は、他のメンバーを呼び寄せる。一通り意見を交換し合った後、一行は土偶を持って仮設分析所兼仮設休憩所になっているプレハブ小屋へ。
「教授、凄いニュースかも知れませんよ、これ…」
「こっちも凄いニュースだぞ」
 プレハブ小屋の中でコーヒーを飲んでいた初老の男性は、発掘メンバーに背を向けたまま、手振りでTVを見るように促した。TVは、「日本の漁船が、巨大な恐竜のような怪物の死体を引き揚げた」という衝撃的なニュース映像を映し出していた。

「この巨大な怪物は、大きさ約30m、見ての通り首から先が千切れてなくなっていますが、太い胴体、長い尾、大きな4つのヒレを持ち、どう見ても絶滅したとされている恐竜としか思えません。この怪物の死体は、首から先がなくなっている以外にも所々に損傷が見られますが、全体としては特に腐敗などは起っておらず、非常に保存状態が良いということです。この世紀の発見は…」

 自分達の発見した奇妙な土偶のことを忘れ、TV画面を食い入るように見つめる発掘メンバーたち。
「マジかよ、マジで恐竜が生きていたってことか?」
「…プレシオサウルスも、モササウルスも、厳密に言うと恐竜ではないんだけどね」
 土偶を掘り出した青年が、脱力した感じで突っ込みを入れた。
 青年の手に握られた“ゴジラ土偶”のアップ。

 場面変わって、“恐竜死体”発見のニュースを報道するヘリコプターの内部。髪を風になびかせながら、女性レポーターが喋っている。
「今、私達は恐竜の死骸らしきものを引き揚げた漁船の上空を飛んでいます。甲板の上には、その死骸が置かれているようですが、大部分がビニールシートのようなもので覆われ、今こちらから様子をうかがうことは…」
 ここで、旋回中のヘリコプターから、甲板上のビニールシートから怪物の尻尾がはみ出しているのが見え始める。
「あっ、見えました、今、尻尾の部分が見えました! 確かに恐竜の尻尾のように見えます…」
 漁船の上空を旋回し続けるヘリコプター。
 タイトル画面に切り替わる。

      『 ゴ ジ ラ   ~ モンスターズ・レジェンド ~ 』

 …とまあ、こんな感じで、オカルトファンにはお馴染みの“恐竜土偶”と“ニューネッシー”ネタを同時に出す形で映画はスタートします。
 ここで、物語の主要キャラクターの簡単な説明をしておきます。キャスティングを想定しているキャラには、( )内にその名前を入れておきました。

桜庭(織田裕二 or オダギリ ジョー) … “ゴジラ土偶”を発見した青年。3度の飯より発掘が好き?
教授 … 日本の遺跡発掘チームの隊長。桜庭のよき理解者。
神取(中澤裕子) … TV局の女性チーフ。海外経験が豊富で、複数の言語を操る才女。
キサ(BoA) … 南国・ベルジラ共和国の少女。日本人移民との混血。日本への留学経験有り。姉のナギとは反対に、自由奔放に育てられた。
ナギ(栗山千明) … キサの姉。日本人移民との混血。長女であるため、巫女の宿命を受け入れている。

 翌日の新聞には、“恐竜の死骸”、“首なし恐竜”といった大見出しが踊っていた。そんな新聞を自宅で読みながら「だから、プレシオサウルスも、モササウルスも、恐竜じゃないんだけどね」と1人呟く桜庭。
 そこへ、姉が帰ってくる。桜庭の姉は言語文化学者であり、ベルジラ共和国の学術調査団に加わっていたのだ。
「おかえり、姉さん。どうだった、ベルジラ共和国は」
「それがねぇ、最初からウラル・アルタイル語族だった国が、日本からの移民を大量に受け入れた結果…」
「そうじゃなくて、頼んでおいた、いつものやつ。何かいいものあった?」
「はいはい、アンタが喜びそうなやつが土産物として売られていたから、買ってきてあげたわよ」

 姉が差し出した《ベルジラ土産》を見て、驚く桜庭。それは、桜庭が発掘した「2足歩行型の恐竜が、まるで人間のように上体を直立させた」姿をした土偶に酷似した焼き物人形(土偶状の人形)だったのだ。桜庭の発掘した土偶の話を聞いて、姉も驚く。
「…じゃあ、恐竜じゃないってこと?」
「うん、仮にティラノサウルスのような恐竜と人間が共存していた時代があったとしても、その時代の人間はこんな人形や土偶は作らないよ。さっきも言ったとおり、二足歩行する恐竜は、体をこんな風に垂直に立たり、尻尾を地面に引きずったりしないんだ。体は地面に対して水平、尻尾も水平。だから地面には触れない」
「じゃあ、一体何なのかしら」
「ベルジラでは、どうなの、この人形?」
「土産物屋では…確か、“荒ぶる神、ゴジラ”とか言ってたわ」
「荒ぶる神、ゴジラ…」
 そこへ、電話が。教授が、桜庭を研究室へと呼ぶ電話だった。

 研究室には、神取と名乗る某TV局の女性チーフが来ていた。一面に“恐竜の死骸”、“首なし恐竜”といった大見出しが踊る新聞の地方版をめくると、隅の方に“恐竜土偶発見?”という小さな見出しが。桜庭の発掘した土偶の件も、ごく小さなニュースとして新聞で報じられていたのだ。
「だから、恐竜じゃないんですけど」
 思わずぼやく桜庭であったが、姉の「ベルジラ土産のゴジラ土偶のようなもの」の話をすると、神取は大いに興味を示す。

「発掘現場で工事が一時的に再開されているから、その間発掘作業は中断しますが…」
「…キミ、パスポート持ってる?」
 その場でトントン拍子に話が進み、桜庭は神取のTV局チームと一緒にベルジラ共和国に行くことになる。
「でも、いいんですか? 日本では例の“首なし恐竜”のニュースで持ちきりなのに」
「ヨーイドンで同じ切り口で追っかけたら、私たちローカル局は勝てないわ。いかに差別化した報道をするかが、勝負なの」
 家に戻った桜庭は姉に、今度は自分がベルジラ行きとなった件を報告する。姉はベルジラの政情が不安定でテロリストの温床になっているらしいことを話し、強く警告するのだった。
 
 ベルジラ共和国にやって来た、桜庭と神取のTV局チーム。
 南国・ベルジラに冬はない。太陽の日差しはギラギラしているが、カラッとした熱風は素肌に心地よい。街を歩くと、インフレは進行しているようだが、桜庭の姉が警告したような危険な空気は感じられない。
 桜庭と神取のTV局チームは、「ベルジラ土産のゴジラ土偶」の出所を遡って、ベルジラ国内の、ある島に辿り付く。その島には「荒ぶる神・ゴジラ」の伝説が、今でも一種の土着宗教と化して存在していた。

 大使館から紹介された通訳の少女・キサは、実はその島の出身者であり、しかも「島の巫女」の血筋に生まれているのだと言う。
「道理でスイスイと案内してくれる訳だ…」
 桜庭の言葉には、それまで出身について語らなかったキサを責めるような響きがあった。
「ハイ、私も少し困りました。もし、私が島の出身者だと話したら、ベルジラ観光局の策略だと思われるかな、と思って」
 キサの屈託のない、それでいて知性を秘めた笑顔に桜庭は戸惑う。
「いや、ま、その…疑ったりしているわけじゃないんだけど」
「いいです。私もこんな形で里帰りすることになって、ビックリしてるけど、嬉しいです」
 日も暮れ、桜庭たち一行は村に宿泊することにするが、一部の若い村人の排他的な対応と必要以上の警戒心に、神取はマスコミ人として何かを嗅ぎ取るのだった。

 一方、日本では“首なし恐竜”騒ぎが続いていた。今度は、同じ巨大生物の死体が、日本の海岸に打ち上げられたのだ。漁船が引き揚げた死骸同様、首の付け根の辺りから上の部分が、千切れてなくなっている。
 また、「日本版ゴジラ土偶」が発掘された例の発掘現場周辺では、工事再開早々に新たな住居跡が発見され、教授たち発掘チームが召集されていた。

 桜庭たち一行は、次第にこの島の《ゴジラ伝説》の概要が掴めてきた。
 ゴジラは便宜上「荒ぶる神」と呼ばれているが、実は、ゴジラとは別に「本当の神」が存在する。“双頭の龍神”である。“双頭の龍神”は島の民にとっては「決して見てはならない」存在で、その姿形は誰も知らない(知ってはならない)。そういった“双頭の龍神”と島の民を間接的に結ぶ存在が、「偶像化された神=ゴジラ」なのだ。

 島の住民は、基本的には漁師であり、本来“双頭の龍神”の食料であるはずの魚を捕って食べている自分たちは、“双頭の龍神”に祟られているという思想が根底にある。“双頭の龍神”を神として祀らなければ、自分たちは祟りによって殺されてしまうので、「偶像化された神=ゴジラ」を通じて歌や踊りを捧げるという「仕組み」である。ゴジラが「荒ぶる神」とされているのと同時に、その土偶が一種の魔よけとして日常的に用いられているのは、このためだ。

 それでも“双頭の龍神”の怒りに触れてしまった場合、若い娘を生け贄として差し出す(生きたまま、いかだに乗せて海へ流す)という掟がある。その生贄になる者は代々伝わる巫女の血筋の家系の長女と決まっていた(キサはその直系の家系であるが、次女)。
 桜庭は、キサに《ゴジラ伝説》を信じているのかと尋ねる。
「まさか。島の人も、若い人は魔よけのゴジラ土偶さえ持っていません。宗教みたいに考えているのは年寄りだけで、島の大部分の人は、単なる伝統だと思っています」
「君は代々続く巫女直系の血筋なんだろ? 儀式ではなく、本当に巫女が生贄として流されたことが昔はあったのか?」
「“双頭の龍神”は、約1000年に一度現れると、伝説では語られています。でも本当に1000年前に“双頭の龍神”が現れて生贄が出されたかどうかなんて、今となっては誰にも分りません。ただ…」
 キサの表情が曇った。
「ただ、何なの?」
「1000年に一度の周期で、この海域の漁獲量が変化しているのは本当みたいです。ひいおじいさんの代から、ずっと漁獲量は減り続けていて、島は苦しんでいます。この島は、ベルジラの中でも最も貧しいところなんです」
「1000年に一度、不漁の周期…大変そうだな…」

 《ゴジラ伝説》の概要が掴めてきた、そんな頃。神取たちのTV局チームは、島にある怪しげな設備を発見。桜庭やキサにも内緒でこっそりと調査を始めていた。
 翌朝、島の海岸。何と、巨大な生物の死骸が打ち上げられている。それは日本で騒がれている“首なし恐竜”と全く同じと言っていいものだった。騒然となる島の民、それを統制するため動き出す巫女の家系の者たち。
 
 ベルジラの桜庭から“首なし恐竜”の件で電話を受けても、日本にいる教授の反応は意外なほど冷静だった。日本や周辺の海域でも、第3第4の“首なし恐竜”(死骸)が次々に発見され、単なる「死骸の発見」としては既に一つのヤマを過ぎていたのだ。
 逆に、教授から衝撃の事実が桜庭に伝えられる。
「新しい住居跡から、“首なし恐竜”の土偶が発掘された。これがな、作った後に首が折れたんじゃなくて、最初から首が千切れた状態で作られているんだ。桜庭君、君はどう考えるかね、これを」
 こうなると桜庭は、もういてもたってもいられない。神取を除くTV局チームを残して、桜庭と神取は、いったん日本へ戻ることにした。

 日本の発掘現場に戻った桜庭は、二つ目の「ゴジラ土偶」を掘り出す。この二つ目の「ゴジラ土偶」は、何とその右手に人間を握り、その口に人間を咥えていた。現場に立ち尽くす発掘メンバーの体を強風が煽り、すぐに大粒の雨が降り始める。その夜は、激しい嵐となった。
 翌朝、発掘現場付近一帯は停電していた。深夜、発掘現場からそう遠くない場所で、送電用鉄塔が数基連続して倒れるという事故があったらしい。携帯電話でそれを知った桜庭は、朝早く付近住民と一緒に野次馬気分で現場へ向かったが、途中に厳重な封鎖体勢がしかれていて、現場を見るどころか近付くことすら出来ない。

 ただならぬ雰囲気を感じた桜庭は、神取と連絡を取り、現場を撮影したビデオ映像を入手することに成功する。発掘メンバーと合流し、ビデオ映像の検証が始まった。
「これ、車両や人員の大半は防衛隊ですよ。何で防衛隊が…」
「鉄塔の倒れ方が、不自然と言うか、変ですよね。この鉄塔は北側に倒れているのに、この鉄塔は全く反対方向に倒れている」
「地面の様子も変ですよ。ここなんか、明らかに広い範囲で埋め戻してありますよ。一体、何を埋めたんだろう?」
「もしかしたら、例の“首なし恐竜”の生きているやつが上陸して、そいつが送電用鉄塔を登ろうとして感電死したんじゃないかな? 防衛隊は、夜中の間にその死体を埋めたんじゃないかしら?」
「恐竜が鉄塔に登って感電死したとしても、死体をわざわざ埋めますか? あんな大穴を幾つも掘るって大変なんですよ。防衛隊の大型車両を呼んで運んだ方が絶対早い」

 ここで突然、桜庭が立ち上がった。桜庭はメンバーを強引に引き連れ、発掘現場に急行する。
「ここと、ここと、ここと、ここ。俺の考えが正しければ、これらの場所から、住居跡が見つかるはずです。みんなで掘りましょう!」
 桜庭の勢いに圧倒され、半信半疑で発掘作業を始めるメンバーたち。すると、桜庭の示した場所から、まさしく住居跡が見つかった。
「どうして住居跡のある場所を、こんなに正確に予想できたんだ?」
「これは住居跡なんかじゃない。後から人の手が加えられているとは思うけど、基本的には足跡だよ、ア、シ、ア、ト」
「あ、足跡? 足跡って、何のだよ。まさか“首なし恐竜”のことを言ってるのか?アレが歩いたって、こんな足跡が付くわけ…」
「“首なし恐竜”じゃない、コイツだ、こいつの足跡」
 桜庭の手には、たった今掘り出したばかりの三つ目のゴジラ土偶が握られていた。

 土偶が作られた古代のこの場所を、ゴジラが歩き去り、住居跡大の巨大な足跡を残すイメージ映像。

「そして、送電用鉄塔が倒れた現場で、防衛隊が埋め戻していたのも、コイツの足跡だ」

 そのイメージのフラッシュバック映像。

「そんな、まさか…」
「早くこの付近から逃げた方がいい。海岸から遠い、出来るだけ内陸部へ行った方がいい…」
興奮が収まりかけた桜庭の眼に、再び熱いものが宿った。
「あの島も…キサたちが危ない!」

 その夜のTVニュースは、日本の漁船が撮影した「大小の背びれの列を海面に出して泳ぐ巨大な生物らしきもの」の映像を放映する。例の“首なし恐竜”の体には、そういった背びれのようなものは付いていないことから、全く別の生物である可能性が高いと、ニュースは伝えていた。
 また、別のチャンネルでは、別の漁船によって夜間に撮影された同様の映像が流されていた。月明かりの海面を、背びれの列が自ら怪しい光を放ちながら、波を掻き分けて進んで行く…。

 桜庭と神取は、再びベルジラ入りし、キサたちのいる島へと急ぐ。
 島では、“双頭の龍神”を祀る儀式の準備の真っ最中であった。島の海岸に“首なし恐竜”が打ち上げられたことを“双頭の龍神”の怒りと見なし、それを鎮めるための儀式(祀り)を行うというのだ。

 桜庭は、島の長老たちに日本の映像を見せて、儀式の準備を止めて島から避難する準備を始めるように説得するが、「“双頭の龍神”を祀る儀式を行わなければ島は滅びる」と言って聞き入れようとしない。キサに説得を頼んでも、「明日にでもゴジラが上陸するという明確な根拠がない以上、少なくとも儀式を終えるまでは避難の準備は無理」と言う。
「儀式の準備の期間中は、“双頭の龍神”を見張るため、海岸に“寝ずの番”が立つから、万が一のことがあっても、逃げることは出来ると思うわ」
 桜庭も、キサにそう言われると引き下がるしかなかった。

 その夜、神取は、ずっと島で調査を進めていたTV局チームから調査報告を受ける。
「この島は、国際的なテロリストのアジトとして機能している可能性が極めて高い。しかも、そのテロリストの中には数人の日本人が混じっている」
 長く続いている不漁による貧困が、テロリストを受け入れる環境を生んでしまったのだ。そして、そのテロリストを支援している組織が、どうやら日本と深く関係しているらしい。
「この映像に映っている4人は、まず間違いなく日本人です。ベルジラの日系人にしては、腑に落ちない点が多すぎます」
「データはもう本社に送信してあるのね? いずれにせよ、慎重に様子を見るしかないわね…」

 翌日も、島では“双頭の龍神”を祀る儀式の準備が進められる。キサも、祀りの当日は姉と一緒に舞いと歌を奉納する予定で、準備に忙しそうだ。
 桜庭はそんな状況下で危機感を募らせつつも、神取たちのTV局チームと共に島中央の山にキャンプを張る。念のため少しでも海岸から離れ、少しでも遠くの海を見渡せる山の上がいいと考えたのだ。 彼らは偶然、そこで日本の古墳に似た遺跡を発見する。

 古墳の中に入ると、そこには大量のゴジラ土偶(土産物屋で売られているような最近作られたものではなく、日本の土偶同様、古代に作られたもの)、ゴジラを描いた壁画があった。更に奥へと進むと、そこには半ば化石化したような巨大な卵の殻、巨大な生物の骨と思われるものが大量に見つかった。一体、これらは何なのか。
 神取のTV局チームのメンバーが口を開いた。
「そう言えば、この島の海岸に打ち上げられた“首なし恐竜”の死骸は、例の巫女の家系の人達によって埋められたと聞いていたけど、もしかすると…」

 更に、古墳の上やその外縁には、着色されたガラスのような材質で出来た小さな墓のような物が、一定間隔で並べられていることも発見された。桜庭は、ガラスのような材質の墓自体は最近になって作られたものだが、その土台の石の部分はかなり古いものであることを見抜く。
「これは、明らかに古墳の一部だ…」

 結局、ベルジラ共和国でも日本でも特に何も起こることなく、“双頭の龍神”を祀る儀式の日となった。巫女の衣装に身を包み、出番を待つキサに、桜庭が話しかける。
「この島の海岸に打ち上げられた、首の千切れた巨大生物…実はアレが、“双頭の龍神”なんじゃないのか?」
「いいえ、違います。あの生き物の名前は、呼んではならない名前なので、今まで教えませんでした。でも、今の私は巫女ですから、一度だけあの生き物の名前を言います。あの生き物は、“ディプロス”」
 キサは、それだけ言うと神段の前へ進み出て、裸足で舞い歌い始めた。すぐに、見る者・聴く者が引き込まれずにはいられない、神秘的な空間が紡ぎ出されていく。

 しかし島の反対側では、そんな儀式とはまるで関係のない一隻の船が、秘密裏に出航していた。
 そして、神取たちTV局チームの元には、本社からの調査結果が届く。あの4人のうち2人は日本防衛隊・海上部隊に所属する防衛隊隊員。他の2人は、民間の船舶会社の社員だった。
「日本の防衛艦の隊員と民間の船員が…何故、ベルジラのテロリストグループに?」
 調査を進める神取たちは、テロリストグループが小型核爆弾を使った同時多発テロを計画していることを突き止めるのだが…。
 
 深夜、ある海域を航行中の船が、所属国籍に関係なく、次々と交信を絶って行方不明になるという事件が発生していた。使用済み核燃料を積んで日本から某国へ向かって出航した日本の核燃料船も、その海域にいた。そして、ベルジラ共和国にアジトを持つテロリストたちを乗せた船も。

 日本の核燃料船は、周到な準備と訓練を行っていたテロリストたちによって、いとも簡単に乗っ取られてしまう。しかし、そのテロリストたちも、光る背びれを持つ巨大生物の大群に襲撃されることなど、予想だにしていなかった。テロリスト・グループは、その時、最悪の選択をした。彼らはパニックに陥り、船に持ち込んでいた小型核爆弾を誤って起爆させてしまったのだ。
 海上一面は暫くの間、禍々しいまでに眩しい明るさに包まれた。その核の炎がもたらす濃密な放射線の嵐の中で、背びれを持つ巨大生物たちは、次々に息絶えていった。
 海から立ち上るキノコ雲が、夜の闇に吸い込まれ始めたとき、巨大な屍の群の中央で、突然何かが光を放った。焼け爛れた背びれの列が、強烈な青白い光を放ちながら、身もだえしているのだ。
 核の炎に焼かれながらも死ぬことを許されなかった何かが、そこに在った。

 翌日の朝早く、桜庭と神取たちのTV局チームは、日本に“ディプロス”2頭と、それを追うゴジラが上陸したことをニュースで知る。
 ディプロスは、胴体とほぼ同じ長さの首を持つ首長竜のような巨大生物だった。
 ゴジラは、ディプロスよりも遥かに大きく、人間に似た姿勢で二足歩行する巨大生物だった。
 しかし、その全身の皮膚は焼け爛れて複雑怪奇な文様(パターン)状になっており、大きな背びれは表面の角質層が焼け落ちて鋭利な骨質部分が剥き出しになっている。それは生ける屍か、意志を持ったガン細胞の集合体を思わせる姿だった。

 ゴジラは海岸線に沿ってディプロスを追うが、2頭は海岸と海を出入りするなど地形を利用して逃げ回る。ゴジラは、自分より遥かに小さい2頭の動きに惑わされ、取り逃がしてしまう。
そんなゴジラに対して、スクランブル出動した陸・海・空の防衛隊が攻撃を始めた。しかし、「核の炎に焼かれながらも死ぬことを許されなかった」ゴジラは、超高温の呼気を爆発的に放射する能力を持った、恐るべき怪物と化していた…。
 
 翌日、日本に大きな被害を与えて海へ消えたゴジラが、今度はベルジラ共和国に向かっていることが明らかになる。
 桜庭と神取たち一行は日本に帰ろうとするが、島に残っていたテロリスト・グループによって全員捕えられてしまう。自分たちの「日本の核燃料船乗っ取り計画」が失敗したことを知ったテロリスト・グループは、桜庭たちを日本政府の手の者だと思い込んでしまったのだ。
 その騒動の際、テロリストの銃の誤射により、キサの姉・ナギが命を落とす(誤射したテロリストも、島の民によって命を絶たれる)。

 島の長は、島の若者から成るテロリスト・グループを島から追放すると同時に、警察には通報しないことを約束する。そして、テロリストが捕えた日本人のうち、桜庭だけが巫女の一族に引き渡された。死んだ姉の代わりに「生贄の巫女」となったキサと共に、“双頭の龍神”に捧げるためである。

 ゴジラが島に刻々と接近し、住民の大部分は島を脱出するが、巫女の一族は島に残って生贄の儀式を進める。そして遂に、キサと桜庭を生きたまま縛り付けた「生贄のいかだ」が、随行役の小船によって沖へと曳かれて行く。
「生け贄なんかで、ゴジラの動きをどうにか出来るわけないだろう! お前達のやっていることは宗教でも何でもない、ただの狂気だ!」
 そんな桜庭の叫びが聞き入られるわけもなく、いかだが海流に乗ったことを確認すると、随行船は島へと戻って行くのだった。
 一方、テロリストは、神取たちのTV局チームを人質として取引に使おう企む。しかし、神取の機転によって、一行は辛くも脱出に成功する。

 キサと桜庭を縛り付けた「生贄のいかだ」は、海流の流れの関係か、本当にゴジラと遭遇するコースを進んで行く。遥か海上を進むゴジラの姿が、桜庭の眼でも確認できるようになってきた。

 同じ時間、島の上空をヘリコプターが通過しようとしていた。ベルジラ共和国警察のヘリだ。神取も乗っている。桜庭の携帯電話が発信する電波を探知して来たのだ。
 島の上空を通過しようとしたその時、ヘリコプターが見下ろす島の中央山に、炎の点で描かれた巨大な地上絵が現れた。

「ゴジラ…ゴジラの地上絵だわ!」
 古墳の上に配置された小さなガラスの墓に炎がともされたことにより、空から見てようやく分る大きさの、巨大なゴジラの地上絵が現れたのだ。続いて、その古墳上のゴジラ地上絵を取り囲むように、更に大きな別の地上絵が現れた。ゴジラよりも更に一回り大きな胴体と、その2倍の長さの首を持つ、巨大なデュプロスの地上絵だ。

 同時刻、海上を進むゴジラの前に、巨大デュプロスが出現した。一瞬の逡巡も見せず、巨大デュプロスに襲いかかるゴジラ。巨大デュプロスは、その巨体でゴジラを囲み込むようにして迎え撃つ。海上で、2頭の巨大生物の、通常の生物の域を越える壮絶な格闘が始まった。

 キサと桜庭のいかだは、徐々にゴジラと巨大デュプロスに近付いていく。
 しかし、危ういところで神取を乗せたベルジラ共和国警察のヘリコプターが間に合い、二人を救出する。その際、キサと桜庭は、巨大デュプロスの長い首がゴジラの首に巻き付き、互いに噛みつき合っている様子を目撃する。
「双頭の龍神…」
 ゴジラと巨大デュプロスは、絡み合ったまま海中へと沈んでいくのだった…。

 島に着陸するヘリ。ヘリから降りてきたキサと桜庭に、島の長が近寄る。
「“双頭の龍神”を見たのか」
「はい…」
「そうか…これで島は救われた」
 伝説では、生贄として海に流された巫女が、“双頭の龍神”を目撃し、生きて島に戻ってくることが出来たのなら、島もまた救われると伝えられていたのだ。
 桜庭は、今は何故か、その伝説を信じられる気がしていた。

 結局、伝説の通り、ゴジラも巨大デュプロスもそれ以来姿を見せなくなり、島も救われた。

 夕焼けに染まる南国の海辺。寄り添って立つ、桜庭とキサ。
「あと1000年経ったら、また“双頭の龍神”が現れるのかしら…」
「1000年周期で海の生態系に変動が起こっているのが本当なら、“双頭の龍神”が、その1000年という長いサイクルで陸上に出現するということも、考えられるんじゃないかな」
「もしそうだとして、伝説がずっと語り継がれたら、1000年後の人々も生贄を出そうとするのかしら。科学も今よりずっと進んでいるはずでしょう?」
「その進歩した科学で、人類は自らを滅ぼすかも知れない。1000年後、ゴジラの同類が再び陸上に現れるとしたら、彼は一体どんな世界を見ることになるんだろう?…」

 二頭の怪獣を飲み込んだ大海原は、寄り添う二人を前にして、ただ波の音を聞かせるのだった。


                       《 終 》

11月3日はゴジラの日 ~『ゴジラ』第1作目を想う~

11月3日はゴジラの日   ~ 『ゴジラ』第1作目を想う ~


 『ゴジラ』第1作目が公開されたのは、1954年11月3日。もう少しで、54年が経過することになります。
 ということで、まだ日はあるのですが、忘れないうちに記事にしておきます。
 まずは、だいぶ前に撮影した、日比谷のゴジラ像の写真。
日比谷ゴジラ像1
 背びれは初ゴジ、顔と上半身はビオゴジというかVSシリーズのゴジラを思わせます。尻尾が短いのは、スペースの制約があるからでしょうか。それでも、体全体のバランスは取れており、なかなかイイ感じです。

 脚は割と細めで、指は4本。この角度からだと、ゴジラの頭部が“キノコ雲”っぽく見えます。
日比谷ゴジラ像2

 これが、私の一番お気に入りのカメラアングル。怪獣は横面が命ですし、ゴジラは見上げてナンボです。
日比谷ゴジラ像3

 私自身は“チャンピオン祭り”世代なので、一番思い入れのある造形は総進撃ゴジだし、ヒーロー怪獣としてのゴジラも大好き。しかし、やはり第1作目は別格です。

 『ゴジラ』第1作目の続編は何度も作られていますが、第1作目のリメイクはまだ一度も作られていません。
 今日、第1作目のリメイクというのは難しいでしょう。一般的に“核”よりも“地球温暖化”の方が、人類共通の潜在的な問題として遥かに高い関心を集めています。また、特定の組織による“自爆テロ”といった具体的な恐怖の方が、“全面核戦争”といった抽象的な恐怖よりも現実的となっています。

 今、社会に蔓延している不安は暗喩的なものではなく、もっと具体的で即物的なものなのです。だから、社会的恐怖のメタファーとしてゴジラが出現するということには、説得力もなければ必然性もない。

 『ゴジラ対ヘドラ』がゴジラ映画のデフォルトである私にとって、ゴジラは“大自然の怒りの象徴”です。公害が社会問題となっていた当時は、人間側に「自分達は自然の破壊者であり、いつかは自然から恐ろしい報復を受ける」という不安というか覚悟のようなものがあったように思います。
 今日も人間は環境破壊を続けていますが、「地球温暖化という現象で、現時点で既に罰を受けている」という認識を持ち、その問題解決意識が「地球に優しく」なのです。このイメージからは、ゴジラという強烈なメタファーは生まれにくいでしょう。

 ただ、自然災害のメタファーとしてのゴジラであれば、有り得ると思います(私の案は → こちら )。
 いつの日か、ゴジラの新作が作られるとしたら「ゴジラが初めて出現した世界を描く」という意味で、『ゴジラ』第1作目のリメイクにして欲しいです。

 第1作目のゴジラは、“大自然の怒りの象徴”というよりは、“核や戦災のメタファー”でした。
 ケロイド状に焼けただれたような皮膚と、表皮が焼け落ちて骨が剥き出しになったような背びれを背負ったその姿は、核実験の被害者であることを物語っています。
 そして、視点の定まっていない目、目的不明の行動。第1作目のゴジラからは「生死の境をさまよいつつ、人の住む世界をさまよっている」といった、ある種の“境界の姿”を描いた作品であるような印象を受けるのです。

 「常に死にかけているが、絶対に死なない」という、生と死の境界。
 なぜ生きているのか分からないし、なぜ死なないのかも分からない。
 そんなゴジラを分析しようとする人間と、ゴジラを抹殺しようとする人間、そしてその境界に立つ人間。
 ゴジラが、海と陸との境界を行ったり来たりするのも、ゴジラが“境界の存在”だということを意味しているように思えます。

 また、ゴジラの進入を防ぐために、東京湾に沿って鉄塔を建て、高圧送電線を張り巡らすという作戦が遂行されますが、これはまさにゴジラがいる側と人間がいる側に境界を設ける作業に他なりません。「帝都の周囲に結界を張り巡らせ、“もののけ”が入り込むことを防ぐ」というわけです。
 ゴジラはこの高圧送電線を易々と突破しますが、その姿はまるで巨大な亡霊が結界を破るようでもありました。

 物語冒頭で語られた「ゴジラが現れたら、生贄を海に出す」という伝説は、物語の最後でゴジラが科学兵器によって葬られる現実を暗喩するものでした。芹沢博士は、自ら生贄となって海に出て、ゴジラを鎮めたのです。あるいは、オキシジェン・デストロイヤーという形を借りた“お札”によって、ゴジラを黄泉の世界に封印したのです。
 それは、「伝説と現実の境界」が、「科学と現実の境界」と重なった瞬間だったのかも知れません。

 ゴジラに関わる二人の科学者も、常に人間社会における“境界の存在”でした。いや、人間が生み出した科学そのものが“境界の存在”です。正しく使えば人々に幸せを、悪用すれば破滅をもたらすのですから。
 芹沢博士は密かに発明したオキシジェン・デストロイヤーを人の世に出すことにより、「ゴジラを斃して自分がゴジラになる」のか、「自分自身もゴジラと一緒に消滅してしまう」のか、その境界に立たされました。結果的に芹沢博士は後者を選びましたが、『ゴジラ』第1作目のリメイクとして、芹沢博士が前者を選ぶ物語を描くというのも興味深いのではないでしょうか。

 ゴジラを葬った芹沢博士が人間のエゴによって追い詰められ、ついには第二のゴジラと化す姿を描いた、“人間としてのゴジラ”の物語。
 人間がいる限り、ゴジラは現れる。そんな“人としての業”を描いたようなゴジラ映画も観てみたいと思うのです。

『ゴジラ災害ファミリー』

              『ゴジラ災害ファミリー』

             【2000年01月29日(土)頃に書いたもの】

 タイトル通り、ゴジラによって被災した、ごく普通の家族の視点から構成された映画です。
 その意味では以前書き込んだ “84の私流リメイク版(主な登場人物が次々と死んでいく壮絶なストーリー)” と同じですが、この『ゴジラ災害ファミリー』はそこまで凄惨ではありません。ゴジラによって被災した一家(を含む被災地域)の悲惨さや大変さを描きつつも、涙あり、笑顔ありの、どちらかといえばむしろ前向きで陽性の物語です。
 では、簡単にあらすじを説明します。

 ある年の年末、ある地方の沿岸都市の新興住宅地。そこへ向かう自動車。運転しているのは父、乗っているのは家族。ちなみに家族構成は以下の通り。

 父 … 45歳。サラリーマン。職業はローカルTV局のカメラマンチームのチーフ。
 母 … 42歳。主婦。近所のスーパーでパートで働いている。元、夫が勤めるローカルTV局の美人アナウンサー。
 長女 … 18歳。高校3年生、美人で成績も良く国立大学を受験予定。同じ大学を目指す彼氏がいる。
 次女 … 16歳。高校1年生、長女より成績はやや劣るが、スポーツは得意で中学時代から全国大会レベル。美人だが性格がキツイ為か、まだ彼氏がいない。
 長男 … 14歳。中学2年生、成績は悪い方で、スポーツもダメ。性格も暗めで二人の姉に頭が上がらない。

 家族は、建てたばかりの一戸建ての我が家に到着。引っ越し荷物を積んだ運送屋も到着し、荷物の運び入れが始まる。慌ただしいながらも、喜び一色の家族。

 その1ヶ月後。父は仕事、子供達は学校。母はパートの仕事や町内会の集まり(新興住宅地なので、引っ越し早々の新年、いきなり町内会長になってしまった)と、それぞれ新居と自分たちの活躍の場との行き来を日々の営みとしていた。
 しかしそんなある日、一人で海に遊びに行っていた長男は、巨大な生物の体の一部らしきものを目撃。しかし、彼は自分の眼の錯覚だと自身に言い聞かせて、誰にも話さない。翌日、気になって海へ行くが、変わった様子はない。やはり自分の錯覚だったと安心して帰る長男の背後で、巨大な生物の体の一部らしきものが…。

 翌日の夕方、長男の見た巨大な生物=ゴジラが出現する。
 ゴジラは新興住宅地を破壊しながら横切り、(家族の)母がパートで働いているスーパーを破壊して突き進んでいく。大地震に遭遇したような状況下で、母はスーパーから何とか脱出に成功する。
 ゴジラはそのまま長男がいる小高い丘の上の中学校へと接近。ゴジラ出現の情報が上手く伝達されていないため、学校には何の連絡も入ってきていない。校舎の4階の窓からゴジラが見えたとき、その姿は既に生徒達がパニックを起こすのに十分なほど大きかった。
 逃げ遅れた生徒や職員のいる学校を破壊しながら、ゴジラは何かを目指すかのように突き進んでいく。長男は、その様子を校庭の隅から見上げて腰を抜かしていた。

 ゴジラは街へと進入し、高校から電車に乗って帰ってくる途中の次女が、ゴジラと遭遇する。ゴジラが歩くことによって起きる振動によって次女の乗った電車は自動停止し、そこへゴジラがやって来る。
 次女の乗った車両は潰されこそしなかったが横転し、その際、次女は利き腕に重傷を負ってしまう。
 長女は、その様子を比較的近くから見ていたが、自分が逃げることで精一杯で、まさか横転した車両の中で妹が重傷を負っているとは思いもよらない。

 母と長男は、自宅のあった場所へとどうにか戻って来るが、そこは瓦礫の山と化していた。ゴジラ進行の直撃を受けたのだ。長女もやや遅れて戻って来る。
「そんな…まだ建てて2ヶ月しか経ってないのに…まだローンが20年も残っているのに」
 泣き崩れる母、呆然と立ちつくす長男。そしてその上空を飛ぶTV局のヘリコプターの中には、うずくまるようにして頭を抱える父の姿があった。
 ゴジラは海へと去り、行方不明となる。
 火災等は収まり、危機的状況は去った。次女は被災現場から病院へ直行、そこへ残りの家族が合流して全員助かったことを確かめるも、自宅が潰れた事実が家族に重くのしかかる。

 次女を除く家族は仮設テントでの避難生活に入る。被災者の数が多いため、人口密度は高く、生活は不便。受験を控えた長女は、環境のあまりの酷さにいらだちを隠せない。母は家を失ったショックと将来への不安に落ち込んでいるところへ、さらに町内会長として被災した町内のもろもろの雑用を受け持つことになり、精神的に参ってしまう。
 そこへマスコミが詰めかけ、報道合戦が始まる。プロとして自らも報道の仕事に参加していた父だが、余所から来たあまりにも無神経な取材班と衝突する。ケンカになりかけたところを、地元の警察官が駆けつけ、その場を収める。

 マスコミ陣が家族のいる仮設テントを引き上げてしばらくした後、震度2程度の地震が発生。地震はすぐに収まるが、被災者達の間には、不安な空気が充満する。そこへ、
「怪獣が、また来たぞ! こっちに向かって来る、早く逃げろーっ」という叫び声が。
 被災者達は浮き足立ち、無統率に逃げ始める。パニックになり、人が押し倒されたりして怪我人が出る。
 ゴジラがどこから来るのか分からず、錯覚・誤認から矛盾した情報が飛び交い、バラバラに逃げまどう被災者達。
 母・長女・長男は必死になって、父達のTV局クルーのいる隣のエリアの仮設テントのところまで逃げてきた。話を聞いた父が上空を飛ぶヘリコプターに問い合わせたが、ゴジラの影も形もない。デマだったのだ。
 父達のTV局クルーは、怪獣再来がデマであることをアナウンスしながら、家族と一緒に自分たちの仮設テントに戻る。既に、今回の騒ぎで怪我人が出た家族など、何組かが戻って来ていた。そこで父は、物陰に隠れてカメラを構えている取材班を発見。気付かれぬように近付くと、
「こんなに上手くいくとは思わなかった。おかげで良い絵がたくさん撮れた」
と話しているではないか。激高した父は彼らに詰め寄り、あくまででシラを切り通そうとする連中を殴りつけ、ボコボコのケンカになってしまう。社に戻った父に宣せられたのは、3日間の謹慎処分だった。

 学校が破壊されてしまった長男は、行くところがなく、あてもなく被災地をさまよう。
 次女の怪我は、後遺症が出るかも知れないという程の重傷だった。全国大会の夢が破れ、自分のアイデンティティ=スポーツマンとしての挫折に、次女はふさぎ込む。
 メインとなる交通網がゴジラによって寸断されてしまっているため、補給物資の流通も上手くいかず、被災地のあちこちで物資を巡るいさかいが起こり、
「怪獣が貯水池を襲っていたため、水道水には放射能が混ざっている」
「水道水を飲んだ者の髪の毛が抜け、肌に異常が出た」
といった類のデマが、何度も流れる。そのたびに、町内会長である母・受験を控えた長女、を含む被災者達は神経をすり減らす。
 しかし、ゴジラがほぼ海岸沿いに西へと移動し、本州を離れて四国に接近しつつあることが判明すると、被災地にボランティアが集まりだした。被災地をふらついていた長男は、他県から来たボランティアグループから協力を求められ、彼らと行動を共にする。長男は、はじめは消極的だったが、徐々に積極的になり、ボランティア活動に自分の居場所を見いだす。

 同じ頃、海外からやって来たNGOの医師団が、次女の入院している病院にやってくる。英語が得意な次女は、カタコトの日本語を話す外国人の青年(医大生)から通訳を頼まれる。利き腕の怪我以外は大したことはないので、成り行き上、病院内を医師団について回ることになる。
 仮設テントでは、母と長女ともに精神的に不安定な状態が続いていた。長女の受験の日も近いのに、このままでは一体どうなってしまうのか。
「家が壊れてしまったのは、もうどうしようもない。でも、自分の希望や、家族の絆までも壊してしまってはダメだ」
と話す父だが、今すぐ打開策を取れない無力感と、謹慎中のいらだちは隠せない。
 しかし、ようやく始まった自衛隊の本格活動により、仮設テントから仮設プレハブへと移ることが出来ることになった。自衛隊の隊員達の本格的な協力により、物資の配分などの母の仕事ははかどり、どうにか一息つくことが出来るのだった。

 ゴジラが四国に上陸することが確実視され、避難活動や自衛隊の作戦行動が展開される。謹慎のとけた父は、現場へ向かう。
 瀬戸大橋を使った避難の様子を父の取材チームが撮影中、海底から怪獣が出現する。ゴジラとは別の怪獣である。
 怪獣は大勢の避難民を載せた瀬戸大橋を破壊し、四国へと向かう。怪獣は四つ足で上陸するとすぐに、子供を2頭産み落とす。卵胎生らしい。産まれた子供怪獣はそれでも10m近くあり、すぐに四つ足で行動し始め、逃げ惑う人々を追いかけては補食していく。
 ゴジラ迎撃を想定して布陣を進めていた自衛隊は、その半数が急遽移動し、この四つ足怪獣と戦うことになる。四つ足怪獣の親はゴジラ並の戦闘能力を持ち、自衛隊は圧倒される。

 ゴジラもまた予想よりも早く現れ、戦力の半数を別の怪獣に割かれてしまっている自衛隊の迎撃網を易々と突破する。
 ゴジラは、まるでそれが四国上陸の目的であるかのように、四つ足怪獣の子供を探し出すと放射火炎で焼き殺す。親の元へと逃げる残りの一匹も焼き殺すと、怒り狂う親怪獣と対決。
 両者はもつれ合ったまま海へと転落。大損害を被った自衛隊は、怪獣が南下していく途中で追跡に失敗、見失なってしまう。

 一方、ゴジラ上陸による最初の被災地では、仮設プレハブの設置が進み、ようやくそれなりの落ち着きを取り戻していた。
 長女の通う高校は、自宅を失った受験生をサポートする目的で、希望者には全国の系列校の寮に臨時に入寮させることを決定。長女とその彼氏は、東京の大学を受験するため、同じ系列校の寮に臨時入寮することを決める。
 次女は、利き腕が全く動かせないことから病院内での生活を続けながらも、通訳その他、自分に出来る範囲内でのボランティアを続ける。そのきっかけとなった医大生の外国人青年とも、個人的に親しくなっていく。長女の上京見送りを兼ねて見舞いに来た家族は、そのことを知り、明るさを取り戻した次女を見てホッとするのだった。
 被災地でボランティア活動を続ける長男は、被災地を訪れた外国人女性学者とそのチームが、父の撮ったTV映像のことを詳しく知りたがっていることを知り、父を紹介する。

 父の所属する取材チームは外国人女性学者とそのチームに協力することになり、取材許可が下りたばかりの四国の被災現場へ飛ぶ。
 外国人女性学者とそのチームは古生物研究グループであり、ゴジラをも、古生物の末裔の変異体として研究対象としていた。彼女たちが、四つ足怪獣の子供の焼死体から採取した細胞を調べた結果、驚くべきことが判明する。四つ足怪獣は、通称バラゴンと呼ばれる、太古の爬虫類型哺乳類の特徴を持っており、地中生活をしている可能性が高いというのだ。その言葉から、記憶をたぐる父。
「そういえば、親怪獣は瀬戸大橋付近の海中から突然現れた…あれは海中から現れたというよりも、むしろ海底の地中から出現して、そのまま浮上したということなのか? だとしたら、あの怪獣…バラゴンは今、海ではなく、地中に潜んでいるかも知れない…」
 また、バラゴンの単為生殖が有り得ない以上、雄のバラゴンが生存し、日本の近くに来ている可能性が高いという。
「子供を失った雌バラゴンが、繁殖のため、雄バラゴンを呼び寄せるなんてことは…」
 更に外国人女性学者は、バラゴンとゴジラは、太古の同じ時代に生きており、同じ地域に共存・競合していた種同士なのではないかと推測する。

 そして、東京。
 長女が彼氏と一緒に寮の図書室で仲良く勉強していると、地震が発生、地中から立派な角を持つ雄バラゴンが出現した。彼氏と助け合い、長女は何とか脱出し、緊急発車する電車で東京を脱出するが、雄バラゴンの奇襲を受けた東京は大惨事となる。
 地中からの怪獣出現を全く予知していなかった自衛隊は完全に後手に回り、住民の避難が難航していることもあって、雄バラゴンに大して有効な迎撃をすることが出来ない。
 雄バラゴンは東へと移動し続け、それを迎撃するかのごとく、ゴジラが田子の浦から上陸。富士市でゴジラと雄バラゴンの闘いの火蓋が切って落とされる。それによってビルの倒壊や火災が発生、東海道を始め主要交通網も破壊されたため、自衛隊は、被災者の救出・消化活動に忙殺される。
 東京から脱出してきた長女と彼氏も、ゴジラと雄バラゴンの闘いのために新富士で足止めをくらい、火災から逃れながら、救出の機会を待つ。

 一方、最初にゴジラが現れた被災地では、地震とともに雌バラゴンが出現、家族がいる地域の周囲を破壊して孤立させ、その地域の中に人間(たまたま居合わせたマスコミなどを含む)を家畜のように閉じこめてしまう。巻き添えを食った格好になってしまった女性学者は言う。
「私たちは、やがて生まれてくるバラゴンの子供のエサとして、雌バラゴンの縄張りの中に閉じこめられてしまったんだわ」
 雌バラゴンの縄張りの中に閉じこめられた自衛隊の部隊が自ら囮となり、雌バラゴン包囲網からの被災者脱出作戦を行う。しかし、例の悪質な取材班がスクープを狙って勝手な行動をとったため、自衛隊の作戦は頓挫し、部隊は短時間でほぼ全滅。現場から逃げ遅れて、取材班も自分たち自身の死をスクープする格好になって全滅。雌バラゴンに対する陽動が不十分になったため、被災者の脱出は気付かれてしまい、失敗に終わる。

 希望を失った被災者達の一部が理性を失い、無秩序状態になりそうになるが、重傷を負いながらも被災者を説得する自衛隊員の姿に心を打たれた母(その自衛隊員と個人的に親しくなっていた要素も大きい)は、元アナウンサーの演説力?を発揮し、町内会長として被災者達を仕切るのだった。長男も、ボランティアグループとともに、母親をサポートし続ける。
 父の勤務するTV局は、そんな家族や被災者達を外側から援護、自衛隊と協力して、危険も省みず雌バラゴン包囲網内に着陸、物資の補給を行い、怪我人を病院へピストン輸送する。
 病院内では、医師、看護婦、ボランティア、NGOが一体となって怪我人の対処に当たる。その中には、次女の姿もあった。

 ゴジラと雄バラゴンの闘いは壮絶を極めるが、かろうじてゴジラの勝利に終わる。断末魔の雄叫びを上げて、息絶える雄バラゴン。
 その叫びが聞こえたのか、最初の被災地で縄張りを作って雄を待っていた雌バラゴンも、悲しげな叫び声を上げる。雌バラゴンは縄張りを放棄し、海へと帰っていく。
 それを知ってか知らずか、雄バラゴンとの闘いで大きなダメージを負ったゴジラも、巨体を引きずるようにして海へと帰っていくのだった。

 長女は家族の元へと合流し、次女も退院を果たす。家族全員の、被災地での生活が再開される。
 NGOの外国人青年や、女性学者グループは、家族との再会を誓い、被災地を一旦去っていく。
 TVでは、政府による被災地の復興対策が発表される。
 先は長そうだが、今度こそ復興の日々が始まったのは確実だった。
 

 さてさて、マニアにも一般人にも受け入れられるように、「怪獣の出現によって、日本人が被災者となる」ことを一家族の視点から描いたゴジラ映画にしたつもりなのです。どーですか、お客さん!
(タイトルの『ゴジラ災害ファミリー』は、大森さんの著書『震災ファミリー』から取っていますが、私はまだ読んでいません)

※この後、半年ぐらい経ってから、『震災ファミリー』を読みました。
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震電

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 写真撮影時40歳。
 いい歳して云々といった決まり文句は私には通用しない。たった一度の人生、他人に迷惑をかけない範囲で楽しみます。